
ウェルシュ・テリアは、ブラック&タンの硬いワイヤーコート、長めのマズル、四角くまとまった体つきが印象的なイギリス原産の小型テリアです。見た目はエアデール・テリアを小さくしたようにも見えますが、独立した犬種で、もともとはウェールズでキツネ、アナグマ、カワウソなどを追うために使われてきた実用的な猟犬です。
ジャパンケネルクラブ(JKC)の現行ページでは、FCIスタンダードNo.78、原産国イギリス、第3グループ、用途は正確に「テリア」とされています。体高は39cm以下、体重は9~9.5kgです。当サイトでは、成犬時の一般的な体格を目安に小型犬として分類します。
ウェルシュ・テリアは、明るく愛情深く、テリアとしては比較的扱いやすい性格が理想とされています。一方で、猟犬らしい行動力、追跡欲求、独立心、掘る行動を持つ犬でもあります。「小型犬だから散歩は少なくてよい」と考えるのではなく、毎日の運動、頭を使う遊び、追跡を防ぐ安全管理、ワイヤーコートのお手入れまで含めて暮らしを考える必要があります。
- 1. ウェルシュ・テリアの基本情報
- 2. ウェルシュ・テリアの性格
- 3. ウェルシュ・テリアの飼いやすさ
- 4. ウェルシュ・テリアは初心者でも飼いやすい?
- 5. ウェルシュ・テリアの大きさ・体重
- 6. ウェルシュ・テリアの平均寿命
- 7. ウェルシュ・テリアに必要な運動量
- 8. ウェルシュ・テリアの抜け毛・お手入れ
- 9. ウェルシュ・テリアは留守番しやすい?
- 10. ウェルシュ・テリアのしつけのしやすさ
- 11. ウェルシュ・テリアの無駄吠え・噛み癖などの注意点
- 12. ウェルシュ・テリアがなりやすい病気・注意したい健康問題
- 13. ウェルシュ・テリアの食事・ドッグフード選び
- 14. ウェルシュ・テリアの子犬期の注意点
- 15. ウェルシュ・テリアのシニア期の注意点
- 16. ウェルシュ・テリアが向いている人
- 17. ウェルシュ・テリアのよくある質問
- まとめ
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1. ウェルシュ・テリアの基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 犬種名 | ウェルシュ・テリア |
| 英名 | WELSH TERRIER |
| 原産国 | イギリス |
| FCIスタンダード | No.78 |
| JKCグループ | 第3グループ(テリア) |
| 用途(JKC) | テリア |
| サイト内サイズ分類 | 小型犬 |
| 体高 | 39cm以下(JKC) |
| 体重 | 9~9.5kg(JKC) |
| 平均寿命 | 12~15年がひとつの目安(AKC)。Royal Kennel Clubでは12年以上 |
| 運動量 | 小型犬としては多め。Royal Kennel Clubでは1日1時間までを目安 |
| 被毛 | 硬く密なワイヤーコート。アンダーコートを持つ |
| 毛色 | ブラック&タン、またはブラック・グリズル&タン |
| 抜け毛 | ある。定期的なブラッシングが必要 |
| トリミング | 必要。犬種らしい毛質を保つ場合はハンドストリッピングも利用される |
| 留守番 | 短時間から練習。運動不足と退屈、警戒吠えに配慮 |
| しつけやすさ | 理解力は高いが独立心もある。短く楽しい練習が向く |
| 初心者向き | テリアの運動量・追跡本能・被毛管理を理解できる人なら候補になる |
JKCでは、ウェルシュ・テリアを「真のワーキング・バックグラウンドを持つ犬種」と説明しています。古くから狐、アナグマ、カワウソなどの狩猟に使われ、ウェールズの山地で働くための丈夫さと行動力を備えてきました。外見だけを整えたショードッグとして生まれた犬ではなく、現在も犬種標準には作業能力に富んだコンパクトな体と気質が反映されています。
2025年のJKC新規犬籍登録は82頭で、全犬種中64位でした。これは2025年の1年間に新しく血統登録された頭数であり、日本国内に現在82頭しかいないという意味ではありません。今回の小型犬シリーズでは、すでに作成済みの犬種を除き、2025年JKC新規犬籍登録数が多い順に進めています。

2. ウェルシュ・テリアの性格
JKCでは、愛情深く、従順で扱いやすく、陽気で快活、シャイになることはめったになく、勇ましく怖いもの知らずでありながら、決して攻撃的ではない犬が理想とされています。テリアの中では比較的穏やかな印象を持たれやすい犬種ですが、「おとなしい愛玩犬」という意味ではありません。
家族との遊びや散歩を楽しみ、明るく社交的な個体も多い一方、もともと獲物を追い、必要な場面では自分で判断して働いてきた犬なので、独立心もあります。毎回同じ指示を長時間繰り返すより、数分の短い練習をテンポよく行い、成功したら遊びやにおい嗅ぎへつなげる方が学習しやすいでしょう。
ほかの犬との関係は個体差があります。犬種標準で攻撃的でないことが理想とされていても、すべての犬と自由に遊べることを保証するものではありません。成犬になるにつれて好みがはっきりする犬もいるため、ドッグランで誰とでも遊ぶことより、散歩ですれ違えることを優先しましょう。
また、猫や鳥、小型動物など素早く動く対象への反応にも注意します。子犬期から一緒に暮らしていても追跡が絶対に起こらないとは言えません。犬種の歴史を踏まえ、追いかける機会を作らない管理と呼び戻し練習の両方を行います。
3. ウェルシュ・テリアの飼いやすさ
体高39cm以下、体重9~9.5kgと小型犬として扱いやすいサイズですが、活動量は少なくありません。Royal Kennel Clubでは1日1時間までの運動を目安としており、AKCでもエネルギーの高い犬として紹介されています。毎日の散歩に加えて、ボール遊び、におい探し、短いトレーニングなどを組み合わせると満足しやすくなります。
- 毎日散歩と遊びの時間を確保する
- 猫・鳥・自転車など動く対象への追跡を管理する
- 呼び戻し・待て・リード歩行を早めに教える
- 掘る・探索するといったテリアらしい行動を安全に満たす
- ワイヤーコートを定期的にブラッシングする
- ハンドストリッピングかクリッピングかを生活に合わせて選ぶ
- 滑りにくい床を用意する
- 親犬のPLL検査や家系の健康情報を確認する
日本の集合住宅でも暮らせる体格ですが、廊下の音や窓の外の人へ反応して吠える個体では環境調整が必要です。玄関から休息場所を離す、窓の下へ家具を置いて外を監視し続ける状態を避けるなど、しつけだけでなく住環境も見直します。
庭がある場合は掘る行動も想定しましょう。花壇を守りたいなら柵で区切り、別に掘ってよい場所を用意する方法があります。犬種らしい行動を完全に封じるより、安全な出口を用意する方が生活のストレスを減らしやすくなります。
4. ウェルシュ・テリアは初心者でも飼いやすい?
犬を初めて飼う人でも候補にできますが、「小型犬だから初心者向き」と単純には言えません。運動量があり、独立心と追跡本能を持ち、ワイヤーコートには定期的な手入れが必要です。毎日散歩へ行き、犬の行動を学びながらトレーニングを続けられることが前提になります。
優先して教えたいのは、呼び戻し、待て、玄関で飛び出さないこと、リードを緩めて歩くこと、物を放すこと、刺激から飼い主さんへ意識を戻すことです。追跡が始まってから力で止めるより、遠くに刺激がある段階で成功させる方が安全です。
グルーミングでは、顔、脚、口ひげ、耳の周辺まで触られる必要があります。成犬になってから押さえ込んで手入れするのではなく、子犬の頃からブラシやコーム、トリミング台に近い足場、他人に体を触られることへ少しずつ慣らします。
目の病気であるPLLはこの犬種で現在もっとも明確に推奨されているDNA検査です。眼科診察を受ける場面にも備え、顔や目の周囲へ手を近づけられる練習を元気なうちから行っておくと役立ちます。
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5. ウェルシュ・テリアの大きさ・体重
JKCでは体高39cm以下、体重9~9.5kgとされています。小型犬の中では骨格がしっかりしており、コンパクトで作業能力のある体つきが理想です。細く華奢なトイ犬ではなく、地面を走り、巣穴や岩場へ入って働くための強さを持っています。
AKCでは牡の体高を15インチ、体重を20ポンド程度とし、牝はそれより比例して小さいとしています。JKCの数値と大きく矛盾するものではありませんが、日本で犬種標準を確認する際はJKCの39cm以下・9~9.5kgを基準にすると分かりやすいでしょう。
ワイヤーコートによって体の輪郭がふくらんで見えるため、見た目だけでは太ったことに気づきにくい場合があります。定期的に肋骨の触れ方、腰のくびれ、腹部の引き締まりを確認し、体重も測ります。
活動的な犬だから太らないとは限りません。トレーニングのごほうびや家族からのおやつも一日の摂取量に含め、適正体重を保ちます。過体重は膝や股関節を含む運動器への負担につながります。

6. ウェルシュ・テリアの平均寿命
AKCでは平均寿命の目安を12~15年、Royal Kennel Clubでは12年以上としています。小型犬として比較的長寿を期待できる犬種ですが、実際の寿命は遺伝的背景、体重、事故、眼疾患、関節、皮膚、心臓などさまざまな要因によって変わります。
AKCの犬種ページでは、責任ある繁殖者がアレルギー、股関節形成不全、レッグ・カルベ・ペルテス病なども健康上の問題として意識していることが紹介されています。ただし、現在のNational Breed Club推奨検査として明記されているのはPLL DNAです。犬種で報告される健康問題と、現在の繁殖前推奨検査は分けて考えましょう。
長寿な犬ほど、歯周病、体重増加、関節の変化、眼の変化など年齢とともに確認したい項目が増えます。若い頃から体重、散歩ペース、目の状態、皮膚、歯の状態を把握しておくと、シニア期の小さな変化に気づきやすくなります。
7. ウェルシュ・テリアに必要な運動量
Royal Kennel Clubでは1日1時間までを目安としています。健康な成犬では、散歩だけでなく、持ってこい、におい探し、短いトレーニング、安全な囲いのある場所での自由運動などを組み合わせるとよいでしょう。
ウェルシュ・テリアはエネルギーが高く、動く対象を追うこと自体を楽しむ犬もいます。ボール遊びだけを長時間続けると興奮が上がり続けることがあるため、「待つ→追う→持ってくる→放す→休む」という流れを作ると、遊びの中でセルフコントロールも練習できます。
自転車やランナーに反応する犬では、対象が近くへ来てから叱るのではなく、犬がまだ食べ物を食べたり飼い主さんを見たりできる距離から練習します。追いかける経験そのものを繰り返させないことも重要です。
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日本の夏は高温多湿なので、運動量の多い犬でも暑い時間帯に無理をさせません。早朝や日没後を中心にし、路面温度も確認します。激しいパンティング、ふらつき、大量のよだれ、反応低下など熱中症が疑われる場合は運動を中止し、動物病院へ連絡してください。
8. ウェルシュ・テリアの抜け毛・お手入れ
ウェルシュ・テリアは、硬くごわごわした上毛と下毛を持つワイヤーコートです。Royal Kennel Clubでは週1回より多いグルーミングを目安とし、抜け毛は「あり」としています。長毛犬のように床へ大量の毛が落ちるタイプではないこともありますが、手入れが少なくてよい犬種ではありません。
家庭では週1~2回を目安にブラッシングし、脚、脇、口ひげ、耳の周辺などが絡んでいないか確認します。口ひげは食事や水で濡れやすいため、汚れが残った時は軽く拭いて乾かします。
犬種らしい硬い毛質を維持する方法として、成熟した上毛を少しずつ抜くハンドストリッピングがあります。ショードッグでは特に重要ですが、家庭犬では定期的なクリッピングを選ぶこともあります。AKCではペットのウェルシュで8~12週ごとのクリッピングを一例として紹介しています。
ハンドストリッピングとクリッピングでは、毛質や色の見え方、必要な技術、犬にかかる時間が異なります。どちらを選ぶかは、ショーへの参加予定、皮膚状態、犬が手入れを受け入れられるか、サロンへ通える頻度を考えて決めましょう。
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9. ウェルシュ・テリアは留守番しやすい?
成犬では自分の場所で休める犬もいますが、活発で好奇心が強いため、毎日長時間ひとりで過ごす生活には工夫が必要です。運動不足や退屈が続くと、吠える、物を壊す、ベッドや床を掘る、窓の外を監視し続けるといった行動が出ることがあります。
留守番練習は、飼い主さんが在宅している時に自分のベッドやマットで休めることから始めます。次に別室へ短時間移動し、数分の外出へ進みます。帰宅時と出発時に毎回大きく興奮させず、日常の一部として扱います。
留守番前には排泄と適度な散歩を済ませます。激しいボール遊びで興奮のピークまで上げてすぐ外出するより、活動後に水を飲み、呼吸が落ち着き、休める状態になってから離れましょう。
留守番中に吠え続ける、ドアを壊そうとする、大量によだれが出る、排泄失敗を繰り返す場合は、カメラなどで実際の様子を確認します。退屈、外への警戒、分離への強い不安では対策が異なります。
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10. ウェルシュ・テリアのしつけのしやすさ
ウェルシュ・テリアは理解力が高く、人と一緒に活動することを楽しめる犬ですが、自分で考えて動くテリアらしさもあります。長時間の反復練習より、短く成功させ、ごほうびの後に遊びや探索を入れる方法が向いています。
優先したいのは、名前への反応、呼び戻し、待て、リードを緩めて歩く、物を放す、玄関で待つことです。追跡本能がある犬では、呼び戻しができるからと囲いのない場所でノーリードにするのは避けます。
食べ物だけでなく、においを嗅ぐこと、ボールを投げてもらうこと、散歩を再開することも報酬になります。たとえばリードを引かずに待てたら「前へ進める」という結果を作ると、日常そのものをトレーニングにできます。
叱って動きを止めることだけに頼らず、「自転車を見たら飼い主さんを見る」「来客時はマットへ行く」など代わりの行動を教えます。家族全員が同じルールで対応することも重要です。
11. ウェルシュ・テリアの無駄吠え・噛み癖などの注意点
周囲へ注意を向けやすいテリアなので、玄関音、窓の外の人や犬、物音などへ吠えることがあります。吠えたことだけを叱るのではなく、警戒、退屈、要求、不安のどれが関係しているか確認します。
窓の外へ反応するなら視界を調整し、来客へ興奮するならマットへ移動する練習をします。吠え始めてから大声で止めるより、まだ落ち着いている段階で別の行動へ誘導する方が成功しやすくなります。
子犬期の甘噛みや物をくわえる行動では、噛んでよいおもちゃへ誘導し、「放す」を教えます。引っ張りっこでは、始める、放す、休むというルールを決めると、遊びながら興奮をコントロールする練習になります。
以前は平気だった犬が急に触られることを嫌がる、うなる、噛もうとする場合は、性格だけの問題と決めつけません。歯、耳、皮膚、目、関節などの痛みが行動変化へ影響することがあります。

12. ウェルシュ・テリアがなりやすい病気・注意したい健康問題
現在のAKC National Breed Club推奨検査では、ウェルシュ・テリアについて原発性水晶体脱臼(PLL)のDNA検査が挙げられています。Welsh Terrier Club of Americaの親犬種クラブHealth StatementでもPLL検査を推奨しており、英国Royal Kennel Clubの現行Health StandardでもPLL DNA検査がGood Practiceとして重視されています。
一方、AKCの犬種ページでは、責任ある繁殖者がアレルギー、股関節形成不全、レッグ・カルベ・ペルテス病などにも注意していると紹介されています。またAKCの犬種別DNA情報には変性性脊髄症(DM)の検査も「Other DNA Tests Identified in Breed」として掲載されています。これらは現在のNational Breed Club推奨であるPLLと同じ位置付けではありません。
| 区分 | 検査・考え方 |
|---|---|
| AKC National Breed Club推奨 | 原発性水晶体脱臼(PLL)DNA |
| WTCA Health Statement | PLL検査を推奨 |
| Royal Kennel Club Good Practice | PLL DNA |
| AKC犬種ページで触れられる健康課題 | アレルギー、股関節形成不全、レッグ・カルベ・ペルテス病など |
| その他のDNA検査情報 | DMなど。検査が存在することと、親犬種クラブ推奨であることは別 |
原発性水晶体脱臼(PLL)
PLLは、水晶体を正常な位置で支える線維が弱くなり、水晶体が本来の位置からずれる遺伝性の眼疾患です。水晶体が前方へ脱臼すると眼圧が急上昇し、続発性緑内障や強い痛み、視力低下につながる可能性があります。
DNA検査は繁殖時に遺伝的リスクを確認するために利用されます。ただし、家庭犬の目が赤い、痛そう、急に見えにくそうという症状をDNA検査だけで診断するものではありません。実際の眼科診察、眼圧測定、目の内部の確認が必要です。
片目を急に閉じる、強くしょぼしょぼする、白目が赤い、角膜が青白く濁る、瞳孔の形がおかしい、物へぶつかるといった変化があれば早めに受診します。強い眼痛や突然の視力低下は緊急性があります。
人間用の目薬や、以前別の眼病で処方された点眼薬を自己判断で使わないでください。目の状態によっては薬が適さず、診断を遅らせる可能性があります。
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レッグ・カルベ・ペルテス病
AKCの犬種ページでは、ウェルシュ・テリアで責任ある繁殖者が注意する健康問題の一つとしてレッグ・カルベ・ペルテス病が挙げられています。この病気では大腿骨頭への血流が障害され、骨が変性し、股関節の痛みや跛行につながることがあります。
後ろ足をかばう、片足を上げる、走りたがらない、股関節周辺を触ると嫌がる、後ろ足の筋肉が細くなるなどの変化がみられる場合があります。ただし同じような症状は膝蓋骨脱臼、外傷、靱帯損傷などでも起こります。
股関節形成不全・膝など運動器の問題
AKCの犬種ページでは股関節形成不全も健康課題の一つとして紹介されています。ウェルシュ・テリアは小型ですが非常に活動的なので、歩き方の変化、運動後の痛み、立ち上がりのぎこちなさが続く場合は整形外科的な診察を受けます。
家庭では適正体重を保ち、滑るフローリングで急旋回を繰り返させないようにします。ソファからの飛び降りを何度も繰り返す犬では、必要に応じて低いステップを用意します。
皮膚・アレルギーの問題
AKCの犬種ページでは、アレルギー問題も繁殖者が注意する健康課題として挙げられています。かゆみ、足先をなめ続ける、耳の炎症を繰り返す、皮膚が赤いなどの症状がある場合は、食事だけの問題と決めつけず診察を受けましょう。
ワイヤーコートでは皮膚が見えにくいことがあるため、ブラッシング時に脇、内股、腹部、指の間まで確認します。トリミング後だけ赤みが出る場合は、道具の刺激や皮膚状態も含めてトリマーと獣医師へ相談します。
変性性脊髄症(DM)などDNA検査情報の扱い
AKCの犬種別DNA検査情報では、ウェルシュ・テリアについてDMが「Other DNA Tests Identified in Breed」として掲載されています。しかし、現在のNational Breed Club推奨はPLL DNAです。利用可能な検査があるからといって、すべての検査が同じ重要度で必須という意味ではありません。
親犬の健康を確認する時は、検査パネルの項目数だけで判断せず、親犬種クラブが現在何を推奨しているか、家系でどの病気が問題になっているか、繁殖者が結果をどのように交配へ反映しているかを確認しましょう。

13. ウェルシュ・テリアの食事・ドッグフード選び
フードは犬種名だけで選ばず、年齢、体重、活動量、去勢・避妊の有無、健康状態に合った総合栄養食を基本にします。活動的な犬ですが、散歩量が減った時期にも同じ量を与え続ければ過体重になる可能性があります。
トレーニングを頻繁に行う犬では、おやつも一日の摂取量へ含めます。フードの一部を練習用へ取り分けておくと、カロリーを増やさずに多くの成功を褒めやすくなります。
子犬期は「小さく育てたい」からと食事を制限しません。成長に必要な総合栄養食を適量与え、急激な肥満を避けながら筋肉と骨格を育てます。適正体重の維持は股関節やほかの関節の負担を減らすうえでも重要です。
PLLやレッグ・カルベ・ペルテス病などの遺伝的・発育的な病気を一般的なドッグフードだけで予防できるとは言えません。皮膚症状がある場合も、自己判断で食材を次々と除去する前に獣医師へ相談し、必要に応じて食事試験などを行います。
14. ウェルシュ・テリアの子犬期の注意点
子犬期は、好奇心と行動力を抑え込まず、安全な方向へ導く時期です。自転車、猫、鳥、人、犬、生活音などを安全な距離から経験し、刺激を見ても飼い主さんへ戻れる習慣を作ります。
- 名前を呼ばれたら飼い主さんを見る
- 短い呼び戻しを楽しく練習する
- 玄関や門で待つ習慣を作る
- 自転車・ランナー・猫を安全な距離から経験する
- 手ではなくおもちゃを噛むよう教える
- ブラシ、コーム、口ひげや脚を触られることへ慣らす
- マットやベッドで静かに休む練習をする
- 短時間の留守番を練習する
社会化は「できるだけ近くへ連れて行くこと」ではありません。子犬が怖がって食べ物も取れない状態になる前に距離を取り、落ち着いて観察できる経験を増やします。テリアらしい勇敢さがあっても、すべての刺激へ近づける必要はありません。
成長期は高いジャンプや長距離ランニングを過剰に行わず、月齢に合った散歩と自由運動で体を作ります。滑る床での追いかけっこを繰り返す場合は、マットを敷いて足元を安定させましょう。
子犬を迎える時は、少なくとも両親犬のPLL DNA結果を確認します。さらに繁殖者が股関節、眼科、皮膚、レッグ・カルベ・ペルテス病など家系の健康情報をどのように把握しているか聞くことも参考になります。

15. ウェルシュ・テリアのシニア期の注意点
ウェルシュ・テリアはシニア期まで活動的な犬もいますが、若い頃と同じ速さや運動強度へこだわる必要はありません。長い散歩が負担になったら短い散歩へ分け、におい嗅ぎやゆっくりした探索を増やします。
階段をためらう、後ろ足を上げる、立ち上がりが遅い、散歩後に足をかばう場合は関節や股関節を確認します。「テリアだから我慢強い」と痛みを見逃さないことが大切です。
眼についても、年齢だけの変化と決めつけません。片目を細める、充血する、急に濁る、物にぶつかる場合は、PLLや続発性緑内障を含めて眼科的な評価が必要になることがあります。
被毛管理は長時間立たせるのが負担になったら短く分けます。急にブラッシングや顔周りを触られることを嫌がる場合は、皮膚、耳、歯、眼、首や関節の痛みがないか確認します。
強い眼痛、突然見えなくなった様子、呼吸困難、青紫色または白い歯ぐき、失神、急に歩けない場合は、自宅で様子を見ず動物病院へ連絡してください。
16. ウェルシュ・テリアが向いている人
ウェルシュ・テリアは、小型でもしっかり運動し、散歩、遊び、トレーニングを一緒に楽しみたい人に向いています。見た目の上品さだけでなく、狐やアナグマを追ってきたワーキング・テリアとしての行動力を理解できることが大切です。
人と一緒に活動することを楽しみつつ、独立して考える面もあるため、「いつでも命令どおりに動く犬」を求めるより、犬の意欲を上手に使って教えられる人と相性がよいでしょう。
ワイヤーコートのお手入れに時間や費用をかけられることも条件になります。自然な硬い毛質を保ちたいならハンドストリッピング、家庭で管理しやすくしたいならクリッピングなど、目的に合ったケアを続けます。
反対に、散歩はほとんどしたくない、追跡や掘る行動をすべて叱って止めたい、定期的なトリミングをしたくない、猫や小動物と必ず自由に一緒にさせたいという家庭では、負担を感じる可能性があります。
子どもと暮らす場合は、犬が休んでいる時や食事中に邪魔をしない、追いかけ回さない、口ひげや耳を引っ張らないといったルールを大人が教えましょう。犬種が愛情深いからと、子どもと犬だけに任せきりにするのは避けます。
17. ウェルシュ・テリアのよくある質問
Q. ウェルシュ・テリアは小型犬ですか?
はい。当サイトでは小型犬に分類します。JKCでは体高39cm以下、体重9~9.5kgです。小型犬の中ではしっかりした骨格と筋力があり、活動的なテリアです。
Q. エアデール・テリアを小さくした犬ですか?
外見はよく似ていますが、別犬種です。ウェルシュ・テリアにはウェールズで古くから働いてきた独自の歴史があり、エアデール・テリアより小型です。JKCではウェルシュ・テリアをFCI No.78、エアデール・テリアをNo.7として別犬種で扱っています。
Q. 毎日どのくらい散歩が必要ですか?
Royal Kennel Clubでは1日1時間までを目安としています。年齢や健康状態によって調整し、歩くだけではなく、におい探し、遊び、短いトレーニングなども組み合わせるとよいでしょう。
Q. ハンドストリッピングは必ず必要ですか?
ショーで犬種らしい硬い毛質を維持したい場合には重要な方法ですが、家庭犬では定期的なクリッピングを選ぶこともあります。犬の皮膚状態、生活スタイル、サロンへ通える頻度に合わせて、ワイヤーコートに慣れたトリマーへ相談しましょう。
Q. 猫や小動物と一緒に暮らせますか?
同居できる個体もいますが、猟犬として小動物を追ってきた歴史があるため、追跡反応には個体差があります。子犬期から一緒なら必ず安全とは限りません。実際の反応を見て、必要なら留守番時に生活スペースを分けます。
Q. 繁殖犬で確認したい健康検査は何ですか?
現在のAKC National Breed Club推奨とWelsh Terrier Club of AmericaのHealth Statementでは、原発性水晶体脱臼(PLL)のDNA検査が推奨されています。英国でもPLL DNAがGood Practiceです。さらに家系によって股関節、レッグ・カルベ・ペルテス病、皮膚・アレルギーなどの健康情報も繁殖者へ確認するとよいでしょう。
まとめ

ウェルシュ・テリアは、ブラック&タンの硬いワイヤーコートと活発な性格を持つイギリス原産の小型テリアです。JKCでの用途は「テリア」。愛情深く、従順で扱いやすく、陽気で快活でありながら、勇ましく怖いもの知らずという犬種らしさを持ちます。
体高39cm以下、体重9~9.5kgと暮らしやすいサイズですが、運動量は少なくありません。毎日の散歩、遊び、におい探し、短いトレーニングを行い、猫や鳥、自転車などへの追跡を安全に管理します。庭では掘る行動が出ることも想定しましょう。
被毛は定期的なブラッシングとトリミングが必要です。犬種らしい硬い毛質を保つ場合はハンドストリッピング、家庭で管理しやすくする場合はクリッピングも選択肢になります。子犬期から顔や脚を触られることへ慣らしておくとケアが楽になります。
健康面では、現在の米国親犬種クラブ推奨と英国Health Standardの双方でPLL DNA検査が重視されています。水晶体脱臼は眼痛や続発性緑内障につながる可能性があるため、急な充血、目の痛み、濁り、視力低下がある場合は早めに眼科診察を受けましょう。
小型でもしっかり活動できるテリアと一緒に歩き、遊び、学ぶことを楽しみ、独立心や追跡本能まで含めて付き合える家庭なら、ウェルシュ・テリアは明るく頼もしいパートナーになります。外見のかわいらしさだけでなく、本物のワーキング・テリアとしての背景を理解して迎えることが大切です。


