
愛犬が後ろ足で体をポリポリかいている。
首のあたりを何度もかく。
耳の後ろを後ろ足でかく。
わき腹や背中をしきりにかいている。
そんな様子を見ると、「ただのしぐさかな?」「かゆいのかな?」「皮膚病だったらどうしよう」と心配になりますよね。
犬が後ろ足で体をかくこと自体は、珍しい行動ではありません。
一時的なかゆみ、毛の違和感、軽い刺激でかくこともあります。
しかし、何度も繰り返す、皮膚が赤い、毛が抜ける、かさぶたがある、耳を気にしている、夜も眠れないほどかく場合は注意が必要です。
犬のかゆみは、ノミ・ダニ、アレルギー、皮膚炎、外耳炎、膿皮症、マラセチア、乾燥、シャンプー刺激、食事、ストレスなど、さまざまな原因で起こります。
特に大切なのは、「どこを」「どのくらい」「どんな皮膚の状態で」かいているかを見ることです。
耳の後ろをかくなら外耳炎。
腰やしっぽの付け根をかくならノミ。
足先や顔、耳、わき、お腹をかくならアレルギー。
赤みや膿、においがあるなら皮膚感染。
このように、かく場所と症状から原因を考えやすくなります。
この記事では、犬が後ろ足で体をかく時に考えられる原因、様子見できる場合と受診すべき場合、自宅で確認するポイント、やってはいけない対応をわかりやすく解説します。
この記事でわかること
・犬が後ろ足で体をかく時に考えられる原因
・自然なしぐさと注意が必要なかゆみの違い
・かく場所ごとに考えたいトラブル
・ノミ・ダニ・アレルギー・外耳炎の見分け方
・すぐ受診すべき危険サイン
・自宅でできる皮膚チェック
・やってはいけない対応
・食事や生活環境との関係
犬がお尻を床にこするのはどんな状態?

犬がお尻を床にこする状態とは、お尻を床やカーペット、草の上などに押しつけて、前足で進むような動きをする状態です。
たとえば、次のような様子が見られます。
・お尻を床につけて前に進む
・カーペットに肛門まわりをこすりつける
・散歩中に地面へお尻をこする
・お尻をなめる
・しっぽの付け根を気にする
・肛門まわりを振り返って見る
・座り方がぎこちない
・排便後にお尻をこする
・お尻から魚のようなにおいがする
・肛門まわりが赤い、腫れている
たまに一度だけこする程度なら、便の付着や一時的な違和感のこともあります。
しかし、何度も繰り返す場合や、なめる、赤い、腫れる、においが強い、痛がる場合は、肛門まわりのトラブルを考えます。
「お尻歩き」は違和感のサイン
犬がお尻を床にこするのは、肛門まわりにかゆみ、痛み、違和感がある時に見られやすい行動です。
人間のように「お尻がかゆい」「痛い」と言えないため、床にこすりつけたり、なめたり、噛もうとしたりして違和感を解消しようとします。
犬がお尻をこするのは普通?
犬がお尻を床にこする行動は、たまに見られることがあります。
排便後に便が少し残って気持ち悪い。
肛門まわりの毛に便がついた。
一時的にかゆみがあった。
草やほこりがついた。
このような場合、数回こすって終わることもあります。
ただし、何度も繰り返す場合は普通とは言い切れません。
特に、毎日のようにこする、なめる、においが強い、肛門まわりが腫れている、出血している場合は注意が必要です。
1回だけか、繰り返すかが大切
判断のポイントは、回数と継続です。
一度だけこすって、その後は普段通りなら様子を見られることもあります。
一方で、
・1日に何度もこする
・数日続く
・排便後以外にもこする
・お尻をなめ続ける
・座るのを嫌がる
・排便時に痛がる
・強いにおいがある
という場合は、肛門腺や皮膚、寄生虫などの確認が必要です。
まず確認したい危険サイン
犬がお尻を床にこする時は、まず肛門まわりと全身状態を確認してください。
次のような症状がある場合は、早めに動物病院へ相談しましょう。
・何度もお尻をこする
・数日続いている
・肛門まわりをなめ続ける
・お尻を触ると嫌がる
・座るのを嫌がる
・排便時に痛がる
・肛門まわりが赤い
・腫れている
・出血している
・膿のようなものが出る
・魚のような強いにおいがする
・肛門の横にしこりやふくらみがある
・便が出にくい
・下痢が続く
・便秘が続く
・白い米粒のようなものが便や肛門まわりに見える
・元気がない
・食欲がない
・発熱がありそう
・子犬やシニア犬で急に悪化した
特に、肛門の横が腫れている、膿や血が出る、強く痛がる場合は、肛門腺の炎症や膿瘍が疑われます。
痛がる・腫れる・出血は早めに受診
お尻をこするだけでなく、痛がる様子がある場合は注意度が上がります。
肛門まわりは犬がなめたりこすったりしやすい場所です。
炎症がある状態でこすり続けると、皮膚が傷つき、感染が悪化することがあります。
赤み、腫れ、出血、膿、強いにおいがある場合は、自宅で様子を見すぎないようにしましょう。
犬がお尻を床にこする時に考えられる原因

犬がお尻を床にこする原因は、肛門腺だけではありません。
ここでは、よくある原因を整理します。
① 肛門腺のたまり
もっともよく知られている原因が、肛門腺のたまりです。
犬の肛門の左右には、肛門嚢という小さな袋があります。
ここににおいの強い分泌物がたまり、通常は排便時の圧力で外へ出ます。
しかし、分泌物がうまく出ないと、肛門まわりに違和感が出ることがあります。
肛門腺がたまると、
・お尻を床にこする
・肛門まわりをなめる
・しっぽの付け根を気にする
・魚のようなにおいがする
・座り方がぎこちない
・排便後に気にする
といった様子が見られることがあります。
小型犬、肥満気味の犬、便が柔らかい犬、肛門腺を出しにくい体質の犬では、たまりやすいことがあります。
② 肛門嚢炎
肛門腺に分泌物がたまった状態が続いたり、細菌感染が起きたりすると、肛門嚢炎になることがあります。
肛門嚢炎では、単なる違和感よりも痛みや炎症が強くなることがあります。
見られやすいサインは、
・お尻を何度もこする
・肛門まわりをなめ続ける
・肛門の横が赤い
・腫れている
・触ると痛がる
・座りたがらない
・排便時に痛がる
・においが強い
などです。
この場合は、自宅で無理に絞ろうとせず、動物病院で確認してもらいましょう。
③ 肛門腺膿瘍
肛門腺の感染が進むと、膿がたまることがあります。
これを肛門腺膿瘍と呼ぶことがあります。
膿瘍になると、強い痛みや腫れが出ることがあり、破裂すると肛門の横に穴が開いて血や膿が出ることもあります。
注意したいサインは、
・肛門の横が大きく腫れる
・強く痛がる
・座れない
・触ると鳴く
・出血する
・膿が出る
・ぐったりしている
・食欲がない
・発熱がありそう
です。
この状態は早めの治療が必要です。
自己判断で押したり絞ったりしないでください。
④ 便の付着
排便後に便が肛門まわりや毛につくと、犬は違和感でお尻を床にこすることがあります。
特に、
・毛が長い犬
・下痢や軟便がある犬
・肛門まわりの毛が汚れやすい犬
・シニア犬で姿勢が不安定な犬
・肥満気味でお尻まわりを清潔に保ちにくい犬
では起こりやすいです。
便が付いているだけなら、やさしく拭き取って清潔にすることで落ち着くことがあります。
ただし、下痢が続く場合や、肛門まわりが赤くただれている場合は受診を考えましょう。
⑤ 下痢・軟便
下痢や軟便が続くと、肛門まわりが刺激されてかゆみや痛みが出ることがあります。
また、便が柔らかすぎると排便時に肛門嚢へ十分な圧がかからず、肛門腺が自然に出にくくなることがあります。
下痢が関係する場合は、
・便がゆるい
・排便回数が多い
・肛門まわりが汚れる
・お尻をこする
・お腹が鳴る
・食欲が落ちる
・血便がある
などが見られます。
便の状態は、お尻トラブルとかなり関係します。
お尻をこする時は、肛門だけでなく便の硬さも確認しましょう。
⑥ 便秘・排便時の痛み
便秘や硬い便でも、お尻に違和感が出ることがあります。
排便時に強くいきむ、便が硬い、便がなかなか出ない場合、肛門まわりに負担がかかります。
便秘では、
・何度もトイレ姿勢をする
・便が少ししか出ない
・便が硬い
・排便時に鳴く
・お尻を気にする
・お腹が張る
・元気や食欲が落ちる
ことがあります。
便秘が続く場合や、お腹が張っている場合は早めに受診してください。
⑦ 寄生虫
寄生虫が原因で、お尻まわりにかゆみや違和感が出ることがあります。
特に条虫では、便や肛門まわり、寝床に白い米粒のような片節が見えることがあります。
寄生虫が疑われる場合は、
・便に白い粒がある
・肛門まわりに米粒のようなものが付いている
・下痢をする
・体重が増えない
・お腹が張る
・お尻をなめる
・お尻をこする
などが見られることがあります。
自己判断で市販薬を使うのではなく、便検査や適切な駆虫薬について動物病院で相談しましょう。
⑧ 皮膚炎・かぶれ
肛門まわりの皮膚が赤くなったり、ただれたりすると、犬はお尻をこすることがあります。
原因には、
・下痢による刺激
・シャンプーやウェットシートの刺激
・アレルギー
・ノミ
・皮膚の感染
・蒸れ
・毛玉や汚れ
などがあります。
皮膚炎では、
・肛門まわりが赤い
・ただれている
・湿っている
・においがある
・かさぶたがある
・なめ続ける
・毛が抜ける
ことがあります。
お尻まわりは犬がなめやすいため、悪化しやすい場所です。
⑨ アレルギー
アレルギーがある犬では、肛門まわりやしっぽの付け根、足先、耳、お腹などにかゆみが出ることがあります。
アレルギーが関係する場合は、
・お尻をこする
・体をかゆがる
・足先をなめる
・耳をかく
・皮膚が赤い
・外耳炎を繰り返す
・下痢や軟便がある
・季節によって悪化する
ことがあります。
⑩ ノミ・外部寄生虫
ノミがいると、しっぽの付け根や腰まわりが強くかゆくなり、お尻をこすることがあります。
ノミアレルギーがある犬では、少数のノミでも強いかゆみが出ることがあります。
注意したいサインは、
・しっぽの付け根をかゆがる
・腰まわりを噛む
・黒い粒のようなノミのふんがある
・毛が抜ける
・かさぶたがある
・体全体をかゆがる
です。
室内犬でも散歩や外出でノミがつく可能性があります。
予防薬の使用状況も確認しましょう。
⑪ 肛門まわりのできもの・腫瘍
頻度は高くありませんが、肛門まわりのできものや腫瘍でも、お尻を気にすることがあります。
肛門の横にしこりがある、片側だけ腫れている、出血する、なかなか治らない場合は注意が必要です。
こりや腫れを見つけた場合は、自己判断で潰したり押したりせず、動物病院で確認してもらいましょう。
肛門腺トラブルで見られやすいサイン

お尻こすりでよく疑われるのが肛門腺トラブルです。
ただし、肛門腺が原因かどうかは見た目だけでは判断しにくいこともあります。
次のようなサインがある場合は、肛門腺のたまりや炎症を考えます。
・お尻を床にこする
・肛門まわりをなめる
・しっぽの付け根を気にする
・魚のような強いにおいがする
・突然お尻を気にして走る
・排便後にお尻を気にする
・座り方が変
・肛門の左右が腫れている
・触ると痛がる
・膿や血が出る
肛門腺がたまっているだけなら、動物病院やトリミングサロンで絞ってもらうことで落ち着く場合があります。
しかし、赤み、腫れ、痛み、膿、出血がある場合は、炎症や膿瘍の可能性があるため、動物病院での治療が必要です。
肛門腺は自宅で絞るべき?
肛門腺絞りは、自宅でできる場合もあります。
ただし、やり方を知らないまま強く押すと、痛みや炎症を悪化させることがあります。
特に、
・肛門まわりが赤い
・腫れている
・痛がる
・出血している
・膿が出ている
・強く嫌がる
・初めてで場所がわからない
という場合は、自宅で絞らず動物病院へ行きましょう。
肛門腺が感染している場合、自宅で無理に絞ると強い痛みや破裂につながる可能性があります。
まずは動物病院で正しい状態を確認してもらうのが安全です。
様子見できる可能性があるケース
犬がお尻を床にこすっていても、次のような場合は短時間だけ様子を見られることがあります。
・1回だけこすった
・排便後に少しこすっただけ
・便が少し付いていた
・拭いたら落ち着いた
・肛門まわりに赤みがない
・腫れがない
・出血がない
・強いにおいがない
・元気がある
・食欲がある
・便の状態が普段通り
・なめ続けない
この場合は、清潔にして様子を見ることができます。
ただし、何度も繰り返す場合や、数日続く場合は受診を考えましょう。
様子見中に見るポイント
様子を見る場合は、次の点を確認してください。
・こする回数が増えていないか
・お尻をなめ続けていないか
・肛門まわりが赤くなっていないか
・腫れていないか
・においが強くないか
・便がゆるくないか
・便秘ではないか
・白い粒のような寄生虫が見えないか
少しでも悪化する場合は、早めに相談しましょう。
すぐ受診すべきケース

次のような場合は、早めに動物病院へ相談してください。
・何度もお尻をこする
・数日続いている
・肛門まわりをなめ続ける
・座るのを嫌がる
・排便時に痛がる
・肛門まわりが赤い
・肛門の左右が腫れている
・出血している
・膿が出ている
・魚のような強いにおいがある
・しこりがある
・便が出にくい
・下痢が続く
・血便がある
・便秘が続く
・便や肛門まわりに白い粒がある
・元気がない
・食欲がない
・子犬やシニア犬で急に悪化した
特に、肛門の横が腫れている、強く痛がる、血や膿が出ている場合は、肛門腺膿瘍や感染の可能性があります。
自宅で絞ったり、押したりせずに受診してください。
子犬・成犬・シニア犬で注意点は違う
犬がお尻を床にこする時は、年齢によって注意点が変わります。
子犬の場合
子犬では、便の付着、下痢、寄生虫、皮膚のかぶれなどが関係することがあります。
子犬は便がゆるくなりやすく、肛門まわりが汚れやすいです。
また、寄生虫が関係していることもあるため、便の状態をよく確認しましょう。
子犬で、
・下痢が続く
・血便がある
・元気がない
・食欲がない
・お腹が張る
・白い粒のようなものが見える
場合は早めに受診してください。
成犬の場合
成犬では、肛門腺のたまり、便の状態、アレルギー、皮膚炎、寄生虫などが主な原因になります。
体質的に肛門腺がたまりやすい犬もいます。
何度も繰り返す場合は、肛門腺だけでなく、便の硬さ、食事、アレルギー、体重、皮膚の状態も確認しましょう。
シニア犬の場合
シニア犬では、肛門腺の排出がうまくいかない、便秘、下痢、筋力低下、皮膚のトラブル、腫瘍などにも注意が必要です。
また、腰や関節が痛くてお尻まわりを自分で清潔に保ちにくくなる犬もいます。
シニア犬で急にお尻をこするようになった場合や、しこり、出血、体重減少、食欲低下がある場合は早めに確認しましょう。
自宅でできる確認とケア

危険サインがない場合は、自宅でお尻まわりと便の状態を確認します。
肛門まわりを見る
しっぽを無理に引っ張らず、落ち着いて肛門まわりを見ます。
確認したいのは、
・赤み
・腫れ
・出血
・膿
・しこり
・ただれ
・便の付着
・毛玉
・強いにおい
です。
触ると嫌がる場合は、無理に確認しないでください。
痛みがある可能性があります。
便の状態を見る
便の状態は、お尻トラブルと関係します。
・硬さ
・回数
・下痢
・軟便
・便秘
・血便
・粘液
・白い粒の有無
・便に毛や異物が混じっていないか
を確認しましょう。
便が柔らかい状態が続くと、肛門まわりが刺激されやすくなります。
硬すぎる便や便秘も、排便時の痛みや違和感につながることがあります。
肛門まわりを清潔にする
便が付いている場合は、ぬるま湯で湿らせた柔らかい布やペット用の低刺激シートで、やさしく拭きます。
こすりすぎると皮膚を傷めるため、強く拭かないようにしましょう。
汚れが多い場合は、部分洗いをしてしっかり乾かします。
湿ったままだと皮膚炎につながることがあります。
毛が長い犬はお尻まわりを整える
毛が長い犬では、便が毛につきやすくなります。
お尻まわりの毛を適度に整えておくと、清潔を保ちやすくなります。
ただし、皮膚が赤い、腫れている、痛がる場合は、無理にカットせず動物病院やトリミングサロンに相談してください。
こすっている様子を動画に残す
お尻をこする様子は、診察室では再現されないことがあります。
可能であれば、動画を撮っておくと診察時に役立ちます。
こすった時間、回数、排便との関係、便の状態もメモしておきましょう。
犬がお尻をこする時にやってはいけないこと

お尻をこする犬に対して、自己判断で対応すると悪化することがあります。
無理に肛門腺を絞る
肛門腺が原因かもしれないと思っても、無理に絞るのは避けましょう。
特に、腫れ、赤み、痛み、出血、膿がある場合は危険です。
炎症や膿瘍がある状態で押すと、強い痛みや悪化につながることがあります。
初めての場合や、犬が嫌がる場合は、動物病院で行ってもらう方が安全です。
人間用の薬を塗る
かゆそうだからといって、人間用の軟膏、消毒薬、かゆみ止めを塗るのは避けてください。
犬がなめてしまうことがあります。
また、原因によっては悪化することもあります。
肛門まわりはデリケートな場所なので、薬は獣医師の指示で使いましょう。
強く拭きすぎる
汚れが気になるからといって、何度も強く拭くと皮膚がただれることがあります。
特にウェットシートの成分が合わない犬では、かぶれの原因になることもあります。
拭く時はやさしく、必要以上にこすらないようにします。
市販の駆虫薬を自己判断で使う
寄生虫が心配な場合でも、市販薬を自己判断で使うのは避けましょう。
寄生虫の種類によって必要な薬は違います。
便検査や症状の確認をして、適切な駆虫薬を選ぶことが大切です。
「肛門腺だけ」と決めつける
お尻をこする原因は、肛門腺だけではありません。
皮膚炎、アレルギー、下痢、便秘、寄生虫、できものなどもあります。
肛門腺を絞っても繰り返す場合は、別の原因を確認しましょう。
動物病院で行われる検査と治療
動物病院では、犬がお尻を床にこする原因を確認するために、状態に応じて検査や処置を行います。
主な確認内容は以下です。
・問診
・肛門まわりの視診
・肛門嚢の確認
・肛門腺絞り
・肛門まわりの触診
・皮膚の確認
・便検査
・寄生虫の確認
・細菌感染の確認
・必要に応じた血液検査
・しこりがある場合の検査
肛門腺がたまっている場合は、動物病院で絞ってもらいます。
炎症や感染がある場合は、洗浄、薬、抗生物質、痛み止めなどが必要になることがあります。
膿瘍や破裂がある場合は、処置や継続的な治療が必要です。
寄生虫が原因なら駆虫薬を使います。
皮膚炎やアレルギーが関係している場合は、かゆみや炎症の治療、食事や環境の見直しを行うことがあります。
食事や生活習慣との関係

犬のお尻トラブルは、便の状態や体重、食事、皮膚の状態とも関係します。
便の硬さと肛門腺
肛門腺は、排便時の圧力で自然に出ることがあります。
便が柔らかすぎると、肛門嚢に十分な圧がかからず、分泌物が出にくくなることがあります。
一方で、便が硬すぎると排便時に痛みが出たり、肛門まわりに負担がかかったりします。
適度な硬さの便を保つことは、お尻まわりの健康にも大切です。
下痢や軟便が続く場合
下痢や軟便が続くと、肛門まわりが汚れやすく、皮膚が刺激されます。
また、肛門腺が自然に出にくくなることもあります。
下痢が続く場合は、単にお尻を拭くだけでなく、胃腸の原因を確認することが大切です。
肥満との関係
肥満気味の犬では、肛門腺が自然に出にくくなることがあります。
また、お尻まわりを自分で清潔にしにくくなる場合もあります。
体重管理は、肛門腺だけでなく、関節や心臓の健康にも関わります。
急な食事制限ではなく、適正体重を動物病院で相談しましょう。
食物アレルギーや皮膚のかゆみ
食物アレルギーや体質によって、皮膚や肛門まわりにかゆみが出る犬もいます。
ただし、お尻こすりをすべて食事のせいにするのは危険です。
肛門腺、寄生虫、下痢、皮膚炎なども確認したうえで、食事との関係を考えることが大切です。
受診時に伝えるとよいこと
動物病院へ相談する時は、次の内容を伝えると診察がスムーズです。
・いつからお尻をこするようになったか
・1日に何回くらいこするか
・排便後だけか、普段もこするか
・肛門まわりをなめるか
・魚のようなにおいがあるか
・肛門まわりが赤いか
・腫れやしこりはあるか
・出血や膿はあるか
・便の硬さはどうか
・下痢や便秘はあるか
・血便はあるか
・便や寝床に白い粒はあるか
・ノミダニ予防をしているか
・最近フードやおやつを変えたか
・体重が増えたか
・過去に肛門腺トラブルがあったか
・前回いつ肛門腺を絞ったか
・元気や食欲はあるか
動画や写真があれば、こすり方やお尻まわりの変化を伝えやすくなります。
便の写真や、白い粒のようなものがある場合は、それも記録しておくと役立ちます。
よくある質問
Q. 犬がお尻を床にこするのは肛門腺が原因ですか?
肛門腺が原因のことは多いですが、それだけではありません。
便の付着、下痢、便秘、寄生虫、皮膚炎、アレルギー、ノミ、できものなどでもお尻をこすることがあります。
繰り返す場合は原因を確認しましょう。
Q. 肛門腺は自分で絞ってもいいですか?
慣れていて、犬が痛がらず、炎症がない場合は自宅で行う飼い主さんもいます。
ただし、赤い、腫れている、痛がる、出血や膿がある場合は自宅で絞らないでください。
初めての場合は動物病院で教えてもらう方が安全です。
Q. お尻から魚のようなにおいがします。病気ですか?
肛門腺の分泌物のにおいかもしれません。
一時的に出ただけなら問題ないこともありますが、強いにおいが続く、なめる、こする、腫れる場合は肛門腺のたまりや炎症が考えられます。
Q. 便に白い米粒のようなものがあります。何ですか?
条虫などの寄生虫の一部が見えている可能性があります。
自己判断で市販薬を使わず、便の写真や実物を持って動物病院へ相談してください。
Q. トリミングで肛門腺を絞ってもらえば大丈夫ですか?
単にたまっているだけなら、トリミングで絞ってもらうことで落ち着く場合もあります。
ただし、赤み、腫れ、痛み、出血、膿、しこりがある場合は、トリミングではなく動物病院で確認してください。
Q. 肛門腺を絞ってもすぐまたお尻をこすります。なぜですか?
肛門腺以外の原因がある可能性があります。
皮膚炎、アレルギー、寄生虫、下痢、便秘、ノミ、肛門まわりのしこりなども考えます。
繰り返す場合は、肛門腺だけでなく便や皮膚、食事、寄生虫の確認が必要です。
まとめ|犬がお尻を床にこする時は「肛門腺だけ」と決めつけない
犬がお尻を床にこする行動は、肛門まわりの違和感やかゆみ、痛みのサインとして見られます。
一度だけなら、便の付着や一時的な違和感のこともあります。
しかし、何度も繰り返す、肛門まわりをなめる、赤い、腫れている、出血している、強いにおいがある場合は注意が必要です。
考えられる原因には、
・肛門腺のたまり
・肛門嚢炎
・肛門腺膿瘍
・便の付着
・下痢や軟便
・便秘
・寄生虫
・皮膚炎
・アレルギー
・ノミ
・肛門まわりのできもの
などがあります。
特に、肛門の横が腫れている、痛がる、膿や血が出る場合は、自宅で絞ったり押したりせず、早めに動物病院へ相談してください。
また、肛門腺を絞っても繰り返す場合は、便の状態、アレルギー、皮膚炎、寄生虫、体重管理なども確認する必要があります。
お尻をこする行動は、犬からの小さなサインです。
「またやってる」で終わらせず、回数、便の状態、肛門まわりの赤みや腫れ、におい、痛みの有無を確認してあげましょう。
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