バセンジーの性格・飼いやすさは?吠えない犬の特徴・寿命・病気まで解説

バセンジーは、ピンと立った耳、額の細かなシワ、引き締まった体、背中の上へくるりと巻いた尾が特徴的な中央アフリカ原産の犬種です。

世界的には「吠えない犬」として知られており、日本でもその特徴からバセンジーの名前を知ったという人は多いでしょう。

ただし、「吠えない犬=まったく声を出さない犬」ではありません。

ジャパンケネルクラブ(JKC)も、バセンジーについて「吠えないが、無声ではない」と説明しています。

一般的な犬の「ワンワン」という連続した吠え声は少ない一方、ヨーデルと笑い声の中間のような独特の声を出したり、状況によっては鳴いたり唸ったりすることがあります。

そのため、「集合住宅だから絶対に静かな犬がほしい」という理由だけで選ぶのはおすすめできません。

バセンジーの本当の特徴は、声の少なさだけではなく、高い運動能力、強い好奇心、自立心、優れた狩猟能力にあります。

中央アフリカで狩猟に使われてきた歴史を持ち、自分で周囲を観察して判断しながら行動できる犬です。

JKCでは用途を「猟犬、家庭犬」としています。

性格は利口で独立心が強く、愛情深く用心深い犬種とされ、知らない人に対してはよそよそしいこともあります。

飼い主さんには愛情を見せても、常に指示を待って何でも従うタイプとは限りません。

「賢い=しつけが簡単」というより、自分で考える力が強いため、人間側にもトレーニングの工夫が求められる犬種です。

また、獲物を追う本能が強い犬では、猫、小動物、鳥、走るものなどを見つけると急に追いかけようとすることがあります。

囲われていない場所でのノーリードは避け、玄関や門扉からの飛び出しにも十分注意する必要があります。

被毛は短く、自分の体をなめてきれいにする姿もみられるため、お手入れは比較的シンプルです。

一方、短毛で体脂肪も多くないため、寒い季節には犬の様子を見ながら室温や防寒を調整します。

健康面では、バセンジーで特に重要なのがファンコーニ症候群と進行性網膜萎縮(PRA)です。

現在はどちらも繁殖に利用できるDNA検査があり、海外のナショナルブリードクラブでは股関節、眼科、甲状腺、PRA、ファンコーニ症候群の検査を繁殖犬に推奨しています。

バセンジーは「吠えない珍しい犬」という一点だけで選ぶ犬種ではありません。運動、脱走防止、獲物を追う本能、自立心の強い性格、そして犬種特有の遺伝性疾患まで理解して迎えることが大切です。

この記事では、バセンジーの性格、飼いやすさ、大きさ、寿命、運動量、抜け毛、留守番、しつけ、注意したい病気、食事、子犬期・シニア期まで詳しく解説します。

  1. 1. バセンジーの基本情報
  2. 2. バセンジーの性格
    1. 知らない人には距離を取る犬もいる
  3. 3. バセンジーの飼いやすさ
  4. 4. バセンジーは初心者でも飼いやすい?
  5. 5. バセンジーの大きさ・体重
  6. 6. バセンジーの平均寿命
  7. 7. バセンジーに必要な運動量
    1. ドッグランでも安全確認が必要
    2. 真夏と冬は運動時間を調整する
  8. 8. バセンジーの抜け毛・お手入れ
    1. シャンプーのしすぎにも注意
  9. 9. バセンジーは留守番しやすい?
  10. 10. バセンジーのしつけのしやすさ
    1. 特に重要なのは呼び戻しと飛び出し防止
    2. 強く叱るより「やってほしい行動」を教える
  11. 11. バセンジーの無駄吠え・噛み癖などの注意点
    1. 噛む・壊す行動は退屈が関係することもある
  12. 12. バセンジーがなりやすい病気・注意したい健康問題
    1. ファンコーニ症候群
    2. 進行性網膜萎縮(PRA・PRA-BJ1)
    3. 遺残瞳孔膜(PPM)などの眼疾患
    4. 甲状腺機能低下症・自己免疫性甲状腺炎
    5. 股関節形成不全
    6. 膝蓋骨脱臼(パテラ)
    7. ピルビン酸キナーゼ欠損症
  13. 13. バセンジーの食事・ドッグフード選び
    1. 細身の犬種でも体重管理は必要
    2. ファンコーニ症候群が心配でも自己判断で療法食にしない
  14. 14. バセンジーの子犬期の注意点
    1. 猫や小動物との生活は慎重に考える
    2. 親犬の健康検査を確認する
  15. 15. バセンジーのシニア期の注意点
  16. 16. バセンジーが向いている人
  17. 17. バセンジーのよくある質問
    1. Q. バセンジーは本当に吠えない犬ですか?
    2. Q. バセンジーはマンションでも飼えますか?
    3. Q. バセンジーは初心者でも飼えますか?
    4. Q. バセンジーは何kgくらいになりますか?
    5. Q. バセンジーの寿命はどのくらいですか?
    6. Q. バセンジーは散歩が少なくても大丈夫ですか?
    7. Q. バセンジーをノーリードで散歩できますか?
    8. Q. バセンジーは猫と一緒に暮らせますか?
    9. Q. バセンジーは毛が抜けますか?
    10. Q. バセンジーは体臭が少ないですか?
    11. Q. 水をたくさん飲んで尿も増えました
    12. Q. ファンコーニ症候群のDNA検査でキャリアなら病気になりますか?
    13. Q. PRA-BJ1がクリアならPRAにはなりませんか?
    14. Q. バセンジーで特に注意したい病気は?
  18. まとめ|バセンジーは「吠えない」だけではない、独立心と運動能力を持つ古い猟犬
  19. 【最新版】私がおすすめする犬用品10選

1. バセンジーの基本情報

犬種名バセンジー
英名Basenji
原産国中央アフリカ
用途(JKC)猟犬、家庭犬
サイト内サイズ分類中型犬
理想体高牡43cm/牝40cm
理想体重牡11kg/牝9.5kg
平均寿命13~14年程度がひとつの目安
運動量中~多め。毎日の散歩と遊びが必要
被毛短く滑らかな被毛
主な毛色レッド&ホワイト、ブラック&ホワイト、トライカラー、ブリンドルなど
抜け毛あるが、被毛管理は比較的シンプル
トリミング定期的な全身カットは基本的に不要
留守番練習次第。退屈による破壊行動や不安に注意
しつけやすさ利口だが独立心が強く、根気と工夫が必要
初心者向き犬の本能と行動を学び、安全管理を徹底できる人向き

バセンジーは非常に古い歴史を持つ犬種です。

JKCでは、古代エジプト王朝の滅亡によって各地へ広がった犬の系統が、後にイギリスの探検家によって中央アフリカで発見されたと紹介しています。

中央アフリカでは狩猟犬として利用され、1937年以降はイギリスやアメリカでも飼育されるようになりました。

外見は軽快で引き締まり、脚が長く、額には特徴的なシワがあります。

耳は直立し、尾は背中の上へしっかり巻いています。

バセンジーというとレッド&ホワイトがよく知られていますが、ブラック&ホワイト、トライカラー、ブリンドルなども認められています。

足、胸、尾の先端には白が入ることが犬種標準の特徴です。

理想体高は牡43cm、牝40cm、理想体重は牡11kg、牝9.5kgです。

数字だけを見ると小型犬に近い体重ですが、脚が長く運動能力も高いため、ワンコンシェルジュでは生活上の特徴を考えて中型犬として整理しています。

2. バセンジーの性格

バセンジーの性格を一言で表すなら、「賢く、愛情深い一方で非常に自立心がある犬」です。

  • 利口で観察力が高い
  • 独立心が強い
  • 家族には愛情深い犬が多い
  • 知らない人には慎重な犬もいる
  • 好奇心が旺盛
  • 動くものを追う本能が強い犬もいる
  • 清潔好きな傾向がある
  • 同じ練習の繰り返しを飽きる犬もいる

飼い主さんへの愛情がないわけではありませんが、いつでも人の指示を待ち、何でも喜んで繰り返すタイプではない場合があります。

トレーニング中でも、「この行動をするメリットがあるか」を自分で判断しているように見える犬もいます。

そのため、強く叱って従わせるより、食べ物、遊び、散歩、におい嗅ぎなど、その犬が価値を感じるものを報酬として使う方法が適しています。

一方で、自立心が強いことを「しつけができない」と考える必要もありません。

バセンジーが理解しやすい環境を作り、短く楽しい練習を積み重ねれば、基本的な家庭生活のルールを学ぶことはできます。

知らない人には距離を取る犬もいる

JKCでは、バセンジーは他人に対してよそよそしいこともあるとしています。

来客全員に触ってもらう必要はありません。

犬が自分から近づける距離を保ち、知らない人がいる環境でも落ち着いて過ごせる経験を作ることが大切です。

3. バセンジーの飼いやすさ

バセンジーは短毛で体臭も強く感じにくい犬が多く、被毛のお手入れという面では比較的負担の少ない犬種です。

しかし、それだけで「飼いやすい犬」と判断することはできません。

  • 毎日の十分な運動が必要
  • 獲物を追う行動への安全管理が必要
  • 脱走対策が重要
  • 呼び戻しを過信しない
  • 退屈すると物を壊す犬もいる
  • 独立心を理解したトレーニングが必要
  • 寒さへの配慮が必要なことがある
  • 遺伝性疾患について理解しておく必要がある

特に重要なのが脱走防止です。

バセンジーは運動能力が高く、興味を持ったものを追いかけると周囲が見えにくくなる犬もいます。

玄関、門、庭の柵、ハーネス、首輪などは定期的に安全性を確認してください。

庭に出しているからといって、必ず安全とは限りません。

柵の高さだけでなく、下を掘れないか、隙間から体を抜けられないか、物を足場にして飛び越えられないかまで確認すると安心です。

4. バセンジーは初心者でも飼いやすい?

バセンジーは、初めて犬を飼う人が絶対に選んではいけない犬種ではありません。

ただし、初心者向け犬種として簡単におすすめできるタイプでもありません。

特に「吠えない」「短毛で手入れが楽」という理由だけで迎えると、想像との違いを感じる可能性があります。

  • 毎日十分な散歩ができる
  • 犬の自立心を尊重できる
  • 報酬ベースのトレーニングを学べる
  • 脱走対策を徹底できる
  • 猫や小動物との同居を慎重に考えられる
  • 呼び戻しを過信しない
  • 遺伝性疾患の検査について確認できる
  • 必要な時に専門家へ相談できる

このような管理を楽しめる人であれば、バセンジーの独特な知性と性格は大きな魅力になります。

一方、犬には常に自分の指示へ従ってほしい人や、リードを外して自由に走らせたい人には向きにくい犬種です。

5. バセンジーの大きさ・体重

JKCでは、バセンジーの理想体高を牡43cm、牝40cm、理想体重を牡11kg、牝9.5kgとしています。

細身で脚が長く、余分な脂肪の少ない引き締まった体型が特徴です。

ただし、細身の犬種だから「肋骨がはっきり浮くほど痩せていてよい」という意味ではありません。

  • 肋骨が適度に触れるか
  • 上から見て腰にくびれがあるか
  • 筋肉量が維持できているか
  • 短期間で急に体重が増減していないか

若い頃から定期的に体重を記録しておくと、将来の健康変化へ気づきやすくなります。

特にファンコーニ症候群など腎臓の尿細管機能へ影響する病気では、体重減少や筋肉量の低下がみられる場合があります。

普段と同じように食べているのに痩せてきた場合は、運動量だけの問題と決めつけないようにしましょう。

6. バセンジーの平均寿命

バセンジーの平均寿命は13~14年程度がひとつの目安です。

比較的長く一緒に暮らせる犬種ですが、平均寿命は個々の犬が実際に何歳まで生きるかを保証するものではありません。

遺伝的な体質、腎臓、目、甲状腺、関節、歯、体重、生活環境などによって差があります。

バセンジーではファンコーニ症候群やPRAなど、成犬になってから問題が分かる遺伝性疾患もあります。

子犬の頃に健康だったから将来も検査が不要というわけではありません。

  • 水を飲む量
  • 尿の量・回数
  • 体重
  • 暗い場所での歩き方
  • 皮膚や被毛
  • 元気・活動量
  • 足の使い方

こうした普段の状態を知っておくことで、小さな変化へ早く気づきやすくなります。

7. バセンジーに必要な運動量

バセンジーはコンパクトな体ですが、運動能力が高く活動的な犬種です。

健康な成犬では毎日の散歩を基本にし、におい嗅ぎや遊びなどを組み合わせます。

  • 朝夕を中心とした毎日の散歩
  • 安全な場所でのにおい嗅ぎ
  • 引っ張りっこ
  • おもちゃ探し
  • ノーズワーク
  • 短時間のトレーニング
  • 安全に囲われた場所での運動

単に長距離を歩けば満足するとは限りません。

狩猟犬として周囲を探索する能力が高いため、鼻や目を使って環境を確認できる時間も大切です。

ドッグランでも安全確認が必要

自由に走らせる場合は、完全に囲われた安全な場所を選びます。

ドッグランでも柵の高さや隙間、二重扉の有無などを確認してください。

また、小型犬エリアとの境界越しに強く興奮するなど、獲物を追うような行動が見られる犬では、無理に利用しない方が安全な場合があります。

真夏と冬は運動時間を調整する

日本の高温多湿な夏は、活動的な犬でも暑い時間帯を避けます。

早朝や日没後を中心にし、呼吸が激しい、歩く速度が落ちる、ぐったりする場合は運動を中止してください。

反対に、短毛のバセンジーでは冬の冷えを強く感じる犬もいます。

寒さで震える、歩きたがらない場合は、室温や散歩時間を調整し、必要に応じて体を動かしやすい犬用ウェアなどを利用します。

8. バセンジーの抜け毛・お手入れ

バセンジーは短く滑らかな被毛を持ち、長毛犬のような定期的な全身カットは基本的に必要ありません。

自分の体をなめて毛づくろいする姿がみられることもあり、非常に清潔好きな犬種として知られています。

ただし、「自分で毛づくろいするから何もしなくてよい」という意味ではありません。

  • 定期的にブラッシングする
  • 皮膚の赤みやできものを確認する
  • 耳の状態を確認する
  • 爪を伸ばしすぎない
  • 足裏を確認する
  • 歯磨きを習慣にする

短毛なので、皮膚の赤み、脱毛、しこりなどを見つけやすいというメリットもあります。

ブラッシング時に全身へ触れ、皮膚だけでなく体重や筋肉量も確認するとよいでしょう。

シャンプーのしすぎにも注意

清潔好きだから頻繁に洗わなければいけない犬種ではありません。

汚れや皮膚の状態に合わせてシャンプーし、皮膚病がある場合は獣医師の指示に従います。

洗った後は寒くならないよう十分に乾かしてください。

9. バセンジーは留守番しやすい?

バセンジーは独立心が強いことから「留守番も簡単そう」と思われることがあります。

しかし、自立心があることと長時間一人でいて平気なことは同じではありません。

退屈すると、家具や日用品を噛む、物を分解する、ゴミ箱を探るなどの行動が出る犬もいます。

留守番は短い時間から段階的に練習しましょう。

  • 飼い主さんが同じ部屋でも一人で休む
  • 数秒だけ別室へ移動する
  • 短時間だけ外出する
  • 犬が落ち着ける範囲で時間を延ばす
  • 危険な物を片付けた環境を作る

バセンジーは物を調べたり噛んだりすることがあるため、留守番スペースの安全管理は特に重要です。

電気コード、薬、食品、ゴミ、小さな物などは届かない場所へ片付けます。

また、窓や扉を自分で開けられないかも確認してください。

・犬の留守番のしつけ方とは?ひとりで待てない時の練習方法を解説

・犬のハウスの教え方とは?ケージやクレートに入らない時のしつけ方法を解説

10. バセンジーのしつけのしやすさ

バセンジーは利口ですが、独立心が強いため、いわゆる「何度でも指示に従うことを喜ぶ犬」とは異なる場合があります。

同じ行動を長時間繰り返すより、短時間で成功して終わるトレーニングを行いましょう。

  • 名前を呼んだら見る
  • おすわり
  • 待て
  • おいで
  • ハウス
  • リードを緩めて歩く
  • 拾った物を離す
  • 玄関から飛び出さない
  • 動く物から飼い主さんへ意識を戻す
  • 体を触られることへ慣れる

特に重要なのは呼び戻しと飛び出し防止

狩猟本能の強いバセンジーでは、猫や鳥などを見た瞬間に走り出そうとすることがあります。

室内で完璧に「おいで」ができても、獲物を見た状況では難易度が大きく上がります。

呼び戻しは安全な囲いの中やロングリードを利用して段階的に練習し、一般道路などで能力を試さないようにしてください。

玄関では扉を開ける前に待つ、室内のマットへ移動するなど、安全のための習慣も作りましょう。

強く叱るより「やってほしい行動」を教える

独立心のある犬へ強い力で従わせようとすると、人とのトレーニングそのものを避けるようになる場合があります。

食べ物、遊び、散歩へ進むこと、においを嗅ぐことなど、犬にとって価値があるものを報酬に利用します。

11. バセンジーの無駄吠え・噛み癖などの注意点

バセンジーは「吠えない犬」として非常に有名です。

しかし、完全に無音で生活する犬ではありません。

一般的な連続した「ワンワン」という吠え方は少ない一方、ヨーデルのような独特な声、唸り声、鳴き声などで感情を表現することがあります。

したがって、集合住宅で「絶対に声を出さない犬」として迎えるのは避けましょう。

留守番への不安や強い興奮があれば、バセンジーでも大きな声を出すことがあります。

・犬の無駄吠えの直し方とは?吠える理由別のしつけ方法を解説

噛む・壊す行動は退屈が関係することもある

好奇心の強いバセンジーでは、退屈すると家具、クッション、紙類などを噛んだり壊したりする犬もいます。

単に叱るだけではなく、運動量や刺激が足りているか、安全に噛めるおもちゃがあるか、留守番時間が長すぎないかを確認してください。

また、これまで触られても平気だった成犬が急に噛むようになった場合は、行動だけの問題とは限りません。

歯、耳、皮膚、関節などの痛みや体調不良によって、触られることを避けようとしている可能性もあります。

12. バセンジーがなりやすい病気・注意したい健康問題

バセンジーは比較的健康な犬も多い犬種ですが、犬種特有の遺伝性疾患について知っておくことが非常に重要です。

特に代表的なのが、ファンコーニ症候群と進行性網膜萎縮(PRA)です。

現在、米国のナショナルブリードクラブが繁殖犬へ推奨している健康検査には、股関節評価、眼科専門医による検査、甲状腺評価、バセンジー型PRAのDNA検査、ファンコーニ症候群のDNA検査が含まれます。

以下の病気がすべてのバセンジーに起こるわけではありません。

ファンコーニ症候群

ファンコーニ症候群は、腎臓の近位尿細管という部分で、本来体内へ戻すはずのブドウ糖や電解質などを十分に再吸収できなくなる病気です。

バセンジーでは遺伝性のファンコーニ症候群が重要な健康問題として知られています。

現在は原因となる遺伝子について直接DNA検査が利用でき、繁殖犬では非常に重要な検査です。

  • 水を飲む量が増える
  • 尿量が増える
  • トイレの回数が増えたように見える
  • 体重が減る
  • 筋肉が落ちる
  • 元気が低下する
  • 進行すると全身状態が悪くなる

特徴のひとつとして、血糖値が高くないにもかかわらず尿中へブドウ糖が排泄される「糖尿」がみられることがあります。

ただし、水を多く飲んで尿量が増えたからといって、必ずファンコーニ症候群とは限りません。

腎臓病、糖尿病、甲状腺以外のホルモン疾患、肝臓疾患などさまざまな原因があります。

普段より明らかに水を多く飲む、尿量が増える、体重が減る場合は「暑いから」「バセンジーだから」と決めつけず、血液検査や尿検査について動物病院へ相談してください。

・犬の尿の回数が多い原因とは?頻尿・多尿の違いと受診目安を解説

進行性網膜萎縮(PRA・PRA-BJ1)

進行性網膜萎縮(PRA)は、網膜の細胞が徐々に変性し、視力が低下していく遺伝性眼疾患の総称です。

バセンジーではPRA-BJ1と呼ばれる型に関連する遺伝子変異が知られ、DNA検査を利用できます。

重要なのは、PRA-BJ1の検査でクリアだったからといって、バセンジーで起こるすべてのPRAを否定できるわけではないことです。

犬種クラブによるとPRA-BJ1はバセンジーでみられるPRAの約半数を説明するとされ、ほかの型を確認するためにも定期的な眼科検査が重要です。

  • 暗い場所で歩きにくくなる
  • 夜の散歩を嫌がる
  • 段差をためらう
  • 初めての場所で物へぶつかる
  • 進行すると昼間も見えにくくなる

PRAは一般にゆっくり進行し、強い目の痛みを起こすタイプではありません。

急に見えなくなった、目が赤い、目をしょぼしょぼする、急に濁った場合はPRAだけと考えず、緑内障や角膜疾患などほかの病気も確認する必要があります。

・犬の進行性網膜萎縮(PRA)とは?夜見えにくい・物にぶつかる症状と失明、遺伝を解説

遺残瞳孔膜(PPM)などの眼疾患

バセンジーではPRA以外にも、遺残瞳孔膜(Persistent Pupillary Membrane:PPM)などの眼の異常が知られています。

胎児期に存在する瞳孔膜の一部が出生後も残る状態です。

軽度のものでは視力へ影響しない場合がありますが、付着する場所や程度によっては角膜や水晶体へ影響することがあります。

DNA検査だけでは確認できない眼疾患もあるため、眼科専門医による実際の目の検査が重要です。

甲状腺機能低下症・自己免疫性甲状腺炎

バセンジーでは、自己免疫性甲状腺炎を含む甲状腺疾患についても健康評価が推奨されています。

甲状腺機能が低下すると、全身の代謝が落ちることでさまざまな症状がみられる場合があります。

  • 以前より元気がない
  • 運動を嫌がる
  • 食事量が増えていないのに太る
  • 寒がる
  • 左右対称に毛が薄くなる
  • 皮膚の状態が悪くなる
  • 被毛の質が変化する

これらは甲状腺機能低下症だけの症状ではありません。

血液検査についても、ひとつの甲状腺ホルモン値だけで病気を自己判断するのではなく、症状やほかの検査結果と合わせて獣医師が判断します。

股関節形成不全

バセンジーでは股関節評価も繁殖犬の推奨健康検査に含まれています。

股関節形成不全は、股関節の適合が十分でなく、関節の不安定性や変形性関節症につながる病気です。

  • 立ち上がりに時間がかかる
  • 後ろ足の動きがぎこちない
  • ジャンプを嫌がる
  • 階段をためらう
  • 運動後に足をかばう

犬種クラブのデータでは股関節形成不全はバセンジーで高頻度な問題とはされていませんが、繁殖犬では評価が推奨されています。

「少ないから検査不要」「バセンジーなら股関節形成不全になる」と両極端に考えないことが大切です。

膝蓋骨脱臼(パテラ)

バセンジーでは膝蓋骨脱臼も犬種クラブの健康情報で取り上げられています。

膝のお皿にあたる膝蓋骨が、本来収まる溝から外れる状態です。

  • 突然後ろ足を上げる
  • 数歩だけ3本足で歩く
  • スキップするように走る
  • 後ろ足を後方へ伸ばす
  • 運動を嫌がる

軽度では症状がほとんどない犬もいますが、繰り返す場合は痛みや関節炎につながることがあります。

・犬の膝蓋骨脱臼(パテラ)とは?スキップ歩行・グレード別症状と手術、受診目安を解説

ピルビン酸キナーゼ欠損症

バセンジーでは、赤血球のエネルギー代謝に関係するピルビン酸キナーゼ欠損症の遺伝子変異も知られています。

発症すると慢性的な溶血性貧血につながる可能性があります。

  • 疲れやすい
  • 運動を嫌がる
  • 歯ぐきが白っぽい
  • 呼吸や心拍が速くなる
  • 元気が低下する

現在のバセンジーでは適切な遺伝子検査と繁殖選択によって発症リスクが大きく管理されてきた疾患ですが、犬種で利用できるDNA検査のひとつとして知っておくとよいでしょう。

13. バセンジーの食事・ドッグフード選び

バセンジーだから必ず犬種専用ドッグフードを選ばなければならないわけではありません。

年齢、体重、活動量、避妊・去勢、体質、持病などに合った総合栄養食を基本にします。

細身の犬種でも体重管理は必要

バセンジーは引き締まった体型が特徴ですが、運動量が減った犬へ同じ食事量を与え続ければ肥満になる可能性があります。

  • フードを毎回計量する
  • おやつも一日の摂取量へ含める
  • 定期的に体重を測る
  • 肋骨と腰のくびれを確認する
  • 運動量が変わったら食事量も調整する

逆に、食べているのに体重が減る場合も注意が必要です。

特に水を飲む量や尿量の増加を伴う場合は、ファンコーニ症候群を含む腎臓・代謝疾患などを確認します。

ファンコーニ症候群が心配でも自己判断で療法食にしない

犬種にファンコーニ症候群が知られているからといって、健康なバセンジーへ腎臓病用の療法食を予防目的で与える必要はありません。

療法食は実際の診断、血液検査、尿検査などに基づいて選びます。

病気が診断された場合は獣医師の指示に従い、必要な食事・水分・治療を組み合わせて管理してください。

14. バセンジーの子犬期の注意点

バセンジーの子犬期では、社会化、呼び戻し、飛び出し防止、一人で休む練習を特に重視します。

  • 名前を呼んだら見る
  • おいでを練習する
  • 玄関前で待つ
  • リード・ハーネスへ慣らす
  • ハウスへ慣らす
  • 一人で静かに休む
  • 足先・耳・口元へ触られることへ慣れる
  • 人や犬を安全な距離から経験する
  • 車・自転車・猫などの刺激から意識を戻す

バセンジーは好奇心が強いため、子犬の頃から家の中のさまざまな物を調べようとすることがあります。

誤飲しそうな物や電気コード、薬、食品などは「しつけで触らせない」だけに頼らず、最初から届かない場所へ片付けます。

猫や小動物との生活は慎重に考える

子犬期から猫と暮らして問題なく生活するバセンジーもいます。

しかし、犬種として狩猟本能が強いことを忘れてはいけません。

ウサギ、ハムスター、小鳥など小動物との同居では特に安全管理が重要です。

「子犬の頃から一緒だから絶対に追わない」とは考えず、直接接触させない環境を用意するなど、それぞれの動物の安全を優先してください。

親犬の健康検査を確認する

バセンジーの子犬を迎える場合は、親犬の健康検査を確認することが非常に重要です。

  • ファンコーニ症候群のDNA検査
  • PRA-BJ1のDNA検査
  • 眼科専門医による検査
  • 甲状腺評価
  • 股関節評価

特にファンコーニ症候群とPRAは、バセンジーで長年重要視されてきた遺伝性疾患です。

DNA検査で「キャリア」と分かった健康な犬が、すでにその病気を発症しているという意味ではありません。

常染色体劣性遺伝の疾患では、組み合わせを適切に管理して発症犬が生まれるリスクを抑えることが重要です。

また、PRA-BJ1がクリアでもすべてのPRAを否定できるわけではないため、眼科検査も確認します。

15. バセンジーのシニア期の注意点

バセンジーがシニア期に入ったら、水・尿・視力・体重・歩き方の変化を特に意識します。

  • 水を飲む量が増えた
  • 尿量が増えた
  • 体重が減った
  • 筋肉が落ちてきた
  • 暗い場所で動きにくい
  • 物へぶつかるようになった
  • 立ち上がりに時間がかかる
  • 後ろ足をかばう
  • 被毛が薄くなった
  • 以前より元気がない

シニア犬で水を多く飲むようになった場合、「年を取ったから」と考えないことが重要です。

腎臓病、糖尿病、ホルモン疾患などのほか、バセンジーではファンコーニ症候群も確認したい病気です。

また、暗い場所を嫌がるようになった場合は、PRAなど視力へ影響する病気を確認します。

高齢になって散歩量が減った時も、運動を完全にやめる必要はありません。

健康状態に合わせて距離と速度を調整し、ゆっくりにおいを嗅ぐ散歩などを続けます。

急に歩けなくなった、意識がおかしい、尿がまったく出ないなどの変化がある場合は、年齢のせいにせず速やかに動物病院へ相談してください。

16. バセンジーが向いている人

バセンジーは次のような人と相性を作りやすい犬種です。

  • 独立心のある犬の性格を楽しめる人
  • 毎日十分な散歩をできる人
  • 犬とのトレーニングを工夫できる人
  • ノーズワークなど探索遊びを楽しめる人
  • 脱走対策を徹底できる人
  • 囲われていない場所でノーリードにしない人
  • 短毛犬を希望している人
  • 珍しい犬種だからだけではなく特徴を理解して迎えられる人
  • 犬種特有の遺伝性疾患を確認できる人

人の指示を常に待つ犬より、自分でも考えて行動する犬との関係を楽しみたい人には魅力があります。

バセンジーの「少し猫のよう」と表現される独立性や清潔好きな性格も、個性的な魅力のひとつです。

一方、呼べばどんな状況でも必ず戻ってきてほしい、屋外で自由にノーリードにしたいという人には向きにくいでしょう。

また、「吠えないからマンション向き」という一点だけで選ぶこともおすすめできません。

独特の発声や留守番中の物音、活動量、脱走対策まで含めて生活環境との相性を確認してください。

17. バセンジーのよくある質問

Q. バセンジーは本当に吠えない犬ですか?

一般的な「ワンワン」という吠え方をほとんどしないことで知られています。ただし無声ではなく、ヨーデルのような独特の声や鳴き声、唸り声などを出すことがあります。

Q. バセンジーはマンションでも飼えますか?

十分な運動と安全な生活環境を用意できれば飼育できます。ただし「吠えないから集合住宅なら簡単」というわけではありません。独特の発声や運動不足による破壊行動、留守番への不安なども考える必要があります。

Q. バセンジーは初心者でも飼えますか?

飼育はできますが、独立心、狩猟本能、脱走リスクを理解し、トレーニングと安全管理を学べる人向きです。初心者向けだから簡単というタイプの犬種ではありません。

Q. バセンジーは何kgくらいになりますか?

JKCの理想体重は牡11kg、牝9.5kgです。理想体高は牡43cm、牝40cmです。

Q. バセンジーの寿命はどのくらいですか?

13~14年程度がひとつの目安です。実際の寿命は遺伝的な体質、病気、体重、生活環境などによって異なります。

Q. バセンジーは散歩が少なくても大丈夫ですか?

いいえ。活動的な猟犬なので、健康な成犬では毎日の十分な散歩が必要です。におい嗅ぎ、ノーズワーク、安全に囲われた場所での運動なども取り入れましょう。

Q. バセンジーをノーリードで散歩できますか?

囲われていない場所でのノーリードはおすすめできません。獲物を追う本能が強く、猫や鳥などを見て突然走り出す可能性があります。呼び戻しが得意な犬でも道路などではリードを使用してください。

Q. バセンジーは猫と一緒に暮らせますか?

猫と問題なく暮らす犬もいますが、個体差があります。狩猟本能が強い犬種なので、初対面から自由に接触させず、相性を確認しながら安全に管理してください。小鳥や小型哺乳類との生活ではさらに慎重な管理が必要です。

Q. バセンジーは毛が抜けますか?

抜け毛はありますが、短毛なので被毛管理は比較的シンプルです。定期的なブラッシングを行い、同時に皮膚や体型も確認してください。

Q. バセンジーは体臭が少ないですか?

自分で毛づくろいする清潔好きな傾向があり、体臭を強く感じにくい犬も多いです。ただし、すべての犬が無臭という意味ではありません。皮膚炎、耳の炎症、口腔疾患などがあればにおいが強くなることがあります。

Q. 水をたくさん飲んで尿も増えました

腎臓病、糖尿病、ホルモン疾患などさまざまな原因があります。バセンジーでは遺伝性ファンコーニ症候群も重要な鑑別のひとつです。飲水量と尿量の変化が続く場合は血液・尿検査について動物病院へ相談してください。

Q. ファンコーニ症候群のDNA検査でキャリアなら病気になりますか?

常染色体劣性遺伝のファンコーニ症候群では、通常キャリア犬自身は遺伝性ファンコーニ症候群を発症しません。ただし遺伝子を子へ伝える可能性があるため、繁殖では相手犬の検査結果を含めて適切な組み合わせを考える必要があります。

Q. PRA-BJ1がクリアならPRAにはなりませんか?

そうとは限りません。PRA-BJ1はバセンジーでみられるPRAの一部を説明する遺伝子型で、犬種ではほかのPRAも知られています。そのためDNA検査だけでなく、眼科専門医による検査も重要です。

Q. バセンジーで特に注意したい病気は?

ファンコーニ症候群、PRAなどの眼疾患、甲状腺疾患、股関節形成不全、膝蓋骨脱臼などについて知っておくとよいでしょう。また、ピルビン酸キナーゼ欠損症など犬種で遺伝子検査が利用できる疾患もあります。すべてのバセンジーに発症するわけではありません。

まとめ|バセンジーは「吠えない」だけではない、独立心と運動能力を持つ古い猟犬

バセンジーは、立った耳、額のシワ、引き締まった体、背中へ巻いた尾が特徴的な中央アフリカ原産の犬種です。

JKCでは用途を「猟犬、家庭犬」としています。

世界的に「吠えない犬」として有名ですが、完全に声を出さない犬ではありません。

一般的な吠え方は少なくても、ヨーデルと笑い声の中間のような独特の発声をすることがあります。

バセンジーを理解する時には、声よりも自立心と狩猟本能を重視した方がよいでしょう。

非常に利口ですが、自分で判断して行動する犬なので、常に飼い主さんの指示を待つタイプとは限りません。

強く叱って従わせるのではなく、食べ物、遊び、におい嗅ぎなどを報酬にし、短く分かりやすいトレーニングを行います。

狩猟犬として獲物を追ってきたため、猫、鳥、小動物などへ急に反応する犬もいます。

囲われていない場所ではノーリードにせず、玄関や庭を含めて脱走対策を徹底してください。

被毛は短く、定期的な全身トリミングは基本的に必要ありません。

清潔好きで自分の体を毛づくろいする姿もみられますが、ブラッシング、爪、歯、皮膚の確認は続けます。

健康面では、ファンコーニ症候群とPRAが特に重要です。

ファンコーニ症候群では腎臓の尿細管で物質を正常に再吸収できなくなり、水を多く飲む、尿量が増える、体重が減るなどの変化がみられる場合があります。

現在はDNA検査が利用できるため、子犬を迎える場合は親犬の検査結果を確認しましょう。

PRAについてもPRA-BJ1のDNA検査がありますが、この検査だけですべてのPRAを否定することはできません。

そのため、犬種では眼科専門医による定期的な評価も重要です。

繁殖犬ではさらに股関節と甲状腺の評価も推奨されています。

犬種で病気が知られているから必ず発症するわけではありませんが、どのような症状を確認すべきか知っておくことで早期受診につなげられます。

バセンジーは、「吠えない珍しい犬」という説明だけでは分からない、長い歴史と強い個性を持った魅力的な猟犬です。自立心を尊重したトレーニング、十分な運動、徹底した脱走防止、狩猟本能への理解、そしてファンコーニ症候群やPRAを中心とした健康管理まで受け入れられることが、バセンジーと長く楽しく暮らすための大切なポイントです。


【最新版】私がおすすめする犬用品10選

👉実際に私が使用して、おすすめする10選はこちらから