
パグは、短い鼻、大きな丸い目、額のしわ、くるんと巻いた尾が特徴的な小型犬です。
少し困ったようにも見える表情と、人との距離が近い愛嬌のある性格から、日本でもよく知られている犬種です。
ジャパンケネルクラブ(JKC)では、パグについて「かなりの愛嬌があり、威厳と理解力がある」「安定した性格で、愉快で、活発」としています。
家族と一緒に過ごすことを好む犬が多く、激しい運動を長時間必要とする犬種ではないため、「初心者でも飼いやすそう」と感じる人も多いでしょう。
実際、パグは家庭犬として魅力の多い犬種です。
一方で、飼育前に必ず理解しておきたいのが、短頭種特有の健康管理です。
パグは鼻や頭部が短い「短頭種」に分類されます。かわいらしい短い鼻は犬種の特徴ですが、同時に空気の通り道が狭くなりやすく、短頭種気道症候群(BOAS)による呼吸障害が問題になる犬がいます。
大きく前方へ出た目も魅力のひとつですが、角膜が傷つきやすく、角膜潰瘍などの眼科トラブルにも注意が必要です。
また、顔のしわには湿気や汚れがたまりやすく、皮膚炎を起こす犬もいます。
さらに、パグは食べることが好きな犬が多く、体重が増えやすい傾向があります。
肥満は見た目の問題だけではありません。体重が増えるほど呼吸や関節への負担が大きくなり、暑さにもさらに弱くなる可能性があります。
「パグは鼻が短いからガーガー言うのが普通」「散歩が苦手なのは犬種だから仕方ない」とすべてを犬種の特徴として済ませないことが大切です。
安静時にも大きな呼吸音がする、少し歩いただけで息が苦しくなる、暑い日に極端に弱い、眠っている時に呼吸が止まりそうになるといった状態では、健康上の問題が隠れていることがあります。
この記事では、パグの性格、飼いやすさ、大きさ、寿命、運動量、抜け毛、留守番、しつけから、短頭種気道症候群、目、皮膚、膝、神経疾患など注意したい病気、食事、子犬期・シニア期まで詳しく解説します。

1. パグの基本情報
| 犬種名 | パグ |
|---|---|
| 英名 | Pug |
| 原産 | 中国をルーツとする古い愛玩犬 |
| サイズ分類 | 小型犬 |
| 理想体重 | JKC犬種標準で6.3~8.1kg |
| 平均寿命 | 13~15年程度がひとつの目安 |
| 運動量 | 中程度。激しい運動より短い散歩を複数回 |
| 被毛 | 短く滑らかな被毛 |
| 抜け毛 | 比較的多い |
| トリミング | 全身カットは通常不要。ブラッシングと皮膚ケアが重要 |
| 留守番 | 人との時間を好むため短時間から練習する |
| しつけやすさ | 理解力があり、食べ物を報酬に学びやすい |
| 初心者向き | 健康管理と暑さ対策を十分できる人なら候補 |
パグは中国をルーツとする非常に古い愛玩犬です。
ヨーロッパへ渡った後も王侯貴族などに愛され、現在では世界各地で家庭犬として暮らしています。
JKCの犬種標準では、理想体重は6.3~8.1kgです。
体は小さいものの、細く華奢ではなく、コンパクトで筋肉質な体型が理想とされています。
ただし「がっしりした犬種だから太っていてもよい」という意味ではありません。
犬種標準でも筋肉質なサブスタンスと過体重を混同しないことが明確に示されています。
2. パグの性格
パグは一般に、人とのコミュニケーションを楽しみやすく、愛嬌のある犬種です。
- 家族と一緒にいることを好みやすい
- 明るく愉快な性格の犬が多い
- 遊び好き
- 人への愛着が強い犬が多い
- 理解力がある
- 比較的穏やかに家庭生活へなじみやすい
- 食べ物への意欲が高い犬が多い
パグは、人のそばで過ごすことそのものを楽しむ犬が多く、家族がリビングにいれば同じ部屋で寝ているという姿もよく見られます。
ただし、すべてのパグが同じ性格ではありません。
非常に活発な犬、慎重な犬、ほかの犬が苦手な犬、来客へ吠える犬など個体差があります。
犬種の性格はあくまで傾向です。親犬から受け継ぐ気質、社会化、生活環境、経験、健康状態によっても行動は変わります。
3. パグの飼いやすさ
パグは体がコンパクトで、超大型犬ほど広い住宅スペースを必要としません。
激しい運動を何時間も続ける犬種でもないため、日本のマンションやアパートでも生活環境を整えやすい犬種です。
一方、パグならではの健康管理にはかなり注意が必要です。
- 暑い時間帯の散歩を避ける
- 室温・湿度を管理する
- 呼吸状態を日常的に確認する
- 体重を増やしすぎない
- 目の傷や充血を早く見つける
- 顔のしわを清潔かつ乾燥した状態に保つ
- 耳や歯を定期的に確認する
これらを考えると、「お手入れが簡単だから初心者向き」という犬種ではありません。
被毛のカットは少なくても、呼吸・目・皮膚・体重を毎日見る必要があります。
4. パグは初心者でも飼いやすい?
パグは初めて犬と暮らす人にも候補になります。
人との暮らしを好み、理解力があり、食べ物などを報酬にトレーニングへ取り組みやすい犬が多いためです。
しかし、初めて犬を飼う人ほど、短頭種の健康リスクを十分理解してから迎えることが大切です。
- 夏の室温を適切に管理できる
- 暑い時間帯に散歩をしない
- 大きな呼吸音を「普通」と決めつけない
- 肥満を防ぐ食事管理ができる
- 目を毎日確認できる
- 顔のしわを定期的に確認できる
- 必要な動物病院への受診費用を準備できる
こうした管理を無理なく継続できるのであれば、初心者にも魅力的な家庭犬になります。
反対に、真夏でも昼間に長時間散歩したい、毎日ジョギングを一緒にしたいという生活スタイルとは相性がよくありません。
5. パグの大きさ・体重

JKC犬種標準で示されているパグの理想体重は6.3~8.1kgです。
小型犬としては体に厚みがあり、胸がしっかりした筋肉質な体格です。
ただし、パグは食べ物への意欲が高い犬が多いため、肥満には特に注意します。
体重の数字だけでなく、ボディコンディションを確認しましょう。
- 肋骨が軽く触れるか
- 上から見て腰にくびれがあるか
- 横から見てお腹が適度に引き締まっているか
- 歩く時に体が重そうではないか
パグはもともと丸みのある体型に見えるため、肥満へ気づきにくいことがあります。
月に一度程度は体重を測り、以前の数字と比較すると変化を発見しやすくなります。
肥満になると、BOASによる呼吸負担、暑さへの弱さ、関節への負担などがさらに大きくなる可能性があります。
6. パグの平均寿命
パグの平均寿命は、現在の獣医師監修犬種情報で13~15年程度がひとつの目安とされています。
ただし、平均寿命は愛犬が何歳まで生きるかを予測する数字ではありません。
呼吸器、体重、目、皮膚、関節、神経などの健康状態や、生活環境、医療によって個体差があります。
特にパグでは、「犬種だから仕方ない」と慢性的な呼吸異常を放置しないことが重要です。
若いうちから呼吸状態を評価し、適正体重を保ち、目や皮膚を定期的に確認することが長期的な健康維持につながります。
7. パグに必要な運動量

パグはボーダーコリーや大型の作業犬のように長時間激しく動く犬種ではありません。
それでも、健康な成犬に毎日の運動が不要という意味ではありません。
適度な散歩は肥満を防ぎ、筋肉を維持し、気分転換にもなります。
- 涼しい時間帯に短めの散歩
- においを自由に嗅ぐ時間
- 室内でのおもちゃ遊び
- フードを探すノーズワーク
- 短時間のトレーニング
大切なのは、「毎日必ず30分」「1時間歩けば健康」というように時間だけで決めないことです。
パグでは呼吸状態と気温・湿度を見ながら調整します。
夏の散歩は特に注意
短頭種はパンティングによる体温調節がうまくできない犬がいるため、暑さと湿度に弱い傾向があります。
夏は日中を避け、早朝や夜など比較的涼しい時間帯を選びましょう。
ただし、夜でも地面が熱い日や湿度が非常に高い日はあります。
散歩中に呼吸が急に激しくなる、歩くのをやめる、舌が大きく広がる、よだれが増える場合は無理に歩かせません。
舌や歯ぐきが青紫色・灰色になる、ふらつく、倒れる、呼びかけへの反応が弱い場合は緊急です。
8. パグの抜け毛・お手入れ
パグは短毛なので、トイプードルのような定期的な全身カットは基本的に必要ありません。
一方、短毛だから抜け毛が少ないわけではなく、パグは比較的よく毛が抜けます。
- 週に数回ブラッシングする
- 換毛が多い時期は頻度を増やす
- 爪を適切な長さに保つ
- 耳の赤み・耳垢を確認する
- 顔のしわを確認する
- 歯磨きを行う
顔のしわは「清潔+乾燥」が重要
パグの顔には深いしわがあります。
しわの間に涙、食べ物、水分、皮脂などが残ると蒸れやすく、皮膚炎の原因になる場合があります。
汚れている時は獣医師から勧められた方法などで優しくケアし、その後は湿ったままにしないようにします。
毎日強くこすったり、アルコールなど刺激の強い物で消毒したりする必要はありません。
歯磨きも重要
短頭種は口の中のスペースが限られ、歯が密集して生える犬もいます。
歯垢や歯石を放置せず、できれば毎日の歯磨きを目標にしましょう。
・犬が歯磨きを嫌がる時の慣らし方|噛む・逃げる犬への7段階とNG対応
9. パグは留守番しやすい?
パグは人との時間を好む犬が多いため、迎えた直後から長時間一人にしても平気とは限りません。
家族と一緒にいる時間が長い犬ほど、突然の長時間留守番に不安を感じる場合があります。
まず、飼い主さんが同じ家にいる状態で一人で休む練習から始めます。
- ベッドで落ち着く
- 飼い主さんが数秒別室へ移動する
- 短時間玄関から外へ出る
- 落ち着ける範囲で少しずつ時間を延ばす
パグの留守番では、特に夏の室温管理が重要です。
短頭種を高温多湿の部屋へ残すことは危険です。
エアコンを含め、その日の気温や住宅環境に合わせて安全な室温を保ちます。
・犬の留守番のしつけ方とは?ひとりで待てない時の練習方法を解説
10. パグのしつけのしやすさ
パグは理解力があり、人とのコミュニケーションを楽しみやすい犬種です。
また、食べ物への意欲が高い犬が多いため、小さなおやつや普段のフードを報酬としてトレーニングへ活用しやすいでしょう。
- 名前を呼んだら見る
- おすわり
- 待て
- おいで
- ハウス
- トイレ
- リードを緩めて歩く
- 拾い食いを防ぐ
- 体を触られることへ慣れる
ただし、おやつを多用しすぎると体重増加につながりやすい犬種です。
大きなおやつを何個も与えるのではなく、一個を非常に小さくする、普段のフードの一部をトレーニングへ使うなど工夫しましょう。
また、呼吸が苦しくなるほど興奮させながら長時間トレーニングを続ける必要はありません。
短い練習を一日に数回行う方が集中しやすくなります。
11. パグの無駄吠え・噛み癖などの注意点
パグは比較的穏やかで、人との暮らしを好む犬が多い犬種です。
それでも、要求、来客、物音、不安などを理由に吠える犬はいます。
特に人との距離が近い犬では、「吠えると家族がこちらを見る」「吠えると抱っこしてもらえる」と学習して要求吠えが増える場合があります。
吠えた時だけ対応するのではなく、静かにベッドへいる、落ち着いて待っているといった行動を普段から褒めましょう。
子犬では甘噛みもあります。
手を噛ませて激しく遊ぶのではなく、噛んでよいおもちゃを用意しましょう。
一方、成犬が急に顔や体へ触ると噛むようになった場合は、目、耳、歯、皮膚、関節などに痛みがないか確認してください。
12. パグがなりやすい病気

パグでは、体の構造と関連する健康問題を特に理解しておく必要があります。
もちろん、ここで紹介する病気がすべてのパグに起こるわけではありません。
病気を怖がるためではなく、異常を「パグだから普通」と見逃さないために知っておきましょう。
短頭種気道症候群(BOAS)
パグで最も重要な健康問題のひとつが短頭種気道症候群です。
短頭種では頭蓋骨が短い一方、鼻や喉の軟部組織が十分小さくならず、空気の通り道が狭くなることがあります。
- 大きないびき
- 起きている時もガーガー音がする
- 少し歩くだけで激しく息切れする
- 暑い日に極端に弱い
- 運動を途中でやめる
- 睡眠中に呼吸が苦しそう
- 吐き戻しを伴うことがある
- 重症ではチアノーゼや失神
これらの症状があっても、「鼻ぺちゃだから普通」と考えないことが重要です。
BOASは犬によって重症度が異なり、鼻孔や軟口蓋などの状態によって外科的治療が検討されることもあります。
・犬の短頭種気道症候群(BOAS)とは?いびき・ガーガー呼吸の症状と手術、受診目安を解説
呼吸が荒い場合はこちらも確認してください。
・犬の呼吸が荒い原因とは?安静時もハァハァする時の危険サインと受診目安
熱中症
短頭種であるパグは暑さに特に注意が必要です。
犬は主にパンティングによって体温を下げますが、空気の通り道が狭い犬では効率よく熱を逃がせない場合があります。
さらに肥満があると、呼吸や体温調節への負担が大きくなります。
- 激しいパンティング
- 大量のよだれ
- 歩けなくなる
- 舌や歯ぐきの色がおかしい
- 嘔吐・下痢
- ふらつく
- ぐったりする
- 意識が悪くなる
このような症状があれば緊急です。
真夏の散歩だけでなく、暖房の効いた車内、風通しの悪い場所、興奮した状態での激しい運動にも注意しましょう。
角膜潰瘍・目の外傷
パグの大きな丸い目は、眼窩が浅く、前方へ突出しやすい形をしています。
そのため、草、枝、猫の爪、自分の前足などでも角膜を傷つけることがあります。
- 片目を閉じる
- 目をしょぼしょぼする
- 涙が増える
- 白目が赤くなる
- 前足で目をこする
- 黒目が白・青っぽく濁る
角膜の傷は小さく見えても急速に悪化する場合があります。
目を強く痛がる犬に、以前もらった目薬や人間用目薬を自己判断で使用しないでください。
・犬が目をしょぼしょぼする原因とは?片目を細める時の危険サインと受診目安
ドライアイなどの眼疾患
パグでは角膜外傷だけでなく、乾性角結膜炎、いわゆるドライアイなどの眼疾患も注意します。
- 粘り気のある目やに
- 目が赤い
- 目の表面につやがない
- 目をこする
- 慢性的に目が汚れる
パグでは目の変化を日常的に観察し、「いつも目やにが出る犬だから」と長期間放置しないことが大切です。
顔のしわの皮膚炎・皮膚トラブル
パグの深い顔のしわには、湿気や汚れがたまりやすくなります。
- しわの中が赤い
- 強いにおいがする
- ベタベタする
- 犬が顔をこする
- 茶色や黄色っぽい分泌物が付く
こうした場合は皮膚炎や感染を確認します。
洗浄回数を増やせば必ず治るわけではありません。
炎症がある場合は、原因に合った治療を受けましょう。
・犬の皮膚病とは?かゆみ・赤み・脱毛で考えられる原因と受診目安
外耳炎
パグでは皮膚のアレルギーや耳道の特徴などから、外耳炎を繰り返す犬もいます。
- 耳をかく
- 頭を振る
- 耳が臭う
- 耳垢が増える
- 耳の中が赤い
耳掃除をすれば治るとは限りません。
アレルギーやマラセチア、細菌など背景を確認することが重要です。
・犬の外耳炎とは?耳をかく・臭い・頭を振る時の原因と治療を解説
膝蓋骨脱臼(パテラ)
パグでは膝蓋骨脱臼も健康検査で確認される項目のひとつです。
膝蓋骨は膝のお皿で、本来動く溝から内側または外側へ外れる状態を膝蓋骨脱臼と呼びます。
- 突然後ろ足を上げる
- 数歩だけ3本足になる
- スキップするように歩く
- 段差を嫌がる
- ジャンプをためらう
症状には個体差があります。
肥満は関節への負担を増やすため、適正体重を維持することも重要です。
・犬の膝蓋骨脱臼(パテラ)とは?スキップ歩行・グレード別症状と受診目安を解説
壊死性髄膜脳炎(NME・パグ脳炎)
パグでは、壊死性髄膜脳炎という重い神経疾患についても知っておく必要があります。
以前から「パグ脳炎」「PDE」と呼ばれてきた病気で、脳に強い炎症が起こります。
- けいれん
- 同じ方向へぐるぐる回る
- ふらつく
- 行動がおかしい
- 視覚異常
- 意識状態の変化
こうした神経症状がある場合は緊急性があります。
NMEの遺伝的リスクに関するDNA検査はありますが、検査だけで「この犬が将来必ず発症する」「絶対に発症しない」と予測できるものではありません。
子犬を迎える際は、繁殖犬でどのような健康検査が行われているか確認する材料のひとつになります。
脊椎の形成異常
パグでは半椎など、背骨の形成異常が見つかることがあります。
画像検査で異常があっても症状がない犬もいますが、脊髄が圧迫されると後ろ足の動きなどに異常が出る場合があります。
- 後ろ足がふらつく
- 足を引きずる
- 立ち上がりにくい
- 排尿・排便の異常
- 歩き方が以前と変わった
このような変化があれば、加齢や肥満だけと決めつけず受診してください。
13. パグの食事・ドッグフード選び

パグだから必ず犬種専用ドッグフードを選ぶ必要はありません。
年齢、体重、活動量、避妊・去勢の有無、体質、持病などに合った総合栄養食を基本にします。
最も重要なのは肥満を防ぐこと
パグでは食事量と体重の管理が非常に重要です。
食べることが好きな犬では、家族全員が少しずつおやつを与えた結果、一日の摂取カロリーが大幅に増えていることがあります。
- フードを計量する
- おやつ分も一日の食事量へ含める
- 家族でおやつ量を共有する
- 定期的に体重を測る
- 肋骨と腰のくびれを確認する
肥満はBOAS、暑さへの弱さ、関節への負担などを悪化させる要因になります。
食事を極端に減らさない
太ったからと急に食事量を半分にするような自己流ダイエットは避けてください。
必要な栄養まで不足する可能性があります。
減量が必要な犬では、目標体重やフード量を獣医師と相談しましょう。
食後に呼吸が苦しそうな場合も確認する
短頭種では、BOASと消化器症状が同時に問題になることがあります。
食後に何度も吐き戻す、飲み込みづらそう、呼吸が苦しそうといった変化が続く場合は、フードだけを何度も変えず動物病院で相談してください。
14. パグの子犬期の注意点

パグの子犬では、基本的なしつけや社会化と同時に、呼吸・目・体重を確認する習慣を作りましょう。
- ブラッシングへ慣らす
- 顔周りへ触られる練習をする
- 目の周りを確認されることへ慣らす
- 歯磨きへ慣らす
- ハーネスへ慣らす
- 動物病院で触られる練習をする
- さまざまな生活音や人へ無理なく社会化する
子犬でもBOASはある
「まだ子犬だから呼吸器の病気ではない」と考えないでください。
鼻孔が非常に狭い、遊ぶとすぐ呼吸が苦しくなる、睡眠中の呼吸音が非常に大きいなどの場合は、若いうちから短頭種気道の評価を受けることがあります。
成長するまで我慢させることが適切とは限りません。
首を強く圧迫しない
散歩中に強く引っ張る犬では、首輪だけで何度も首へ強い衝撃を与えないよう注意します。
体に合ったハーネスを使用することも選択肢ですが、ハーネスを使えばBOASそのものが治るわけではありません。
引っ張らず歩く練習と、呼吸器の評価は別々に考えます。
・犬がハーネスを嫌がる時の慣らし方|逃げる・固まる・噛む犬への7段階
15. パグのシニア期の注意点
パグは10歳を超えて長く暮らす犬も多く、シニア期の健康管理も重要です。
年齢とともに活動量が落ちることはありますが、「歳だから動かない」とすべてを老化で済ませないようにします。
- 呼吸音が以前より大きくなった
- 散歩で急に疲れやすくなった
- 寝ている時の呼吸が苦しそう
- 目をしょぼしょぼする
- 物にぶつかる
- 後ろ足がふらつく
- 立ち上がりにくい
- 口臭が強くなる
- 体重が急に増えた・減った
シニア期ではBOASだけでなく、心臓や肺の病気によって呼吸が変化することもあります。
以前より息切れしやすくなったからと、年齢だけの問題とは決めつけないでください。
また、シニア犬でも歩ける場合は、暑くない時間に無理のない散歩を続け、筋肉を落としすぎないようにします。
呼吸や関節に持病がある場合は、獣医師と運動量を相談しましょう。
16. パグが向いている人
パグは次のような人と相性を作りやすい犬種です。
- 人との距離が近い犬と暮らしたい人
- 小型犬と室内で暮らしたい人
- 毎日適度な散歩ができる人
- 夏の室温・散歩時間を管理できる人
- 愛犬の体重を細かく管理できる人
- 目や顔のしわを毎日確認できる人
- 呼吸異常を早めに受診できる人
- 犬種特有の医療リスクを理解できる人
反対に、夏でも日中に長時間運動させたい人、ジョギングや長距離ランニングを犬と楽しみたい人とは相性がよくありません。
また、「パグはもともと呼吸音が大きいから病院へ行かなくてよい」と考える人にも向きにくい犬種です。
パグの特徴的な外見を愛することと、呼吸しやすい状態を守ることは両立させる必要があります。
17. パグのよくある質問
Q. パグは初心者でも飼いやすいですか?
人との暮らしを好み、極端に運動量が多い犬種ではないため初心者にも候補になります。ただし、BOAS、暑さ、目、皮膚、肥満など短頭種特有の健康管理を理解する必要があります。
Q. パグは何kgくらいですか?
JKCの犬種標準では理想体重6.3~8.1kgです。家庭犬では数字だけでなく骨格・筋肉量・ボディコンディションを合わせて適正体重を判断します。
Q. パグはいびきをかくのが普通ですか?
短頭種ではいびきが見られることがありますが、非常に大きないびき、起きている時の呼吸音、運動不耐性、睡眠中の呼吸障害などを「普通」と考えないでください。BOASの評価が必要な犬もいます。
Q. パグは暑さに弱いですか?
はい。短頭種は効率よく体温を下げにくい場合があり、パグは熱中症のリスクが高い犬種です。夏は涼しい時間に散歩し、高温多湿の環境を避けます。
Q. パグは散歩しなくても大丈夫ですか?
健康なパグには適度な散歩が必要です。肥満予防や筋肉維持にも役立ちます。ただし、気温・湿度・呼吸状態に合わせて短時間で調整してください。
Q. パグは毛が抜けますか?
はい。短毛ですが抜け毛は比較的多い犬種です。週に数回のブラッシングで抜け毛を取り除き、皮膚の状態も確認しましょう。
Q. 顔のしわは毎日洗った方がいいですか?
汚れや湿気がたまっている場合はケアが必要ですが、毎日強くこすればよいわけではありません。皮膚炎がある犬では獣医師へ適切なケア方法を相談し、洗った後は湿ったままにしないことが大切です。
Q. 片目を急に閉じています
パグでは角膜の傷や潰瘍などを確認する必要があります。目をしょぼしょぼする、涙が増えた、赤い、濁っている場合は早めに受診してください。
Q. パグが散歩中にすぐ座り込みます
暑さ、肥満、BOAS、心臓や関節の病気など複数の原因が考えられます。「パグは運動嫌いだから」と決めつけず、呼吸音や気温、そのほかの症状も確認してください。
Q. パグ脳炎とは何ですか?
パグで知られる壊死性髄膜脳炎(NME)の俗称として使われてきた名称です。けいれん、旋回、視覚異常、意識変化などを起こす重い神経疾患です。似た症状はほかの病気でも起こるため、神経症状があればすぐ受診してください。
Q. パグは留守番できますか?
個体差がありますが、短時間から練習すれば一人で落ち着いて過ごせる犬もいます。特に夏場の留守番では室温管理を徹底してください。
Q. パグで特に注意したい病気は?
短頭種気道症候群、熱中症、角膜潰瘍やドライアイなどの眼疾患、顔のしわの皮膚炎、外耳炎、膝蓋骨脱臼、壊死性髄膜脳炎、脊椎の形成異常などについて知っておくとよいでしょう。すべてのパグが発症するわけではありません。
まとめ|パグは愛嬌たっぷりだが呼吸・暑さ・目・体重管理がとても重要な犬種

パグは短い鼻、大きな丸い目、顔のしわ、巻いた尾が特徴的な小型犬です。
愛嬌があり、人とのコミュニケーションを楽しみやすく、家庭犬として魅力の多い犬種です。
一方で、パグとの暮らしでは短頭種としての健康管理を避けて通ることはできません。
最も重要なのが短頭種気道症候群(BOAS)です。大きないびき、ガーガーする呼吸音、少しの運動ですぐ息切れする、暑さに極端に弱い場合は、「パグだから普通」と決めつけず気道の状態を確認してください。
短頭種は熱を逃がしにくい犬がいるため、夏の散歩時間と室温・湿度の管理も非常に重要です。
また、パグの大きく前へ出た目は傷つきやすく、片目を閉じる、目をしょぼしょぼする、赤い、急に濁るといった変化は早めの受診が必要です。
顔の深いしわでは湿気による皮膚炎、耳では外耳炎、関節では膝蓋骨脱臼などにも注意します。
さらにパグでは、壊死性髄膜脳炎など犬種との関連が知られている神経疾患があります。けいれん、旋回、ふらつき、意識状態の変化がある場合はすぐ受診してください。
食事では肥満を防ぐことが非常に重要です。丸みのある犬種だからと体重増加を見逃さず、フードとおやつを計量し、肋骨や腰のくびれも確認しましょう。
健康な犬では暑さを避けながら適度な散歩を続け、肥満を防いで筋肉を維持します。
子犬の頃から顔周り、目、歯、耳、ハーネスなどへ優しく触られる練習をしておくと、生涯の健康管理もしやすくなります。
パグの飼いやすさは、穏やかな性格や小さな体だけでは決まりません。呼吸しやすさ、暑さへの弱さ、目、皮膚、体重まで理解し、「犬種だから仕方ない」で健康上の異常を見逃さないことが、パグと長く安心して暮らすための重要なポイントです。


