
ラブラドール・レトリーバーは、穏やかな表情、力強くバランスの取れた体、短く密な被毛、そして「カワウソの尾」と呼ばれる太い尾が特徴的な大型犬です。
家庭犬として世界的に人気が高いだけでなく、盲導犬や介助犬、捜索犬、セラピー犬、鳥猟犬など、人と協力するさまざまな仕事で活躍しています。
ジャパンケネルクラブ(JKC)での用途は、正確に「レトリーバー」です。
レトリーバーとは、猟で撃ち落とされた鳥などを探し、傷つけないようにくわえて人のもとへ回収する役割を持つ犬です。
ラブラドールはニューファンドランド沿岸で漁師の仕事を助けていた犬をルーツに持つと考えられ、水を好み、物を口で運ぶ能力と人との協調性を発達させてきました。
JKCでも、気立てが良く非常に聡明で、優れた嗅覚とソフトマウスを持ち、水を好み、適応性があり、人に喜ばれることを好む犬種と説明されています。
この性格から「初心者でも飼いやすい大型犬」と紹介されることがありますが、実際には子犬期からかなり活動的で、成犬になると25~36kg前後になる力の強い犬です。
人が好きだからこそ飛びつきや興奮が出ることがあり、食べることが好きな犬では拾い食いや肥満にも注意が必要です。
さらに、若いラブラドールは遊びや探索への意欲が非常に高く、運動やトレーニングが不足すると、家具をかじる、物を持ち去る、引っ張る、落ち着かないといった行動につながる場合があります。
反対に、毎日の散歩、レトリーブ遊び、ノーズワーク、基本的なしつけなどを家族と一緒に楽しめる環境では、ラブラドールらしい協調性と学習能力を十分に発揮しやすくなります。
被毛は短いものの、密な下毛を持つダブルコートで、抜け毛は決して少なくありません。
水遊びが好きな犬も多いため、泳いだ後は耳や皮膚を確認し、濡れたまま長時間過ごさせないことも大切です。
健康面では、股関節形成不全、肘関節形成不全、進行性網膜萎縮(PRA-prcd)、運動誘発性虚脱(EIC)、中心核ミオパチー(CNM)などについて繁殖前検査が利用されています。
また、ラブラドールでは食欲や体重に関係する遺伝的要因も研究されており、体重管理は関節と全身の健康を守るうえで重要です。
ラブラドール・レトリーバーは、優しく賢いだけの「何もしなくても飼いやすい犬」ではありません。大型犬としての力、活動量、食欲、関節の健康まで理解し、子犬期から生活ルールを丁寧に教えることが、ラブラドールとの暮らしを安定させるポイントです。
この記事では、ラブラドール・レトリーバーの性格、飼いやすさ、大きさ・体重、寿命、運動量、抜け毛、留守番、しつけ、注意したい健康問題、食事、子犬期、シニア期まで詳しく解説します。

- 1. ラブラドール・レトリーバーの基本情報
- 2. ラブラドール・レトリーバーの性格
- 3. ラブラドール・レトリーバーの飼いやすさ
- 4. ラブラドール・レトリーバーは初心者でも飼いやすい?
- 5. ラブラドール・レトリーバーの大きさ・体重
- 6. ラブラドール・レトリーバーの平均寿命
- 7. ラブラドール・レトリーバーに必要な運動量
- 8. ラブラドール・レトリーバーの抜け毛・お手入れ
- 9. ラブラドール・レトリーバーは留守番しやすい?
- 10. ラブラドール・レトリーバーのしつけのしやすさ
- 11. ラブラドール・レトリーバーの無駄吠え・噛み癖などの注意点
- 12. ラブラドール・レトリーバーがなりやすい病気・注意したい健康問題
- 13. ラブラドール・レトリーバーの食事・ドッグフード選び
- 14. ラブラドール・レトリーバーの子犬期の注意点
- 15. ラブラドール・レトリーバーのシニア期の注意点
- 16. ラブラドール・レトリーバーが向いている人
- 17. ラブラドール・レトリーバーのよくある質問
- まとめ|ラブラドール・レトリーバーは人と協力することが大好きな大型レトリーバー
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1. ラブラドール・レトリーバーの基本情報
| 犬種名 | ラブラドール・レトリーバー |
|---|---|
| 英名 | Labrador Retriever |
| 原産国 | イギリス |
| 用途(JKC) | レトリーバー |
| サイト内サイズ分類 | 大型犬 |
| 理想体高 | 牡56~57cm/牝54~56cm |
| 体重 | 約25~36kg程度がひとつの目安 |
| 平均寿命 | 11~13年程度がひとつの目安 |
| 運動量 | 多め。毎日の散歩と遊び・知的刺激が必要 |
| 被毛 | 短く密なダブルコート |
| 毛色 | ブラック、イエロー、レバー/チョコレート |
| 抜け毛 | 多い。短毛でも年間を通して抜ける |
| トリミング | 定期的な全身カットは基本不要 |
| 留守番 | 練習次第。人との結びつきが強いため段階的に慣らす |
| しつけやすさ | 高い。学習意欲と協調性を活かす |
| 初心者向き | 大型犬の運動・力・食事管理を継続できれば候補 |
ラブラドール・レトリーバーは、名前からカナダのラブラドール地方が原産と思われることがありますが、JKCの原産国表記はイギリスです。
犬種の起源はニューファンドランド沿岸にあり、漁師が魚や網を回収する仕事を助けていた犬がイギリスへ渡り、猟犬として発展したとされています。
水中でも活動しやすい耐候性のある被毛、泳ぐ時にも役立つ太い尾、人のもとへ獲物を運ぶレトリーブ能力は、現在のラブラドールにも残る代表的な特徴です。
JKCの理想体高は牡56~57cm、牝54~56cmです。
一般的な体重は約25~36kg程度がひとつの目安ですが、性別、骨格、筋肉量、血統によって適正体重は変わります。
毛色はブラック、イエロー、レバー/チョコレートの3系統です。イエローは明るいクリームからフォックス・レッドまで、チョコレートも明るい色から濃い色まで幅があります。
毛色によって性格や飼いやすさが自動的に決まるわけではありません。親犬の気質、育った環境、社会化、個体差を確認することが大切です。
2. ラブラドール・レトリーバーの性格
ラブラドール・レトリーバーは、人と協力することを好みやすく、明るく社交的な犬が多い犬種です。
- 気立てがよく友好的
- 非常に知的で学習能力が高い
- 人に喜ばれることを好みやすい
- 家族への愛情が深い
- 遊び好き
- 嗅覚に優れる
- 物を運ぶことが好きな犬が多い
- 水を好む犬が多い
JKCでは、生まれつき優しく、攻撃的でも過度にシャイでもないことが犬種らしい気質とされています。
ただし、「ラブラドールなら必ず誰にでも優しい」と決めつけることはできません。
犬の性格は遺伝だけでなく、子犬期の経験、社会化、生活環境、健康状態などにも左右されます。
また、人が好きなことが飛びつきにつながる犬もいます。
子犬の時に「かわいいから」と飛びつきを毎回許していると、30kg前後になってからも同じ行動を続け、子どもや高齢者を転倒させる危険があります。
人に近づく前に四本足を床につける、座って待つ、合図で挨拶するなど、大型犬だからこそ落ち着いた行動を早い時期から教えましょう。
3. ラブラドール・レトリーバーの飼いやすさ
ラブラドールは、人との協調性とトレーニングへの意欲が高く、大型犬の中では家庭生活へ適応しやすい犬種です。
しかし、成犬になると体が大きく力も強いため、飼いやすさは「性格が優しいか」だけでは決まりません。
- 毎日の十分な散歩が必要
- 子犬期から引っ張り対策が必要
- 飛びつきを早めに教える
- 拾い食いと誤飲を防ぐ
- 体重管理を続ける
- 抜け毛対策が必要
- 留守番を段階的に教える
- 大型犬を安全に移動できる手段を考える
特に若いラブラドールは、外見から想像する以上にエネルギッシュです。
落ち着いた成犬のラブラドールだけを見て「最初から穏やか」と思って迎えると、子犬期から若齢期の活発さに驚くかもしれません。
運動だけで疲れさせようとすると体力がさらに付くこともあるため、散歩と合わせてノーズワーク、レトリーブ、短いトレーニングを取り入れます。
また、家の中で静かに休むことも教えてください。
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4. ラブラドール・レトリーバーは初心者でも飼いやすい?
ラブラドールは、犬との散歩やトレーニングに時間を使える人であれば、初めて大型犬を飼う家庭にも候補になります。
学習能力が高く、食べ物や遊びを使ったトレーニングに取り組みやすい点は大きな魅力です。
一方で、大型犬として次の条件を考える必要があります。
- 30kg前後の犬を安全に扱える
- 毎日の十分な散歩時間を取れる
- 子犬期から基本的なしつけを続けられる
- 体重管理を継続できる
- 大型犬を運べる車や移動方法を考えられる
- シニアになった時の介護を想像できる
- 関節や遺伝性疾患の健康検査を確認できる
若い時期の引っ張りや飛びつきを放置すると、体が大きくなってから修正する方が難しくなります。
「優しい犬だから強く引いても大丈夫」と考えず、子犬のうちから人の横を歩く、止まる、待つ、呼ばれたら戻るなど日常生活に必要な行動を練習しましょう。
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5. ラブラドール・レトリーバーの大きさ・体重

JKCの理想体高は牡56~57cm、牝54~56cmです。
一般的な成犬体重は約25~36kg程度が目安で、AKCでは55~80ポンドの範囲が示されています。
ラブラドールは胸や腰、後肢が力強い犬種ですが、体が重ければ重いほど犬種らしいわけではありません。
JKCの標準でも活動的であることが重視されており、過剰な体重は本来の機能的な体型とは異なります。
- 肋骨を軽く触れられるか
- 上から見て腰に適度なくびれがあるか
- 横から見て腹部が適度に引き締まっているか
- 後ろ足に筋肉があるか
- 短期間で急に体重が増えていないか
ラブラドールでは食べ物への意欲が強い犬が多く、遺伝的に食欲や体脂肪へ影響するPOMC遺伝子の変異も研究されています。
ただし、遺伝子を持つから肥満が避けられないわけではありません。食事量、運動、避妊・去勢、年齢、病気など複数の要因を合わせて体重を管理します。
6. ラブラドール・レトリーバーの平均寿命
ラブラドール・レトリーバーの平均寿命は11~13年程度がひとつの目安です。
大型犬としては比較的長く一緒に暮らせる犬もいますが、平均寿命は個々の犬が実際に何歳まで生きるかを保証する数字ではありません。
遺伝的な体質、体重、関節、目、筋肉、心臓、生活環境など多くの要因が健康へ影響します。
特に体重が増えると、股関節や肘などへ余分な負荷がかかりやすくなります。
シニア期になって活動量が落ちても若い頃と同じ食事量を続けていると、少しずつ体重が増えることがあります。
- 毎月または定期的に体重を測る
- ボディコンディションを確認する
- 歩き方を観察する
- 目の見え方に変化がないか見る
- 散歩後の疲れ方を確認する
- 耳・歯・皮膚も定期的に確認する
こうした日常の記録は、健康診断の数値と同じくらい「いつから変わったか」を判断する助けになります。
7. ラブラドール・レトリーバーに必要な運動量

ラブラドールは活動的なレトリーバーなので、毎日の十分な運動が必要です。
健康な成犬では朝夕の散歩を基本に、年齢、体力、気温、その日の活動内容へ合わせて運動量を調整します。
- 毎日の散歩
- におい嗅ぎ
- ボールやおもちゃのレトリーブ
- ノーズワーク
- 短時間のトレーニング
- 安全な場所での水遊び
レトリーブ遊びは犬種の本能を満たしやすい活動ですが、ボールを延々と投げ続ける必要はありません。
急停止や急旋回を何度も繰り返す運動は関節へ負担をかけることがあるため、回数や地面の状態を考えます。
特に成長期の大型犬では、骨や関節が発達途中です。高い場所から繰り返し飛び降りる、階段を何度も全力で往復するような運動を日課にする必要はありません。
水遊びが好きでも安全管理を優先
ラブラドールは水を好む犬が多いですが、すべての犬が最初から安全に泳げるわけではありません。
流れのある川、高波、急に深くなる場所、藻が発生している水辺などでは危険があります。
初めて泳がせる時は浅い場所から慣らし、必要に応じて犬用ライフジャケットを使用してください。
激しい運動後にふらつく・倒れる場合はEICも含めて確認
ラブラドールには、激しい運動や強い興奮をきっかけに後ろ足がふらつき、虚脱する運動誘発性虚脱(EIC)が知られています。
ただし、運動中に倒れる原因はEICだけではありません。
熱中症、心臓病、低血糖、貧血、呼吸器疾患、整形外科疾患などでも運動不耐性や虚脱が起こるため、「ラブラドールだからEIC」と自己判断しないことが重要です。
8. ラブラドール・レトリーバーの抜け毛・お手入れ
ラブラドールは短毛ですが、密なダブルコートを持つため抜け毛は多い犬種です。
「短毛だから毛が抜けない」「ブラッシングはほとんど不要」と考えて迎えると、想像以上の抜け毛に驚くことがあります。
- 週に数回を目安にブラッシングする
- 換毛期は必要に応じて頻度を増やす
- 耳の赤みやにおいを見る
- 肉球・爪を確認する
- 歯磨きを習慣にする
- 泳いだ後は皮膚と耳を確認する
定期的な全身カットは基本的に必要ありません。
ダブルコートを暑そうだからという理由だけで極端に短く刈るより、夏は冷房、散歩時間、水分、日陰など生活環境で暑さを管理します。
垂れ耳と水遊びでは外耳炎に注意
ラブラドールの耳は垂れており、さらに水遊びが好きな犬では耳の中に湿気が残ることがあります。
頭を何度も振る、耳をかく、においが強い、耳垢が増える、耳を触られるのを嫌がる場合は外耳炎などを確認してください。
耳が汚れているからと毎日強くこすったり、綿棒を奥まで入れたりすることは避けます。
歯磨きも大型犬だから不要ということはありません。子犬の頃から口元へ触れる練習をしておくと管理しやすくなります。
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9. ラブラドール・レトリーバーは留守番しやすい?
ラブラドールは人との共同作業を好み、家族への愛着が強い犬種です。
そのため、長時間の留守番を最初から自然にこなせるとは限りません。
子犬を迎えた直後から常に人がそばにいる生活だけを続けると、一人になる経験が不足する場合があります。
- 同じ部屋でも自分の寝床で休む
- 飼い主さんが短時間別室へ行く
- 数十秒~数分の外出から練習する
- 落ち着いていられる範囲で少しずつ時間を延ばす
- 留守番前に排泄と適度な散歩を済ませる
若いラブラドールでは、留守番への不安だけでなく退屈によって物をかじることもあります。
特に靴下、タオル、スポンジ、子どものおもちゃなどを飲み込むと消化管閉塞につながる危険があります。
留守番スペースから誤飲しそうな物を片付け、安全に休める環境を作ってください。
・犬の留守番のしつけ方とは?ひとりで待てない時の練習方法を解説
10. ラブラドール・レトリーバーのしつけのしやすさ
ラブラドールは非常に知的で、人に喜ばれることを好みやすいため、トレーニングに取り組みやすい犬種です。
盲導犬や介助犬などで活躍していることからも分かるように、人の合図を学び、環境へ適応する能力に優れています。
ただし、作業犬として優秀であることと、家庭へ来た瞬間から何でもできることは別です。
- 名前を呼ばれたら見る
- おすわり
- 待て
- おいで
- ハウス
- リードを緩めて歩く
- 人へ飛びつかず待つ
- 拾った物を離す
- 食べ物を見ても待つ
- 体を触られることを受け入れる
食べ物への意欲が強い犬では、ごほうびを使った練習が非常に進めやすい一方、おやつを与えすぎると肥満につながります。
普段のフードの一部をトレーニングへ回したり、一粒を小さくしたりして総摂取量を調整しましょう。
大型犬では「引っ張らない」を早めに教える
子犬の時には引っ張られても簡単に止められますが、成犬になれば25~36kg前後になります。
犬が前へ引っ張ったまま進むことを毎日の習慣にすると、成犬になってから飼い主さんが安全に散歩できなくなる可能性があります。
人の近くでリードが緩んだら前へ進める、名前を呼ばれたら振り向く、急に飛び出さず待つといった基礎を、力が強くなる前から教えておきましょう。
11. ラブラドール・レトリーバーの無駄吠え・噛み癖などの注意点
ラブラドールは一般に人へ友好的な犬種ですが、若い時期には興奮による行動が目立つことがあります。
- 来客へ飛びつく
- 散歩で強く引っ張る
- 物をくわえて逃げる
- 食べ物を拾う
- 遊びで手や服へ口を使う
- 退屈して家具をかじる
- 要求で吠える
レトリーバーは口を使って物を運ぶことが得意なため、何かをくわえる行動そのものをすべて禁止する必要はありません。
代わりに、くわえてよいおもちゃを用意し、「持ってきて」「離して」を教えると犬種の能力を安全に活かせます。
拾い食いは早めに対策する
食べ物への意欲が高いラブラドールでは、散歩中の拾い食いや家庭内の盗み食いにも注意が必要です。
「口に入れたら追いかけて取り上げる」を繰り返すと、犬が急いで飲み込むようになることがあります。
危険物は最初から届かない場所へ置き、安全な物で「離す」「ちょうだい」の交換練習をしてください。
突然攻撃的になった、触ると噛もうとする、これまで平気だった散歩を嫌がる場合は、関節や耳、歯などの痛みも確認しましょう。
12. ラブラドール・レトリーバーがなりやすい病気・注意したい健康問題

ラブラドールでは、関節、目、神経・筋肉に関係する遺伝性疾患について多くの研究が行われています。
現在AKCが掲載するナショナルブリードクラブの推奨健康検査には、股関節、肘関節、眼科、D遺伝子座、中心核ミオパチー(CNM)、PRA-prcd、運動誘発性虚脱(EIC)が含まれています。
一方、米国ラブラドール・レトリーバー・クラブのCHIC説明では、股関節、肘関節、眼科、EIC、D遺伝子座を基礎項目とし、CNM、心臓、PRA-prcdなどを追加・推奨検査として扱っています。
健康検査の一覧は制度によって位置づけが異なるため、「検査項目にある=その病気がすべてのラブラドールで多発する」と考えないことが重要です。
股関節形成不全
股関節形成不全は、骨盤と大腿骨頭のかみ合わせが安定せず、関節炎や慢性的な痛みにつながることがある病気です。
ラブラドールでは繁殖前の股関節評価が重要な健康検査として長く行われています。
- 腰を左右に振るように歩く
- 立ち上がるのに時間がかかる
- 階段やジャンプを嫌がる
- うさぎ跳びのように走る
- 運動後に後ろ足をかばう
- 後ろ足の筋肉が減る
大型犬では成長期に症状が出る場合もあれば、若い頃は目立たず、変形性関節症が進んでから症状が表れる場合もあります。
肥満は関節への負担を増やすため、遺伝的要因だけでなく体重管理も重要です。
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肘関節形成不全
肘関節形成不全は、肘を構成する骨の発育異常などによって、前足の痛みや関節炎につながる状態の総称です。
ラブラドールでは股関節と同様に、繁殖犬の肘関節評価も推奨されています。
- 前足をかばう
- 歩き始めにぎこちない
- 運動後に前足を引きずる
- 以前ほど走りたがらない
前足を引きずる原因は肘だけではありません。肩、爪、肉球、外傷などでも似た症状が出るため、繰り返す場合は診察を受けてください。
進行性網膜萎縮(PRA-prcd)
進行性網膜萎縮(PRA)は、目の奥にある網膜の細胞が徐々に変性し、視力が低下していく遺伝性眼疾患の総称です。
ラブラドールではprcd型PRAについてDNA検査が利用されています。
- 暗い場所で歩きにくそうになる
- 夜の散歩をためらう
- 段差を慎重に降りる
- 初めての場所で物にぶつかる
- 進行すると明るい場所でも見えにくくなる
DNA検査で確認できるPRAがある一方、目の病気はPRAだけではありません。
そのため繁殖時には遺伝子検査だけでなく、眼科専門医による実際の眼科評価も重要です。
・犬の進行性網膜萎縮(PRA)とは?夜見えにくい・物にぶつかる症状と失明、遺伝を解説
運動誘発性虚脱(EIC)
運動誘発性虚脱(Exercise-Induced Collapse:EIC)は、ラブラドールでよく研究されている遺伝性疾患です。
激しい運動と強い興奮が重なった時に、後ろ足の力が抜ける、ふらつく、立てなくなるなどの症状がみられることがあります。
狩猟、激しいレトリーブ練習、興奮しながら走り続ける活動などが引き金になることがあります。
ただし、運動中の虚脱には心臓病、熱中症、低血糖、呼吸器疾患、貧血などさまざまな原因があります。
DNA検査でEIC関連変異を調べることはできますが、実際に倒れた犬ではほかの治療可能な病気を除外するための診察も必要です。
運動中にふらつきが出た時は運動を中止し、意識がおかしい、呼吸が苦しい、体温が高い、回復しない場合は緊急受診してください。
中心核ミオパチー(CNM)
中心核ミオパチー(Centronuclear Myopathy:CNM)は、ラブラドールで知られている遺伝性の筋疾患です。
一般に子犬の時期から筋力低下、運動不耐性、ぎこちない歩き方などがみられることがあります。
UC Davisの獣医遺伝学研究所では、典型的には生後2~5か月頃に症状が現れると説明しています。
常染色体劣性遺伝で、キャリア犬自身は通常発症しませんが、原因変異を子へ伝える可能性があります。
そのためDNA検査は「キャリア犬を病気の犬として排除する」ためではなく、発症犬が生まれない繁殖組み合わせを考えるために利用されます。
肥満・体重増加
ラブラドールでは肥満への注意が特に重要です。
食欲が強い犬が多いことに加え、一部のラブラドールではPOMC遺伝子の欠失変異が体重、体脂肪、食べ物への意欲と関連することが研究で示されています。
しかし、遺伝的に食欲が強い犬でも、適切な給餌と運動によって体重を管理することは可能です。
- 食事を毎回計量する
- 家族全員でおやつ量を共有する
- トレーニング分も一日の食事量へ含める
- 体重とボディコンディションを定期的に確認する
- 避妊・去勢や年齢で活動量が変わったら見直す
「欲しがる=足りていない」とは限りません。食べ物を要求する行動だけでフード量を増やさないようにしましょう。
大型犬として知っておきたい胃拡張胃捻転(GDV)
胃拡張胃捻転(GDV)は、胃が大きく膨らみ、さらにねじれることで急速に全身状態が悪化する緊急疾患です。
大型犬・超大型犬や胸の深い犬でリスクが高いことが知られています。ただし、ラブラドールが最も発症率の高い代表犬種という意味ではありません。
- 吐こうとしているのに何も出ない
- 大量によだれが出る
- 急にそわそわする
- お腹が張る
- 呼吸が速くなる
- ぐったりする・倒れる
吐こうとして吐けない状態を繰り返し、お腹が張る、ぐったりする場合は時間を置いて様子を見ず、すぐに動物病院へ連絡してください。
・犬の胃拡張胃捻転(GDV)とは?吐こうとして吐けない・お腹が張る時の緊急症状と手術を解説
13. ラブラドール・レトリーバーの食事・ドッグフード選び

ラブラドールでは、食事の「種類」だけでなく「量」を管理することが非常に重要です。
年齢、体重、活動量、避妊・去勢、健康状態に合った総合栄養食を基本にします。
大型犬の子犬は大型犬用成長期フードを検討する
大型犬の子犬は短期間で体が大きくなるため、成長期のエネルギーやミネラルバランスを適切に管理する必要があります。
「大きく育てたいから」と高カロリーの食事を過剰に与え、急激に体重を増やすことは関節の健康面から望ましくありません。
大型犬の成長に対応した総合栄養食を選び、パッケージの給与量を出発点に体型を見ながら調整します。
成犬は体型を見ながら給与量を調整する
- フードは毎回計量する
- おやつを含めて一日の摂取量を考える
- トレーニングにはフードの一部を利用する
- 月単位で体重を確認する
- 肋骨・腰のくびれを触って確認する
ラブラドールが食器を見つめる、台所で待つ、食べ物を欲しがることだけで「量が足りない」と判断しないようにしてください。
早食いをする犬は食べ方も見直す
食欲の強い犬では、短時間でフードを飲み込むように食べることがあります。
一回量を複数回に分ける、早食い防止食器を使う、食事の一部を知育玩具やノーズワークへ利用するなど、落ち着いて食べる方法を検討できます。
ただし、食後の管理だけでGDVを完全に予防できるわけではありません。大型犬として緊急症状を知っておくことも大切です。
14. ラブラドール・レトリーバーの子犬期の注意点

ラブラドールの子犬は好奇心が強く、人や物へ積極的に関わる犬が多いため、かわいらしい行動をそのまま許してしまいがちです。
しかし、小さな子犬の行動は数か月後には大型犬の行動になります。
- 人へ飛びつかず四本足で待つ
- 名前を呼ばれたら振り向く
- おいでで戻る
- 玄関で待つ
- リードを緩めて歩く
- 拾った物を離す
- ハウスで休む
- 一人で短時間過ごす
- 耳・足・口を触られることへ慣れる
誤飲・拾い食い対策を早めに行う
ラブラドールの子犬は、靴下、タオル、おもちゃ、石、食べ物の包装などを口へ入れることがあります。
何でもくわえるたび大声で追いかけると、遊びだと学習したり、取られる前に飲み込んだりすることがあります。
まず危険な物を届かない場所へ置き、安全なおもちゃで「離す」「交換する」を教えてください。
成長期の関節へ無理な負荷をかけない
元気な子犬は疲れていても遊び続ける場合があります。
高い場所からの繰り返しの飛び降り、滑る床での急旋回、長時間の強制的なランニングなどを日課にする必要はありません。
自由な散歩や遊びを中心に、成長段階と体調に合った運動を行いましょう。
親犬の健康検査を確認する
ラブラドールの子犬を迎える場合、親犬について次の健康情報を確認するとよいでしょう。
- 股関節評価
- 肘関節評価
- 眼科専門医による検査
- EICのDNA検査
- PRA-prcdのDNA検査
- CNMのDNA検査
- D遺伝子座のDNA検査
- 必要に応じた心臓評価
検査項目の位置づけは団体や制度によって異なりますが、「DNA検査済み」という言葉だけでなく、具体的に何を調べ、どのような結果だったのか確認することが大切です。
常染色体劣性遺伝の病気では、キャリア犬自身は発症しない場合があります。キャリアという理由だけで犬の健康価値を否定するのではなく、発症犬が生まれない組み合わせへ検査結果を利用します。
15. ラブラドール・レトリーバーのシニア期の注意点
ラブラドールがシニア期に入ったら、体重、関節、筋肉、目、耳、運動後の疲れ方をこれまで以上に確認します。
- 立ち上がりが遅くなった
- 散歩の速度が落ちた
- 階段や車への乗り降りを嫌がる
- 後ろ足の筋肉が減った
- 暗い場所で歩きにくそう
- 体重が増えた
- 耳の炎症を繰り返す
- 以前より疲れやすい
ラブラドールは食欲が保たれている犬が多いため、「ごはんを食べるから元気」と判断しないことも重要です。
関節痛があっても食欲は普通という犬はいます。
また、運動量が減ったのに若い頃と同じ量を食べると体重が増え、その体重増加がさらに関節への負担を増やす悪循環になることがあります。
健康で歩けるシニア犬なら、年齢だけを理由に散歩を完全にやめる必要はありません。
距離や速度を調整しながら、平坦な道を歩く、においを嗅ぐ、短いレトリーブを行うなど、その犬が無理なく楽しめる活動を続けましょう。
大型犬では介護が必要になった時の移動方法も早めに考えておくと安心です。滑りにくい床、段差対策、車へ乗せる方法、介助ハーネスなどを体が弱る前から検討しておきましょう。
16. ラブラドール・レトリーバーが向いている人
ラブラドール・レトリーバーは、次のような人と相性を作りやすい犬種です。
- 犬と一緒に体を動かしたい人
- 毎日の十分な散歩時間を確保できる人
- トレーニングを楽しめる人
- 大型犬の力を安全に管理できる人
- 抜け毛を受け入れられる人
- 食事量と体重を継続的に管理できる人
- 水遊びやアウトドアを犬と楽しみたい人
- シニア期の介護まで考えられる人
- 親犬の健康検査を確認して迎えられる人
家族の活動へ犬を積極的に参加させたい家庭には、とても魅力的な犬種です。
散歩、キャンプ、ノーズワーク、レトリーブ、オビディエンスなど、人と一緒にできる活動の幅が広いこともラブラドールの魅力です。
一方、毎日の運動をほとんど行えない、抜け毛を極力避けたい、食事管理を細かくしたくない、成犬30kg前後の犬を安全に扱うのが難しい場合には向きにくいでしょう。
また、「穏やかな大型犬が欲しい」という理由だけで選ばず、若い時期の活動量とトレーニングに必要な時間まで考えてから迎えてください。
17. ラブラドール・レトリーバーのよくある質問
Q. ラブラドール・レトリーバーは初心者でも飼いやすいですか?
学習能力が高く、人と協力することを好むため初めて大型犬を飼う人にも候補になります。ただし、若い時期は非常に活動的で、成犬では25~36kg程度になるため、運動としつけを継続できることが前提です。
Q. ラブラドールの体重は何kgくらいですか?
一般的には約25~36kg程度が目安です。性別や骨格によって適正体重は異なるため、体重だけでなく肋骨の触れ方や腰のくびれも確認してください。
Q. 寿命はどのくらいですか?
11~13年程度がひとつの目安です。体重、関節、遺伝的な体質、生活環境などによって個体差があります。
Q. 毛色は何色がありますか?
JKCではブラック、イエロー、レバー/チョコレートが認められています。イエローは明るいクリームからフォックス・レッドまで幅があります。
Q. 毛色で性格は変わりますか?
毛色だけで性格を決めることはできません。親犬の気質、血統、育った環境、社会化、個体差の影響を合わせて考えてください。
Q. 抜け毛は多いですか?
多い犬種です。短毛ですが密なダブルコートを持つため、年間を通して毛が抜け、換毛期にはさらに増えることがあります。
Q. ラブラドールは泳ぎが得意ですか?
水を好み、泳ぎを楽しむ犬が多い犬種です。ただし、すべての犬が安全に泳げるわけではありません。初めての水場では無理に入れず、流れや水温を確認してください。
Q. なぜ食べ物をいつも欲しがるのですか?
ラブラドールでは食べ物への意欲が強い犬が多く、一部ではPOMC遺伝子の変異が体重や食欲と関連することも研究されています。ただし、欲しがることと必要なカロリーが不足していることは同じではありません。
Q. 太りやすいですか?
体重管理には特に注意したい犬種です。フードとおやつを計量し、定期的に体重とボディコンディションを確認してください。適正体重の維持は関節への負担軽減にもつながります。
Q. 激しい運動の後に後ろ足がふらつきました
ラブラドールではEICでみられることがある症状ですが、熱中症、心臓病、低血糖などでも起こります。運動を中止し、繰り返す場合や意識・呼吸に異常がある場合は受診してください。
Q. ラブラドールは股関節形成不全になりやすいですか?
犬種で重要な繁殖前評価のひとつです。ただし、すべてのラブラドールが発症するわけではありません。親犬の股関節評価、成長期の体重管理、歩き方の変化を確認してください。
Q. 夜の散歩で見えにくそうです
PRAなど網膜の病気で暗い場所の視力が低下する場合があります。白内障など別の眼疾患もあるため、変化が続く場合は眼科的な診察を受けてください。
Q. 留守番はできますか?
練習すれば留守番できる犬は多いですが、人との結びつきが強い犬種です。迎えた直後から長時間一人にせず、短時間から少しずつ慣らしてください。
Q. 子犬を迎える時に確認したい健康検査は?
股関節、肘関節、眼科、EIC、PRA-prcd、CNM、D遺伝子座などが現在の犬種健康検査で利用されています。団体によって必須・推奨・追加の位置づけが異なるため、具体的な検査名と結果を確認してください。
Q. ラブラドールで特に注意したい病気は?
股関節・肘関節形成不全、PRA-prcd、EIC、CNMなどについて知っておくとよいでしょう。また、肥満管理と垂れ耳の健康、大型犬としてGDVの緊急症状を知っておくことも大切です。これらがすべてのラブラドールに起こるわけではありません。
まとめ|ラブラドール・レトリーバーは人と協力することが大好きな大型レトリーバー

ラブラドール・レトリーバーは、ニューファンドランド沿岸で漁師を助けていた犬をルーツに持ち、イギリスでレトリーバーとして発展した大型犬です。
JKCでの用途は「レトリーバー」。優れた嗅覚、ソフトマウス、水を好む性質、人との高い協調性を持っています。
気立てがよく聡明で、人に喜ばれることを好みやすいため、家庭犬だけでなく盲導犬や介助犬など幅広い仕事で活躍しています。
一方、子犬~若齢期は非常に活動的です。
成犬になると25~36kg程度になるため、飛びつき、引っ張り、拾い食い、物をくわえて逃げる行動を小さいうちから安全な形へ導く必要があります。
運動では散歩だけでなく、レトリーブ、におい嗅ぎ、ノーズワーク、短いトレーニングを組み合わせると犬種らしい能力を活かせます。
水遊びを好む犬も多いですが、水辺の事故を防ぎ、泳いだ後は耳や皮膚の状態も確認してください。
被毛は短いものの密なダブルコートで、抜け毛は多めです。
定期的な全身カットは必要ありませんが、ブラッシング、爪、歯、耳の日常管理を続けましょう。
健康面では、股関節形成不全、肘関節形成不全、PRA-prcd、EIC、CNMなどについて繁殖前の健康検査が利用されています。
DNA検査は発症犬が生まれるリスクを下げるための重要な情報ですが、検査対象以外のすべての病気を否定できるわけではありません。
また、ラブラドールでは体重と食欲に関係するPOMC遺伝子の研究もあり、肥満対策は特に重要です。
食べ物を欲しがるから量を増やすのではなく、食事・おやつを計量し、体重と体型を定期的に確認してください。
適正体重を維持することは、股関節や肘の負担を減らし、シニア期まで活動的に暮らす助けになります。
大型犬では胃拡張胃捻転(GDV)の緊急症状も知っておきましょう。ラブラドールが最も高リスクの犬種という意味ではありませんが、「何度も吐こうとして吐けない」「急にお腹が張る」「ぐったりする」といった症状ではすぐに受診が必要です。
子犬を迎える場合は毛色や顔立ちだけで選ばず、親犬の股関節・肘・眼科・EIC・PRA-prcd・CNMなどの健康情報、性格、飼育環境、繁殖方針も確認してください。
ラブラドール・レトリーバーは、人への優しさ、知性、運動能力、作業意欲を備えた魅力的な大型犬です。十分な運動とトレーニング、適正体重の維持、関節や目を含む健康管理を続け、家族と一緒に活動できる生活を作ることが、ラブラドールと長く快適に暮らすための大切なポイントです。


