犬の喉頭麻痺とは?ガーガー呼吸・声の変化・呼吸困難の症状と治療を解説

愛犬の呼吸から、以前はしなかった「ガーガー」「ゼーゼー」という音が聞こえる。

散歩や興奮した時に息が苦しそうになり、すぐ立ち止まる。

吠え声がかすれたり、以前とは違う声になった。

このような症状で確認が必要な病気のひとつが、犬の喉頭麻痺です。

喉頭は、喉の奥にあり、空気を気管へ通したり、食べ物や水が気管へ入らないようにしたりする重要な場所です。

喉頭麻痺では、喉頭を開くための神経や筋肉が正常に働かなくなり、息を吸う時に空気の通り道を十分に広げられなくなります。

初期には呼吸音や声の変化だけの場合もありますが、進行すると運動時の呼吸困難や失神、重症では窒息につながる可能性があります。

口を開けて必死に呼吸する、舌や歯ぐきが青紫色になる、立っていられない、意識が弱い場合は緊急です。すぐに動物病院へ連絡してください。

特に暑さ、興奮、激しい運動によって急激に症状が悪化することがあります。

この記事では、犬の喉頭麻痺の症状、原因、GOLPPとの関係、検査、治療、タイバック手術、誤嚥性肺炎、自宅での注意点、緊急受診の目安を解説します。

  1. 犬の喉頭麻痺とはどのような病気?
  2. まず確認したい緊急サイン
  3. 犬の喉頭麻痺で見られる主な症状
    1. ガーガー・ゼーゼーという大きな呼吸音
    2. 吠え声が変わる
    3. 咳やえずき
    4. 散歩ですぐ疲れる
    5. 暑さや興奮で悪化する
  4. 犬の喉頭麻痺の主な原因
    1. 中高齢犬に多い後天性喉頭麻痺
    2. 先天性の喉頭麻痺
    3. 首周辺の外傷や腫瘍
    4. 神経や筋肉に関係する病気
  5. GOLPPとは?喉頭だけの病気ではない場合がある
  6. 喉頭麻痺になりやすい犬
  7. 気管虚脱との違い
  8. 肺炎や心臓病との違い
  9. 犬の喉頭麻痺を診断する検査
    1. 問診
    2. 身体検査と聴診
    3. 喉頭の観察
    4. 胸部レントゲン検査
    5. 血液検査
    6. 神経学的検査
  10. 犬の喉頭麻痺の治療方法
    1. 症状が軽い場合の管理
    2. 呼吸困難が起きた時の緊急治療
    3. タイバック手術(片側披裂軟骨側方化術)
  11. タイバック手術後に注意したい誤嚥性肺炎
  12. 手術後の生活で注意すること
    1. 食事と水の与え方
    2. 水泳を避ける
    3. 首輪ではなくハーネスを検討する
  13. 喉頭麻痺の犬を自宅で管理するポイント
    1. 暑さを避ける
    2. 興奮させすぎない
    3. 無理な運動を避ける
    4. 適正体重を維持する
  14. 喉頭麻痺の犬にやってはいけないこと
  15. 動物病院まで安全に移動する方法
  16. 受診時に伝えるとよいこと
  17. よくある質問
    1. Q. ガーガー音がすれば喉頭麻痺ですか?
    2. Q. 声が変わっただけでも受診した方がよいですか?
    3. Q. 薬だけで治せますか?
    4. Q. タイバック手術をすれば完治しますか?
    5. Q. 喉頭麻痺の犬は散歩できますか?
    6. Q. 喉頭麻痺は突然起こりますか?
    7. Q. 手術後は普通に水を飲めますか?
  18. まとめ|声と呼吸音の変化を「年齢のせい」で済ませない
  19. 【最新版】私がおすすめする犬用品10選

犬の喉頭麻痺とはどのような病気?

喉頭は、口や鼻から吸い込んだ空気が気管へ入る入口部分にあります。

正常な犬では、息を吸う時に喉頭の軟骨が左右へ開き、空気の通り道を広げます。

食べたり飲んだりする時には、気道へ食べ物や水が入りにくいように働きます。

喉頭麻痺になると、喉頭を開く筋肉を動かす神経が正常に働かなくなり、息を吸っても十分に喉頭が開きません。

そのため、狭い場所を大量の空気が通ろうとして、「ガーガー」「ゼーゼー」「ヒューヒュー」といった大きな呼吸音が出ることがあります。

症状が進むほど空気を取り込みにくくなり、暑い日、散歩、興奮などで酸素の必要量が増えた時に呼吸困難を起こしやすくなります。

また、喉頭は声にも関係しているため、吠え声がかすれる、低くなる、声が出にくくなるなどの変化が見られることがあります。

まず確認したい緊急サイン

喉頭麻痺はゆっくり進行するケースが多い一方、暑さや興奮をきっかけに急激な呼吸困難を起こすことがあります。

次の状態がある場合は、自宅で様子を見ず、すぐに動物病院へ連絡してください。

  • 口を大きく開けて苦しそうに呼吸している
  • 息を吸うたびに大きなガーガー音がする
  • 首を前へ伸ばして呼吸している
  • 前足を広げて立ち、呼吸している
  • 胸やお腹を大きく使って呼吸している
  • 横になることができない
  • 安静にしても呼吸が落ち着かない
  • 舌や歯ぐきが青紫色または灰色に見える
  • ふらつく、立てない
  • 突然倒れた、失神した
  • 呼びかけへの反応が弱い
  • 体が非常に熱くなっている
  • 短時間で呼吸状態が悪化している

呼吸困難がある犬へ口輪をつけないでください。

口輪はパンティングや呼吸を妨げ、状態を悪化させる危険があります。

また、首輪を強く引いたり、抱き締めて胸を圧迫したりしないようにしてください。

犬をできるだけ涼しく静かな場所へ移し、興奮させずに動物病院へ向かいます。

意識が悪い、激しく呼吸している、飲み込みにくそうな犬へ、食べ物や大量の水、薬を無理に飲ませないでください。

安静にしていても呼吸が荒い場合はこちらも確認してください。
・犬の呼吸が荒い原因とは?安静時もハァハァする時の危険サインと受診目安

犬の喉頭麻痺で見られる主な症状

喉頭麻痺では、初期にはわずかな呼吸音や声の変化から始まり、数か月から数年かけて進行する場合があります。

  • ガーガー、ゼーゼーという呼吸音
  • 息を吸う時の高い音
  • パンティングの音が以前より大きい
  • 吠え声がかすれる
  • 吠え声が低くなる
  • 声が出にくくなる
  • 乾いた咳
  • 咳の後にえずく
  • 食事や水の後にむせる
  • 吐出する
  • 散歩ですぐ疲れる
  • 運動を嫌がる
  • 暑さに弱くなる
  • 興奮すると呼吸が悪化する
  • 重症時に呼吸困難を起こす
  • 重症時に舌や歯ぐきが青紫色になる
  • 重症時に倒れる

ガーガー・ゼーゼーという大きな呼吸音

喉頭麻痺で特徴的なのは、息を吸う時の異常な呼吸音です。

狭くなった喉頭を空気が通ることで、以前にはなかった大きな音が聞こえるようになります。

ただし、ガーガーという音は気管虚脱や短頭種気道症候群などでも見られます。

音だけで喉頭麻痺と判断することはできません。

吠え声が変わる

喉頭は声を出す働きにも関係しています。

そのため、喉頭麻痺では「昔と声が違う」という変化が、呼吸困難より先に気づかれることがあります。

  • 吠え声がかすれた
  • 低い声になった
  • 声量が小さくなった
  • 吠え続けられなくなった

高齢犬で急に声が変化した場合は、加齢だけと考えず喉や気道を確認してもらいましょう。

咳やえずき

喉頭への刺激によって乾いた咳が出たり、咳の最後に「オエッ」とえずいたりすることがあります。

飼い主さんには、吐き気や嘔吐のように見えることもあります。

咳が続く場合はこちらも参考にしてください。
・犬の咳が続く原因とは?注意すべき症状と動物病院へ行く目安

咳なのか吐き気なのか分かりにくい場合はこちらも確認してください。
・犬が吐きそうで吐かない原因とは?空えずき・胃捻転・咳との違いと受診目安を解説

散歩ですぐ疲れる

気道が狭くなると、運動によって多くの酸素が必要になった時に十分な空気を取り込みにくくなります。

以前と同じ散歩コースなのに途中で立ち止まる、歩く速度が遅くなる、座り込むなどの変化が見られる場合があります。

シニア犬では「年を取って体力が落ちただけ」と思われやすいため注意が必要です。

暑さや興奮で悪化する

犬は暑い時、パンティングによって体の熱を逃がします。

しかし、喉頭が十分に開かない犬では、大量の空気を出し入れすることが難しくなります。

さらに呼吸がうまくできないと体温も下げにくくなり、暑さと呼吸困難が互いに悪化させ合うことがあります。

夏の散歩、興奮、激しい運動は特に注意してください。

犬の喉頭麻痺の主な原因

犬の喉頭麻痺には、大きく分けて後天性と先天性があります。

中高齢犬に多い後天性喉頭麻痺

中高齢犬で発症する喉頭麻痺では、はっきりした原因を特定できないケースがあります。

近年では、喉頭だけの問題ではなく、全身の末梢神経が徐々に弱くなる病態の初期症状として喉頭麻痺が現れる犬がいることが知られています。

この状態は、GOLPPと呼ばれることがあります。

喉頭の症状が先に現れ、その後、飲み込みや食道の働き、後ろ足の筋力などに変化が出てくる場合があります。

先天性の喉頭麻痺

一部の犬では、生まれつき神経の異常があり、若い時期から喉頭麻痺を発症することがあります。

若い犬で呼吸音が大きい、声がおかしい、運動すると極端に苦しくなる場合も、犬種や年齢だけで除外することはできません。

首周辺の外傷や腫瘍

喉頭を動かす神経が首の外傷、手術、腫瘍などで傷つくことで喉頭麻痺が起こることがあります。

片側だけの麻痺から始まる場合もあります。

神経や筋肉に関係する病気

全身の神経や筋肉の病気が、喉頭の動きに影響することがあります。

歩き方の変化、筋肉量の低下、飲み込みにくさなどがある場合は、呼吸器だけでなく神経学的な評価も必要です。

GOLPPとは?喉頭だけの病気ではない場合がある

中高齢犬の喉頭麻痺では、GOLPPという全身的な神経変性との関連が注目されています。

GOLPPでは、喉頭を動かす神経だけではなく、ほかの末梢神経も少しずつ影響を受けることがあります。

そのため、喉頭麻痺が見つかった犬では、その後次のような変化が見られないか確認します。

  • 後ろ足の力が弱くなる
  • 歩幅が変わる
  • 足を引きずる
  • ふらつく
  • 筋肉が落ちる
  • 立ち上がりにくくなる
  • 食べ物を飲み込みにくくなる
  • 吐出が増える

喉頭麻痺の手術によって呼吸が改善しても、全身の神経変性そのものを治すわけではありません。

そのため、手術後も歩き方、筋肉、食べ方などを長期的に観察することが大切です。

喉頭麻痺になりやすい犬

後天性の喉頭麻痺は、特に中高齢から高齢の大型犬で多く見られます。

代表的には、ラブラドール・レトリーバーやゴールデン・レトリーバーなどで注意されます。

ただし、大型犬だけに起こる病気ではありません。

小型犬や中型犬でも発症することがあるため、犬種だけで判断しないでください。

  • 中高齢犬
  • シニア犬
  • 大型犬
  • 過去に首の手術や外傷がある犬
  • 神経疾患がある犬
  • 声や呼吸音が変化している犬

肥満そのものが喉頭麻痺を起こすとは限りませんが、体重が増えると呼吸への負担が大きくなり、症状が悪化しやすくなります。

気管虚脱との違い

喉頭麻痺と気管虚脱は、どちらも呼吸音や咳が出るため、飼い主さんには似て見えることがあります。

気管虚脱は、空気の通り道である気管が扁平につぶれて狭くなる病気です。

喉頭麻痺は、そのさらに上流にある喉頭が、息を吸う時に正常に開かなくなる病気です。

気管虚脱は小型犬で多く、喉頭麻痺は中高齢の大型犬で多い傾向がありますが、犬種だけで区別することはできません。

また、複数の気道疾患が同時に存在する犬もいます。

ガーガーという咳や興奮時の咳がある場合はこちらも確認してください。
・犬の気管虚脱とは?ガーガー咳・呼吸困難の症状と治療、受診目安を解説

肺炎や心臓病との違い

呼吸が速い、咳が出る、散歩ですぐ疲れるといった症状は、肺炎や心臓病でも見られます。

肺炎では、咳に加えて発熱、元気消失、食欲低下などが見られる場合があります。

心臓病でも、咳、運動不耐性、安静時呼吸数の増加などが見られます。

喉頭麻痺では吸気時の大きな呼吸音や声の変化が手がかりになりますが、症状だけで確定することはできません。

肺炎についてはこちらで詳しく解説しています。
・犬の肺炎とは?咳・発熱・呼吸困難の症状と原因、治療・受診目安を解説

咳と疲れやすさがあるシニア犬では心臓病の確認も必要です。
・犬の心臓病とは?咳・呼吸が苦しそう・疲れやすい時に注意したい病気を解説

犬の喉頭麻痺を診断する検査

喉頭麻痺の診断では、呼吸音だけでなく、喉頭そのものが呼吸に合わせて動いているかを確認する必要があります。

問診

診察では、症状が始まった時期や変化を詳しく確認します。

  • 呼吸音が変わった時期
  • 声が変わった時期
  • 咳やえずきがあるか
  • 運動で悪化するか
  • 暑い日に悪化するか
  • 食事や飲水でむせるか
  • 吐出があるか
  • 倒れたことがあるか
  • 歩き方に変化がないか
  • 首の外傷や手術歴
  • 現在治療中の病気

呼吸音や声の変化を動画で撮影できる場合は、診察時に見せると参考になります。

身体検査と聴診

呼吸数、呼吸の仕方、体温、舌や歯ぐきの色などを確認します。

胸だけではなく、首の周囲から聞こえる呼吸音も確認します。

呼吸困難が強い犬では、検査による興奮だけで悪化することがあるため、最初に酸素投与などで状態を安定させる場合があります。

喉頭の観察

確定診断では、軽い麻酔や鎮静下で喉頭を直接観察し、息を吸う時に披裂軟骨が正常に開いているかを確認します。

麻酔が深すぎると正常な喉頭の動きまで弱く見える可能性があるため、呼吸を保ちながら慎重に評価します。

喉頭鏡や内視鏡などが使用されることがあります。

胸部レントゲン検査

レントゲンだけで喉頭麻痺を確定することはできません。

ただし、肺炎、心臓の大きさ、食道の拡張など、同時に起きている可能性がある異常を確認するために重要です。

特に誤嚥性肺炎が疑われる犬では、胸部の確認が必要です。

血液検査

全身状態、炎症、臓器機能などを確認します。

必要に応じて甲状腺機能など、喉頭麻痺と関連する可能性がある病気を調べる検査が追加されます。

神経学的検査

中高齢犬では、喉頭麻痺が全身性の神経疾患の一部として起きている可能性があります。

歩き方、足の反射、筋肉量などを確認し、必要に応じて神経に関する追加検査が検討されます。

犬の喉頭麻痺の治療方法

治療は、呼吸困難の程度、年齢、持病、生活への影響などによって異なります。

症状が軽い場合の管理

呼吸が安定しており、日常生活への影響が小さい場合は、生活環境を調整しながら経過を確認することがあります。

  • 暑い環境を避ける
  • 興奮させすぎない
  • 激しい運動を避ける
  • 適正体重を維持する
  • 首輪による圧迫を避ける
  • ハーネスを使用する
  • 定期的に呼吸状態を確認する

ただし、これらは喉頭の麻痺そのものを治す治療ではありません。

症状が進行する場合は、外科治療が検討されます。

呼吸困難が起きた時の緊急治療

重い呼吸困難では、まず気道と酸素を確保することが優先されます。

動物病院では、酸素投与、体温管理、興奮を抑える処置、喉頭周辺の腫れを抑える治療などが行われることがあります。

気道がほとんど確保できない重症例では、緊急に気管へ呼吸のための通路を作る処置が必要になる場合もあります。

自宅で喉へ器具を入れたり、気道を確保しようとしたりしないでください。

タイバック手術(片側披裂軟骨側方化術)

呼吸症状が強い犬では、片側披裂軟骨側方化術と呼ばれる手術が代表的な治療方法です。

「タイバック手術」と呼ばれることもあります。

この手術では、動かなくなった喉頭の軟骨の片側を外側へ引き、縫合糸で固定して空気の通り道を広げます。

神経の麻痺自体を治す手術ではありません。

喉頭の片側を開いた状態にすることで、呼吸をしやすくすることが目的です。

多くの犬で呼吸の改善が期待できますが、術後には誤嚥性肺炎などの合併症へ注意する必要があります。

タイバック手術後に注意したい誤嚥性肺炎

喉頭には、本来、食べ物や水が気管へ入りにくくする役割があります。

タイバック手術では気道を広げるために喉頭の片側を開いた状態で固定するため、手術前より誤嚥の危険が高くなることがあります。

また、GOLPPによって食道や飲み込みの機能が低下している犬では、もともと誤嚥しやすい場合があります。

術後は次の症状に注意してください。

  • 急に咳が増える
  • 元気がなくなる
  • 食欲が落ちる
  • 発熱する
  • 呼吸が速くなる
  • 鼻水が出る
  • 食事や水の後にむせる

これらの症状が出た場合は、誤嚥性肺炎を含めて確認が必要です。

予定された再診日を待たず、動物病院へ連絡してください。

手術後の生活で注意すること

手術後の具体的な生活方法は、犬の状態と手術方法によって異なります。

必ず手術を行った動物病院の指示を優先してください。

食事と水の与え方

術後は、犬の飲み込み方や食道の状態に合わせ、食事の形状、一回量、回数などについて指示を受けることがあります。

「誤嚥しないように」と自己判断で水を制限したり、シリンジで水を流し込んだりしないでください。

むしろ勢いよく液体を流し込むことで誤嚥する危険があります。

水泳を避ける

タイバック手術後は、開いた喉頭から水が気管へ入りやすくなる可能性があります。

そのため、水泳や深い水へ入る遊びを生涯避けるよう指示されることがあります。

水遊びの可否については、必ず担当獣医師へ確認してください。

首輪ではなくハーネスを検討する

首への圧迫は、呼吸器疾患の犬にとって負担になります。

散歩では、首輪よりも胸で支えるハーネスが勧められる場合があります。

ただし、胸を強く締めつけたり、抜けやすかったりする製品は避け、体形に合うものを使用してください。

喉頭麻痺の犬を自宅で管理するポイント

暑さを避ける

喉頭麻痺の犬にとって、暑さは特に注意したい要因です。

暑い時間帯の散歩を避け、室内では冷房などを利用して過ごしやすい温度を保ちます。

真夏の車内や冷房のない室内へ残さないでください。

興奮させすぎない

来客、ほかの犬、激しい遊びなどで興奮すると、呼吸数と必要な空気量が急激に増えます。

興奮するとガーガー音が急に強くなる犬は、静かな場所へ移動して落ち着かせてください。

無理な運動を避ける

運動を完全に禁止する必要があるとは限りませんが、症状に合わせて散歩量を調整する必要があります。

走らせる、長距離を歩かせる、暑い日に運動させることは避けます。

散歩中に呼吸音が強くなる、立ち止まる、舌の色がおかしい場合はすぐに中止してください。

適正体重を維持する

肥満は呼吸への負担を増やします。

ただし、運動だけで急に減量しようとすると呼吸困難を起こす危険があります。

食事量と運動量を獣医師へ相談し、安全に体重を管理してください。

喉頭麻痺の犬にやってはいけないこと

  • 呼吸が苦しい犬へ口輪をつける
  • 首輪を強く引っ張る
  • 真夏の日中に長時間散歩させる
  • 激しく走らせる
  • 呼吸困難の犬を興奮させる
  • 苦しそうな犬を強く抱き締める
  • 人間用の咳止めや薬を与える
  • 以前処方された薬を自己判断で使う
  • 飲み込みにくそうな犬へ食べ物を押し込む
  • シリンジで水を勢いよく流し込む
  • 呼吸困難があるのに翌日まで様子を見る
  • 自宅で喉へ器具を入れる

喉頭麻痺の重い発作では、数分から短時間の変化が重要になることがあります。

呼吸が苦しい状態を家庭で治そうとせず、動物病院への連絡を優先してください。

動物病院まで安全に移動する方法

呼吸困難が疑われる場合は、出発前に動物病院へ電話してください。

「喉頭麻痺を指摘されている」「ガーガー音が強い」「舌の色がおかしい」など、現在の状態を伝えます。

  • 車内を事前に涼しくする
  • 首輪を引っ張らない
  • 胸や首を締めつけない
  • 無理に歩かせない
  • 犬が自分で取りやすい姿勢を保つ
  • 顔の周囲を布で覆わない
  • 食べ物や大量の水を与えない
  • 車内で興奮させない

大型犬で歩けない場合は、複数人で体を支えるなど、呼吸を圧迫しない方法で移動します。

受診時に伝えるとよいこと

  • 呼吸音が変わった時期
  • 吠え声が変化しているか
  • 咳やえずきがあるか
  • 運動すると悪化するか
  • 暑さで悪化するか
  • 倒れたことがあるか
  • 舌や歯ぐきの色が変わったことがあるか
  • 食事や水でむせるか
  • 吐出したことがあるか
  • 肺炎になったことがあるか
  • 歩き方や後ろ足に変化があるか
  • 首の手術や外傷歴
  • 現在使用している薬

普段の呼吸音や吠え声を撮影した動画があると、診察時の参考になります。

ただし、症状を撮影するために走らせたり興奮させたりしないでください。

よくある質問

Q. ガーガー音がすれば喉頭麻痺ですか?

ガーガーという呼吸音だけでは診断できません。

気管虚脱、短頭種気道症候群、喉の炎症や異物などでも似た音が出ることがあります。

喉頭麻痺の確定には、喉頭の動きを直接確認する検査が必要です。

Q. 声が変わっただけでも受診した方がよいですか?

数日で元へ戻らない声の変化や、呼吸音、咳、運動不耐性が加わっている場合は受診してください。

中高齢犬では、声の変化が喉頭麻痺の初期症状として現れる場合があります。

Q. 薬だけで治せますか?

薬や生活管理によって一時的に症状を抑えられる場合はありますが、麻痺した喉頭の機能そのものを薬で元通りにすることは困難です。

呼吸症状が強い場合は、外科治療が検討されます。

Q. タイバック手術をすれば完治しますか?

タイバック手術は、麻痺した神経を治す手術ではありません。

喉頭の片側を開いた状態に固定し、空気を通りやすくすることで呼吸を改善することが目的です。

術後も誤嚥性肺炎などの合併症や、GOLPPに伴う神経症状を長期的に確認する必要があります。

Q. 喉頭麻痺の犬は散歩できますか?

症状が軽く安定している犬では、獣医師と相談しながら短い散歩を続けられる場合があります。

暑い時間、激しい運動、長時間の散歩は避けます。

呼吸音が強くなる、立ち止まる、舌の色が悪くなる場合は、すぐに運動を中止してください。

Q. 喉頭麻痺は突然起こりますか?

中高齢犬の喉頭麻痺では、少しずつ進行していることがあります。

ただし、暑さ、興奮、運動などをきっかけに呼吸状態が急激に悪化し、突然発症したように見える場合があります。

Q. 手術後は普通に水を飲めますか?

多くの犬は飲食できますが、喉頭の片側を開いた状態にするため、誤嚥への注意が必要です。

食事の形状や水の与え方は犬によって異なります。

自己流で食器の高さや食事形態を変更せず、手術を行った動物病院の指示に従ってください。

まとめ|声と呼吸音の変化を「年齢のせい」で済ませない

犬の喉頭麻痺は、息を吸う時に喉頭が十分に開かなくなり、空気の通り道が狭くなる病気です。

主な症状には、次のものがあります。

  • ガーガー・ゼーゼーという呼吸音
  • パンティングの音が大きくなる
  • 吠え声がかすれる、変化する
  • 咳やえずき
  • 食事や水でむせる
  • 散歩ですぐ疲れる
  • 暑さや興奮で悪化する
  • 進行時の呼吸困難

特に中高齢の大型犬で多く見られますが、ほかの犬種でも発症します。

また、中高齢犬では喉頭だけではなく、全身の末梢神経が徐々に弱くなるGOLPPの一部として現れている場合があります。

診断には、軽い麻酔や鎮静下で喉頭の動きを直接確認する検査が重要です。

症状が軽ければ暑さ、運動、興奮、体重などを管理しながら経過を見る場合がありますが、呼吸への影響が大きい場合はタイバック手術などが検討されます。

手術後は呼吸の改善が期待できる一方、誤嚥性肺炎への注意が必要です。

口を開けて苦しそうに呼吸する、舌や歯ぐきが青紫色、立てない、倒れる場合は緊急です。涼しく静かな状態を保ち、すぐに動物病院へ連絡してください。


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