
愛犬が、同じ場所をぐるぐる回っている。
寝る前だけではなく、部屋の中を一方向へ歩き続けている。
呼びかけても止まらず、壁や家具へぶつかるようになった。
このような変化があると、「遊んでいるだけ?」「脳や耳の病気では?」と心配になりますよね。
犬は、寝る前に寝床を整える時や、排泄する場所を決める時に、数回くるくる回ることがあります。
目的を終えると自分で止まり、その後の歩き方、意識、元気に変化がなければ、自然な行動の可能性があります。
一方で、同じ方向へ何度も歩き続け、自分では止まれないように見える状態は、旋回運動と呼ばれます。
旋回運動には、前庭疾患、中耳炎や内耳炎、脳炎、脳腫瘍、発作、頭部の外傷などが関係することがあります。
シニア犬では認知機能の低下によって、目的なく歩き続けたり、同じ場所を回ったりする場合もあります。
特に、首が傾いている、目が揺れている、ふらつく、同じ方向へ倒れる、意識がぼんやりしている場合は注意が必要です。
無理に反対方向へ歩かせたり、押さえつけて止めたりせず、転倒しない安全な場所で休ませてください。
この記事では、犬がぐるぐる回る主な原因、自然な行動と旋回運動の違い、すぐ受診すべき危険サイン、自宅での確認方法を解説します。
■■ この記事でわかること
- 犬がぐるぐる回る主な理由
- 自然な回転行動と旋回運動の違い
- 同じ方向へ回り続ける場合の注意点
- 前庭疾患や脳の病気で見られる症状
- シニア犬の認知機能低下との関係
- すぐ受診すべき危険サイン
- 短時間様子を見られる可能性があるケース
- 自宅でできる確認と安全対策
- 動物病院で行われる検査と治療
■■ 犬がぐるぐる回るのは普通?

犬が回る行動には、健康な犬にも見られるものと、体の異常によって起こるものがあります。
回っている回数だけではなく、目的、方向、止まり方、歩き方、意識を一緒に確認しましょう。
■ 寝る前に数回くるくる回る
犬は寝る前に、寝床の安全や位置を確認するように、同じ場所を数回回ることがあります。
ベッドや毛布の上だけで行い、回った後に横になって眠り、起きた後も普段通りであれば、自然な行動の可能性があります。
■ 排泄前に回る
排泄する場所や姿勢を決めるために、地面のにおいを嗅ぎながら数回回る犬もいます。
排泄が終わると止まり、その後は普通に歩けている場合は、大きな問題ではない可能性があります。
何度も回るのに排尿や排便ができない、痛がる、血尿や血便がある場合は、排泄に関係する病気も考える必要があります。
■ うれしい時や遊んでいる時に回る
飼い主の帰宅、食事、散歩前など、強く興奮した時にその場でくるくる回る犬もいます。
興奮が落ち着くと自分で止まり、呼びかけにも普段通り反応する場合は、一時的な行動の可能性があります。
■ 止まれずに一方向へ歩き続ける旋回運動
目的がないように見えるのに、同じ方向へ円を描きながら歩き続ける状態は、旋回運動の可能性があります。
- 毎回同じ方向へ回る
- 呼びかけても止まらない
- おやつや物音への反応が弱い
- 壁へぶつかっても再び回り始める
- 回る範囲から自分で出られない
- 首の傾きやふらつきがある
- 急に始まった
このような回り方は、寝る前や興奮時の行動とは分けて考える必要があります。
■■ まず確認したい緊急サイン
ぐるぐる回る行動に、次の症状が一つでも重なる場合は、夜間や休日でも動物病院へ連絡してください。
- 急に一方向へ回り始めた
- 呼びかけても回るのを止められない
- 首が片側へ傾いている
- 目が左右、上下、回転するように揺れる
- まっすぐ歩けない
- 同じ方向へ何度も倒れる
- 自力で立てない
- 足先が裏返っている
- 複数の足に力が入らない
- 壁や床へ頭を押しつけている
- 家具や壁へ何度もぶつかる
- 急に見えにくそうになった
- 意識がぼんやりしている
- 呼びかけへの反応が弱い
- けいれんした
- 発作後も落ち着かず回り続ける
- 嘔吐を繰り返している
- 大量のよだれが出ている
- 食事や水を取れない
- 顔や手足に左右差がある
- 頭をぶつけた後から症状が出た
- 薬や有害な物を口にした可能性がある
突然の旋回に、意識障害、けいれん、麻痺などが重なる場合は、脳や神経に重い異常が起きている可能性があります。
回転を止めるために押さえつけたり、歩き方を確認するために何度も移動させたりしないでください。
■ 壁へ頭を押しつけている場合
犬が壁や家具へ頭を押しつけたまま動かない場合は、単に隅へ入り込んでいるのではなく、脳の異常や強い意識障害が関係していることがあります。
旋回、けいれん、反応の低下などが重なっている場合は緊急です。
頭を引っ張って移動させず、周囲の物を遠ざけて受診してください。
■■ 犬が同じ場所をぐるぐる回る主な原因

■ ① 寝る前・排泄前の自然な行動
寝床を整える時や排泄場所を決める時に、数回回ることがあります。
目的を終えると自分で止まり、その後の姿勢、歩き方、意識に異常がなければ、自然な行動の可能性があります。
以前より回る回数が大幅に増えた、回っても横になれない、排泄できない場合は、痛みや体調不良も確認してください。
■ ② 興奮・遊び
楽しい気持ちや強い興奮を体の動きで表し、その場を回ることがあります。
若い犬では、自分のしっぽを追いかけて回る遊びが見られる場合もあります。
短時間で止まり、ほかの遊びへ切り替えられる場合は、緊急性が低い可能性があります。
長時間止められない、しっぽを傷つける、日に何度も繰り返す場合は、皮膚の違和感や行動上の問題も考える必要があります。
■ ③ 不安・ストレス・常同行動
留守番、環境の変化、運動不足、強い恐怖などが続くと、同じ動きを繰り返すことがあります。
目的がないように同じ場所を回る、同じ経路を往復する、しっぽを追い続けるなどの行動が見られる場合があります。
- 特定の状況で繰り返す
- 留守番前後に増える
- 大きな音の後に始まる
- 落ち着かず眠れない
- 体をなめ続ける行動もある
- 呼びかけても行動を切り替えにくい
ストレスが疑われても、先に耳、脳、神経、痛みなどの身体的な原因を確認することが大切です。
叱って止めようとすると、不安が強くなり行動が悪化することがあります。
■ ④ 外耳炎・中耳炎・内耳炎
耳の奥にある内耳は、体のバランスを保つ働きに関係しています。
外耳炎が中耳や内耳へ広がると、首の傾き、眼振、ふらつき、旋回などが現れることがあります。
- 耳を繰り返しかく
- 頭を激しく振る
- 耳から強いにおいがする
- 耳垢が増えている
- 耳を触ると痛がる
- 片側の顔や唇が垂れている
- 片方の目を閉じにくい
耳の入り口がきれいでも、鼓膜の奥で炎症が起きている場合があります。
旋回やふらつきがある時は、自宅で耳掃除や点耳薬を使用せず受診してください。
■ ⑤ 前庭疾患
前庭は、内耳や脳の一部にある、体のバランスを保つ仕組みです。
前庭の働きに異常が起こると、犬はまっすぐ歩けず、同じ方向へ回ったり倒れたりすることがあります。
- 首が片側へ傾く
- 目が小刻みに揺れる
- 同じ方向へ回る
- まっすぐ歩けない
- 立とうとしても倒れる
- 吐き気や嘔吐がある
- よだれが増える
- 食事や水を取れない
シニア犬では、突然発症する特発性前庭疾患が見られることがあります。
ただし、中耳炎、内耳炎、脳炎、脳腫瘍などでも似た症状が現れるため、見た目だけで原因を判断することはできません。
■ ⑥ 脳炎・脳腫瘍など脳の病気
脳の一部に炎症、腫瘍、血流の異常などが起こると、旋回運動が現れることがあります。
脳の病気では、旋回以外にも次のような変化が見られる場合があります。
- 意識や反応が普段と違う
- けいれんする
- 家具や壁へぶつかる
- 片側にある物へ気づきにくい
- 顔や手足の動きに左右差がある
- 足先の位置をうまく戻せない
- 壁へ頭を押しつける
- 性格や行動が急に変わった
- 症状が徐々に悪化している
回る方向だけで、脳のどこに異常があるかを飼い主が判断することはできません。
同じ方向への旋回が続く場合は、神経学的な診察や画像検査が必要になることがあります。
■ ⑦ けいれん発作の前後
けいれん発作の前後に、不安そうに歩き回る、同じ方向へ旋回する、飼い主への反応が鈍くなることがあります。
発作後は、脳が正常な状態へ戻るまで、ふらつき、混乱、一時的な視力低下などが現れる場合があります。
- 突然倒れた
- 体が硬直した
- 手足を激しく動かした
- 大量のよだれが出た
- 尿や便を漏らした
- 発作後にぼんやりしている
- 発作後に壁へぶつかる
発作が長く続く、短時間に繰り返す、意識が戻らない場合は緊急です。
■ ⑧ 頭部の外傷
交通事故、転落、家具への衝突などで頭を傷めると、旋回、ふらつき、意識の低下、けいれんなどが起こることがあります。
- 事故や転落後から回り始めた
- 瞳孔の大きさが左右で違う
- 鼻や耳から血が出ている
- 何度も嘔吐する
- 呼びかけへの反応が弱い
- けいれんした
事故直後は歩けていても、時間がたってから神経症状が現れる場合があります。
歩かせず、頭と体を安定させて緊急受診してください。
■ ⑨ 視力の低下
視力が低下すると、周囲の位置を把握できず、同じ場所を回ったり壁へぶつかったりすることがあります。
- 家具へぶつかる
- 段差で立ち止まる
- 暗い場所を怖がる
- おもちゃを目で追えない
- 片側から近づくと驚く
- 目が白い、赤い、痛そう
急に見えなくなったような場合は、目だけでなく脳の病気が関係していることもあります。
家具へぶつかる状態が突然始まった場合は、早めに受診してください。
■ ⑩ 認知機能の低下
シニア犬では、認知機能の低下により、目的なく歩き続けたり、同じ場所を回ったりすることがあります。
次のような変化が重なる場合は、認知機能について動物病院へ相談してください。
- 夜中に歩き回る
- 昼夜が逆転している
- 夜鳴きが増えた
- 家具の隙間へ入り込み出られない
- 壁の前で立ち止まる
- 家族への反応が鈍くなった
- トイレを失敗するようになった
- 以前できていたことができなくなった
- 同じ経路を繰り返し歩く
認知機能の低下に見えても、前庭疾患、脳腫瘍、痛み、視力低下などで似た行動が起こることがあります。
年齢だけで判断せず、急に始まった場合は特に早めの検査が必要です。
■ ⑪ しっぽやお尻周辺の違和感
しっぽを追いかけるように回る場合は、遊びだけでなく、しっぽ、皮膚、お尻周辺のかゆみや痛みが関係することがあります。
- しっぽを繰り返しかむ
- お尻を床へこする
- しっぽの付け根を気にする
- 皮膚が赤い、脱毛している
- お尻から強いにおいがする
- 排便時に痛がる
皮膚やお尻の違和感が疑われても、自宅で強く絞ったり、しっぽを引っ張ったりしないでください。
■ ⑫ 低血糖・中毒・全身状態の異常
低血糖、中毒、肝臓などの全身性疾患によって脳の働きに影響が出ると、ふらつき、旋回、意識の変化、けいれんなどが起こる場合があります。
特に注意したいのは、体の小さな子犬、長時間食事を取れていない犬、糖尿病治療中の犬、誤食の可能性がある犬です。
- 全身が震えている
- 急に力が入らなくなった
- 呼びかけへの反応が弱い
- 嘔吐や下痢がある
- 大量のよだれが出る
- けいれんしている
- 薬や危険な食品を食べた可能性がある
意識が低下している犬へ、食べ物や砂糖水を無理に与えると誤嚥する危険があります。
自宅で吐かせようとせず、すぐ動物病院へ連絡してください。
■■ 回り方から確認したいこと

■ 毎回同じ方向へ回る
右または左の同じ方向へ繰り返し回る場合は、前庭や脳などの神経系の異常に注意が必要です。
ただし、回る方向だけで原因や異常の場所を判断することはできません。
方向、回転の大きさ、歩き方、首や目の状態が分かる動画を撮って受診してください。
■ 小さな円を描いて回る
狭い範囲を何度も回り、呼びかけても行動を切り替えられない場合は、旋回運動や常同行動が疑われます。
急に始まった場合や意識の変化がある場合は、行動上の問題より先に神経の異常を確認してください。
■ 大きな円を描いて歩く
部屋全体を使って同じ方向へ大きく回る場合も、脳や前庭の異常で見られることがあります。
家具へぶつかる、片側の物に気づかない、壁際を歩き続ける場合は早めに受診しましょう。
■ 夜だけ歩き回る
夜間の不安、痛み、排泄したい状態、認知機能の低下などが考えられます。
昼夜逆転、夜鳴き、トイレの失敗、隙間へ入り込む行動が重なる場合は、シニア犬の認知機能について相談してください。
夜間だけでも、首の傾き、ふらつき、呼吸の異常がある場合は緊急性があります。
■ しっぽを追いかけて回る
短時間の遊びであれば問題のないこともあります。
しっぽを傷つけるほどかむ、止められない、日に何度も繰り返す場合は、皮膚のかゆみ、痛み、ストレスなどを確認する必要があります。
■■ 短時間様子を見られる可能性があるケース
次の条件がすべて当てはまる場合は、短時間様子を見られる可能性があります。
- 寝る前や排泄前など、回る目的が明確
- 数回だけ回って自分で止まる
- 呼びかけに普段通り反応する
- 右と左の両方向へ動ける
- まっすぐ歩ける
- 首の傾きがない
- 目の揺れがない
- ふらつきや転倒がない
- 家具や壁へぶつからない
- 元気と食欲が普段通り
- 嘔吐やよだれがない
回った後の姿勢、歩き方、意識が普段通りかを確認しましょう。
回る回数が増える、同じ方向だけになる、自分で止まれなくなる場合は受診してください。
急に始まった旋回や、首の傾き・ふらつきを伴う状態は、長時間様子を見るケースではありません。
■■ 早めに動物病院を受診したいケース

- 同じ方向へ回る行動を繰り返す
- 以前より回る回数が増えた
- 呼びかけても止まりにくい
- 回る範囲が少しずつ狭くなっている
- 歩く時に片側へ寄っていく
- 軽いふらつきがある
- 耳をかく、頭を振る行動がある
- 耳垢やにおいが増えた
- 家具や壁へぶつかる
- 暗い場所を怖がる
- 夜間の徘徊や夜鳴きが増えた
- 隙間へ入り込んで出られない
- トイレの失敗が増えた
- 以前と性格や反応が違う
- 元気や食欲が低下している
- シニア犬で急に症状が始まった
立てない、激しい眼振、意識障害、けいれん、繰り返す嘔吐がある場合は、早めではなく緊急受診が必要です。
■■ 子犬・成犬・シニア犬で注意点は違う?
■ 子犬の場合
子犬では、遊びや興奮でくるくる回ることがあります。
一方で、低血糖、先天的な神経の異常、感染症、誤食、頭部の外傷などにも注意が必要です。
回る行動に、ふらつき、震え、ぐったり、嘔吐、下痢、食欲低下がある場合は、長く様子を見ないでください。
■ 成犬の場合
成犬では、不安や常同行動のほか、中耳炎・内耳炎、脳炎、発作、中毒などが考えられます。
今まで見られなかった旋回が突然始まった場合は、ストレスだけと決めつけず身体的な原因を確認しましょう。
■ シニア犬の場合
シニア犬では、前庭疾患、脳腫瘍、脳血管の異常、視力低下、認知機能の低下などに注意します。
少しずつ夜間の徘徊やトイレの失敗が増えた場合は、認知機能の低下が関係している可能性があります。
突然回り始め、首の傾き、眼振、転倒がある場合は、認知機能の問題より前庭や脳の異常を優先して確認してください。
「年を取ったから」と判断せず、症状が出た当日に動物病院へ相談しましょう。
■■ 自宅でできる確認と対応

■ 回る方向・回数・時間を記録する
犬を無理に止めず、安全な距離から次の内容を確認します。
- 右回りか左回りか
- 毎回同じ方向か
- 何回回るか
- 何秒または何分続くか
- 小さな円か大きな円か
- 自分で止まれるか
- 寝る前や排泄前などの目的があるか
- 一日に何回起こるか
初めて症状が出た日時と、直前にしていたことも記録してください。
■ 呼びかけへの反応を確認する
名前を呼んだ時に、飼い主を見るか、行動を止められるかを確認します。
耳が聞こえにくい犬もいるため、反応の有無だけで意識状態を判断することはできません。
目線、表情、普段好きな物への反応なども一緒に確認しましょう。
■ 首と目の状態を確認する
首が片側へ傾いていないか、目が小刻みに揺れていないかを確認します。
顔を手で固定したり、首をまっすぐに戻したりせず、自然な状態を動画に撮ってください。
■ 歩き方と視覚を確認する
犬が自然に歩ける場合だけ、次の点を確認します。
- まっすぐ歩けるか
- 同じ方向へ寄っていかないか
- 足を交差させていないか
- 足先が裏返っていないか
- 家具や壁へぶつからないか
- 物や人を目で追えるか
立てない犬や何度も転倒する犬を、確認や撮影のために歩かせないでください。
■ 耳は外から見える範囲だけ確認する
耳の入り口に赤み、耳垢、液体、出血がないかを見える範囲で確認します。
耳のにおいや、触ろうとした時の反応も受診時に伝えましょう。
綿棒や指を耳の奥へ入れたり、洗浄液を流し込んだりしないでください。
■ 動画を撮る
旋回は診察時に一時的に見られなくなる場合があります。
安全に撮影できる場合は、犬の全身、回る方向、首、目、足の動きが分かる動画を残しましょう。
撮影のために犬を誘導して回らせる必要はありません。
■ 転倒や衝突を防ぐ
ふらつきや旋回がある犬は、家具、階段、段差へぶつかる可能性があります。
- 階段や玄関をペットゲートでふさぐ
- 滑りにくいマットを敷く
- 家具の角をクッションで保護する
- 狭く平らな場所で休ませる
- 高いソファやベッドへ乗せない
- 周囲へ毛布やクッションを置く
急性の症状では、広い部屋を自由に歩かせるより、安全な範囲で安静にすることが大切です。
■ 食事や水を無理に与えない
吐き気、意識の低下、飲み込みにくさがある犬へ、食べ物や水を流し込むと誤嚥する危険があります。
自分から飲めない、飲んでも吐く場合は、動物病院での水分補給が必要です。
■■ 犬がぐるぐる回る時にやってはいけないこと

■ 反対方向へ無理に歩かせる
旋回の方向を直そうとして、リードや体を引っ張らないでください。
ふらつきや神経の異常がある場合、転倒やケガにつながります。
■ 強く抱き締めて止める
混乱、めまい、痛みがある犬は、普段おとなしくても抵抗したり噛んだりすることがあります。
強く押さえつけず、危険な物を遠ざけて安全を確保してください。
■ 首・頭・耳をマッサージする
耳の炎症、頭部外傷、首や脳の異常がある場合、マッサージによって痛みや症状が悪化する可能性があります。
原因が分かるまでは、頭や首を揉まないでください。
■ 自宅で耳掃除や点耳をする
耳垢やにおいがあっても、綿棒、洗浄液、以前の点耳薬を自己判断で使用しないでください。
鼓膜や中耳の状態によっては、洗浄や薬が刺激になる場合があります。
■ 人間用の薬を与える
人間用のめまい薬、吐き気止め、鎮静薬、痛み止めなどを与えないでください。
犬に中毒を起こしたり、診察時の神経症状を分かりにくくしたりする可能性があります。
■ 水や食べ物を口へ流し込む
意識が低下している犬や、吐き気が強い犬へ水や食べ物を流し込まないでください。
誤嚥によって呼吸器のトラブルを起こす危険があります。
■ 叱って行動を止めようとする
旋回は、犬がわざと行っているとは限りません。
不安による常同行動であっても、叱ることで恐怖やストレスが強くなることがあります。
■ 改善するまで何日も待つ
脳炎、脳腫瘍、前庭疾患、中毒などは、早い検査や治療が必要になる場合があります。
突然の旋回や、神経症状を伴う旋回は、自然に止まるかを何日も観察しないでください。
■■ 動物病院で行われる検査と治療

動物病院では、自然な行動なのか、耳、前庭、脳、目、全身状態の異常による旋回なのかを確認します。
状態に応じて、次のような検査が行われます。
- 意識、姿勢、歩き方の確認
- 回る方向と止まり方の確認
- 目の動きと瞳孔の確認
- 顔や手足の反応を調べる神経学的検査
- 耳の入り口、耳道、鼓膜の確認
- 耳垢の細胞や微生物を調べる検査
- 目と視力の検査
- 血糖値の測定
- 血液検査
- 尿検査
- 血圧測定
- レントゲン検査
- 中耳・内耳や頭部を確認するCT検査
- 脳や神経を確認するMRI検査
- 必要に応じた脳脊髄液の検査
検査内容は、発症した年齢、急性か慢性か、耳や目の状態、意識や神経症状によって異なります。
治療方法も原因によって変わります。
- 吐き気を抑える治療
- 点滴による水分補給
- 外耳炎、中耳炎、内耳炎への治療
- 脳炎などに対する原因別の治療
- けいれん発作に対する治療
- 脳や耳のできものに対する治療
- 中毒や低血糖に対する治療
- 視力低下の原因に合わせた治療
- 認知機能の低下に対する環境調整や治療
- 不安や常同行動に対する行動面の治療
- 歩行を補助するリハビリ
シニア犬で認知機能の低下が疑われる場合も、先に痛み、目、耳、脳、内臓などの病気がないかを確認します。
旋回を一時的に止めるだけではなく、原因を見つけて治療することが大切です。
■■ シニア犬が回る時の生活環境
■ 家具の配置を頻繁に変えない
視力や認知機能が低下した犬は、家具の位置が変わると混乱しやすくなります。
通路を広く保ち、床へ物を置かないようにしましょう。
■ 隙間や角へ入り込まないようにする
認知機能が低下した犬は、家具の隙間や部屋の角へ入り込み、後ろへ戻れなくなることがあります。
隙間をクッションなどでふさぎ、ぶつかってもケガをしにくい環境を整えます。
■ 生活リズムを整える
昼夜逆転や夜間の徘徊がある場合は、朝に日光を取り入れ、食事、排泄、休息の時間をできるだけ一定にします。
ただし、無理な運動や長時間の散歩を行わず、年齢と体調に合った過ごし方を動物病院へ相談してください。
■ 飼い主だけで抱え込まない
夜間の徘徊や旋回が続くと、飼い主の睡眠や生活にも大きな負担がかかります。
環境調整や介護だけで対応しようとせず、治療や介護用品、夜間の過ごし方について動物病院へ相談しましょう。
■■ 受診時に伝えるとよいこと
- いつから回り始めたか
- 急に始まったか、徐々に増えたか
- 右回りか左回りか
- 毎回同じ方向か
- 何秒または何分続くか
- 一日に何回起こるか
- 自分で止まれるか
- 寝る前、排泄前、夜間などのタイミング
- 呼びかけに反応するか
- 首が傾いていないか
- 目が揺れていないか
- まっすぐ歩けるか
- 同じ方向へ倒れないか
- 家具や壁へぶつからないか
- けいれんや意識低下がなかったか
- 耳をかく、頭を振る行動があるか
- 耳垢やにおいの変化
- 目が見えにくそうではないか
- 元気と食欲があるか
- 嘔吐、下痢、よだれがあるか
- 夜鳴きやトイレの失敗が増えたか
- 事故や頭をぶつけたことがないか
- 誤食や中毒の可能性がないか
- 過去の発作や前庭疾患
- 現在使用している薬
旋回している時の全身、顔、目、足の動きを撮影した動画も、診察時の重要な参考になります。
■■ よくある質問
■ Q. 犬が寝る前にくるくる回るのは病気ですか?
寝床の上で数回だけ回り、その後に横になって眠り、起きた後も普段通りなら、自然な行動の可能性があります。
回っても横になれない、回数が急に増えた、ふらつく場合は受診してください。
■ Q. 排泄前にぐるぐる回るのは普通ですか?
排泄場所や姿勢を決めるために数回回る犬はいます。
何度も回るのに排尿や排便ができない、痛がる、血が出る場合は、排泄に関係する異常を確認してもらいましょう。
■ Q. 同じ方向へ回り続けています
毎回同じ方向へ回り、自分で止まれない場合は、前庭や脳など神経系の異常が疑われます。
首の傾き、目の揺れ、ふらつきがなくても、当日中に動物病院へ相談してください。
■ Q. 首を傾けながらぐるぐる回っています
前庭疾患、中耳炎、内耳炎などが考えられます。
目が揺れる、立てない、嘔吐する場合は、歩かせず早急に受診してください。
■ Q. シニア犬なので認知症でしょうか?
シニア犬の旋回や夜間徘徊には、認知機能の低下が関係する場合があります。
ただし、前庭疾患、脳の病気、視力低下、痛みなどでも似た行動が起こります。
急に始まった場合は、認知機能の低下と決めつけず受診してください。
■ Q. ぐるぐる回る犬を止めてもよいですか?
家具や段差へぶつかりそうな場合は、物を遠ざけて安全を確保します。
体を強くつかんだり、反対方向へ引っ張ったりせず、クッションなどで移動範囲を安全にしてください。
■ Q. 動画を撮る時は歩かせてもよいですか?
自然に回っている様子を安全な距離から撮影してください。
症状を再現するために歩かせたり、回るように誘導したりしないでください。
■ Q. 一度止まったので様子を見ても大丈夫ですか?
寝る前などの自然な行動で、その後も完全に普段通りなら様子を見られる場合があります。
突然の旋回、同じ方向への旋回、意識や歩き方の変化があった場合は、一度止まっても動物病院へ相談してください。
■■ まとめ|同じ方向へ回り続ける場合は早めに受診する
犬は、寝る前、排泄前、遊びや興奮時に、数回くるくる回ることがあります。
目的を終えると自分で止まり、その後の歩き方、意識、元気に変化がなければ、自然な行動の可能性があります。
一方で、同じ場所をぐるぐる回る原因には、次のようなものがあります。
- 興奮や遊び
- 不安、ストレス、常同行動
- 外耳炎、中耳炎、内耳炎
- 前庭疾患
- 脳炎、脳腫瘍など脳の病気
- けいれん発作の前後
- 頭部の外傷
- 視力の低下
- 認知機能の低下
- しっぽやお尻周辺の違和感
- 低血糖、中毒、全身状態の異常
特に、同じ方向へ回り続ける、呼びかけても止まれない、壁へぶつかる場合は注意が必要です。
首の傾き、目の揺れ、ふらつき、転倒、意識の変化、けいれんがある場合は、早急に受診してください。
回転を止めようとして、反対方向へ引っ張ったり、強く押さえつけたり、首や耳をマッサージしたりしないでください。
転倒しない環境を作り、回る方向、首、目、足の動きが分かる動画を撮って動物病院へ相談しましょう。
■■ 関連リンク(重要)
同じ方向へ回り、首が傾いたまま戻らない場合は、斜頸の原因も確認してください。
・犬が首をかしげる記事
首の傾き、目の揺れ、ふらつき、同じ方向への転倒がある場合は、前庭疾患に注意が必要です。
・犬の前庭疾患の記事
旋回と一緒に立てない、足に力が入らない、転倒する場合は、歩けない原因も確認しましょう。
・犬が急に歩かなくなる記事
突然倒れる、体が硬直する、手足を激しく動かした後に回り続ける場合は、発作の可能性があります。
・犬のてんかんの記事
耳をかく、頭を振る、耳垢やにおいが増えた場合は、耳の炎症が関係することがあります。
・犬の外耳炎の記事
・犬の耳が臭い時のチェック方法
留守番や大きな音など特定の状況で回り、ほかにも落ち着かない行動がある場合は、ストレスとの関係も確認してください。
・犬のストレスの記事
シニア犬が夜中に歩き回り、眠れない、夜鳴きや昼夜逆転がある場合は、夜間の変化も確認しましょう。
・犬が夜に落ち着かない記事
旋回だけでなく、ぐったりしている、食欲がない、反応が弱い場合は、全身状態を優先してください。
・犬が元気がない記事


