
愛犬が突然、家具や壁へぶつかるようになった。
いつもなら普通に降りられる階段の前で立ち止まり、怖がって動こうとしない。
おもちゃを投げても見つけられず、呼びかけると音を頼りにこちらを探しているように見える。
このような様子があると、「急に目が見えなくなったの?」「失明したのでは?」と心配になりますよね。
犬の視力が低下すると、物にぶつかるだけでなく、暗い場所を嫌がる、段差の前で立ち止まる、知らない場所で動けなくなる、飼い主さんの近くから離れたがらないなど、行動の変化として現れることがあります。
原因には、白内障のように時間をかけて視力が低下する病気もありますが、緑内障、網膜剥離、SARDS(突発性後天性網膜変性症候群)、視神経の病気など、短期間で大きく視力を失う病気もあります。
特に重要なのは、「急に見えなくなった」という症状そのものが、早急な眼科検査を必要とする可能性があることです。
原因によっては治療開始までの時間が視力の予後へ影響することがあります。
数時間~数日で急に物へぶつかるようになった、目が赤い・白や青に濁る、強く痛がる、瞳孔が大きく開いたまま、片目だけ急に見えなくなった場合は、翌日まで様子を見るのではなく動物病院へ連絡してください。
この記事では、犬が急に見えなくなった時に見られる行動、考えられる原因、急性緑内障やSARDSとの違い、動物病院で行われる検査、受診までの安全な移動方法、視力が低下した犬の生活サポートまで詳しく解説します。

- 犬が見えにくくなった時に見られる行動
- 「急に見えない」のか「徐々に見えなくなった」のかが重要
- 原因① 急性緑内障
- 原因② SARDS(突発性後天性網膜変性症候群)
- 原因③ 網膜剥離
- 原因④ 高血圧による目の異常
- 原因⑤ 視神経炎
- 原因⑥ 白内障
- 原因⑦ 進行性網膜萎縮など慢性的な網膜疾患
- 原因⑧ 角膜や目の中の強い炎症
- 原因⑨ 外傷・事故
- 物にぶつかる=必ず目の病気とは限らない
- 片目だけ見えない場合と両目が見えない場合
- 目の見た目が正常でも失明していることがある
- すぐ動物病院へ連絡したい危険サイン
- 動物病院ではどんな検査をする?
- 受診前に自宅で確認しておくこと
- 家庭で視力テストをしすぎない
- 動物病院へ連れて行く時の安全対策
- 視力が低下した犬の自宅環境を整える
- 見えなくなった犬も散歩できる?
- 見えない犬に「段差」「止まって」を教える
- 子犬が物へぶつかる場合
- シニア犬が物へぶつかる場合
- 犬が見えにくそうな時にやってはいけないこと
- よくある質問
- まとめ|犬が急に物へぶつかる時は「目の見た目」だけで判断しない
- 【最新版】私がおすすめする犬用品10選
犬が見えにくくなった時に見られる行動
犬は人間より嗅覚や聴覚に頼って生活しているため、視力が低下してもすぐには分からないことがあります。
特に毎日暮らしている家では、家具やトイレ、水飲み場の位置を覚えているため、ある程度視力が落ちても普通に歩ける場合があります。
そのため、視力低下に最初に気づくのは、家具を動かした時、暗い場所、初めて訪れた場所などになることがあります。
- 家具や壁へぶつかる
- ドアの位置が分からない
- 段差の前で突然止まる
- 階段を上り下りしたがらない
- 夜の散歩を嫌がる
- 暗い廊下へ入ろうとしない
- おもちゃを目で追えない
- 床へ落ちたおやつを見つけにくい
- 知らない場所で動かなくなる
- 壁沿いを慎重に歩く
- 飼い主さんから離れたがらなくなる
- 突然触ると驚く
- 片側から近づくと気づかない
- 以前より瞳孔が大きく見える
ひとつだけ当てはまるからといって必ず失明しているとは限りません。
しかし、これまで普通にできていた行動が急にできなくなった場合は、単なる怖がりや老化と決めつけず視力を確認する必要があります。
「急に見えない」のか「徐々に見えなくなった」のかが重要
視力低下の原因を考えるうえで非常に重要なのが、変化が始まった速さです。
数時間~数日で急に見えなくなった
急性緑内障、網膜剥離、SARDS、視神経炎、外傷などを含め、早急な検査が必要な原因を考えます。
「昨日までは普通だったのに、今日は壁へ何度もぶつかる」という変化は軽視しないでください。
数週間~数か月かけて見えにくくなった
白内障や進行性網膜萎縮など、時間をかけて進む眼疾患が関係している場合があります。
ゆっくり進んでいるように見えても、治療可能な病気が隠れていないか確認するため眼科検査は必要です。
原因① 急性緑内障

犬が急に見えなくなった時、特に緊急性が高い病気のひとつが緑内障です。
緑内障では眼球内の圧力である眼圧が高くなり、網膜や視神経が傷つくことで急速に視力を失うことがあります。
- 急に物へぶつかる
- 片目を開けにくそうにする
- 白目が赤い
- 角膜が青白く濁る
- 瞳孔が大きく開く
- 目を触られるのを嫌がる
- 顔を床へこすりつける
- 元気がない
- 食欲が落ちる
- 眼球が大きく見えることがある
急性緑内障は強い痛みを伴うことがあり、視力を守るためにも眼圧を早く下げる必要があります。
急な視力低下に「赤い・濁る・痛がる」が加わった場合は、緊急受診を考える重要な組み合わせです。
・犬の緑内障とは?目が赤い・白く濁る・痛がる時に注意したい病気を解説
原因② SARDS(突発性後天性網膜変性症候群)
SARDSは、網膜の機能が短期間で失われることによって急速な視力低下・失明を起こす病気です。
英語のSudden Acquired Retinal Degeneration Syndromeの頭文字からSARDSと呼ばれます。
数日程度の短期間で両目の視力を大きく失うことがあり、飼い主さんから見ると「突然失明した」ように感じる場合があります。
- 急に壁や家具へぶつかる
- 段差を使えなくなる
- 部屋の中央で動けなくなる
- 瞳孔が大きく開いている
- 光を当てても瞳孔の反応が弱い
- 飼い主さんから離れたがらなくなる
SARDSの特徴のひとつは、発症初期には眼底を見ても大きな異常が見えないことがある点です。
そのため、「目の見た目は普通なのに見えていない」ということがあります。
診断には網膜の電気的な反応を調べる網膜電図(ERG)が重要です。
残念ながら、現在SARDSによって失われた視力を確実に回復させる標準治療は確立していません。
原因③ 網膜剥離
網膜は、眼球の奥で光を受け取る重要な組織です。
この網膜が本来の位置から剥がれると、視覚情報を正常に受け取れなくなり、急に視力が低下することがあります。
網膜剥離は、外傷、眼内の炎症、眼球内の変化、全身性高血圧などと関連して起こることがあります。
両目に広い網膜剥離が起これば、突然ほとんど見えなくなることもあります。
原因によって治療や視力回復の可能性が異なるため、早めに原因を確認することが重要です。
原因④ 高血圧による目の異常
犬でも非常に高い血圧が続くと、網膜の血管や眼底へダメージを与え、出血や網膜剥離を起こすことがあります。
その結果、飼い主さんが最初に気づく症状が突然の視力低下になる場合があります。
犬の高血圧は、人間のような本態性高血圧よりも、別の病気に伴って起こる二次性高血圧が問題になることがあります。
腎臓病や一部の内分泌疾患などがある犬では、必要に応じて血圧測定を行います。
・犬の腎臓病とは?多飲多尿・食欲不振・体重減少で注意したい病気を解説
原因⑤ 視神経炎
網膜で受け取った視覚情報は、視神経を通って脳へ送られます。
そのため、眼球そのものがきれいに見えても、視神経に異常が起きれば見えなくなることがあります。
視神経炎は視神経に炎症が起こる病気で、両側に起こると急性の失明と、光へ反応しにくい大きな瞳孔が見られることがあります。
原因としては免疫性炎症、脳の炎症、感染症、外傷などさまざまなものが考えられます。
視神経の眼球より後ろ側だけが炎症を起こしている場合は、眼底を見ても目立った異常がないことがあります。
このような場合、眼科検査だけでなく神経学的検査や画像検査などが必要になることがあります。
原因⑥ 白内障

白内障は目の中の水晶体が濁る病気です。
進行すると光が網膜へ届きにくくなり、家具へぶつかる、段差を怖がる、暗い場所で動きにくくなるといった視力低下が起こります。
多くは徐々に進行しますが、糖尿病に関連した白内障では比較的短期間で急速に濁りが進むこともあります。
白内障では、黒目の奥が白や灰色に見えることが手掛かりになります。
ただし、目が白く見える病気は白内障だけではありません。
・犬の白内障とは?目が白い・物にぶつかる時に注意したい病気を解説
目の白さそのものが気になる場合はこちらも確認してください。
・犬の目が白い原因とは?白内障・核硬化症・緑内障の違いと受診目安を解説
原因⑦ 進行性網膜萎縮など慢性的な網膜疾患
進行性網膜萎縮(PRA)などの遺伝性網膜疾患では、一般的にSARDSのような一晩での突然失明ではなく、時間をかけて視力が低下します。
初期には夜や暗い場所で見えにくくなり、その後昼間の視力も低下するタイプがあります。
犬は自宅の環境を覚えているため、飼い主さんが視力低下に気づいた時にはかなり進んでいる場合があります。
「昨日突然見えなくなった」のか、「以前から夜だけ慎重だったが最近物へぶつかるようになった」のかを思い出して獣医師へ伝えましょう。
原因⑧ 角膜や目の中の強い炎症
網膜や視神経が正常でも、光が目の奥まで届かなければ視力は低下します。
角膜の強いむくみや炎症、角膜潰瘍、眼内の炎症などによって目の透明度が低下すると、見えにくくなることがあります。
- 目をしょぼしょぼする
- 片目を閉じる
- 涙が多い
- 白目が赤い
- 前足で目をこする
- 角膜が白・青く濁る
こうした痛みを伴う目の症状がある場合は、視力低下の有無にかかわらず早めに受診してください。
・犬が目をしょぼしょぼする原因とは?片目を細める時の危険サインと受診目安を解説
・犬の目が赤い原因とは?充血・目やに・痛がる時の受診目安を解説
原因⑨ 外傷・事故
交通事故、高い場所からの落下、顔や頭を強くぶつけた後に視力が低下することもあります。
外傷では眼球だけでなく、網膜、視神経、脳など複数の場所が影響を受ける可能性があります。
犬が歩けていても、頭部外傷後に視力や意識に異常がある場合は受診してください。
物にぶつかる=必ず目の病気とは限らない
犬が壁へぶつかる、まっすぐ歩けないという症状は、視力低下だけでなく神経やバランスの異常でも起こります。
たとえば前庭系に問題が起こると、ふらつく、頭が傾く、同じ方向へ倒れる、眼球が揺れるなどの症状が見られます。
この場合、犬は「見えていない」のではなく、「平衡感覚を保てないため障害物へぶつかっている」可能性があります。
- 頭が傾いている
- まっすぐ歩けない
- 足元がふらつく
- 同じ方向へ倒れる
- 眼球が左右・上下に揺れる
- 吐き気や嘔吐がある
このような症状があれば、目だけではなく神経・前庭系の異常も確認します。
・犬がふらつく・まっすぐ歩けない原因とは?バランスを崩す時の危険サインと受診目安
片目だけ見えない場合と両目が見えない場合
片目だけの視力低下では、反対側の目で補えるため飼い主さんが気づきにくいことがあります。
片側から手を近づけた時だけ驚く、特定方向の物へぶつかるなどが手掛かりになる場合があります。
一方、両目の視力が急に低下すると、急に動けなくなったり、壁へ何度もぶつかったりと変化が目立ちます。
ただし、家庭で片目ずつ塞いで無理に歩かせるような視力テストは行わないでください。
原因を確認するには動物病院での視覚反応や眼科検査が必要です。
目の見た目が正常でも失明していることがある
視力を失った犬の目が必ず白く濁るとは限りません。
SARDSや一部の視神経疾患では、外から目を見ただけでは大きな異常が分からないことがあります。
つまり、「目が透明だから視力は大丈夫」とは判断できません。
物へぶつかる、段差を怖がる、瞳孔の反応がおかしいなどの行動変化があれば、見た目が正常でも検査を受けましょう。
すぐ動物病院へ連絡したい危険サイン

視力低下が疑われる場合、特に次の症状がある時は早急に動物病院へ連絡してください。
- 数時間~数日で急に見えなくなった
- 突然家具や壁へ何度もぶつかる
- 片目だけ突然見えないように見える
- 白目が強く赤い
- 目を開けられない
- 目を強く痛がる
- 角膜が白や青に濁った
- 瞳孔が大きく開いたまま
- 眼球が大きく見える
- 高い場所から落ちた後に見えなくなった
- 交通事故や頭部外傷の後に見え方がおかしい
- けいれんがある
- 意識がぼんやりしている
- 立てない・歩けない
特に「急に見えない+目が赤い・痛い・濁る」は急性緑内障など緊急性の高い眼疾患を考える重要な組み合わせです。
動物病院ではどんな検査をする?
視力低下では、「目が見えているか」だけではなく、視覚情報がどこで途切れているのかを調べます。
視覚反応の確認
犬が物や手の動きに反応するか、まばたきなどの反応があるかを確認します。
ただし反応だけで病名を確定することはできません。
瞳孔反射の確認
光を当てた時に瞳孔が小さくなるかを確認します。
瞳孔反射は網膜や視神経などの状態を評価する手掛かりになります。
眼圧測定
緑内障が疑われる場合に非常に重要です。
眼圧が高いか、逆に眼内炎症などで低くなっていないかを確認します。
スリットランプ検査
角膜、前眼房、水晶体など、目の前方を詳しく確認します。
白内障、角膜の異常、炎症などを調べるのに役立ちます。
眼底検査
網膜、網膜血管、視神経乳頭などを確認します。
網膜剥離、網膜変性、出血、視神経の異常などが見つかることがあります。
血圧測定
網膜出血や網膜剥離などがある場合、全身性高血圧が関係していないか確認します。
血液検査・尿検査
腎臓病、糖尿病、内分泌疾患、炎症など、目へ影響している全身疾患がないか調べます。
眼球超音波検査
白内障などによって眼底を直接確認できない場合、超音波で網膜剥離などを調べることがあります。
網膜電図(ERG)

ERGは、光刺激に対して網膜がどの程度電気的に反応しているかを測定する検査です。
SARDSなど、眼底の見た目だけでは原因が分かりにくい失明で特に重要です。
網膜が機能しているのに見えない場合は、視神経や脳へ視覚情報を伝える経路の病気をさらに調べる必要があります。
神経学的検査・MRIなど
目の検査だけでは原因が分からず、視神経や脳の病気が疑われる場合には、神経学的検査やMRIなどが検討されます。
受診前に自宅で確認しておくこと
- いつから物へぶつかるようになったか
- 突然か、徐々にか
- 明るい場所と暗い場所で違いがあるか
- 片側だけ見えにくそうか
- 目が赤くないか
- 目が白・青く濁っていないか
- 目を痛がっていないか
- 瞳孔の左右差がないか
- 最近頭をぶつけていないか
- 持病や服用中の薬
- 水を飲む量や尿量が変わっていないか
- けいれんやふらつきがないか
自然に起きた行動変化を動画に撮れる場合は、診察時の参考になります。
ただし、動画を撮るために障害物へぶつからせるようなことはしないでください。
家庭で視力テストをしすぎない
「本当に見えていないのか確認しよう」と、家具を置いて歩かせる、階段を降ろす、片目を手で塞ぐなどの自己流テストは事故につながります。
また、強いライトやスマートフォンのライトを至近距離から何度も目へ当てることも避けてください。
家庭では診断しようとせず、普段の生活でどんな変化が出ているかを記録する程度にとどめます。
動物病院へ連れて行く時の安全対策
急に視力を失った犬は、普段通りの場所でも強い不安を感じることがあります。
病院へ連れて行く時は、犬が障害物へぶつかったり道路へ飛び出したりしないように安全を優先します。
- リードを必ず使用する
- 小型犬は安全なキャリーも活用する
- 階段を自由に歩かせない
- 車への乗り降りで落下させない
- 突然後ろから抱き上げない
- 触る前に声をかける
- 目を痛がる犬の顔を強く固定しない
目や頭に強い外傷がある場合は、無理に歩かせず動物病院へ電話し、移動方法を確認してください。
視力が低下した犬の自宅環境を整える

原因によっては視力が回復しないことがあります。
しかし、視力を失った犬でも、嗅覚、聴覚、足裏の感触、家の配置の記憶などを使って生活へ適応できる犬は多くいます。
家具の位置を頻繁に変えない
犬は家具や壁までの距離を覚えて移動します。
視力が低下した後は、ソファ、テーブル、水飲み場、トイレ、ベッドなどの位置をできるだけ一定にしましょう。
階段にはゲートを付ける
視力を失った犬にとって階段は重大な転落リスクになります。
慣れている階段でも、自由に使用させるより安全ゲートなどで管理する方が安心です。
家具の角を安全にする
鋭い家具の角や、犬の目の高さに突き出している物は整理します。
特に目や顔をぶつける可能性のある物は取り除きましょう。
食器・水・トイレの位置を固定する
生活に必要な場所はできるだけ変えません。
同じ場所へ戻れるようにすることで犬が安心しやすくなります。
突然触らず声をかける
見えていない犬へ突然手を伸ばすと驚いてしまうことがあります。
名前を呼ぶ、優しく声をかけるなどして、犬が人の存在に気づいてから触りましょう。
暗い場所には照明を使う
まだ視力が残っていて暗い場所だけ見えにくい犬では、廊下や階段付近を明るくすることで生活しやすくなる場合があります。
見えなくなった犬も散歩できる?
全身状態に問題がなければ、視力が低下したからといって散歩を完全に中止する必要はありません。
犬にとって散歩は、においを嗅ぐ、音を聞く、外の空気を感じるという大切な刺激になります。
- 慣れた散歩コースを使う
- 短いリードで安全を確保する
- 段差の前で声をかける
- 車や自転車が多い場所を避ける
- 知らない犬を急に近づけない
- 人混みでは特にゆっくり歩く
犬が不安そうな時は、以前と同じ距離を無理に歩かせる必要はありません。
見えない犬に「段差」「止まって」を教える
まだ視力がある段階から声の合図を教えておくと、将来の生活にも役立ちます。
- 待って
- 止まって
- ゆっくり
- 段差
- 右
- 左
- おいで
使う言葉自体は家庭ごとに違って構いません。
家族全員で同じ短い合図を使うことが重要です。
子犬が物へぶつかる場合
子犬は動きがまだ不器用で、遊びに夢中になって物へぶつかることがあります。
しかし、何度も同じように障害物へぶつかる、暗い場所でまったく動けない、おもちゃを目で追えない場合は、単なる幼さだけで判断しないでください。
先天的な眼疾患や網膜・視神経の異常などを調べる必要があります。
シニア犬が物へぶつかる場合
シニア犬では視力低下を「年だから仕方ない」と考えてしまいやすくなります。
しかし、白内障、緑内障、網膜疾患、高血圧など治療や管理が必要な病気が隠れていることがあります。
また、シニア犬では認知機能の変化や前庭疾患などによって、家具へぶつかる、夜に歩き回る、方向が分からなくなることもあります。
突然始まった場合は特に「老化」と決めつけず受診してください。
犬が見えにくそうな時にやってはいけないこと
- 家庭で障害物を置いて視力を試す
- 階段を歩かせて見えるか確認する
- 強いライトを目へ何度も当てる
- 人間用の目薬を自己判断で使う
- 以前処方された目薬を流用する
- 赤く痛い目を翌日まで様子見る
- 目が透明だから大丈夫と判断する
- シニア犬だから老化だと決めつける
- 突然見えなくなった犬をノーリードで歩かせる
- 家具の配置を一度に大きく変更する
特に人間用目薬や以前の目薬は、現在の病気によっては適さない場合があります。
目の病気は原因によって治療が大きく異なるため、自己判断で点眼しないでください。
よくある質問
Q. 犬が急に家具へぶつかるようになりました。失明していますか?
視力低下の可能性がありますが、ふらつきや神経症状によってぶつかっている場合もあります。数時間~数日で急に始まった場合は早めに動物病院へ相談してください。
Q. 目が透明でも見えていないことはありますか?
あります。SARDSや視神経の病気などでは、特に初期に外から見た目だけでは大きな異常が分からないことがあります。
Q. 犬が急に見えなくなりましたが痛がっていません
痛みがなくてもSARDS、網膜剥離、視神経疾患などが考えられます。痛みがないことを理由に様子見せず、急な視力低下は受診してください。
Q. 目が赤くて物へぶつかっています
急性緑内障など緊急性の高い眼疾患が隠れている可能性があります。すぐ動物病院へ連絡してください。
Q. 夜だけ見えにくそうです
暗い環境での視力が先に低下する網膜疾患などがあります。白内障などでも暗所で行動が変わることがあるため、眼科検査で原因を確認してください。
Q. シニア犬なら見えにくくなるのは普通ですか?
加齢に伴う変化はありますが、急な視力低下や物へぶつかる行動を年齢だけのせいにしないでください。白内障、緑内障、網膜疾患、高血圧などが隠れていることがあります。
Q. 見えなくなった犬は散歩をやめた方がいいですか?
全身状態に問題がなく安全を確保できるなら、散歩を楽しめる犬は多くいます。慣れた道を使い、リードで安全を確保し、段差や交通に注意してください。
Q. 視力は戻ることがありますか?
原因によります。緑内障などでは治療までの時間が重要になる一方、SARDSなど現在視力回復の標準治療が確立していない病気もあります。まず原因を特定することが重要です。
Q. 片目だけ見えていないようですが急ぎますか?
片目だけでも急に視力が低下した場合は受診してください。反対側の目で補えていると生活上の変化が少なく、発見が遅れることがあります。
まとめ|犬が急に物へぶつかる時は「目の見た目」だけで判断しない

犬が家具や壁へぶつかる、段差を怖がる、暗い場所で動けない、おもちゃを見つけられないといった行動は、視力低下のサインになることがあります。
原因には、急性緑内障、SARDS、網膜剥離、高血圧による眼底の異常、視神経炎、白内障、進行性網膜疾患、角膜や眼内の炎症、外傷などさまざまなものがあります。
特に重要なのは、「いつから見えにくそうなのか」です。
数か月かけて少しずつ暗い場所を嫌がるようになったケースと、昨日まで普通だった犬が今日突然壁へぶつかるケースでは、考える原因と緊急度が異なります。
また、視力を失った犬の目が必ず白くなるわけではありません。
SARDSや一部の視神経疾患では、目の見た目が比較的正常でも視力を失っている場合があります。
突然の視力低下、目の赤み、強い痛み、角膜の白・青い濁り、瞳孔が大きく開いたままといった症状がある場合は、急性緑内障など緊急性の高い病気を考えてすぐ動物病院へ連絡してください。
原因によっては視力が戻らないこともありますが、家具の配置を固定する、階段をゲートで管理する、触る前に声をかける、散歩では慣れたコースとリードを使うなど、生活環境を整えることで安心して暮らせる犬は多くいます。
「年だから見えにくくなったのだろう」「目が透明だから大丈夫」と自己判断せず、愛犬の行動が変わった時点で視力と目の状態を確認してもらいましょう。


