
愛犬の口元を見た時に、歯ぐきがいつもより赤い、歯と歯ぐきの境目が腫れている、歯磨きの時に血がつく。このような変化があると、「強く磨きすぎた?」「歯周病?」「すぐ病院へ行くべき?」と心配になりますよね。
犬の歯ぐきが赤く腫れる原因として多いのは、歯垢に伴う歯肉炎や歯周病です。しかし、口の中の傷、異物、折れた歯や歯根の感染、口内炎、腫瘤、全身の病気などでも似た変化が起こることがあります。
大切なのは、「赤い=歯周病」と自己診断しないことです。赤みがどこにあるか、腫れが一部だけか広範囲か、出血・口臭・よだれ・食べ方の変化・顔の腫れなどが一緒にないかを確認します。
特に、顔や喉が急に腫れて呼吸が苦しい、出血が止まらない、歯ぐきが白くなってぐったりする、水も飲めないほど痛がる場合は、自宅で様子を見ず動物病院へ連絡してください。
- 1. 犬の歯ぐきが赤い・腫れるとはどんな状態?
- 2. まず確認したい緊急サイン
- 3. 正常な歯ぐきと炎症がある歯ぐきの見分け方
- 4. 犬の歯ぐきが赤い・腫れる主な原因
- 5. 最も多い原因のひとつ|歯肉炎・歯周病
- 6. 1か所だけ腫れる時は歯の破折・歯根の感染にも注意
- 7. 口の傷・異物・やけどでも赤く腫れることがある
- 8. 歯ぐき全体が強く赤い時は口内炎・広い口腔炎症も確認する
- 9. 歯ぐきのできもの・盛り上がりは見た目だけで判断しない
- 10. 歯ぐきから血が出る時に確認したいこと
- 11. 口臭・よだれ・食べ方の変化が一緒にある場合
- 12. 自宅でできる確認と記録
- 13. 歯ぐきが赤い時にやってはいけないこと
- 14. 動物病院ではどんな検査をする?
- 15. 歯ぐきの赤み・腫れはどう治療する?
- 16. 歯ぐきの炎症を予防するための毎日のケア
- 17. 犬の歯ぐきが赤い・腫れる時のよくある質問
- まとめ|犬の歯ぐきが赤い・腫れる時は「場所・痛み・出血・食べ方」を確認しよう
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1. 犬の歯ぐきが赤い・腫れるとはどんな状態?
健康な歯ぐきの色には個体差があります。一般には淡いピンク色の部分が多い犬がいますが、黒や茶色の色素がもともと入っている犬も珍しくありません。そのため、「何色なら正常」と一律に判断するより、普段の愛犬の歯ぐきと比べて変化しているかを見ることが重要です。
炎症が起こると、歯と歯ぐきの境目が赤くなる、縁が丸く盛り上がる、触れると出血しやすくなるなどの変化が見られます。歯肉炎では、歯ぐきの赤み・腫れ・出血がみられ、歯垢による炎症が主な原因になります。
- 歯と歯ぐきの境目だけ赤い
- 一部の歯の周りだけ腫れている
- 口全体の歯ぐきが赤い
- 歯磨きの時に血がつく
- 何もしなくても出血している
- 赤みと口臭が同時にある
- 赤みとよだれ、食べにくさがある
- 歯ぐきに盛り上がりやできものがある
同じ「赤い歯ぐき」でも原因と緊急度は異なります。赤みの範囲、いつから変化したか、痛みや全身症状があるかを合わせて確認しましょう。
2. まず確認したい緊急サイン
歯ぐきの赤みだけで救急になるケースばかりではありません。しかし、口の異常に次の症状が加わっている場合は、通常の歯磨きや自宅ケアを続けるより受診を優先します。
- 顔・唇・舌・喉が短時間で急に腫れてきた
- 呼吸が苦しそう、口を開けて呼吸している
- 舌や歯ぐきが青紫色・灰色に見える
- 出血が多い、または圧迫しても止まりにくい
- 歯ぐきが赤い部分とは別に全体が白っぽくなっている
- ぐったりして立てない、倒れた
- 水も飲めない、唾液も飲み込みにくそう
- 口を閉じられない、強く痛がる
- 骨・針・木片などが刺さった可能性がある
- 薬品や電気コードなどを噛んだ可能性がある
- 目の下や頬が急に大きく腫れ、強い痛みがある
呼吸困難、青紫色の舌・歯ぐき、白い歯ぐき、失神・虚脱がある場合は、自宅で様子を見ず動物病院へ連絡してください。顔の腫れについては、犬の顔が腫れる原因とは?目の周り・口元・あごが急に腫れた時の危険サインと受診目安も参考にしてください。

3. 正常な歯ぐきと炎症がある歯ぐきの見分け方
自宅で口を見る時は、犬を押さえつけて大きく口を開ける必要はありません。落ち着いている時に唇を少し持ち上げ、見える範囲を左右で比較します。噛む可能性がある犬や口元を強く嫌がる犬では、無理に確認しないでください。
健康な状態では、歯ぐきの輪郭が比較的すっきりしており、触れただけで簡単に出血することは通常ありません。一方、炎症があると、歯ぐきの縁が赤い、丸く膨らんでいる、歯磨きや軽い接触で出血する、歯垢や歯石が目立つなどの変化が見られることがあります。
ただし、もともとの色素沈着を炎症と間違えないようにします。黒い部分が昔から同じ場所にあり、盛り上がりや出血がなく、周囲も変化していない場合は、生まれつきの色素であることがあります。反対に、以前なかった色や盛り上がりが新しく出てきた場合は、写真を撮って動物病院で確認してもらいましょう。
歯ぐきの赤みを見る時は、色だけでなく「左右差」も役立ちます。片側の1本の歯の周りだけ赤いなら、その歯の破折や歯根の問題、局所的な異物などを考える材料になります。口全体が広く赤い場合は、歯垢による歯肉炎だけでなく、より広い口腔粘膜の炎症なども確認が必要です。
4. 犬の歯ぐきが赤い・腫れる主な原因
犬の歯ぐきの赤みや腫れは、ひとつの病気だけで起こる症状ではありません。主な原因として次のようなものがあります。
- 歯垢による歯肉炎
- 進行した歯周病
- 折れた歯・欠けた歯
- 歯根の感染や歯根膿瘍
- 乳歯が残って歯が密集している
- 口の中の傷ややけど
- 骨、木片、草の種などの異物
- 口内炎・広範囲の口腔粘膜炎
- 歯ぐきの増殖や腫瘤
- 口腔内腫瘍
- 免疫に関係する病気
- 腎機能低下など全身疾患に伴う口腔病変
見た目だけで原因を区別できないことも多く、特に歯ぐきの下や歯根周囲の異常は、外から見ただけでは分からない場合があります。赤みが続く、痛みや出血がある、食べ方が変わった場合は診察を受けてください。
5. 最も多い原因のひとつ|歯肉炎・歯周病
歯肉炎は、歯の表面に付着した歯垢に含まれる細菌などに対して歯ぐきが炎症を起こしている状態です。歯と歯ぐきの境目が赤くなり、腫れたり、歯磨きの時に出血したりします。口臭を伴うこともあります。
歯肉炎の段階では、歯を支える靭帯や骨にまだ不可逆的な損傷がないため、適切な歯科処置とホームケアで改善を目指せます。しかし炎症が深い組織へ進み歯周炎になると、歯を支える組織の喪失が起こります。進行した歯周炎は歯磨きだけでは元に戻せません。
注意したいのは、歯石の量だけで重症度を決められないことです。見える歯の表面が比較的きれいでも、歯ぐきの下で病変が進んでいる場合があります。歯周病の正確な評価には歯周ポケットの検査や口腔内X線などが必要になることがあります。
歯周病については、犬の歯周病とは?口臭・歯ぐきの腫れ・歯がぐらつく時に注意したい病気を解説で詳しく解説しています。
小型犬では、同じ本数の永久歯が比較的小さな顎に並ぶため、歯が密集しやすく、歯垢がたまりやすい場所ができることがあります。乳歯が残って永久歯と二重に並ぶ場合も、歯と歯の間に汚れが残りやすくなります。若い犬でも「まだ若いから歯周病は関係ない」とは言い切れません。
反対に、シニア犬では長年の歯垢・歯石の蓄積だけでなく、慢性疾患や免疫状態の変化が口腔内へ影響していることもあります。年齢だけで原因を決めず、赤みがいつから始まったか、以前の歯科処置歴、持病や服薬内容も獣医師へ伝えてください。

6. 1か所だけ腫れる時は歯の破折・歯根の感染にも注意
歯ぐき全体ではなく、特定の歯の周りだけ赤く盛り上がっている場合は、その歯自体の問題も考えます。硬い物を噛んで歯が欠けたり折れたりすると、歯の内部が露出して細菌が入り、歯根周囲に感染が広がることがあります。
上あごの歯の根元で感染が起こると、目の下や頬が腫れて見える場合があります。皮膚側へ膿が出て一時的に腫れが小さくなっても、原因となる歯の問題が治ったとは限りません。
- 片側だけで噛む
- 硬いフードやおやつを避ける
- 食べ物を口から落とす
- 口の片側だけ触られるのを嫌がる
- 目の下や頬が腫れている
- 強い口臭がある
- 歯の色が変わっている
- 歯が欠けている、割れている
このような変化があれば、歯ぐきへ薬を塗るだけで済ませず、歯そのものと歯根の状態を確認してもらいましょう。
7. 口の傷・異物・やけどでも赤く腫れることがある
散歩中に木の枝をくわえた、硬い骨を噛んだ、おもちゃの破片を噛んだなどの後に、口の粘膜や歯ぐきが傷つくことがあります。草の種や木片が歯と歯ぐきの間へ入り込み、局所的な炎症を起こす場合もあります。
口の中に異物が見えても、深く刺さっている物や糸状の物を無理に引っ張らないでください。舌の下に糸が絡んでいる場合など、見えている部分を引くことで組織を傷つける危険があります。
熱い食べ物や薬品、電気コードによる損傷などでも、口腔粘膜が赤くなったり潰瘍ができたりすることがあります。電気コードを噛んだ可能性がある場合は、口のやけどだけでなく呼吸器への影響が遅れて出る可能性もあるため、自己判断で様子を見ず動物病院へ連絡してください。
8. 歯ぐき全体が強く赤い時は口内炎・広い口腔炎症も確認する
炎症が歯の周囲だけでなく、頬の内側、舌、上あごなど広い範囲へ及んでいる場合は、歯肉炎だけでなく口内炎や口腔粘膜の炎症を確認します。口腔内の広い炎症には、歯周病のほか、免疫系の病気、外傷、感染、代謝性疾患、化学物質による刺激などさまざまな原因があります。
口内炎が強い犬では、口臭、よだれ、血の混じった唾液、食欲低下、口へ触られることを強く嫌がるなどの症状が出ることがあります。痛みが強いと、食べたい様子はあるのに口へ入れられない、フードを落とす、飲み込みに時間がかかることもあります。
広範囲の赤みや潰瘍を見つけた時は、人間用の口内炎薬やうがい薬を使用しないでください。原因によって必要な治療が異なります。
全身の病気が口の中へ現れるケースは、歯垢による歯肉炎ほど一般的ではありませんが、見逃せません。腎機能が大きく低下した犬では口腔内に潰瘍や炎症がみられることがあり、免疫に関係する病気では歯ぐき以外の粘膜や皮膚にも病変が出る場合があります。
歯ぐきの赤みに加えて、水を飲む量や尿量が大きく変わった、体重が減った、嘔吐がある、皮膚にもただれがある、発熱や元気消失が続くなどの場合は、口だけを治療すればよいとは限りません。獣医師は全身状態を確認し、必要に応じて血液検査や尿検査などを組み合わせます。
9. 歯ぐきのできもの・盛り上がりは見た目だけで判断しない
歯ぐきに赤い盛り上がりや、丸いできもののような部分がある場合、炎症性の腫れだけでなく歯肉の増殖や腫瘤なども考えます。良性の病変もありますが、口腔内には悪性腫瘍ができることもあるため、「小さいから大丈夫」「痛がらないから良性」とは判断できません。
- 数週間で大きくなっている
- 表面から出血する
- 潰瘍のようになっている
- 色が変わってきた
- 同じ場所から何度も血が出る
- 歯が動くようになった
- 口臭が急に強くなった
- 食べにくそうにしている
このような変化があれば早めに受診します。腫瘤の種類を確定するには、見た目だけでなく細胞や組織を調べる検査が必要になることがあります。

10. 歯ぐきから血が出る時に確認したいこと
歯磨きの時に少量の血がつく場合、歯ぐきに炎症があり出血しやすくなっている可能性があります。「磨いたから血が出た」と考えて強く磨き続けるのではなく、赤みや腫れ、歯石の有無を確認してください。
一方、何もしていないのに出血する、複数の場所から出血する、鼻血や皮膚の紫斑など他の出血もある場合は、局所的な歯周病だけではなく血液凝固の異常など全身的な問題も鑑別に入ります。出血が止まりにくい場合は早めの受診が必要です。
自宅で硬い器具を使って歯石を削ることも出血や歯の損傷につながります。見えている歯石を一部落とせても、歯ぐきの下の病変を治療したことにはなりません。
歯ぐきが全体に白っぽい、ぐったりしている、呼吸が速い、倒れるなどがある場合は別の緊急症状です。犬の歯ぐきが白い原因とは?貧血・内出血の危険サインと受診目安を解説も確認してください。
11. 口臭・よだれ・食べ方の変化が一緒にある場合
歯ぐきの赤みだけでなく、口臭、よだれ、食べ方の変化が加わる場合は、口の痛みや感染が生活へ影響している可能性があります。
- 以前より口臭が強くなった
- よだれが増えた
- よだれに血が混じる
- 片側だけで噛む
- 硬いフードを避ける
- 食べ物を口から落とす
- 食事に時間がかかる
- 食べたいのに食器の前で迷う
- 口をくちゃくちゃする
- 前足で口元をこする
犬は口が痛くても食欲そのものは残っていることがあります。そのため、「ごはんを食べているから痛くない」とは判断できません。口臭が気になる場合は犬の口が臭い原因とは?口臭の理由と受診すべきサイン、自宅ケアを解説、よだれが増えた場合は犬のよだれが多い原因とは?急に増えた時の危険サインと受診目安を解説も参考にしてください。
水や食べ物を飲み込みにくそうにする、むせる、唾液も飲み込めない場合は、歯ぐきだけの問題とは限りません。犬が飲み込みにくそうな原因とは?水やごはんを飲み込めない時の危険サインと受診目安も確認してください。
赤みが軽く見えても、数日ごとに写真を比べて範囲が広がっている、腫れが強くなっている、出血しやすくなっている場合は早めに相談してください。症状の経過は診断の重要な情報になります。
12. 自宅でできる確認と記録
犬が落ち着いており、安全に口元を見られる場合は、受診までに次の点を確認しておくと診察時に役立ちます。
- いつ赤みに気づいたか
- 1か所だけか、口全体か
- 左右どちらに強いか
- 腫れが大きくなっているか
- 歯石がどの程度あるか
- 歯が折れていないか
- 出血の有無と量
- 口臭が急に強くなったか
- よだれが増えたか
- 食欲はあるか、食べ方が変わったか
- 顔や目の下に腫れがないか
- 元気や体重に変化がないか
同じ明るさで口元の写真を撮っておくと、赤みや腫れが広がっているか比較しやすくなります。写真を撮るために犬の口を無理にこじ開ける必要はありません。
痛みが強そうな時は、何度も触って確認するより、食べ方やよだれ、顔の腫れなど外から分かる情報を記録して受診します。噛まれる危険がある場合は安全を優先してください。

13. 歯ぐきが赤い時にやってはいけないこと
- 痛がる犬を押さえつけて歯磨きする
- 硬い器具や爪で歯石を削る
- 腫れている部分を針で刺す、つぶす
- 深く刺さった異物を無理に引き抜く
- 人間用の歯磨き粉を使う
- 人間用のうがい薬・口内炎薬を塗る
- アルコールや高濃度の消毒薬を口へ使う
- 人間用の痛み止めを与える
- 抗生物質の残りを自己判断で使う
- 硬い骨や角を噛ませて歯石を取ろうとする
- 出血や痛みがあるのに何週間も様子を見る
特に人間用の鎮痛薬には、犬で重い中毒を起こすものがあります。痛そうだからといって自己判断で飲ませないでください。
また、歯石を家庭で削り落とすことと、歯周病を治療することは同じではありません。歯周病の評価と治療では歯ぐきの下の確認が重要です。表面だけをきれいにすると、病変が残っているのに治ったように見える場合があります。
14. 動物病院ではどんな検査をする?
動物病院では、まず口の中を見て、赤み、腫れ、歯垢・歯石、歯の欠け、出血、腫瘤などを確認します。起きている状態で分かることもありますが、歯周病の正確な評価には歯ぐきの下を調べる必要があります。
- 口腔内の視診
- 歯のぐらつきの確認
- 歯周プローブによる歯周ポケットの評価
- 歯科用X線検査
- 必要に応じた血液検査
- 腫瘤がある場合の細胞診・生検など
- 全身疾患が疑われる場合の追加検査
歯周病のステージを正確に判断するため、全身麻酔下での歯周プロービングや口腔内X線検査が行われることがあります。歯の根や顎の骨は外から見えないため、表面の見た目だけでは分からない病変があります。
全身麻酔には個々の犬に応じた評価が必要です。年齢だけで一律に「麻酔できない」と決まるわけではなく、持病、身体検査、必要な血液検査などをもとに獣医師がリスクと利益を検討します。
診察時には、普段の歯磨き頻度、最後に歯科処置を受けた時期、普段噛んでいるおもちゃやおやつも伝えると役立ちます。非常に硬い物を日常的に噛んでいる犬では歯の破折が隠れていることがあり、逆に歯磨きを嫌がり始めた時期が痛みの始まりと重なる場合もあります。
起きた状態での口腔チェックは重要ですが、それだけで歯周病の程度を完全に判断することはできません。犬が痛がる場所を無理に触ると正確な確認が難しくなり、事故にもつながります。必要な範囲を安全に調べるために麻酔下での検査が提案されることがあります。

15. 歯ぐきの赤み・腫れはどう治療する?
治療は原因によって異なります。軽い歯肉炎であれば、動物病院で適切な歯科処置を行い、その後に家庭での歯磨きを続けることで改善を目指せることがあります。一方、歯周炎が進んでいる場合は、歯ぐきの下のクリーニング、歯周治療、抜歯などが必要になることがあります。
折れた歯や歯根の感染が原因なら、歯の状態に応じた歯科治療が必要です。異物が原因なら安全に除去し、傷の程度を確認します。口腔内の腫瘤では、組織検査などで種類を確認したうえで治療方針を決めます。
抗菌薬だけで歯石や壊れた歯、深い歯周ポケットそのものがなくなるわけではありません。薬が必要になる場合もありますが、原因となっている歯科病変を評価し、必要な処置を行うことが重要です。
「無麻酔で見える歯石だけ取る」方法では、歯ぐきの下を十分に検査・処置できません。適切な歯科処置では、必要に応じて全身麻酔下で安全に評価・治療します。麻酔が心配な場合は、自己判断で処置を避けるのではなく、愛犬の持病や検査結果を踏まえた麻酔計画について獣医師へ相談してください。
治療後は、歯ぐきの赤みが落ち着いたかだけでなく、口臭、出血、食べ方、体重なども確認します。処置後に一時的に柔らかい食事が指示される場合や、抜歯部位を触らないよう指示される場合があるため、家庭でのケアは動物病院の説明に従ってください。
歯科治療を受けた後も歯垢は再び付着します。処置を一度受ければ一生歯周病にならないわけではありません。痛みが落ち着き、獣医師から再開の許可が出たら、愛犬が受け入れられる範囲で歯磨きなどのホームケアを続けることが再発予防につながります。
16. 歯ぐきの炎症を予防するための毎日のケア
歯垢が原因となる歯肉炎・歯周病の予防では、家庭での歯磨きが重要です。歯垢は継続的に形成されるため、時々まとめて磨くより、無理のない範囲で習慣化することがポイントです。
ただし、すでに歯ぐきが強く赤い、出血している、口を触ると痛がる場合は、いきなり歯磨きを始めたり強化したりしないでください。痛みがある状態で無理に磨くと、犬が歯ブラシや口元への接触をさらに嫌がるようになる可能性があります。まず動物病院で状態を確認します。
- 口元へ触られることに少しずつ慣らす
- 犬用の歯ブラシ・犬用歯磨き製品を使う
- 力を入れすぎず歯と歯ぐきの境目を意識する
- 定期的に歯ぐきの色と腫れを確認する
- 硬すぎる骨・角などで歯石を取ろうとしない
- 口臭や食べ方の変化を「年齢のせい」と決めつけない
- 定期健診で口腔内も確認してもらう
歯磨きが苦手な犬は、最初から奥歯まで完璧に磨く必要はありません。犬が歯磨きを嫌がる時の慣らし方|噛む・逃げる犬への7段階とNG対応を参考に、頬やあごへ触れるところから少しずつ練習してください。
デンタルガムや口腔ケア製品は補助として使えますが、すでに歯石が多い犬や歯周病が進んだ犬の治療を置き換えるものではありません。硬すぎる製品では歯が折れることもあるため、体格と噛み方に合うものを選びます。

毎日の観察では、歯ぐきだけを見るのではなく、歯の表面、口臭、よだれ、噛み方をセットで見ると変化に気づきやすくなります。たとえば、昨日まで両側で噛んでいた犬が急に片側だけを使う、硬いおやつだけ避ける、あくびの時に顔をしかめるといった変化も口の痛みを考える手がかりになります。
犬は口の中を詳しく見せることに慣れていない場合があります。健康な時から、頬へ触れる、唇を一瞬持ち上げる、見たらすぐ褒めるという短い練習をしておくと、異常の早期発見にも役立ちます。ただし、すでに痛みがある時は「慣らし」のために触り続けず、診察を優先してください。
17. 犬の歯ぐきが赤い・腫れる時のよくある質問
Q. 歯ぐきが少し赤いだけなら様子を見てもいいですか?
軽い刺激で一時的に赤く見えることもありますが、歯と歯ぐきの境目の赤みが続く、腫れている、歯石・口臭・出血がある場合は歯肉炎などを確認した方がよいでしょう。写真を撮り、改善しない場合は動物病院へ相談してください。
Q. 歯磨きすると血が出ます。続けた方がいいですか?
炎症がある歯ぐきは出血しやすくなります。毎回血がつく、腫れや痛みがある場合は、力を入れて磨き続けるのではなく、一度口腔内を確認してもらいましょう。治療後のホームケア方法は獣医師の指示に従ってください。
Q. 歯石を取れば赤みも治りますか?
歯石の見える部分だけを落としても、歯ぐきの下に歯垢や歯周病変が残っていることがあります。歯周病の治療では、歯周ポケットや歯根、顎の骨の状態まで評価することが重要です。家庭で器具を使って削るのは避けてください。
Q. 赤い歯ぐきに人間用の口内炎薬を塗ってもいいですか?
使用しないでください。人間用製品には犬がなめたり飲み込んだりすることを想定していない成分が含まれることがあります。歯ぐきが赤い原因も一つではないため、原因を確認して犬に適した治療を受けてください。
Q. 口臭と歯ぐきの赤みがあれば歯周病ですか?
歯周病は重要な原因のひとつですが、症状だけで確定はできません。折れた歯、歯根の感染、口内炎、腫瘤などでも似た症状が出ることがあります。口臭と赤みが続く場合は診察を受けてください。
Q. 子犬の歯ぐきが赤いのは生え変わりですか?
乳歯から永久歯へ生え変わる時期に歯ぐきが一時的に敏感になることはあります。ただし、強く腫れる、膿が出る、出血が続く、強い口臭がある、食べられない場合は「生え変わりだから」と決めつけず受診してください。乳歯が残って永久歯と並んでいる場合も、歯の密集や歯周病リスクにつながることがあります。
Q. シニア犬だから歯ぐきが赤くても仕方ないですか?
年齢とともに歯周病のリスクは高くなりますが、赤みや腫れを正常な老化として放置するのはおすすめできません。シニア犬でも痛みや感染の治療によって生活の質が改善することがあります。全身状態を確認しながら、どの検査・治療が適切か獣医師と相談してください。
まとめ|犬の歯ぐきが赤い・腫れる時は「場所・痛み・出血・食べ方」を確認しよう

犬の歯ぐきが赤い・腫れる原因として多いのは、歯垢による歯肉炎や歯周病です。しかし、折れた歯や歯根の感染、口の傷や異物、口内炎、腫瘤、全身疾患などでも似た変化が起こるため、症状だけで病名を決めることはできません。
歯ぐきの色だけでなく、赤みが一部か全体か、出血や口臭があるか、よだれが増えたか、硬い物を避けるか、食べ物を落とすか、顔が腫れていないかを確認してください。犬は口の痛みがあっても食べ続けることがあるため、「食欲があるから大丈夫」とは限りません。
顔や喉の急な腫れと呼吸困難、青紫色の舌・歯ぐき、止まりにくい出血、白い歯ぐきと虚脱、水も飲めないほどの痛みがある場合は、自宅で様子を見ず動物病院へ連絡してください。赤みや腫れが続く場合も、家庭で歯石を削ったり人間用の薬を使ったりせず、口腔内を適切に評価してもらいましょう。


