
愛犬が突然「カハッ」「ケッケッ」と咳をする。
ガーガーと苦しそうな音を出した後、吐くようなしぐさをする。
夜や明け方、散歩の後に咳が増える。
このような様子を見ると、「喉に何か詰まった?」「風邪なのかな?」と心配になりますよね。
犬の咳は、ほこりや冷たい空気などによる一時的な刺激でも起こります。
一方で、何度も繰り返す咳には、ケンネルコフ、気管虚脱、気管支炎、肺炎、心臓病、フィラリア症などが関係することもあります。
咳の音や出る時間帯は原因を考える手がかりになりますが、音だけで病名を判断することはできません。
特に、
・呼吸が速く苦しそう
・口を開けたまま呼吸している
・胸やお腹を大きく動かしている
・舌や歯ぐきが青紫色または白っぽい
・咳の後に倒れる
・ピンク色の泡や液体を吐く
・安静にしていても咳が止まらない
場合は、緊急性があります。
呼吸困難は短時間で悪化することがあるため、夜間や休日でも、すぐに動物病院へ連絡してください。
また、犬の咳は、吐きそうで吐かない時のえずきや、鼻から強く空気を吸い込む逆くしゃみと似て見えることがあります。
診察時には、咳をしている様子を動画で見せると大きな手がかりになります。
この記事では、犬が咳をする主な原因、咳とえずき・逆くしゃみの違い、咳の音やタイミングから確認したいこと、すぐ受診すべき危険サイン、自宅でできる対応を解説します。
この記事でわかること
・犬の咳が続く主な原因
・咳とえずき、嘔吐、逆くしゃみの違い
・カハッ、ケッケッ、ガーガーという音の見方
・夜間や運動後に咳が出る原因
・片時的な咳と注意が必要な咳の違い
・すぐ受診すべき呼吸困難のサイン
・自宅で確認したい安静時呼吸数
・咳が出ている時にやってはいけないこと
・動物病院で行われる検査と治療
犬の咳とはどのような症状?

咳は、気道に入った異物や分泌物、刺激物などを外へ出そうとする体の反応です。
犬が咳をする時には、首を前へ伸ばし、前足を踏ん張って「カハッ」「ケッケッ」と息を吐き出すような動きをすることがあります。
咳の最後に「オエッ」とえずくこともあるため、吐こうとしているように見えることもあります。
確認したいのは、次のような点です。
・乾いた音か、湿った音か
・単発か、連続して出るか
・1日に何回程度出るか
・いつから始まったか
・夜間や明け方に増えるか
・散歩や興奮後に増えるか
・首輪を引いた時に出るか
・咳の後に白い泡や液体が出るか
・呼吸が速くなっていないか
・元気や食欲があるか
咳の音だけでは原因を断定できません。
音、頻度、出る時間帯、呼吸状態、全身症状を一緒に確認することが大切です。
1回だけの咳と繰り返す咳は分けて考える
水を勢いよく飲んだ後や、ほこりを吸い込んだ直後に、1~2回だけ咳をすることはあります。
すぐ普段通りに戻り、その後は咳が出ず、呼吸や元気に変化がなければ、一時的な刺激の可能性があります。
一方で、
・毎日咳をする
・一度に何回も連続する
・日ごとに回数が増えている
・夜も咳で起きる
・咳の後に苦しそうにする
場合は、気道や肺、心臓などの病気を確認する必要があります。
咳とえずき・嘔吐・逆くしゃみの違い

犬の咳は、えずき、嘔吐、逆くしゃみと似て見えることがあります。
正確に見分けられない場合は、無理に判断せず、動画を撮影して動物病院で確認してもらいましょう。
咳の特徴
咳では、口から息を強く吐き出すような動きが中心になります。
・カハッ
・ケッケッ
・コンコン
・ゴホッ
・ガーガー
と聞こえることがあります。
首を伸ばし、前足を踏ん張り、咳の最後に「オエッ」とえずくような動きをする犬もいます。
嘔吐やえずきの特徴
嘔吐では、吐く前に落ち着かなくなる、よだれが増える、腹部が大きく動くなどの変化が見られることがあります。
胃の内容物や黄色い液体、白い泡などを実際に吐き出す場合もあります。
ただし、咳の刺激によって白い泡や唾液を少量出すこともあるため、「何か出たから嘔吐」とは限りません。
腹部の動きや、症状が始まる前後の様子を動画に残しておきましょう。
逆くしゃみの特徴
逆くしゃみでは、鼻から空気を強く吸い込みます。
「ブーブー」「ズーズー」「ググッ」と聞こえ、口を閉じたまま、首を前へ伸ばして胸を大きく動かすことがあります。
多くは短時間で治まりますが、長く続く、頻繁に繰り返す、呼吸困難との区別がつかない場合は受診してください。
まず確認したい緊急サイン
咳と一緒に次の症状がある場合は、緊急性があります。
・口を開けたまま苦しそうに呼吸している
・胸やお腹を大きく使って呼吸している
・呼吸が浅く、明らかに速い
・横になれず、座ったまま呼吸している
・首を伸ばして息をしている
・舌や歯ぐきが青紫色になっている
・歯ぐきが白っぽい
・咳の後に倒れた、意識がぼんやりした
・ピンク色の泡や液体を吐いた
・安静にしても咳や呼吸の乱れが治まらない
・異物を飲み込んだ可能性がある
・急に声が出なくなった
・元気がなく、動けない
呼吸困難は、気管の閉塞、重度の気管虚脱、肺炎、肺水腫、胸水などでも起こります。
数時間で命に関わる状態へ進む可能性があるため、夜間でも動物病院へ連絡してください。
呼吸が苦しそうな犬を無理に歩かせない
呼吸が苦しそうな場合は、散歩させたり、自力で長い距離を歩かせたりしないでください。
静かで涼しい場所へ移動し、胸や首を圧迫しない姿勢で休ませます。
キャリーケースへ入れることで余計に興奮する場合は、無理に押し込まず、動物病院へ電話して安全な移動方法を確認しましょう。
犬の咳が続く主な原因
犬の咳には、気道への一時的な刺激から、感染症、心臓病までさまざまな原因があります。
① ほこり・煙・乾燥などの刺激
ほこり、たばこの煙、香りの強いスプレー、冷たい空気、乾燥などが喉や気管を刺激すると、一時的に咳が出ることがあります。
掃除中や散歩中に1~2回咳をした後、すぐ普段通りに戻る場合は、刺激による可能性があります。
ただし、刺激物を避けても咳が続く場合や、同じ状況で何度も繰り返す場合は、気道が敏感になっていることもあるため受診を考えましょう。
② ケンネルコフ
ケンネルコフは、ウイルスや細菌などが関係する伝染性の呼吸器疾患です。
乾いた咳を何度も繰り返し、咳の最後に吐くようなしぐさをすることがあります。
特に、
・迎えたばかりの子犬
・ペットショップやブリーダー施設にいた犬
・ドッグランを利用した犬
・ペットホテルへ預けた犬
・多くの犬と接触した犬
では注意が必要です。
感染犬の咳やくしゃみによる飛沫、食器やおもちゃなどを介して広がることがあります。
咳がある間はほかの犬との接触を避け、受診前に動物病院へ電話して、咳があることを伝えてください。子犬や体力の低下した犬では、肺炎へ進むこともあります。
③ 気管虚脱
気管虚脱は、空気の通り道である気管が押しつぶされたように狭くなる病気です。
チワワ、ポメラニアン、トイプードル、ヨークシャー・テリアなどの小型犬で多く見られます。
次のような特徴があります。
・ガーガーとガチョウの鳴き声のような咳
・興奮した時に悪化する
・散歩中や運動後に増える
・首輪を引いた時に出る
・暑い日や湿度が高い日に悪化する
・重症になると呼吸困難や失神を起こす
肥満や興奮、暑さは呼吸への負担を増やすことがあります。
咳が繰り返す場合は、首輪を強く引かず、獣医師へ相談したうえで体重や生活環境も見直します。

④ 気管支炎
気管支に炎症が続くと、乾いた咳や湿った咳を繰り返すことがあります。
慢性気管支炎では、咳が数週間以上続いたり、興奮や運動、冷たい空気で悪化したりすることがあります。
心臓病や気管虚脱など、別の病気でも似た咳が出るため、咳の期間だけで判断することはできません。
胸部の画像検査などで、肺や気管支の状態を確認します。
⑤ 肺炎・誤嚥性肺炎
細菌やウイルスなどによる感染や、食べ物・吐いた物を誤って気管へ吸い込むことで、肺炎を起こすことがあります。
肺炎では、
・咳
・呼吸が速い
・元気がない
・食欲がない
・発熱
・鼻水
・湿った呼吸音
・ぐったりする
などが見られる場合があります。
子犬、シニア犬、飲み込む力が弱い犬、頻繁に吐く犬では特に注意が必要です。
咳と一緒に全身状態が悪化している場合は、早めに受診してください。
⑥ 心臓病
僧帽弁閉鎖不全症などの心臓病では、咳、疲れやすさ、運動量の低下、呼吸数の増加などが見られることがあります。
中高齢の小型犬では特に注意が必要です。
心臓病が関係する場合は、
・夜間や明け方に咳が出る
・散歩や興奮後に咳が増える
・以前より疲れやすい
・散歩へ行きたがらない
・安静時の呼吸が速い
・咳の後にふらつく、倒れる
といった変化が見られることがあります。
ただし、夜間や運動後の咳だけで心臓病とは判断できません。気管虚脱や気管支炎でも似た症状が出るため、聴診や胸部の画像検査、超音波検査などが必要です。
⑦ フィラリア症
フィラリア症は、蚊が媒介する寄生虫が、主に心臓や肺動脈へ寄生する病気です。
進行すると、
・咳
・疲れやすい
・散歩を嫌がる
・呼吸が苦しそう
・体重が減る
・お腹が膨らむ
・失神する
などの症状が現れることがあります。
予防薬を飲ませていない期間がある犬や、予防状況が分からない保護犬などで咳が続く場合は、動物病院へ予防歴を伝えてください。
自己判断で予防薬を再開せず、必要な検査を受けてから使用します。
⑧ 喉や気道の異物
草の種、小さなおもちゃ、食べ物のかけらなどが喉や気道へ入ると、突然激しく咳き込むことがあります。
・食事や遊びの直後に急に始まった
・口を何度も開ける
・よだれが多い
・前足で口を触ろうとする
・声が変わった
・呼吸が苦しそう
・舌の色が変わった
場合は、異物による閉塞の可能性があります。
口の奥へ指を入れたり、見えない異物を無理に取ろうとしたりしないでください。
呼吸が苦しそうな場合は、すぐ動物病院へ連絡しましょう。
⑨ 肺や気道のできもの
肺、気管、喉などのできものによって、慢性的な咳が出ることがあります。
・数週間以上咳が続く
・少しずつ悪化する
・体重が減る
・疲れやすくなった
・食欲が落ちた
・血の混じった分泌物が出る
場合は、詳しい検査が必要です。
特にシニア犬の咳を「年齢のせい」と決めつけないようにしましょう。
咳の音から考えられること
咳の音は診察の手がかりになりますが、音だけで原因を決めることはできません。
カハッ・ケッケッという乾いた咳
乾いた咳は、気管への刺激、ケンネルコフ、気管虚脱、気管支炎などで見られることがあります。
咳の最後に「オエッ」と吐くようなしぐさが加わる場合もあります。
犬同士の接触後に始まった場合は感染症、興奮や首輪の刺激で増える場合は気管の問題などを考えます。
ガーガーという咳
ガチョウの鳴き声のような「ガーガー」という咳は、気管虚脱でよく知られています。
ただし、逆くしゃみや鼻の症状でも似た音が出ます。
口から息を吐き出しているのか、口を閉じて鼻から吸い込んでいるのかを確認し、動画に残しましょう。
ゴホゴホという湿った咳
湿った咳や痰が絡んだような音は、気管支や肺の炎症、分泌物の増加などで聞かれることがあります。
音だけで肺炎や心臓病を区別することはできません。
呼吸が速い、元気や食欲が低下している場合は、早めの検査が必要です。
咳の後に白い泡を出す
咳の刺激によって、唾液や少量の白い泡を吐き出すことがあります。
一方、吐き気、胃腸の異常、肺水腫などでも液体が出る場合があります。
ピンク色の泡、呼吸困難、ぐったりする症状がある場合は緊急です。
咳が出るタイミングから確認したいこと
夜間・明け方に咳が出る
夜間や明け方の咳は、心臓病、気管支の病気、気管虚脱などで見られることがあります。
横になると咳が増える、睡眠中の呼吸が速い、以前より疲れやすい場合は、心臓や肺の検査を受けましょう。
興奮時・散歩中に咳が出る
来客時、食事前、散歩中など、興奮した時に咳が出る場合は、気管虚脱や心臓病などが関係する可能性があります。
首輪を引いた時だけ咳が出る場合でも、喉への刺激だけでなく、気管が弱くなっていないか確認が必要です。
散歩を続けると呼吸が苦しくなる場合は、無理をさせないでください。
水を飲んだ後・食後に咳が出る
水を勢いよく飲んだ後に、1~2回むせることはあります。
しかし、毎回むせる、食べ物が飲み込みにくそう、鼻から食べ物や液体が出る場合は、喉や飲み込みの機能に問題がある可能性があります。
誤嚥性肺炎を防ぐためにも、繰り返す場合は受診してください。
首輪を引いた時に咳が出る
首への圧迫で咳が出る場合は、気管が刺激されている可能性があります。
散歩中に強く引っ張らないことが大切です。
咳が繰り返す犬では、体に合ったハーネスの使用について獣医師へ相談しましょう。
ただし、ハーネスへ変えるだけで気管虚脱が治るわけではありません。
一時的に様子を見られる可能性があるケース
次の条件がすべて当てはまる場合は、安静にしながら短時間様子を見られることがあります。
・ほこりや水を飲んだ直後に1~2回だけ咳をした
・その後は咳が出ていない
・呼吸が普段通り
・口を開けて呼吸していない
・舌や歯ぐきの色が普段通り
・元気と食欲がある
・散歩や睡眠に変化がない
・異物を飲み込んだ可能性がない
ただし、同じ日に何度も繰り返す、翌日も咳が出る、回数が増える場合は受診を考えましょう。
子犬、シニア犬、心臓病などの持病がある犬は、軽い咳でも早めに相談してください。
早めに動物病院を受診したいケース

次のような場合は、早めに動物病院へ相談してください。
・咳を何度も繰り返す
・咳が翌日以降も続く
・日ごとに咳が増えている
・夜間や明け方に咳で起きる
・興奮や散歩後に激しく咳き込む
・ガーガーという咳が出る
・咳の後に吐くようなしぐさをする
・鼻水や目やにが出ている
・元気や食欲が低下している
・以前より疲れやすい
・散歩へ行きたがらない
・安静時の呼吸が普段より速い
・体重が減ってきた
・フィラリア予防ができていない
・子犬を迎えた直後から咳が出ている
・心臓病や気管虚脱の持病がある
咳が軽く見えても、子犬の感染症や、中高齢犬の心臓病などが隠れていることがあります。
診療時間内に電話し、受診のタイミングを確認しましょう。
子犬・成犬・シニア犬で注意点は違う?
子犬の場合
子犬では、ケンネルコフなどの感染症に注意します。
迎えたばかりの子犬が乾いた咳をする、鼻水や目やにがある、元気や食欲が落ちている場合は、早めに受診してください。
子犬は体力が少なく、感染が肺炎へ進むと状態が悪化しやすいため、長い様子見は避けましょう。
成犬の場合
成犬では、感染症、気管虚脱、気管支炎、異物などが考えられます。
ドッグラン、ホテル、トリミングなどでほかの犬と接触した後に咳が始まった場合は、感染症の可能性も伝えてください。
呼吸状態が安定していても、咳が繰り返す場合は原因を確認しましょう。
シニア犬の場合
シニア犬では、心臓病、気管虚脱、慢性気管支炎、肺や気道のできものなどに注意します。
・夜間の咳
・運動後の咳
・疲れやすさ
・散歩を嫌がる
・睡眠中の呼吸数増加
・体重減少
がある場合は、年齢のせいと決めつけず、胸部や心臓の検査を受けましょう。
自宅でできる確認と対応

咳の動画を撮影する
咳は、動物病院へ着くと出なくなることがあります。
可能であれば、無理のない範囲で次の様子を動画に残しましょう。
・咳の音
・口を開けているか
・首や体の動き
・咳が続く時間
・咳の後に出た物
・呼吸の様子
動画を撮るために、わざと興奮させたり、首輪を引いたりしないでください。
眠っている時の呼吸数を確認する
犬が眠っている時に、胸またはお腹が「上がって下がる」動きを1回として数えます。
15秒間数えて4倍すると、1分間のおおよその呼吸数が分かります。
健康な犬の安静時呼吸数は、おおむね1分間に10~30回前後が目安とされます。
ただし、年齢、体格、気温、体調によって差があります。
30回を超える状態が繰り返す、普段より明らかに増えている、呼吸に力が必要そうな場合は動物病院へ相談してください。数値に関係なく、口を開けた呼吸や舌の色の変化がある場合は緊急です。
安静にして興奮を避ける
咳が出ている間は、激しい散歩、ボール遊び、来客との興奮などを避けます。
呼吸が安定している場合でも、無理な運動はさせないでください。
暑すぎる部屋や、湿度が高く息苦しい環境も避けましょう。
煙や香りの強い物を避ける
たばこの煙、線香、香水、消臭スプレー、掃除用スプレーなどは、気道を刺激することがあります。
犬の近くで噴霧せず、定期的に換気してください。
ただし、寒い外気を直接当てたり、エアコンの風を犬の顔へ当て続けたりしないようにしましょう。
感染症が疑われる時はほかの犬と離す
子犬を迎えた直後や、多くの犬と接触した後に咳が出た場合は、ケンネルコフなどの可能性があります。
ドッグラン、散歩中のあいさつ、トリミング、ホテル利用を控え、食器やおもちゃの共用も避けます。
動物病院を受診する前に電話し、咳のある犬をどこで待たせるか確認しましょう。
犬が咳をしている時にやってはいけないこと

人間用の咳止めや風邪薬を与える
人間用の咳止め、風邪薬、解熱鎮痛薬を自己判断で与えないでください。
犬には危険な成分が含まれている場合があります。
以前処方された薬や、別の犬に処方された薬の使い回しも避けましょう。
喉を強く押したり叩いたりする
咳を止めようとして首や喉を強く押すと、気管への刺激が増える可能性があります。
気管虚脱や異物が疑われる場合も、強く揉んだり押したりしないでください。
無理に水や食べ物を与える
激しく咳き込んでいる最中に、水や食べ物を無理に与えると、誤嚥する危険があります。
咳が落ち着き、呼吸が安定するまでは無理に飲食させないでください。
飲み込むたびにむせる場合は受診が必要です。
蒸気や精油を吸わせる
熱い蒸気を顔へ当てたり、精油やアロマオイルを吸わせたりしないでください。
やけどや気道への刺激、中毒の原因になる可能性があります。
加湿する場合も、犬の顔へ蒸気を直接当てないようにしましょう。
呼吸が苦しい犬に口輪を付ける
呼吸困難がある犬に口輪を付けると、呼吸をさらに妨げる可能性があります。
痛みや不安から噛む可能性がある場合は、無理に触らず、動物病院へ安全な移動方法を確認してください。
咳だけだからと長期間様子を見る
咳が続く犬でも、初期には元気や食欲が保たれている場合があります。
ケンネルコフ、気管虚脱、心臓病などは、咳が主な症状として始まることがあります。
毎日繰り返す咳や、悪化している咳は、元気があっても受診しましょう。
動物病院で行われる検査と治療
犬の咳では、症状や状態に応じて次のような確認が行われます。
・咳の音や出る状況の聞き取り
・体温測定
・喉や気管の確認
・心臓と肺の聴診
・胸部レントゲン検査
・血液検査
・感染症の検査
・フィラリア検査
・心電図検査
・心臓超音波検査
・気管や気管支の詳しい検査
・必要に応じたCT検査
気管虚脱、肺炎、心臓病、気管支炎などは、症状だけでは区別が難しいため、複数の検査を組み合わせて原因を確認します。
治療方法は原因によって異なります。
・感染症に対する治療
・咳や気道の炎症を抑える薬
・気管支を広げる薬
・酸素吸入
・心臓病に対する治療
・肺水腫に対する治療
・フィラリア症に対する治療
・体重管理や運動量の調整
・重度の気管虚脱に対する外科的治療
・異物の除去
咳止めだけで一時的に症状を抑えると、原因の発見が遅れることもあります。
自己判断で薬を使わず、原因に合わせた治療を受けることが大切です。
生活環境や体重との関係

高温多湿と急な温度変化を避ける
暑さや高い湿度は、気管虚脱など呼吸器に問題がある犬の負担になることがあります。
室温を安定させ、エアコンの風が犬の顔へ直接当たらないようにします。
寒い季節も、暖かい室内から急に冷たい屋外へ出ることで咳が増える場合があります。
散歩前後の温度差にも注意しましょう。
首への強い圧迫を避ける
首輪を強く引くと、喉や気管が刺激されて咳が出ることがあります。
引っ張り癖がある場合は、散歩方法を見直し、体に合うハーネスの使用を検討します。
ただし、咳の原因を確認せずに道具だけで対応するのではなく、繰り返す場合は受診してください。
肥満は呼吸への負担になる
体重が増えると、気管や胸部への負担が大きくなることがあります。
特に気管虚脱や心臓病がある犬では、適正体重の維持が重要です。
急な食事制限や運動は避け、獣医師と相談しながら安全に体重を管理しましょう。
受診時に伝えるとよいこと
動物病院へ相談する時は、次の内容を伝えると診察がスムーズです。
・いつから咳が出ているか
・1日に何回程度出るか
・単発か、連続するか
・乾いた咳か、湿った咳か
・カハッ、ガーガーなどの音
・咳が続く時間
・夜間や明け方に増えるか
・運動や興奮後に増えるか
・首輪を引いた時に出るか
・水を飲んだ後や食後に出るか
・咳の後に何か吐き出すか
・鼻水や目やにがあるか
・呼吸が速くないか
・舌や歯ぐきの色に変化があるか
・元気や食欲があるか
・疲れやすくなっていないか
・ほかの犬と接触したか
・ペットホテルなどを利用したか
・フィラリア予防をしているか
・心臓病や気管虚脱などの持病があるか
・使用している薬があるか
咳の動画と、眠っている時の呼吸数を記録しておくと、診察時の参考になります。
よくある質問
Q. 犬が1回だけカハッと咳をしました。病気ですか?
水を飲んだ後やほこりを吸った直後に1~2回だけ咳をし、その後は普段通りなら、一時的な刺激の可能性があります。
同じ日に何度も繰り返す、翌日も続く、呼吸や元気に変化がある場合は受診してください。
Q. 咳の最後にオエッとしますが、吐いているのでしょうか?
犬の咳では、最後にえずくような動きをすることがあります。
実際に胃の内容物を吐く嘔吐とは異なる場合がありますが、見た目だけで区別できないこともあります。
腹部の動きと、何が出たかを動画に残し、動物病院で確認してもらいましょう。
Q. ガーガーという咳は気管虚脱ですか?
ガチョウの鳴き声のような咳は気管虚脱で見られますが、逆くしゃみや鼻・喉の病気でも似た音が出ます。
音だけで判断せず、呼吸状態や咳が出る場面も含めて診察を受けてください。
Q. 夜だけ咳が出るのは心臓病ですか?
夜間や明け方の咳は心臓病で見られることがありますが、気管虚脱や気管支の病気でも起こります。
疲れやすい、散歩を嫌がる、眠っている時の呼吸が速い場合は、早めに心臓と肺を確認してもらいましょう。
Q. 元気と食欲があれば様子を見ても大丈夫ですか?
元気と食欲があっても、ケンネルコフや気管虚脱などが隠れている場合があります。
咳が毎日続く、回数が増える、夜間にも出る場合は、元気があっても受診しましょう。
Q. 犬の咳に人間用の咳止めを使えますか?
使用しないでください。
犬には危険な成分が含まれる場合があり、心臓病や肺炎などの発見を遅らせる可能性もあります。
必ず犬の状態を診察して処方された薬を使ってください。
Q. 咳がある時も散歩へ行って大丈夫ですか?
一時的な軽い咳で、その後は完全に普段通りであれば、短い排泄程度で済ませる方法があります。
咳が繰り返す、運動で悪化する、呼吸が速い場合は散歩を休み、動物病院へ相談してください。
感染症が疑われる場合は、ほかの犬との接触も避けましょう。
まとめ|犬の咳は音だけでなく呼吸状態を確認する
犬が咳をする原因には、
・ほこりや煙などの一時的な刺激
・ケンネルコフ
・気管虚脱
・気管支炎
・肺炎、誤嚥性肺炎
・心臓病
・フィラリア症
・喉や気道の異物
・肺や気道のできもの
などがあります。
カハッ、ケッケッ、ガーガーなど、咳の音は原因を考える手がかりになります。
ただし、音だけで病名を判断することはできません。
・いつから始まったか
・1日に何回出るか
・夜間や運動後に増えるか
・咳の後に吐くようなしぐさがあるか
・呼吸が速くないか
・元気や食欲に変化がないか
を確認してください。
特に、
・口を開けて呼吸する
・胸やお腹を大きく動かす
・舌や歯ぐきが青紫色になる
・咳の後に倒れる
・ピンク色の泡を吐く
・安静にしても呼吸が苦しそう
場合は緊急です。
無理に歩かせたり、人間用の咳止めを与えたりせず、夜間でも動物病院へ連絡してください。
咳とえずき、逆くしゃみの区別が難しい場合は、症状を動画で撮影して受診時に見せましょう。
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咳の最後にオエッとするものの何も吐かない場合は、空えずきとの違いも確認してください。
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迎えたばかりの子犬や、ほかの犬との接触後に乾いた咳が続く場合は、感染症にも注意が必要です。
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