
ロットワイラーは、黒い被毛に鮮明なタン・マーキング、幅のある頭部、厚い胸、力強く筋肉質な体が印象的なドイツ原産の犬種です。
堂々とした外見から「怖そうな犬」というイメージだけで語られることもありますが、本来は人と一緒に仕事をしてきた作業犬です。家畜を追い、主人や財産を守り、荷車を引き、のちには警察犬としても能力を発揮してきました。
ジャパンケネルクラブ(JKC)の現行犬種標準での用途は、正確に「家庭犬、サービス犬及び作業犬」です。
JKCでは性格について、気立てがよく、基本的に落ち着きがあり、忠誠心が強く、従順で熱心に作業すると説明しています。一方で、周囲をよく観察し、非常に用心深く反応する犬でもあります。
そのため家庭犬として暮らす場合は、「強い犬だから厳しく抑え込む」のではなく、子犬期から人・犬・場所・音などへ適切に慣らし、飼い主さんとのコミュニケーションを積み重ねることが非常に重要です。
成犬では40~50kg前後になる力の強い大型犬です。穏やかに育った犬でも、興奮して飛びついたりリードを引いたりすれば、人が転倒する可能性があります。
この記事では、ロットワイラーの性格・飼いやすさ・大きさ・寿命・運動量・抜け毛・留守番・しつけから、股関節や肘関節、心臓、眼科、JLPP、骨肉腫など知っておきたい健康問題まで、実際の日本での暮らしを想定して詳しく解説します。
- 1. ロットワイラーの基本情報
- 2. ロットワイラーの性格
- 3. ロットワイラーの飼いやすさ
- 4. ロットワイラーは初心者でも飼いやすい?
- 5. ロットワイラーの大きさ・体重
- 6. ロットワイラーの平均寿命
- 7. ロットワイラーに必要な運動量
- 8. ロットワイラーの抜け毛・お手入れ
- 9. ロットワイラーは留守番しやすい?
- 10. ロットワイラーのしつけのしやすさ
- 11. 無駄吠え・噛み癖などの注意点
- 12. ロットワイラーが注意したい病気・健康問題
- 13. ロットワイラーの食事・ドッグフード選び
- 14. ロットワイラーの子犬期の注意点
- 15. ロットワイラーのシニア期の注意点
- 16. ロットワイラーが向いている人
- 17. ロットワイラーのよくある質問
- まとめ|ロットワイラーは力強さと落ち着きを併せ持つ作業犬
- 【最新版】私がおすすめする犬用品10選
1. ロットワイラーの基本情報
ロットワイラーは、長い歴史を持つ使役犬です。
JKCではその起源をローマ時代までさかのぼる犬種と説明しています。家畜の番犬や追い立て犬としてローマ軍とともにアルプスを越え、現在のドイツ・ロットワイル地方で地域の犬と交配されながら発達したとされています。
ロットワイルでは家畜を追うだけでなく、主人を護衛し、財産を守る犬として利用され、「ロットワイルの肉屋の犬」と呼ばれてきた歴史があります。
その後は牽引犬としても活躍し、20世紀初頭には警察犬として適性が認められました。現在でも家庭犬としてだけでなく、作業能力を生かせる犬種として知られています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 犬種名 | ロットワイラー |
| 英名 | ROTTWEILER |
| 原産国 | ドイツ |
| FCIスタンダード | No.147 |
| JKCグループ | 2G:使役犬 |
| 用途(JKC) | 家庭犬、サービス犬及び作業犬 |
| サイト内サイズ分類 | 大型犬 |
| 体高 | 牡61~68cm/牝56~63cm |
| 体重 | 牡50kg/牝:約42kg |
| 平均寿命 | 10~12年程度がひとつの目安 |
| 運動量 | 多い。運動に加えて頭を使う活動も必要 |
| 被毛 | トップコート+アンダーコートのダブルコート |
| 毛色 | ブラックを基調に鮮明なタン・マーキング |
| 抜け毛 | あり。季節によって増えることがある |
| トリミング | 通常は定期的な全身カット不要。ブラッシング・爪・耳・歯の管理が中心 |
| 留守番 | 練習は可能だが、長時間の孤立が日常化しない生活が望ましい |
| しつけやすさ | 学習能力は高いが、早期社会化と一貫したトレーニングが重要 |
| 初心者向き | 条件次第。大型犬の力と警戒性を適切に管理できる準備が必要 |

2025年のJKC犬種別犬籍登録頭数では、ロットワイラーは244頭で全犬種44位でした。
この数字は2025年1月から12月までにJKCへ新規に血統登録され、血統証明書が発行された頭数です。現在日本で生活しているロットワイラーの総頭数を示す数字ではない点には注意してください。
2. ロットワイラーの性格
ロットワイラーは、落ち着き、自信、忠誠心、作業意欲を持つことが理想とされる犬種です。
家族に対して深い愛着を持つ犬が多く、信頼した人のそばで過ごすことを好みます。体格からは想像しにくいほど甘えたり、飼い主さんの動きをよく観察したりする犬もいます。
一方で、誰にでもすぐ近づいていくタイプばかりではありません。本来、主人や財産を守る仕事をしてきたため、初対面の人や見慣れない出来事へ慎重に反応する犬もいます。
この「慎重さ」や「警戒心」は、適切に育てれば落ち着いた判断力につながります。しかし社会化が不足したり、怖い経験が積み重なったりすると、知らない人や犬へ過剰に反応する可能性があります。
そのため、子犬の社会化は「たくさんの人に触らせればよい」という考え方ではなく、さまざまな人や環境が存在していても落ち着いていられる経験を増やしていくことが大切です。
犬が嫌がっているのに無理に触らせたり、犬同士を無理やり近づけたりする必要はありません。少し距離を取りながら静かに観察し、落ち着いていられたら褒める方法も立派な社会化です。
同じロットワイラーでも、社交的な犬、慎重な犬、遊び好きな犬、落ち着いた犬など性格には大きな個体差があります。犬種だけで性格を断定しないようにしましょう。

3. ロットワイラーの飼いやすさ
ロットワイラーは、学習能力が高く、家族と強い関係を築きやすいため、犬とのトレーニングそのものを楽しめる家庭では魅力的なパートナーになります。
ただし、「短毛だから手がかからない」「落ち着いて見えるから飼いやすい」と被毛や見た目だけで判断するのはおすすめできません。
成犬の牡では体重50kgが犬種標準です。リードを強く引く、玄関から飛び出す、人へ飛びつく、といった行動があると、小型犬とは安全面の意味が大きく変わります。
子犬の頃は持ち上げられる大きさでも、短期間で体重が増えます。「大きくなってから教えればいい」ではなく、迎えた日から生活ルールを少しずつ教えていく必要があります。
日本の住宅では、滑りやすいフローリングにも注意します。大型犬は体重があるため、滑って踏ん張る動作が足腰への負担になることがあります。よく通る場所へ滑りにくいマットを敷くなどの工夫が役立ちます。
車での移動についても考えておきましょう。50kg近い犬を抱えて車へ乗せるのは現実的ではありません。自分で安全に乗り降りする練習や、必要に応じたスロープの利用などを若いうちから考えておくと、シニア期にも役立ちます。
大型犬はフード代、予防薬、検査費用、手術費用などが小型犬より高くなることもあります。迎える前には、毎月の費用だけでなく病気やけがに備えた医療費も想定しておきましょう。
4. ロットワイラーは初心者でも飼いやすい?
ロットワイラーを「初心者には絶対無理」と断定する必要はありませんが、初めて犬を飼う家庭では十分な準備が必要な犬種です。
理由は、犬そのものが扱いにくいからというより、体が非常に強く、警戒心を持つ場合があり、若い時期には活動量もあるためです。
小さな犬なら多少リードを引いても人が止められる場面で、40~50kgのロットワイラーが突然走り出せば、成人でも引き倒される可能性があります。
そのため、初心者か経験者かよりも、「大型犬を力だけで制御するのではなく、日頃の練習によって安全に行動できるよう育てられるか」が重要です。
子犬期から専門家のパピークラスやトレーナーへ相談することも有効です。困った行動が大きくなってからではなく、何も問題がない時期から教えてもらうことで、犬とのコミュニケーションを作りやすくなります。
家族全員が同じルールで接することも大切です。一人は飛びつきを許し、一人は強く叱るという状態では、犬にとって何を求められているのか分かりにくくなります。
毎日の散歩、社会化、基礎トレーニング、健康管理、医療費、シニア期の介護まで継続できる家庭であれば、初めて犬を飼う人でも候補にすることはできます。
5. ロットワイラーの大きさ・体重
JKCの現行犬種標準では、ロットワイラーの体高は牡61~68cm、牝56~63cmです。
牡では65~66cm、牝では60~61cmが理想体高とされています。
体重は牡50kg、牝約42kgです。もちろん実際の犬には骨格や筋肉量による個体差があるため、すべての犬をこの数字へ無理に合わせる必要はありません。
JKCでは一般外貌について「大型犬と中型犬の中間に位置する」と表現していますが、当サイトでは成犬時の一般的な体格を基準として大型犬に分類します。
ロットワイラーは単に体重が重いだけではなく、骨格がしっかりし、筋肉量が多い犬です。見た目以上に力があります。
肥満になると関節や心肺への負担が増えます。「ロットワイラーらしく大きくしたい」という理由で太らせるのではなく、肋骨の触れ方や腰のくびれなどを確認しながら適正なボディコンディションを維持しましょう。
6. ロットワイラーの平均寿命
ロットワイラーの寿命は、おおむね10~12年程度がひとつの目安として紹介されています。
ただし平均寿命は「その犬が何歳まで生きるか」を予測する数字ではありません。遺伝的な背景、体重、食事、運動、病気、事故、生活環境、日常の医療などによって変わります。
ロットワイラーは筋肉質で頑丈な印象があるため、小さな体調変化を見逃さないことも大切です。
散歩を嫌がるようになった、以前より疲れやすくなった、体重が減った、しこりを見つけた、呼吸が速くなったといった変化を「年齢のせい」と決めつけないでください。
元気な時から定期的に健康診断を受け、体重や血液検査などの基準値を残しておくと、シニア期の変化に気づきやすくなります。
7. ロットワイラーに必要な運動量
ロットワイラーは大型の作業犬であり、毎日の適度な運動が必要です。
ただ長距離を走らせ続けるのではなく、歩く、においを嗅ぐ、物を探す、持ってくる、基礎トレーニングをするなど、体と頭を両方使える活動を組み合わせるとよいでしょう。
若い成犬で健康上の問題がなければ、朝夕の散歩を生活の基本にし、犬の体力や性格に合わせて遊びやトレーニングを加えます。
作業意欲のある犬では、オビディエンス、ノーズワーク、トラッキングなど人と協力する活動も良い刺激になります。
一方で、ロットワイラーは体重のある大型犬です。成長期の子犬へ長時間の強制的なランニングや、高い場所から繰り返し飛び降りる運動をさせる必要はありません。
特に股関節や肘関節の健康を考えると、成長段階に合った運動量と適正体重の維持が重要です。
日本の夏は運動管理に注意が必要です。黒い被毛は日差しの影響も受けやすく、気温だけではなく湿度が高い日は熱を逃がしにくくなります。
真夏の日中は避け、早朝や夜など比較的涼しい時間帯を選びます。呼吸が非常に荒い、ふらつく、反応が鈍い、ぐったりするなどの変化があれば運動を続けないでください。

大型犬ではハーネスや首輪へ落ち着いて慣れていることも安全管理につながります。装着を嫌がる場合は、犬をハーネスへ慣らす練習から段階的に進めましょう。
8. ロットワイラーの抜け毛・お手入れ
ロットワイラーの被毛は、トップコートとアンダーコートからなるダブルコートです。
FCIスタンダードでは、トップコートは中程度の長さで粗く、密で、体へ平らに寝るとされています。
長毛犬のように日常的な毛のもつれが大量に起きる犬種ではありませんが、短毛だから抜け毛がないわけではありません。
年間を通して毛は抜け、季節の変わり目にはアンダーコートが増えて抜けることもあります。定期的にラバーブラシや短毛犬向けのブラシを使い、抜け毛と皮膚の状態を確認しましょう。
被毛を維持するための定期的な全身カットは基本的に必要ありません。
一方、爪、耳、歯、足裏などのケアは必要です。体重が重いため、爪が伸びすぎて歩き方へ影響しないよう定期的に確認してください。
垂れ耳なので、耳の入口に赤み、強いにおい、大量の耳垢、かゆみがないかも確認します。ただし健康な耳を毎日洗浄したり、綿棒を奥まで入れたりする必要はありません。
子犬の頃から足先、口元、耳などを短時間だけ優しく触り、嫌がる前に終わらせる練習を積み重ねておくと、成犬になった時のお手入れが楽になります。

9. ロットワイラーは留守番しやすい?
ロットワイラーでも、適切に練習すれば一定時間の留守番はできます。
ただし、家族との結びつきを重視しやすい犬なので、毎日朝から夜まで長時間ひとりという生活が必ずしも向いているわけではありません。
留守番の練習は、迎えた直後からいきなり数時間外出するのではなく、飼い主さんが別室へ移動する、数十秒だけ姿が見えなくなる、といった小さな段階から始めます。
「人がいなくなっても安全に休める」経験を重ねることが大切です。
クレートやサークルを利用する場合も、閉じ込める罰として使うのではなく、犬が自分から休める場所として少しずつ慣らしてください。
留守番中に家具を壊す、ドアを激しく引っかく、吠え続ける、大量のよだれが出る、自分を傷つけるほど脱出しようとするといった行動がある場合は、単なる退屈だけではなく強い不安が関係している可能性があります。
詳しい練習方法は、犬の留守番のしつけ方も参考にしてください。
10. ロットワイラーのしつけのしやすさ
ロットワイラーは学習能力が高く、人と一緒に作業してきた犬種なので、適切な方法で教えればさまざまなことを覚えられます。
ただし、「賢い=何もしなくても従順」という意味ではありません。
賢い犬は、望ましい行動だけでなく、自分にとって得になる行動も学習します。
吠えれば人が近づいた、飛びつけば遊んでもらえた、リードを強く引けば行きたい場所まで早く行けたという経験が続けば、それも犬にとって学習になります。
大切なのは、してほしくない行動だけを叱ることではなく、「何をすればよいか」を具体的に教えることです。
たとえば来客時に飛びついてほしくないのであれば、飛びつきを止めるだけでなく、少し離れた場所でおすわりして待つ練習をします。
散歩中に人や犬へ強く反応する場合も、リードを強く引いて叱り続けるより、反応が出る前の距離を保ち、飼い主さんへ注意を戻せたことを褒める方法が役立つ場合があります。
大型犬では「待て」「呼び戻し」「放して」「落ち着いて歩く」「人へ飛びつかない」といった基礎が、単なる芸ではなく事故予防につながります。
犬の「待て」の基本練習も、短い時間と近い距離から段階的に進めてください。
また、体が大きくなってから診察や爪切りを嫌がると、人も犬も大きな負担になります。子犬のうちから動物病院へ慣らす練習をしておくことも重要です。
11. 無駄吠え・噛み癖などの注意点
ロットワイラーは番犬・警護犬として働いてきた歴史を持つため、周囲の変化へ注意を向ける犬がいます。
玄関前を人が通る、インターホンが鳴る、知らない人が家へ入るといった場面で吠えることがあります。
吠えたことだけを叱るのではなく、何に対して反応しているのかを確認し、刺激から距離を取る、落ち着ける場所を作る、別の行動を教えるといった対策を考えます。
子犬期の甘噛みも、体が小さい頃から対応します。ロットワイラーの成犬の顎は非常に強いため、人の手をおもちゃ代わりにして激しく遊ぶ習慣はおすすめできません。
噛んでもよいおもちゃを用意し、「人の手ではなくおもちゃで遊ぶ」経験を増やしましょう。
また、物を取られまいとして守る犬に対し、毎回力ずくで口を開けると、人が近づくこと自体を警戒する可能性があります。
安全な物で「ちょうだい」「放して」の交換練習をしておくと、誤食しそうな物をくわえた時にも役立ちます。
警戒、恐怖、痛みなどによる唸りや噛みつきが見られる場合は、「上下関係の問題」と決めつけないでください。突然行動が変わった場合は体の痛みや病気がないか確認し、必要に応じて獣医師や適切な行動専門家へ相談します。
12. ロットワイラーが注意したい病気・健康問題
ロットワイラーだから必ず特定の病気になるわけではありません。
一方、繁殖犬の健康検査として犬種クラブが重視している項目や、研究で犬種との関連が報告されている病気を知っておくことは、健康管理を考えるうえで役立ちます。
股関節形成不全
American Rottweiler Clubでは、繁殖犬の重要な健康検査として股関節評価を求めています。
股関節形成不全は、股関節の発育や骨同士の適合性に問題が起こり、関節が不安定になったり、変形性関節症へ進んだりすることがある病気です。
立ち上がりに時間がかかる、腰を振って歩く、階段を嫌がる、運動後に後ろ足をかばうなどの変化がみられることがあります。
症状だけで診断することはできません。詳しくは犬の股関節形成不全も参考にしてください。
肘関節形成不全
ロットワイラーでは肘関節の評価も繁殖前検査の重要な項目に含まれています。
肘関節に発育上の異常があると、前足をかばう、散歩後に跛行する、肘を動かしたがらないなどの変化がみられる場合があります。
足を引きずる原因は肘だけではありません。爪、肉球、肩、手首、骨、筋肉などでも似た歩き方になるため、繰り返す場合は診察を受けましょう。
心臓の健康問題・大動脈弁下狭窄など
ARCでは心臓評価も繁殖犬の必須健康検査に含めています。また犬種の健康情報ではSubaortic Stenosis(大動脈弁下狭窄/SAS)も挙げられています。
心臓の問題があっても初期には分かりやすい症状が出ない場合があります。
以前より疲れやすい、散歩中に急に座り込む、咳が続く、安静時でも呼吸が速い、運動中に力が抜ける、突然倒れるといった変化がある場合は確認が必要です。
これらは心臓病だけで起こる症状ではありません。詳しくは犬の心臓病も参考にしてください。
眼科疾患
ロットワイラーでは眼科検査も繁殖前の重要な健康評価です。
ARCの健康情報では、白内障のほか、眼瞼内反や眼瞼外反なども挙げられています。
目が白く見える、目を細める、涙が増える、目が赤い、物にぶつかるといった変化があれば受診してください。
白く濁った目がすべて白内障とは限りません。加齢性の変化や角膜の病気などでも見え方が変わるため、自己判断しないことが大切です。犬の白内障も参考にしてください。
JLPP/POANV
ロットワイラーでは、従来JLPPなどとして扱われてきた遺伝性神経疾患についてDNA検査が利用されています。
UC Davisでは現在、この疾患をPolyneuropathy with Ocular Abnormalities and Neuronal Vacuolation(POANV)として説明しています。
影響を受ける子犬では、非常に若い時期から喉頭麻痺、後ろ足の弱さ、運動機能の異常、眼の異常などがみられる可能性があります。
この病気は常染色体劣性遺伝として扱われます。遺伝子変異を1コピー持つキャリア犬と、病気を発症している犬は同じではありません。
「遺伝子変異がある=必ずその犬が発症する」と単純に判断しないことが重要です。繁殖では親犬同士の検査結果を組み合わせて、発症する子犬を生まないために利用します。
急に足がもつれる、立てない、バランスがおかしいといった症状がある場合は、遺伝性疾患に限らずさまざまな原因が考えられます。犬がふらつく原因と危険サインも確認してください。
骨肉腫
ロットワイラーでは、海外の獣医学資料で骨肉腫のリスクが高い犬種のひとつとして報告されています。
骨肉腫は骨に発生する悪性腫瘍で、大型犬では四肢の骨に起こることがあります。
原因が分からないまま自然発生する例もあり、予防できる病気とは限りません。
特定の足を繰り返しかばう、骨の周辺が腫れる、触ると痛がる、安静にしても跛行が改善しないといった変化があれば、「大型犬だから関節が痛いのだろう」と決めつけず診察を受けてください。
海外研究でリスクが示されていても、海外の発症率をそのまま現在の日本のロットワイラーへ当てはめることはできません。
胃拡張胃捻転(GDV)
胃拡張胃捻転(GDV)は大型犬・超大型犬で特に知っておきたい緊急疾患です。
過去の海外研究にはロットワイラーを対象に含めたものもありますが、犬種ごとの古い海外発症率を現在の日本へ直接当てはめるべきではありません。
一方、病気そのものは急速に命へ関わる可能性があるため、症状を知っておくことには大きな意味があります。
何度も吐こうとするのに何も出ない、急にお腹が張る、よだれが増える、強く落ち着かない、ぐったりする、歯ぐきが白い、倒れるといった症状があれば、自宅で様子を見ず動物病院へ連絡してください。
詳しくは犬の胃拡張胃捻転(GDV)で解説しています。

なお、ARCが求めるCHIC関連の健康検査を受けている犬でも、「CHIC番号がある=すべての検査が正常」「将来病気にならない」という意味ではありません。検査結果そのものを確認することが重要です。
13. ロットワイラーの食事・ドッグフード選び
ロットワイラー専用と書かれたフードでなければ健康を維持できないわけではありません。
基本は、年齢、体重、活動量、健康状態に合った総合栄養食を選び、適正な体型を維持することです。
特に子犬期は大型犬として急速に成長します。
「大きく育てたい」と必要以上にフードを与えて急激に体重を増やすと、成長中の関節へ負担がかかる可能性があります。
大型犬の成長期に対応したフードを利用し、月齢だけではなく体型を確認しながら給与量を調整しましょう。
総合栄養食を与えている犬へ、自己判断でカルシウムなどのサプリメントを大量に追加することも避けてください。
成犬では筋肉質な外見を保つことと、太らせることを混同しないことが大切です。ロットワイラーは骨格がしっかりしているため、多少太っていても「もともと大きな犬だから」と気づきにくいことがあります。
肋骨を軽く触れられるか、上から見て腰に適度なくびれがあるかなどを確認してください。
運動量が多い日と少ない日で消費エネルギーも変わります。おやつやトレーニング用フードも1日の摂取カロリーへ含めて考えます。
心臓病、消化器疾患、尿路疾患などが診断された犬では、一般的なフード選びとは異なる場合があります。療法食は「ロットワイラーだから」という理由で自己判断して使用せず、診断内容に応じて獣医師と相談してください。
14. ロットワイラーの子犬期の注意点
ロットワイラーでは、子犬期の経験が成犬になった後の暮らしやすさへ大きく影響します。
特に大切なのが社会化です。
男性、女性、子ども、帽子をかぶった人、杖を使う人、車、自転車、掃除機、インターホン、動物病院など、生活の中で出会うものへ少しずつ慣らします。
ただし、怖がっている子犬を「慣れさせるため」と刺激の中へ無理に連れていく必要はありません。
子犬が食べ物を受け取れる程度の距離から見る、短時間だけ経験して帰るなど、「怖くなかった」という経験を重ねることが大切です。
大型犬では、人へ飛びつかない、玄関から飛び出さない、リードを強く引かないといった生活習慣も子犬の頃から始めます。
また、体の成長が速い時期なので運動の内容にも注意します。
長距離ランニング、高い段差からの繰り返しの飛び降り、滑る床での激しい方向転換などを日課にするのではなく、散歩、探索、短い遊び、トレーニングなどを組み合わせます。
食事についても「大きくしたい」と太らせないようにしましょう。
親犬の健康情報を確認できる場合は、股関節、肘関節、心臓、眼科、JLPPなどの検査結果も確認しておくと、繁殖管理を判断する材料になります。

15. ロットワイラーのシニア期の注意点
シニア期のロットワイラーでは、体重のある大型犬ならではの介護も考えておく必要があります。
若い頃には簡単にできた階段、車への乗り降り、フローリングでの立ち上がりなどが徐々に難しくなることがあります。
歩く速度が遅くなった、散歩で何度も止まる、立ち上がる時に時間がかかる、特定の足をかばうといった変化があれば、「年だから仕方ない」だけで済ませないようにしましょう。
関節疾患、神経疾患、心臓病、腫瘍などが隠れている場合があります。
特に骨肉腫はロットワイラーとの関連が報告されているため、原因不明の跛行が長く続く場合は確認が必要です。
新しいしこりも、触った感触だけで良性か悪性か判断することはできません。皮膚に新しいできものを見つけた場合は、犬のしこりの原因と受診目安も参考にしてください。
呼吸の変化にも注意します。安静にしているのに呼吸が荒い、以前より運動に耐えられない場合は、心臓や呼吸器だけでなく、痛み、貧血、発熱などさまざまな原因が考えられます。
犬の呼吸が荒い時の危険サインも確認してください。
シニア期も運動を完全にやめるのではなく、体調に合わせて距離や速度を調整し、可能な範囲で筋肉を維持します。
歩けなくなった50kgの犬を一人で抱えるのは非常に難しいため、滑り止め、介護用ハーネス、車のスロープ、寝床の位置なども元気な時から考えておくと安心です。
16. ロットワイラーが向いている人
ロットワイラーは、見た目の迫力や番犬能力だけを求める人より、犬とのコミュニケーションやトレーニングを日常的に楽しめる人に向いています。
- 大型犬の体格と力を理解して安全管理できる人
- 子犬期から社会化を継続できる人
- 毎日の散歩と頭を使う活動を用意できる人
- 力で抑えるのではなく、分かりやすく行動を教えられる人
- 知らない人や犬へ慎重な個体でも無理に交流させない人
- 長時間の留守番ばかりにならない生活を作れる人
- 大型犬の食費・医療費を想定できる人
- 日本の高温多湿な夏に運動時間を調整できる人
- 40~50kgのシニア犬の移動や介護まで考えられる人
反対に「庭に置いておけば番犬になる」「強い犬だから厳しく叱れば従う」と考えている家庭には向きません。
ロットワイラーは人との関係を大切にし、学習能力の高い犬です。家庭の一員として一緒に生活し、望ましい行動を丁寧に教えていくことが必要です。
小さな子どもがいる家庭でも生活できる可能性はありますが、犬種に関係なく子どもと犬だけにしないことが基本です。ロットワイラーは体が大きいため、遊んでいるだけでも子どもを転倒させることがあります。
子ども側にも、寝ている犬を邪魔しない、食事中に手を出さない、抱きつかない、嫌がっている犬を追いかけないといった接し方を教えましょう。
17. ロットワイラーのよくある質問
Q. ロットワイラーは大型犬ですか?
当サイトでは大型犬に分類します。JKC犬種標準では牡の体高61~68cm・体重50kg、牝の体高56~63cm・体重約42kgです。非常に筋肉質で力の強い犬なので、体重の数字以上に安全な取り扱いが重要です。
Q. ロットワイラーは怖い犬ですか?
犬種だけで「怖い」「危険」と決めることはできません。JKCでは、基本的に落ち着き、忠誠心があり、従順で熱心に作業することが理想の性格として示されています。一方で用心深く周囲へ反応する犬でもあるため、子犬期からの社会化とトレーニング、安全管理は重要です。
Q. 初めて犬を飼う人でもロットワイラーを飼えますか?
可能ですが、十分な準備が必要です。特に大型犬の力、社会化、散歩、基礎トレーニング、医療費、将来の介護まで考えてください。初めての場合は、子犬期から専門家のサポートを受けると安心です。
Q. ロットワイラーは子どもと暮らせますか?
適切に社会化され、家族との良い関係を築いている犬であれば一緒に暮らせる可能性があります。ただし体が非常に大きいため、小さな子どもとの接触は大人が見守ってください。犬にも子どもにも無理な接触をさせないことが大切です。
Q. ロットワイラーは毛が抜けますか?
抜けます。短めの被毛ですがアンダーコートを持つため、定期的なブラッシングが必要です。季節の変わり目には抜け毛が増えることもあります。
Q. ロットワイラーはマンションでも飼えますか?
集合住宅だから一律に飼えないわけではありませんが、物件の飼育規約、犬の体格、十分な運動時間、エレベーターや共用部分での安全管理を確認する必要があります。災害やエレベーター停止時に40~50kgの犬をどう移動させるかも考えておきましょう。
Q. ロットワイラーのタン・マーキングはどこにありますか?
JKC・FCIの犬種標準では、ブラックを基調に、頬、マズル、喉、胸、脚、目の上、尾の付け根の下に鮮明なタン・マーキングが入ります。このブラック&タンの配色がロットワイラーの代表的な特徴です。
Q. CHIC番号がある親犬なら病気の心配はありませんか?
いいえ。CHIC番号は、犬種ごとに指定された健康検査を受け、その結果を公開したことを確認する仕組みであり、すべての結果が正常だったことや、将来病気にならないことを保証するものではありません。番号の有無だけではなく、各検査結果を確認してください。
まとめ|ロットワイラーは力強さと落ち着きを併せ持つ作業犬

ロットワイラーは、黒い被毛とタン・マーキング、筋肉質で力強い体が特徴のドイツ原産の作業犬です。
JKCでの用途は「家庭犬、サービス犬及び作業犬」。長い歴史の中で家畜を追い、人や財産を守り、荷物を引き、警察犬としても能力を生かしてきました。
家庭では家族へ深い愛着を持つ犬がいる一方、知らない人や環境へ慎重な場合もあります。
重要なのは、警戒心を無理に消そうとするのではなく、子犬の頃からさまざまな経験を安全に積ませ、どのような場面でも飼い主さんと落ち着いて行動できる力を育てることです。
40~50kg前後になる犬なので、「おすわり」「待て」「呼び戻し」「放して」「落ち着いて歩く」といった基礎トレーニングは安全管理にも直結します。
健康面では股関節、肘関節、心臓、眼科、JLPPなどが繁殖前検査で重視されています。骨肉腫との関連も海外で報告されていますが、犬種だけで病気を決めつけることはできません。
遺伝子検査でキャリアと分かったことと、その犬が発症していることも同じではありません。またCHIC番号があることと、すべての検査結果が正常であることも同じではありません。
ロットワイラーを迎える場合は、見た目の強さや番犬能力だけではなく、運動、社会化、トレーニング、健康管理、医療費、シニア期の介護まで含めて考えましょう。
十分な時間をかけて関係を築き、体の大きさに見合った安全管理を続けられる家庭であれば、ロットワイラーは人と一緒に学び、働き、生活することを楽しめる頼もしいパートナーになるでしょう。


