
愛犬の耳をめくったら、いつもより耳垢がたくさん付いていた。
黒い耳垢が増えた、茶色くベタベタしている、黄色っぽい耳垢が付いている。
このような変化を見ると、「耳掃除をすれば大丈夫?」「耳ダニ?」「外耳炎なの?」と心配になりますよね。
犬の耳垢は、耳の中の皮脂や角質などが混ざってできるため、少量であれば必ずしも異常ではありません。しかし、普段より急に量が増えた、色やにおいが変わった、ベタつきが強い、耳をかく・頭を振る・痛がるといった症状が加わる場合は、外耳炎をはじめとする耳のトラブルが隠れている可能性があります。
耳垢の色も手掛かりになります。黒っぽい耳垢は耳ダニやマラセチアなどで見られることがあります。茶色く脂っぽい耳垢では酵母や炎症、黄色から緑色で膿のような耳垢では細菌感染が疑われることがあります。
ただし、耳垢の色だけで原因を確定することはできません。同じ黒い耳垢でも、耳ダニ、マラセチア、慢性外耳炎など複数の原因が考えられます。正しい治療を選ぶには、耳鏡で耳道と鼓膜を確認し、耳垢を顕微鏡で調べる検査が重要です。
また、犬の外耳炎は「耳の中に菌が入ったから起こる感染症」と単純に考えない方がよい病気です。アレルギー、耳ダニ、異物などが最初の原因となり、その結果としてマラセチアや細菌が増えているケースがあります。繰り返す外耳炎では、耳だけを何度も洗浄・投薬するだけでなく、背景にある原因を探すことが再発予防につながります。
耳を強く痛がる、耳から血や膿が出る、耳が大きく腫れる、首を傾ける、ふらつく、ぐるぐる回る、顔の動きがおかしいなどの症状がある場合は、自宅で耳掃除を続けず早めに動物病院へ相談してください。
この記事では、犬の耳垢が増える原因、黒・茶・黄色など色別に考えたいこと、耳ダニやマラセチア、細菌、アレルギーとの関係、受診目安、動物病院での検査、自宅でやってよいこと・避けたいことまで詳しく解説します。

- 犬の耳垢はどこまでなら正常?
- 耳垢の色だけで病名を決めない
- 黒い耳垢が多い時に考えられる原因
- 茶色くベタベタした耳垢はマラセチア?
- 黄色・緑色・膿のような耳垢は早めに受診
- 犬の耳垢が急に増える主な原因
- 耳が臭い時は耳垢の色と一緒に確認する
- 頭を何度も振る場合は耳の違和感が強い可能性
- 首を傾ける・ふらつく時は耳の奥も確認する
- すぐ動物病院へ相談したい危険サイン
- 動物病院ではどんな検査をする?
- 耳垢が多い時に自宅で耳掃除していい?
- 綿棒を耳の奥まで入れない
- アルコール・オキシドールなどを自己判断で入れない
- 耳掃除のしすぎも外耳炎の原因になる?
- シャンプー・水遊び後に耳垢が増えた場合
- 垂れ耳の犬は外耳炎になりやすい?
- 片耳だけ耳垢が多い時に考えたいこと
- 外耳炎を繰り返す犬は「治った後」が大切
- 子犬・成犬・シニア犬で注意点は違う
- 自宅で確認しておきたいポイント
- 犬の耳垢が多い時にやってはいけないこと
- よくある質問
- まとめ|耳垢は「色」だけでなく量・におい・かゆみ・痛みを一緒に見る
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犬の耳垢はどこまでなら正常?
健康な犬でも、耳の入口に少量の耳垢が付くことはあります。耳垢は、耳道の皮膚から出る分泌物や角質、ほこりなどが混ざってできるものです。
大切なのは「耳垢があるかないか」だけではなく、普段の状態と比べて変化しているかを見ることです。
- いつもより明らかに量が増えた
- 片耳だけ急に汚れるようになった
- 黒・黄・緑など色が変わった
- ベタベタ・ドロドロしている
- 強いにおいが出てきた
- 耳の中が赤い
- 耳を触ると嫌がる
- 頭を何度も振る
- 後ろ足で耳を何度もかく
こうした変化があれば、単なる「耳が汚れやすい体質」と決めつけず原因を確認しましょう。
また、耳垢の量には個体差があります。垂れ耳や耳道が狭い犬では耳の中が蒸れやすく、健康でも多少汚れがたまりやすいことがあります。一方、立ち耳でもアレルギーや外耳炎があれば大量の耳垢が出ることがあります。
耳垢の色だけで病名を決めない
耳垢の色は診断の手掛かりになりますが、色だけで「黒いから耳ダニ」「茶色いからマラセチア」と決めることはできません。
| 耳垢の見え方 | 考えられること | 一緒に見たい症状 |
|---|---|---|
| 黒~こげ茶で乾いた耳垢 | 耳ダニ、外耳炎、乾いた分泌物など | 強いかゆみ、頭振り、同居動物の症状 |
| 茶色くベタベタした耳垢 | マラセチア、皮脂増加、外耳炎など | 強いにおい、赤み、かゆみ |
| 黄色~黄緑色の耳垢 | 細菌感染を伴う外耳炎など | 悪臭、腫れ、痛み、膿状の分泌物 |
| 血が混じる | 強い炎症、かき壊し、異物、腫瘤など | 痛み、腫れ、片耳だけの症状 |
| 少量の薄茶色 | 正常範囲の耳垢の場合もある | 量の増加やかゆみがないか |

実際の診断では、耳垢の色に加えて、におい、量、耳道の赤み、腫れ、痛み、鼓膜の状態、顕微鏡で見た酵母・細菌・耳ダニなどを総合して判断します。
黒い耳垢が多い時に考えられる原因
黒い耳垢を見ると、多くの飼い主さんが耳ダニを心配します。確かに耳ダニでは、コーヒーかすのような黒~こげ茶色の乾いた耳垢が増えることがあります。
ただし、黒い耳垢は耳ダニだけの特徴ではありません。マラセチアが増えた外耳炎や、慢性的な耳の炎症でも暗い色の耳垢が見られることがあります。
耳ダニを疑いやすいのは、特に次のような状況です。
- 子犬である
- 保護されたばかりである
- 同居犬や猫にも耳のかゆみがある
- 耳を非常に強くかく
- 頭を何度も振る
- 黒く乾いた耳垢が大量にある
耳ダニは動物同士の接触でうつるため、多頭飼育では同居動物の確認も重要です。見た目だけで耳ダニ用の薬を使うのではなく、耳垢を顕微鏡で確認してもらいましょう。
茶色くベタベタした耳垢はマラセチア?
茶色く脂っぽい、ベタベタした耳垢では、マラセチアという酵母が増えていることがあります。
マラセチアは犬の皮膚や耳に存在することがある酵母で、存在するだけなら必ず病気というわけではありません。しかし、耳の中が蒸れる、皮膚のバリアが乱れる、アレルギーなどで炎症が起きると増殖しやすくなります。
- 茶色く脂っぽい耳垢
- 独特の強いにおい
- 耳の中が赤い
- 耳をかゆがる
- 頭を振る
- 足先やわき、口周りなどもかゆがる
耳だけでなく足先をなめる、わきやお腹の皮膚も赤いなどの症状がある場合は、背景にアレルギー性皮膚疾患が関係していないかも確認します。
黄色・緑色・膿のような耳垢は早めに受診
黄色から黄緑色で、クリーム状や膿のように見える耳垢が出ている場合は、細菌が関係する外耳炎を考えます。
細菌感染を伴う外耳炎では、耳が強く赤くなる、腫れる、触ると痛がる、強い悪臭が出るなどの症状が見られることがあります。
特に痛みが強い場合や、耳道の皮膚がただれている場合は、自宅で耳洗浄を繰り返すとさらに痛みを強くすることがあります。
細菌の種類や薬剤への反応はケースによって異なるため、慢性化・重症化した外耳炎では培養検査や薬剤感受性検査が必要になることもあります。
犬の耳垢が急に増える主な原因

耳垢が増える背景には、耳の中で炎症や分泌物の増加が起きています。代表的な原因を順番に見ていきましょう。
原因① 外耳炎
犬で耳垢が増える時に最も重要な病気のひとつが外耳炎です。外耳炎は耳の入口から鼓膜までの外耳道に炎症が起きている状態です。
- 耳垢が増える
- 耳が赤い
- 耳が臭い
- 耳をかく
- 頭を振る
- 耳を触ると嫌がる
- 耳道が腫れる
外耳炎では、原因を「菌」だけに求めないことが重要です。アレルギーや寄生虫などの一次的な原因があり、その結果としてマラセチアや細菌が増えていることがあります。
・犬の外耳炎とは?耳をかく・臭い・頭を振る時の原因と治療を解説
原因② 耳ダニ
耳ダニは耳道に寄生する小さなダニです。強いかゆみと黒っぽい耳垢を起こすことがあります。
子犬や猫と接触する機会が多い犬では特に注意します。耳ダニそのものだけでなく、耳を強くかくことで耳介に傷ができたり、二次的に細菌や酵母の感染が起きたりすることもあります。
耳ダニが疑われる時は、同居動物も含めた対応が必要になる場合があります。
原因③ マラセチア
マラセチアは耳道内で増えると、耳垢、におい、赤み、かゆみの原因になります。
ただし、マラセチアが増えている理由を考えることも大切です。アレルギーや耳の蒸れ、慢性的な炎症が背景にあると、治療後も再発しやすくなります。
原因④ 細菌
炎症で耳道の環境が変化すると、細菌が増えて外耳炎を悪化させることがあります。
強い痛み、黄~緑色の分泌物、悪臭、ただれがある場合は特に注意します。
市販の耳薬や以前処方された耳薬を自己判断で使うと、原因に合わないだけでなく、鼓膜の状態によっては使用すべきでない成分が含まれている可能性もあります。
原因⑤ アレルギー
繰り返す外耳炎で非常に重要なのがアレルギーです。環境アレルギーや食物反応などがある犬では、外耳道の皮膚にも炎症が起こります。
最初は耳だけに症状が出て、その後足先や顔、わき、お腹などにもかゆみが見られる犬もいます。
- 外耳炎を何度も繰り返す
- 両耳に症状がある
- 足をよくなめる
- 顔をこする
- 皮膚が赤い
- 季節によって悪化する
こうした場合は、耳だけではなく皮膚全体を診てもらうことが重要です。
原因⑥ 草の種などの異物
散歩や草むらで遊んだ後、片耳だけ急に気にし始めた場合は、耳道内へ植物片などの異物が入った可能性も考えます。
- 突然激しく頭を振る
- 片耳だけを気にする
- 耳を触ると強く嫌がる
- 散歩直後から症状が始まった
耳の奥へ入った異物を家庭でピンセットなどを使って取ろうとすると、さらに奥へ押し込んだり耳道を傷つけたりする可能性があります。
原因⑦ 腫瘤・ポリープ・耳道の構造的な問題
特にシニア犬で、片耳だけの外耳炎や耳垢が長く続く場合は、耳道内の腫瘤なども確認します。
慢性炎症が続くと耳道の皮膚が厚くなり、耳の通り道そのものが狭くなることもあります。狭くなった耳道では湿気や分泌物がたまりやすく、さらに炎症が悪化する悪循環が起こります。
耳が臭い時は耳垢の色と一緒に確認する
耳垢の量が増えると、耳のにおいも変化することがあります。
特にマラセチアや細菌が関係する外耳炎では、普段とは違う強いにおいが出ることがあります。
「犬の耳だから多少臭うのは普通」と考えるより、左右を比べてみましょう。片耳だけ急に強く臭う、耳垢も増えた、赤くなっている場合は受診の目安になります。
・犬の耳が臭い・かゆい原因とは?外耳炎やアレルギーの受診目安を解説
頭を何度も振る場合は耳の違和感が強い可能性
耳垢が増えた犬が、何度も頭をブルブル振ることがあります。
頭振りは耳の中のかゆみ、痛み、異物、水分、分泌物などを気にしているサインです。
激しく頭を振り続けると、耳介の血管が切れて耳血腫につながることもあります。
・犬が頭を振る原因とは?ブルブルを繰り返す時の耳の病気と受診目安
首を傾ける・ふらつく時は耳の奥も確認する
外耳炎が重症化したり、中耳や内耳まで炎症が及んだりすると、耳垢やかゆみだけではなく平衡感覚に関係する症状が出ることがあります。
- 頭を左右どちらかへ傾ける
- まっすぐ歩けない
- 同じ方向へ倒れる
- 眼球が左右や上下に揺れる
- ぐるぐる回る
- 吐き気・嘔吐がある
こうした症状がある場合は、家庭で耳掃除をして様子を見る段階ではありません。
・犬が頭を傾ける原因とは?首をかしげたまま戻らない時の病気と受診目安
・犬がふらつく原因とは?まっすぐ歩けない・倒れる時の危険サインと受診目安
すぐ動物病院へ相談したい危険サイン
耳垢が増えただけで緊急になるケースは多くありませんが、次の症状がある場合は早めの受診が必要です。
- 耳を触れないほど強く痛がる
- 黄色・緑色の膿のような分泌物が多い
- 耳から血が出ている
- 耳道が腫れて入口が見えにくい
- 耳介が急に大きく膨らんだ
- 首を傾けている
- ふらつく
- 眼球が揺れている
- ぐるぐる回る
- 口を開けると痛がる
- 元気や食欲が落ちている
- 片耳だけの症状が長く続く
神経症状を伴う場合は、中耳炎・内耳炎など耳の奥の病気も考えます。症状が急に出た場合は、夜間や休日でも受診先へ電話して相談しましょう。
動物病院ではどんな検査をする?

耳垢が増えた犬では、「汚れを取る」ことより、なぜ増えたのかを調べることが重要です。
耳鏡検査
耳鏡という器具で耳道の中を確認します。赤み、腫れ、耳垢、異物、腫瘤などを観察し、可能であれば鼓膜の状態まで確認します。
痛みや腫れが非常に強い場合、犬が耳を触らせず安全な検査ができないことがあります。その場合は、鎮静や麻酔下で耳を詳しく確認・洗浄することがあります。
耳垢の細胞診
耳垢を採取して顕微鏡で観察し、マラセチア、細菌、炎症細胞などを確認します。
外耳炎では、耳垢の見た目だけで治療薬を決めるより、細胞診で何が増えているか確認することが重要です。
耳ダニの確認
耳ダニが疑われる場合は、耳垢を顕微鏡で確認したり、耳鏡でダニを観察したりします。
耳ダニとマラセチア・細菌感染が同時に起こっていることもあります。
培養・薬剤感受性検査
重度、慢性、治療しても繰り返す細菌感染などでは、どの細菌が増えているか、どの抗菌薬が効きやすいかを調べる培養検査が必要になることがあります。
アレルギーや全身疾患の評価
両耳の外耳炎を繰り返す犬、皮膚のかゆみもある犬では、アトピー性皮膚炎や食物反応などの背景を評価します。
慢性化した耳の問題では、甲状腺など全身の病気が関係していないか検査する場合もあります。
耳垢が多い時に自宅で耳掃除していい?
耳垢が少量で、赤み・痛み・強いにおい・かゆみがなく、獣医師から普段の耳洗浄方法を教わっている犬であれば、指示されたイヤークリーナーを使ってケアできることがあります。
しかし、耳垢が急に増えた時点で病気の可能性があるため、初めて大量の耳垢を見つけた場合や、痛み・赤み・悪臭がある場合は、洗う前に診察を受けた方が安全です。
病院へ行く直前に耳を徹底的に掃除すると、耳垢の状態や顕微鏡検査に必要な材料が減り、診断しにくくなることがあります。
綿棒を耳の奥まで入れない
人の耳掃除と同じ感覚で、犬の耳道へ綿棒を深く入れるのは避けてください。
犬の耳道は入口から縦方向に進んだ後、横方向へ曲がるL字型の構造をしています。奥の耳垢を綿棒で押すと、汚れをさらに奥へ押し込むことがあります。
また、炎症で敏感になっている耳道を傷つけ、出血や痛みを起こす可能性もあります。
耳掃除が必要な場合は、獣医師に愛犬に合った洗浄剤と方法を教えてもらいましょう。
アルコール・オキシドールなどを自己判断で入れない

耳が臭うから消毒しようとして、アルコール、オキシドール、酢など家庭にある液体を耳へ入れるのは避けてください。
炎症や傷がある耳では強い刺激や痛みになることがあります。また、鼓膜の状態によって安全に使用できる成分が異なるため、耳に入れる物は獣医師が推奨した犬用製品を使用します。
人間用の点耳薬、市販薬、以前別の犬や以前の外耳炎で処方された薬も自己判断で使わないでください。
耳掃除のしすぎも外耳炎の原因になる?
耳を清潔に保とうとして、毎日何度もこすったり、少しの耳垢も完全に取り除こうとしたりすると、耳道の皮膚を刺激することがあります。
健康な犬の耳を常に「無臭・耳垢ゼロ」にする必要はありません。
耳掃除の頻度は犬によって異なります。外耳炎を繰り返す犬では定期洗浄が必要な場合がありますが、洗浄剤の種類や頻度は病状に合わせて調整します。
シャンプー・水遊び後に耳垢が増えた場合
シャンプーや水遊び後、耳の中に水分が残ることで外耳道が蒸れ、炎症が起こりやすくなる犬がいます。
特に外耳炎を繰り返している犬では、入浴時に耳へ大量の水を入れないよう注意し、水遊び後の耳ケアについて獣医師へ相談してください。
ただし、綿やティッシュを耳道の奥へ押し込んで水分を取ろうとしないでください。
垂れ耳の犬は外耳炎になりやすい?
コッカースパニエル、バセットハウンドなど耳が大きく垂れている犬や、耳道に毛が多い犬では、湿気がこもりやすいことが外耳炎の一因になる場合があります。
しかし、垂れ耳だけが外耳炎の原因ではありません。
アレルギーや耳道の構造、皮脂、感染、過去の炎症など複数の要因が重なります。
耳毛についても、すべての犬で定期的に大量に抜けばよいわけではありません。耳毛を抜く刺激が炎症につながる犬もいるため、必要性はトリマーや獣医師と相談してください。
片耳だけ耳垢が多い時に考えたいこと
両耳ではなく片耳だけ急に耳垢が増えた時は、左右で違う原因がないか確認します。
- 草の種などの異物
- 片側だけの外耳炎
- 耳道内の腫瘤・ポリープ
- 傷
- 片側だけ強くかいたことによる出血
特にシニア犬で、片耳だけの耳垢・悪臭・出血が治療しても繰り返す場合は、腫瘤などを含めて耳道内を詳しく確認してもらいましょう。
外耳炎を繰り返す犬は「治った後」が大切
耳垢とにおいが減ると「治った」と感じますが、外耳炎では再診で耳道の炎症や細胞診を確認することが重要です。
症状だけ先に改善しても、耳道の中にはまだ炎症や酵母・細菌が残っていることがあります。
処方された耳薬を途中で自己判断で中止すると再発につながることがあります。獣医師の指示された期間と再診時期を守りましょう。
さらに、何度も外耳炎を繰り返す場合は、アレルギーや耳の構造など再発要因を確認することが重要です。
子犬・成犬・シニア犬で注意点は違う

子犬の場合
子犬で黒い耳垢と強いかゆみがある場合は、耳ダニを確認します。保護犬や多頭飼育の環境から迎えた犬では、同居動物への感染にも注意が必要です。
子犬は耳を強くかいて皮膚を傷つけることがあります。耳の後ろに傷やかさぶたが増えている場合も早めに診てもらいましょう。
成犬の場合
成犬では、外耳炎、アレルギー、マラセチアや細菌、異物など幅広い原因を考えます。
特に毎年同じ季節に悪化する、足先や顔もかゆがる場合は、耳だけではなくアレルギー性皮膚疾患との関連を確認します。
シニア犬の場合
シニア犬では、慢性外耳炎による耳道の狭窄や、腫瘤なども確認する必要があります。
以前は耳トラブルがなかった高齢犬で、急に片耳だけ汚れ・出血・においが出始めた場合は、年齢による耳垢の増加だけと考えないようにしてください。
自宅で確認しておきたいポイント
受診前に次の情報を確認しておくと、診察の手掛かりになります。
- いつから耳垢が増えたか
- 片耳か両耳か
- 耳垢の色
- 乾いているかベタベタしているか
- 強いにおいがあるか
- 耳をかいているか
- 頭を振るか
- 痛がるか
- 最近シャンプーや水遊びをしたか
- 草むらへ入ったか
- 同居動物に耳症状があるか
- 皮膚のかゆみもあるか
- 過去に外耳炎を繰り返しているか
耳垢の写真を撮っておくのも役立ちます。ただし、写真を撮るために痛がる耳を強く広げたり、奥まで無理に覗いたりしないでください。
犬の耳垢が多い時にやってはいけないこと
- 綿棒を耳道の奥まで入れる
- ピンセットで奥の耳垢や異物を取ろうとする
- アルコールやオキシドールを耳へ入れる
- 人間用の点耳薬を使う
- 以前処方された耳薬を自己判断で再使用する
- 耳ダニと決めつけて市販薬だけで長期間様子を見る
- 痛がる犬を押さえつけて大量に洗浄する
- 出血している耳を何度もこする
- 外耳炎を繰り返しているのに背景の原因を調べない
- 首の傾きやふらつきがあるのに耳掃除で様子を見る
耳のトラブルは、家庭で「きれいにする」ことだけでは解決しない場合があります。耳垢が増えた原因を確認し、その原因に合った治療を行うことが大切です。
よくある質問
Q. 犬の黒い耳垢は耳ダニですか?
黒い耳垢は耳ダニで見られることがありますが、マラセチアや慢性外耳炎でも黒っぽく見えることがあります。色だけでは判断できないため、強いかゆみや頭振りがある場合は耳垢の検査を受けましょう。
Q. 茶色くベタベタした耳垢は何が原因ですか?
マラセチアが増えた外耳炎などで見られることがあります。におい、赤み、かゆみ、皮膚症状がないかも確認してください。
Q. 黄色い耳垢はすぐ病院へ行った方がいいですか?
黄色から緑色で膿のような分泌物、強い悪臭、痛み、腫れを伴う場合は細菌感染を含む外耳炎の可能性があるため、早めの受診をおすすめします。
Q. 耳垢が多いだけで、かゆがっていません
軽い耳垢の増加だけなら緊急ではない場合もあります。ただし、以前より明らかに増えた、片耳だけ多い、においが変わった場合は一度耳道を確認してもらうと安心です。
Q. 耳掃除をすれば外耳炎は治りますか?
耳掃除だけで改善するとは限りません。外耳炎ではアレルギー、耳ダニ、異物などの一次原因や、マラセチア・細菌の増殖に合わせた治療が必要です。
Q. 綿棒で耳垢を取ってもいいですか?
耳道の奥へ綿棒を入れるのは避けてください。耳垢を奥へ押し込んだり、炎症している耳道を傷つけたりする可能性があります。
Q. 外耳炎を何度も繰り返すのは耳掃除不足ですか?
必ずしもそうではありません。繰り返す外耳炎ではアレルギーなどの背景疾患が関係していることがあります。洗浄頻度を増やすだけでなく、原因を評価することが重要です。
Q. シャンプー後に耳垢が増えました
耳の中へ水分が入り蒸れたことで、外耳炎が起きたり悪化したりする犬がいます。赤み、におい、頭振りが続く場合は受診してください。
Q. 片耳だけ耳垢が多いのはなぜですか?
片側の外耳炎、異物、傷、耳道内の腫瘤などが考えられます。特に突然始まった場合や、シニア犬で長く続く場合は詳しい耳鏡検査を受けましょう。
Q. 耳垢に血が混じっています
強くかいた傷、重度の炎症、異物、腫瘤などが考えられます。耳の奥を自分で掃除せず、痛みや腫れがある場合は早めに動物病院へ相談してください。
まとめ|耳垢は「色」だけでなく量・におい・かゆみ・痛みを一緒に見る

犬の耳垢は少量であれば正常でも見られますが、急に量が増えた、色が変わった、ベタつきや悪臭が出た場合は耳のトラブルを考えます。
黒い耳垢は耳ダニで有名ですが、マラセチアや慢性外耳炎でも見られるため、「黒い=耳ダニ」とは決められません。茶色くベタベタした耳垢ではマラセチア、黄色から緑色で膿状の分泌物では細菌感染などが疑われますが、最終的には耳鏡検査や耳垢の細胞診が重要です。
外耳炎では、マラセチアや細菌を治療するだけでなく、その背景にあるアレルギー、耳ダニ、異物、耳道の構造などを確認することで再発を減らせる場合があります。
自宅で耳を確認する時は、見える範囲の赤み、腫れ、耳垢の色、におい、左右差を見る程度にし、痛がる犬の耳へ綿棒やピンセットを入れないでください。
また、アルコール、オキシドール、人間用点耳薬、以前処方された耳薬を自己判断で使用することも避けましょう。
耳を強く痛がる、血や膿が出る、耳道が大きく腫れる、首を傾ける、ふらつく、ぐるぐる回る場合は、外耳だけでなく耳の奥まで炎症が及んでいる可能性があります。耳掃除で様子を見ず、早めに動物病院へ相談してください。
耳垢の変化は、外から確認しやすい大切な健康サインです。「また汚れているから掃除しておこう」で終わらせず、量・色・におい・かゆみ・痛みをセットで確認し、繰り返す場合は原因まで調べてもらいましょう。


