
イングリッシュ・セターは、白地に細かな斑が入る「ベルトン」模様と、耳・胸・脚・尾に伸びる優雅な飾り毛が印象的なイギリス原産の鳥猟犬です。見た目は華やかですが、本来は野鳥を探し出し、その位置をハンターへ知らせるために長時間フィールドを動いてきた活動的な犬種です。
ジャパンケネルクラブ(JKC)の現行犬種ページでは、FCIスタンダードNo.2、原産国はイギリス、用途は正確に「鳥猟犬」とされています。性格については、鋭敏な感覚と強い狩猟欲を持ち、たいへん活動的である一方、たいへん友好的で性格が良いと説明されています。
家庭犬としては、人に親しみやすく穏やかに過ごせる個体も多い反面、毎日の運動量、獲物を追う本能、長い飾り毛のお手入れ、耳のケア、大型犬としての移動や医療費まで考えて迎える必要があります。当サイトでは、成犬時の一般的な体格を目安に大型犬へ分類します。
- 1. イングリッシュ・セターの基本情報
- 2. イングリッシュ・セターの性格
- 3. イングリッシュ・セターの飼いやすさ
- 4. イングリッシュ・セターは初心者でも飼いやすい?
- 5. イングリッシュ・セターの大きさ・体重
- 6. イングリッシュ・セターの平均寿命
- 7. イングリッシュ・セターに必要な運動量
- 8. イングリッシュ・セターの抜け毛・お手入れ
- 9. イングリッシュ・セターは留守番しやすい?
- 10. イングリッシュ・セターのしつけのしやすさ
- 11. イングリッシュ・セターの無駄吠え・噛み癖などの注意点
- 12. イングリッシュ・セターがなりやすい病気・注意したい健康問題
- 13. イングリッシュ・セターの食事・ドッグフード選び
- 14. イングリッシュ・セターの子犬期の注意点
- 15. イングリッシュ・セターのシニア期の注意点
- 16. イングリッシュ・セターが向いている人
- 17. イングリッシュ・セターのよくある質問
- まとめ
- 【最新版】私がおすすめする犬用品10選
1. イングリッシュ・セターの基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 犬種名 | イングリッシュ・セター |
| 英名 | ENGLISH SETTER |
| 原産国 | イギリス |
| FCIスタンダード | No.2 |
| JKCグループ | 第7グループ(ポインター・セター) |
| 用途(JKC) | 鳥猟犬 |
| サイト内サイズ分類 | 大型犬 |
| 体高 | 牡65~68cm、牝61~65cm |
| 体重 | JKC現行ページに数値記載なし。参考:AKCでは牡65~80lb(約29.5~36.3kg)、牝45~55lb(約20.4~24.9kg) |
| 平均寿命 | 目安12年前後(AKC掲載値) |
| 運動量 | 多い |
| 被毛 | 中~長毛。耳、胸、腹部、脚、尾に飾り毛が発達する |
| 毛色 | ブルー・ベルトン、オレンジ・ベルトン、レモン・ベルトン、レバー・ベルトン、トライカラーなど |
| 抜け毛 | あり。定期的なブラッシングが必要 |
| トリミング | 日常のブラッシングに加え、必要に応じて足周り・耳周りなどを整える |
| 留守番 | 短時間から練習。長時間が毎日続く生活は慎重に |
| しつけやすさ | 学習能力は高いが、繊細さと狩猟欲を理解した一貫した練習が必要 |
| 初心者向き | 慎重。運動・被毛管理・大型犬の制御まで継続できる家庭向き |
2025年のJKC新規犬籍登録は22頭で、順位は94位です。これは2025年の1年間に新たに血統登録され、血統証明書が発行された頭数であり、日本国内に現在22頭しかいないという意味ではありません。
歴史は古く、JKCでは15世紀頃までさかのぼるとされ、銃猟の普及とともに発展しました。獲物を見つけると体を低くして位置を示す「セッティング」が犬種名の由来です。優雅な外見だけでなく、長時間フィールドで働ける運動能力と鋭い嗅覚を備えた犬であることが、家庭での暮らしを考えるうえでも重要です。
2. イングリッシュ・セターの性格
イングリッシュ・セターは、人に対して友好的で、明るく、家族と一緒に過ごすことを好みやすい犬種です。穏やかな表情からおっとりした犬を想像されることがありますが、屋外では鳥やにおいへ強く反応し、急に行動が活発になることがあります。
- 人に親しみやすく、家族との距離が近い
- 活動的で遊び好き
- 嗅覚を使うことが好き
- 鳥や小動物を追いたい欲求が出ることがある
- 強い叱責より、褒めながら教える方法が合いやすい
- 若い時期は落ち着きにくく、興奮して動き回ることがある
- 十分に運動した後は室内で落ち着いて過ごせる個体も多い
「友好的」という犬種傾向は、誰にでも必ず同じように接するという意味ではありません。社会化の経験が少ない犬、怖い経験をした犬、痛みがある犬では、知らない人や犬に慎重になることがあります。犬種名だけで性格を決めつけず、その犬自身の反応を見ながら接してください。

3. イングリッシュ・セターの飼いやすさ
性格だけを見ると家庭犬として魅力がありますが、実際の飼いやすさを左右するのは運動量と管理の手間です。毎日短い散歩だけで満足する犬種ではなく、歩く時間に加えて、におい嗅ぎ、探索遊び、持来遊び、短いトレーニングなど、頭と体の両方を使う時間が必要です。
日本の住宅では、庭があるかどうかよりも「毎日外へ連れ出せるか」「安全に走れる場所へ定期的に連れて行けるか」が重要です。庭があっても、犬だけを出しておけば十分な運動になるとは限りません。飼い主さんと一緒に歩き、においを嗅ぎ、課題に取り組む時間を作りましょう。
また、長い飾り毛には草の種、枯れ葉、泥などが絡みやすく、雨の日の散歩後は足、腹部、胸、耳周りまで確認が必要です。大型犬なので、濡れた全身を洗って乾かす作業にも時間がかかります。被毛管理まで含めて毎日の生活を想像しておくことが大切です。
4. イングリッシュ・セターは初心者でも飼いやすい?
犬を初めて飼う人でも暮らせない犬種ではありませんが、「穏やかそう」「優雅だから扱いやすそう」という印象だけで迎えるのはおすすめできません。運動量が多く、鳥や小動物を見た時の追跡欲求も考えながら、リード管理と呼び戻しの基礎を早くから教える必要があります。
成犬では30kg前後になる個体もいるため、引っ張りや飛びつきを力で止める方法には限界があります。子犬のうちから、人の横を歩く、刺激を見ても飼い主へ意識を戻す、玄関や車のドアの前で待つ、ハーネスを落ち着いて着けるといった生活上のルールを積み重ねます。
特に大型犬では、病院、車、シャンプー、爪切り、耳掃除などに協力できるよう慣らしておくと、成犬になってからの負担が大きく変わります。犬が動物病院を嫌がる時の慣らし方|震える・逃げる・噛む犬への7段階も参考にしてください。
5. イングリッシュ・セターの大きさ・体重
JKCの現行犬種標準では、体高は牡65~68cm、牝61~65cmです。体重の数値はJKC現行ページには掲載されていません。参考としてAKCでは、牡65~80lb(約29.5~36.3kg)、牝45~55lb(約20.4~24.9kg)を目安として掲載しています。
同じ犬種でも、性別、骨格、筋肉量、系統によって体重には差があります。数字だけに合わせるのではなく、肋骨へ軽く触れられるか、上から見て腰のくびれがあるかなど、ボディコンディションを確認して体重を管理します。
体高があり脚も長いため、室内ではテーブル上の食べ物へ簡単に届くことがあります。誤食しやすい物、薬、チョコレート、玉ねぎ類、串や骨などは「届かないつもり」ではなく、扉のある収納へ片づけましょう。車への乗り降りでは高い荷室から毎回飛び降りさせず、必要に応じてステップやスロープも検討します。

6. イングリッシュ・セターの平均寿命
AKCではイングリッシュ・セターの平均的な寿命の目安を12年としています。ただし、寿命は遺伝的背景、体重、食事、運動、事故の有無、病気の早期発見、日常のケアなどによって変わります。「この犬種なら必ず12年生きる」という数字ではありません。
健康寿命を支えるためには、若い頃から太らせすぎないこと、毎日適度に体を動かすこと、耳・歯・皮膚・被毛を定期的に確認することが基本です。大型犬では、シニア期になると関節痛や筋力低下によって立ち上がりや車への乗り降りが難しくなることがあります。元気な時から滑りにくい床や休みやすい寝床を整えておくと、年齢を重ねた時にも役立ちます。
7. イングリッシュ・セターに必要な運動量
イングリッシュ・セターは運動量が多い犬種です。成犬では、朝夕の散歩を基本にしながら、その犬の年齢と体調に合わせて十分な運動時間を確保します。単に距離を伸ばすだけでなく、においを嗅いで探索する時間、広い場所で安全に走る時間、トレーニングや遊びを組み合わせる方が満足度を高めやすくなります。
ただし、子犬に成犬と同じ運動をさせる必要はありません。成長期は骨や関節が発達途中なので、高い場所からの繰り返しジャンプ、長時間の強制的なランニング、滑る床での激しい方向転換などは避けます。遊びながら歩く、自由ににおいを嗅ぐ、短い練習を何回か行うなど、成長段階に合った活動にします。
鳥や猫、小動物を見た瞬間に追いかける可能性があるため、囲いのない場所でのノーリードは避けてください。呼び戻しが上手な犬でも、狩猟欲が強く働く状況では反応が変わることがあります。玄関や道路脇での飛び出し防止には、犬の待ての教え方とは?初心者でもできる基本のしつけ手順を解説を生活の中で練習しておくと役立ちます。
8. イングリッシュ・セターの抜け毛・お手入れ
イングリッシュ・セターの被毛は、頭部は比較的短く、体には滑らかな毛が伸び、耳、胸、腹部、前後肢、尾に長い飾り毛が発達します。美しい飾り毛は魅力ですが、毛玉、草の種、泥、湿気を抱え込みやすいため、見た目以上に日常の手入れが必要です。
- 少なくとも週1回を目安に全身をブラッシングする
- 耳の後ろ、脇、胸、内股、尾の飾り毛は特に絡みを確認する
- 散歩後は草の種や小枝が付いていないか見る
- 濡れた日は皮膚近くまでしっかり乾かす
- 耳の中の赤み、におい、耳垢を定期的に確認する
- 爪と足裏の毛を適切に整える
AKCでは少なくとも週1回のブラッシングを案内しています。家庭で全身を短く刈る必要がある犬種ではありませんが、足周りや耳周り、衛生面で気になる部分は必要に応じて整えます。サロンを利用する場合は、大型犬料金、シャンプー、部分カット、毛玉料金なども事前に確認しておきましょう。

9. イングリッシュ・セターは留守番しやすい?
家族との関わりを好みやすい犬種なので、長時間の留守番が毎日続く生活では、退屈やストレスが問題になりやすい可能性があります。ただし、留守番ができるかどうかは犬種だけでは決まらず、個体差、年齢、運動量、過去の経験、留守番練習の進め方で大きく変わります。
最初から数時間ひとりにするのではなく、別室で数十秒過ごす、飼い主が玄関の外へ短時間出るなど、小さな段階から練習します。出かける前には排泄と適度な運動を済ませ、安全に休める場所と水を用意してください。
留守番中に何時間も吠え続ける、ドアや窓を壊そうとする、よだれが大量に出る、排泄の失敗が急に増えるなど強い不安が疑われる場合は、単なる「わがまま」と考えないことが大切です。基本の進め方は、犬の留守番のしつけ方とは?ひとりで待てない時の練習方法を解説も確認してください。
10. イングリッシュ・セターのしつけのしやすさ
人と協力して働いてきた犬種で、学習能力は高い一方、とても繊細な個体もいます。強く叱る、リードを乱暴に引く、失敗を長く責めると、課題そのものや飼い主を避けるようになることがあります。できた行動を褒め、食べ物、遊び、におい嗅ぎなど、その犬が喜ぶ報酬を使って教えます。
優先したいのは、呼び戻し、人の横を歩く、待て、離せ、ハウス、体を触られる練習です。特に散歩では、鳥や猫を見た時に急に加速する可能性を考え、首輪だけでなく体に合ったハーネスの利用も検討します。装着を嫌がる場合は、犬がハーネスを嫌がる時の慣らし方|逃げる・固まる・噛む犬への7段階のように小さな手順へ分けて慣らします。
「運動させればしつけは不要」「疲れさせれば問題行動はなくなる」という考え方にも注意してください。運動不足の解消は大切ですが、興奮から落ち着く練習や、刺激の中で飼い主へ意識を戻す練習は別に必要です。
11. イングリッシュ・セターの無駄吠え・噛み癖などの注意点
イングリッシュ・セターが特別に攻撃的な犬種というわけではありませんが、運動不足、退屈、興奮、要求、警戒、不安などによって吠えやすくなることはあります。集合住宅では声量だけでなく、走る音や床を蹴る音にも配慮が必要です。
無駄吠えと呼ばれる行動も、実際には犬にとって理由があります。窓の外の鳥へ反応するなら視界を遮る、来客で興奮するなら距離を取ってマットで待つ、退屈から吠えるなら散歩や探索遊びを見直すなど、原因に合わせて対応します。犬の無駄吠えの直し方とは?吠える理由別のしつけ方法を解説も参考になります。
子犬期の甘噛みは遊びや探索として見られますが、成犬になると口も大きくなります。手をおもちゃ代わりにして興奮させすぎず、噛んでよい物へ誘導します。また、散歩中に鳥を追おうとする行動を「猟犬だから仕方ない」で放置せず、安全管理とトレーニングを並行してください。

12. イングリッシュ・セターがなりやすい病気・注意したい健康問題
イングリッシュ・セターでは、繁殖犬の健康スクリーニングとして股関節、肘関節、聴覚、甲状腺が重視されています。米国の親犬種クラブであるEnglish Setter Association of America(ESAA)のCHIC要件では、股関節評価、肘関節評価、BAERによる聴覚検査、甲状腺評価が指定されています。
CHIC番号は、犬種クラブが指定した検査を受け、必要な結果を公開していることを示す仕組みで、すべての結果が正常だったことを意味しません。子犬を迎える時は「CHICあり」という言葉だけでなく、親犬それぞれの検査項目と実際の結果を確認しましょう。
股関節形成不全
股関節形成不全は、股関節の発育やかみ合わせが不安定になり、痛みや変形性関節症につながることがある病気です。立ち上がりに時間がかかる、腰を振るように歩く、階段を嫌がる、運動後に後ろ足をかばうなどの変化が見られることがあります。
症状だけで股関節形成不全と決めることはできません。膝、腰、足先など別の問題でも似た歩き方が出ます。繰り返す場合は診察を受けてください。詳しくは犬の股関節形成不全とは?後ろ足のふらつき・腰を振る歩き方・立ち上がりにくい時に注意したい病気で解説しています。
肘関節異形成
肘関節異形成は、肘の関節を構成する骨や軟骨の発育異常が関係し、前足の跛行や痛みにつながることがあります。JKCの「遺伝性疾患の発生リスクが高いと考えられている犬種リスト」では、イングリッシュ・セターが肘関節異形成の欄に掲載されています。成長期から前足をかばう、運動後に跛行する、立ち上がりで前足を使いたがらないなどの変化が続く場合は受診します。
先天性難聴
イングリッシュ・セターでは先天性難聴が健康検査の重要項目で、BAER検査が用いられます。BAERは音への行動反応だけを見るのではなく、音刺激に対する脳幹の電気反応を測定する検査です。片耳だけ聞こえにくい犬は日常生活で気づきにくいこともあるため、繁殖犬や子犬の客観的評価に役立ちます。
自己免疫性甲状腺炎など甲状腺の問題
ESAAのCHIC要件には甲状腺評価も含まれます。家庭犬では、元気が落ちた、寒がる、体重が増えやすい、左右対称の脱毛が見られるなどの変化が甲状腺機能低下でみられることがありますが、これらは他の病気でも起こります。症状だけで診断せず、獣医師の診察と血液検査で確認します。
耳のトラブル
垂れ耳で耳周りにも長い毛があるため、耳の中が蒸れやすい個体では外耳炎などに注意します。強いにおい、赤み、耳垢の増加、頭を振る、耳をしきりに掻くといった変化があれば、綿棒で奥まで掃除せず診察を受けます。健康な耳へ毎日洗浄液を大量に入れる必要はなく、その犬の耳の状態に合ったケアを動物病院で相談してください。
胃拡張胃捻転(GDV)
AKCはイングリッシュ・セターでbloat(胃拡張・胃捻転を含む文脈)への注意を案内しています。特に「何度も吐こうとしているのにほとんど何も出ない」「お腹が急に張る」「落ち着かない」「大量によだれが出る」「ぐったりする」といった症状が重なる場合は緊急です。
胃拡張胃捻転は自宅で様子を見る病気ではありません。吐こうとして吐けない+腹部膨満、虚脱、歯ぐきが白いなどが見られる場合は、自宅で様子を見ず動物病院へ連絡してください。詳しくは犬の胃拡張胃捻転(GDV)とは?吐こうとして吐けない・お腹が張る時の緊急症状と手術を解説を確認してください。
また、強い眼痛、突然の視力低下、呼吸困難、青紫色または白い歯ぐき、失神・虚脱、尿が出ない、急に歩けない、麻痺、長いけいれん、短時間に発作を繰り返す、熱中症が疑われる場合も緊急性があります。自宅で様子を見ず動物病院へ連絡してください。目の症状では、人間用の目薬や以前処方された残りの点眼薬を自己判断で使わないでください。

13. イングリッシュ・セターの食事・ドッグフード選び
ドッグフードは「イングリッシュ・セター用」という犬種名だけで決める必要はありません。年齢、体重、避妊・去勢の有無、活動量、便の状態、皮膚や被毛、持病の有無を見ながら、その犬に合う総合栄養食を選びます。
運動量が多い犬でも、必要以上に高カロリーな食事を与えると体脂肪が増え、関節への負担が大きくなります。反対に、よく運動するのに食事量が少なすぎれば体重や筋肉を維持できません。袋に書かれた給与量は出発点として使い、実際の体型と体重変化を見て調整します。
大型犬の子犬では、成長を早めようとして過剰に食べさせないことが大切です。子犬用フードの中でも成長段階と体格に合うものを選び、成長曲線を見ながら体重を管理します。カルシウムなどのサプリメントを自己判断で追加すると栄養バランスを崩すことがあるため、総合栄養食を使っている場合は獣医師へ相談せず追加しないようにします。
持病がある犬では、一般的な「関節ケア」「甲状腺ケア」などの表示だけで治療を代用しないでください。療法食は診断後、獣医師の指導で使用します。一般的なフードだけで遺伝性疾患を予防できると考えないことも大切です。
14. イングリッシュ・セターの子犬期の注意点
子犬期は、運動能力を伸ばすことよりも、家庭で安全に暮らす基礎を作る時期です。人、犬、車、生活音、ブラシ、耳を触られること、足先を持たれること、ハーネス、車移動、病院などを、怖がらない範囲で少しずつ経験させます。
イングリッシュ・セターの子犬は好奇心が強く、においを追って予想以上に遠くへ移動することがあります。庭のフェンス下に隙間がないか、玄関を開けた時に飛び出さないか、窓や門扉の管理が十分かを確認します。散歩中は首輪やハーネスのサイズも成長に合わせて定期的に見直してください。
運動は毎日必要ですが、骨格が発達途中の時期に長時間のランニングや高い場所からのジャンプを繰り返す必要はありません。滑りやすいフローリングにはマットを敷き、遊びでは急停止と急旋回ばかりを繰り返さないようにします。
さらに、子犬を迎える前には親犬の健康検査も確認します。股関節、肘関節、BAER、甲状腺について「検査したか」だけでなく結果を見せてもらいましょう。健康検査を受けていることは発症を完全に防ぐ保証ではありませんが、繁殖時の重要な情報になります。

15. イングリッシュ・セターのシニア期の注意点
年齢を重ねると、若い頃と同じ距離を歩けても回復に時間がかかることがあります。散歩を急にゼロにするのではなく、距離や速度を調整し、筋肉を維持できる範囲で継続します。翌朝に足をかばう、立ち上がりが遅い、階段をためらうようになった場合は「年だから」と決めつけず、痛みの原因を確認してもらいましょう。
大型犬のシニア期では、介護時の移動方法も事前に考えておくと安心です。自力で車へ乗れなくなった時に使えるスロープ、後肢を支える補助ハーネス、滑りにくい通路、低めで立ち上がりやすい寝床などを準備します。30kg前後の犬を一人で抱き上げるのは飼い主さんの腰にも負担がかかるため、無理な抱っこだけに頼らない環境を作ります。
食事量も若い頃のままではなく、活動量と体型を見て調整します。ただし、急な体重減少、食欲低下、多飲多尿、咳、息切れ、夜間の落ち着かなさなどがある場合は、単なる老化と考えず受診してください。定期健診の頻度は、年齢と既往歴に応じて動物病院で相談します。
16. イングリッシュ・セターが向いている人
イングリッシュ・セターは、優雅な外見だけでなく、毎日一緒に動き、遊び、学ぶ時間を楽しめる家庭に向いています。散歩を義務として最低限こなすより、犬との外出やトレーニング自体を生活の楽しみにできる人との相性が良い犬種です。
- 毎日十分な散歩と運動時間を確保できる
- 鳥や小動物を追う本能を理解し、リード管理を徹底できる
- 飾り毛のブラッシングや耳のケアを続けられる
- 大型犬の食費・医療費・サロン費用を長期的に考えられる
- 褒めながら一貫したトレーニングを続けられる
- 暑い日本の夏に室温と運動時間を調整できる
- シニア期の介護や移動まで含めて飼育を考えられる
一方、毎日長時間留守にすることが多い、運動時間を十分に取れない、被毛管理に時間をかけたくない、散歩中の大型犬を安全に制御する準備が難しい家庭では、迎える前に生活との相性を慎重に検討した方がよいでしょう。
17. イングリッシュ・セターのよくある質問
Q. イングリッシュ・セターは大型犬ですか?
当サイトでは大型犬に分類します。JKCの体高は牡65~68cm、牝61~65cmです。海外では中型のスポーティングドッグとして扱われる場合もありますが、当サイトでは日本の一般家庭での体格感、成犬時の大きさ、移動や制御の負担を考えて大型犬としています。
Q. 抜け毛は多いですか?
抜け毛はあります。さらに長い飾り毛が絡みやすいため、抜け毛の量だけでなく毛玉対策が必要です。少なくとも週1回を目安に全身をブラッシングし、耳の後ろ、脇、胸、内股、尾はこまめに確認します。
Q. 集合住宅でも飼えますか?
飼育自体は可能ですが、体高と運動量があり、走る音や吠え声、エレベーターでの他犬とのすれ違いなどを考える必要があります。住居の飼育規約で体重やサイズ制限がないかも確認してください。毎日十分に運動できることが前提です。
Q. 子どもや他の犬と暮らせますか?
友好的な犬種傾向があり、子どもや他犬と暮らせる個体も多いですが、必ず相性を確認します。若い犬は興奮して飛びつくことがあるため、小さな子どもとの接触は大人が見守ります。食事中や睡眠中に無理に触らせないなど、人側のルールも整えます。
Q. 猫と一緒に暮らせますか?
個体差があります。鳥猟犬として追跡欲求があるため、猫や小動物への反応は慎重に見ます。子犬期から同居していても必ず安全とは限らず、猫が逃げられる高い場所や別室を用意し、最初はリードを付けるなど管理して慣らします。鳥、ウサギ、ハムスターなど小動物とは特に直接接触させない方が安全です。
Q. イングリッシュ・セターは初心者向きですか?
初心者でも飼育できないわけではありませんが、運動量、追跡本能、被毛管理、大型犬の制御を学ぶ必要があります。初めて犬を飼う場合は、迎える前にトレーナーやブリーダーへ相談し、散歩・留守番・病院・サロンまで含めた生活を具体的にイメージしておくと安心です。
まとめ

イングリッシュ・セターは、ベルトン模様の美しい被毛と優雅な姿を持ちながら、本来は長時間フィールドで働く活動的な鳥猟犬です。人に友好的で家庭犬として魅力がありますが、「穏やかな大型犬」という印象だけでなく、毎日の運動、追跡本能、飾り毛のお手入れ、耳のケア、大型犬としての安全管理まで考える必要があります。
2025年のJKC新規犬籍登録は22頭で94位です。JKCの現行犬種標準では用途は「鳥猟犬」、体高は牡65~68cm、牝61~65cmです。健康面では、繁殖犬のスクリーニングとして股関節、肘関節、BAERによる聴覚、甲状腺の評価が重要視されています。
これから迎える場合は、親犬の健康検査結果だけでなく、性格、生活環境、必要な運動時間、被毛管理、留守番時間、将来の介護まで確認しましょう。現在一緒に暮らしている場合は、毎日の歩き方、耳、被毛、体重、食欲、運動後の回復など小さな変化を記録しておくことが、早めの受診につながります。


