
愛犬が、舌を出したまま戻さない。
暑くない室内でも、舌を出してハァハァしている。
いつもは口の中に戻る舌が、急に横から垂れたままになった。
このような変化があると、「暑いだけ?」「呼吸が苦しいのでは?」と心配になりますよね。
犬は、暑い時や運動後に舌を出して呼吸し、体にたまった熱を逃がします。
遊んだ後や散歩後に舌を出していても、涼しい場所で休むと呼吸が落ち着き、舌が自然に戻る場合は、正常なパンティングの可能性があります。
また、眠っている時やリラックスしている時に、舌先だけが少し出る犬もいます。
一方で、安静にしてもハァハァが止まらない、舌が青紫色や白っぽい、舌が腫れて戻らない場合は注意が必要です。
舌を出したままになる原因には、熱中症、呼吸器や心臓の病気、口の中の痛み、歯周病、異物、歯の欠損、あごや神経の異常などがあります。
特に、急に舌をしまえなくなった場合や、呼吸、意識、舌の色に変化がある場合は、長く様子を見ないことが大切です。
この記事では、犬が舌を出しっぱなしにする主な原因、正常範囲との違い、舌の色から確認したいこと、すぐ受診すべき危険サイン、自宅での注意点を解説します。
- ■■ この記事でわかること
- ■■ 犬が舌を出すのは普通?
- ■■ パンティングと舌が戻らない状態は分けて考える
- ■■ まず確認したい緊急サイン
- ■■ 犬が舌を出しっぱなしにする主な原因
- ■■ 舌の色と状態から確認したいこと
- ■■ 舌を出すタイミングから確認したいこと
- ■■ 短時間様子を見られる可能性があるケース
- ■■ 早めに動物病院を受診したいケース
- ■■ 子犬・成犬・シニア犬で注意点は違う?
- ■■ 自宅でできる確認と対応
- ■■ 犬が舌を出している時にやってはいけないこと
- ■■ 動物病院で行われる検査と治療
- ■■ 受診時に伝えるとよいこと
- ■■ よくある質問
- ■■ まとめ|犬が舌を出している時は呼吸と色を優先して確認する
- ■■ 関連リンク(重要)
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■■ この記事でわかること
- 犬が舌を出す主な理由
- 正常なパンティングと呼吸困難の違い
- 寝ている時に舌先が出る場合の見方
- 舌が戻らなくなる原因
- 紫・白・赤い舌の危険性
- すぐ受診すべき緊急サイン
- 自宅で確認したいポイント
- 舌が出ている時にやってはいけないこと
- 動物病院で行われる検査と治療
■■ 犬が舌を出すのは普通?

犬が舌を出す行動には、健康な犬にも見られるものと、病気や体調不良が関係するものがあります。
まずは、舌を出している時の呼吸、舌の色、犬の姿勢、症状が続く時間を確認しましょう。
■ 暑い時や運動後のパンティング
犬は、人間のように全身から汗を出して体温を下げることが得意ではありません。
口を開けて舌を出し、浅く速い呼吸をすることで、舌や気道から熱を逃がします。
散歩、運動、遊びの後に舌を出していても、涼しく静かな場所で休むと徐々に呼吸が戻る場合は、生理的なパンティングの可能性があります。
■ リラックス中や寝ている時
眠っている時や、力が抜けてリラックスしている時に、舌先が少しだけ出る犬もいます。
起きると舌が自然に戻り、呼吸、元気、食欲に変化がなければ、緊急性が低い可能性があります。
ただし、以前は出ていなかったのに急に出るようになった場合は、口や歯、神経などに異常がないか確認してください。
■ 興奮や緊張によるパンティング
来客、雷、花火、車での移動、動物病院などで興奮や緊張が強くなると、舌を出してハァハァすることがあります。
緊張が関係する場合は、震える、歩き回る、あくびをする、口元を何度もなめるといった行動が重なることがあります。
静かな環境へ移動して落ち着けば問題ないこともありますが、痛みや呼吸の苦しさによって落ち着かなくなっている可能性もあります。
■■ パンティングと舌が戻らない状態は分けて考える
■ パンティングで舌を出している状態
パンティングでは、犬は口を開け、舌を前へ伸ばしながらハァハァと浅く速い呼吸をします。
暑さ、運動、興奮などの原因がなくなると、呼吸が落ち着き、舌も口の中へ戻ります。
■ 呼吸が落ち着いても舌が出たままの状態
呼吸が落ち着いているのに、舌先や舌の横側が口から出たままになる場合は、口や歯の構造が関係していることがあります。
歯の欠損や抜歯によって舌を支える部分が少なくなった犬では、舌が横から出やすくなることがあります。
以前から同じ状態で、食事や飲水に問題がなく、痛みもない場合は、見た目の変化が中心となることもあります。
ただし、舌が乾く、ひび割れる、床や歯に当たって傷つく場合は、ケアについて動物病院へ相談してください。
■ 急に舌をしまえなくなった状態
今まで舌をしまえていた犬が、急に戻せなくなった場合は注意が必要です。
口の中の異物、舌の腫れ、あごの外傷、神経の異常、強い口腔内の痛みなどが関係している可能性があります。
大量のよだれ、食べられない、口を閉じられない、顔の左右差、歩き方の異常などがある場合は、早めに受診してください。
■■ まず確認したい緊急サイン
舌を出している犬に次の症状がある場合は、夜間や休日でも動物病院へ連絡してください。
- 安静にしてもハァハァが止まらない
- 胸やお腹を大きく動かして呼吸している
- 首を前へ伸ばして呼吸している
- 前足を広げたまま立っている
- 横になることができない
- 舌や歯ぐきが青色または紫色になっている
- 舌や歯ぐきが白っぽい
- 舌が急に大きく腫れた
- 舌から出血している
- 口を閉じられない
- 大量のよだれが出ている
- ぐったりしている
- ふらつく、倒れる
- 呼びかけへの反応が鈍い
- 体が異常に熱い
- 嘔吐や下痢を伴っている
- 喉や口に異物がある可能性がある
青色や紫色の舌は、体へ十分な酸素が行き渡っていない可能性を示す緊急サインです。
白っぽい舌や歯ぐきに、呼吸の速さ、ぐったり、ふらつきが重なる場合は、貧血、出血、ショックなども考えられます。
舌の色を写真に残すことは役立ちますが、撮影のために受診を遅らせないでください。
■ 生まれつき舌に黒い模様がある犬もいる
犬によっては、生まれつき舌に黒色や青黒い色素が入っていることがあります。
以前から同じ位置にあり、形や大きさが変わっていなければ、体質による色素の可能性があります。
突然色が変わった、盛り上がった、出血する、潰瘍のようになった場合は、動物病院で確認してもらいましょう。
■■ 犬が舌を出しっぱなしにする主な原因

■ ① 暑さ・運動による体温調節
犬が舌を出す最も一般的な理由の一つが、体温調節です。
暑い日、散歩後、激しく遊んだ後などは、口を開けて舌を出し、パンティングによって熱を逃がします。
涼しい場所で休ませると徐々に呼吸が落ち着き、舌の色や意識も普段通りであれば、一時的な反応の可能性があります。
短頭種、肥満傾向の犬、子犬、シニア犬、心臓や呼吸器に持病がある犬は、暑さの影響を受けやすいため注意してください。
■ ② 熱中症
暑い場所で舌を大きく出し、激しいパンティングが止まらない場合は、熱中症の可能性があります。
熱中症では、次のような症状が見られることがあります。
- 激しくハァハァする
- 舌が強い赤色や暗い赤色になる
- 大量のよだれが出る
- 体が熱い
- 落ち着かず歩き回る
- ふらつく
- ぐったりする
- 嘔吐や下痢をする
- 意識がぼんやりする
- けいれんする
熱中症が疑われる場合は、すぐに涼しい場所へ移し、動物病院へ連絡してください。
常温に近い水で体を濡らし、風を当てながら受診します。
氷水へ全身を入れたり、保冷剤を長時間直接当てたりすることは避けましょう。
一度呼吸が落ち着いても、体内で障害が進んでいることがあるため、必ず動物病院へ相談してください。
■ ③ 興奮・不安・ストレス
強い興奮や不安がある時にも、犬は舌を出してパンティングすることがあります。
来客、雷、花火、留守番、車移動、慣れない場所など、症状が出る場面が決まっているか確認しましょう。
静かな場所へ移動すると短時間で落ち着く場合は、緊張が関係している可能性があります。
暑くない場所でも長時間続く、夜間も眠れない、震えや痛がる様子がある場合は、ストレスだけと決めつけないでください。
■ ④ 歯の欠損・抜歯後の変化
歯には、食べ物をかむだけでなく、舌が口の外へ出すぎないように支える役割もあります。
歯周病や治療によって歯が少なくなった犬では、舌先や舌の横側が口から出やすくなることがあります。
小型犬やシニア犬で見られることがありますが、歯がない犬すべてに起こるわけではありません。
抜歯後から舌が出るようになった場合は、傷の治り方や口の状態を確認するため、手術を受けた動物病院へ相談しましょう。
■ ⑤ 歯周病・口内炎・歯の痛み
歯周病、歯の破折、歯の根元の炎症、口内炎などで口の中が痛いと、口を閉じにくくなり、舌が出たままになることがあります。
口の病気が疑われる変化は次の通りです。
- 口臭が強い
- よだれが増えた
- よだれに血が混じる
- 歯ぐきが赤い、腫れている
- 歯石が多い
- 硬い物を食べたがらない
- 食べ物を口から落とす
- 片側だけでかむ
- 口元を触られるのを嫌がる
- 前足で口をこする
痛がっている犬の口を無理に開けると、噛まれる危険があります。
見える範囲を確認するだけにして、早めに動物病院へ相談してください。
■ ⑥ 口や舌に入った異物
木片、骨、おもちゃの破片、針、糸などが口の中に引っかかると、舌を出す、大量のよだれを出す、口を閉じられないといった症状が見られることがあります。
舌の根元へ糸が巻き付いていたり、舌の下へ異物が入り込んでいたりすると、外から分かりにくい場合もあります。
口から糸が出ていても、内臓まで続いている可能性があるため、引っ張らないでください。
異物が疑われる場合は、食べ物や水を与えず、動物病院へ連絡しましょう。
■ ⑦ 舌の傷・やけど・腫れ
舌をかんだ、硬い物で傷つけた、熱い物をなめた、虫に刺されたなどの理由で、舌が腫れて口へ戻りにくくなることがあります。
急な舌の腫れには、アレルギー反応が関係している場合もあります。
顔も腫れている、呼吸が苦しい、嘔吐やぐったりを伴う場合は緊急です。
舌の腫れを押したり、針で刺したりせず、すぐに受診してください。
■ ⑧ 口腔内のできもの
舌、歯ぐき、口の内側などにできものがあると、口を閉じにくい、舌が出る、よだれや出血が増えることがあります。
注意したい変化は次の通りです。
- 口の中にしこりがある
- 舌の一部が盛り上がっている
- 出血を繰り返す
- 口臭が急に強くなった
- 食べにくそうにする
- 体重が減っている
- 顔の左右差が出てきた
口の中のできものには、炎症によるものと腫瘍によるものがあります。
見た目だけでは区別できないため、自己判断でつぶしたり薬を塗ったりしないでください。
■ ⑨ 呼吸器・心臓の病気
気管虚脱、喉の病気、肺炎、肺水腫、心臓病などによって呼吸が苦しくなると、犬は口を開け、舌を出して呼吸することがあります。
次のような症状がある場合は、呼吸器や心臓の病気を確認する必要があります。
- 安静にしても呼吸が荒い
- 胸やお腹を大きく動かす
- ガーガー、ゼーゼーと音がする
- 咳が出る
- 散歩ですぐ疲れる
- 夜間や明け方に呼吸が乱れる
- 横になれない
- 舌の色が青紫色になる
- 咳や興奮の後に倒れる
呼吸困難は短時間で悪化することがあります。
舌を戻そうとして口を閉じさせず、呼吸しやすい姿勢のまま受診してください。
■ ⑩ 水分不足・発熱・体調不良
嘔吐、下痢、発熱、水分摂取の低下などがあると、体温が上がったり、口や舌が乾燥したりすることがあります。
脱水が疑われる変化には、次のようなものがあります。
- 水をほとんど飲まない
- 口の中や舌が乾いている
- 歯ぐきが粘つく
- 尿の量が減っている
- 目が落ちくぼんで見える
- ぐったりしている
- 嘔吐や下痢が続いている
舌が乾いているだけで脱水とは判断できませんが、全身症状が重なっている場合は早めに受診してください。
■ ⑪ あごや神経の異常
あごの外傷、神経の異常、顔の筋肉の麻痺などによって、舌や唇をうまく動かせなくなることがあります。
神経やあごの異常が疑われる変化は次の通りです。
- 急に口を閉じられなくなった
- 舌が片側へ大きくずれている
- 片側の唇や耳が垂れている
- 片方の目を閉じにくい
- 大量のよだれが出る
- 食べ物や水をこぼす
- 飲み込みにくそうにする
- 歩き方がおかしい
- 首が傾いている
交通事故や転落の後に口を閉じられなくなった場合は、あごの骨折や脱臼なども考えられます。
あごを無理に押して閉じず、できるだけ動かさないようにして受診してください。
■ ⑫ 麻酔・鎮静後の一時的な変化
手術や検査で麻酔、鎮静を受けた後は、眠気や筋肉の力が弱い影響で、舌が一時的に出ることがあります。
意識が戻るにつれて舌も戻ることがありますが、呼吸が荒い、舌の色が悪い、反応が鈍い状態が続く場合は、処置を受けた動物病院へすぐ連絡してください。
■■ 舌の色と状態から確認したいこと

■ 普段通りのピンク色
健康な犬の舌は、一般的にピンク色で適度に湿っています。
犬によって普段の色には違いがあるため、元気な時の舌や歯ぐきの色を写真に残しておくと比較しやすくなります。
■ 青色・紫色
舌や歯ぐきが青色や紫色に見える場合は、酸素不足が疑われます。
気道の閉塞、重い呼吸器疾患、心臓病、熱中症などで起こることがあります。
呼吸が苦しそうではないように見えても、すぐに動物病院へ連絡してください。
■ 白色・薄いピンク色
舌や歯ぐきが普段より白っぽい場合は、貧血、出血、血圧低下、ショックなどが考えられます。
ぐったり、呼吸が速い、ふらつく、お腹が膨れているといった症状がある場合は緊急です。
■ 強い赤色・暗い赤色
運動や興奮の直後は、舌が普段より赤く見えることがあります。
激しいパンティング、大量のよだれ、体の熱さ、ふらつき、嘔吐などを伴う場合は、熱中症に注意してください。
■ 乾燥・ひび割れがある
舌が長時間口の外へ出ていると、表面が乾燥し、ひび割れや傷ができることがあります。
舌が床や食器へ当たり続け、出血する場合もあります。
人間用のリップクリームや保湿剤を塗らず、動物病院で安全なケア方法を確認してください。
■ 腫れ・しこり・ただれがある
舌の腫れ、しこり、潰瘍、ただれ、出血がある場合は、外傷、異物、炎症、腫瘍などを確認する必要があります。
症状が痛そうでも、舌を引っ張ったり、しこりを触ったりしないでください。
■■ 舌を出すタイミングから確認したいこと
■ 散歩や運動の後だけ
散歩や運動の後に舌を出すのは、正常な体温調節の可能性があります。
以前より軽い運動で激しくハァハァする、呼吸が戻るまで時間がかかる、咳やふらつきがある場合は、心臓や呼吸器の状態を確認してもらいましょう。
■ 寝ている時だけ
眠っている時に舌先が少し出ても、起きると戻り、普段通り生活できていれば、リラックスによる可能性があります。
起きても戻らない、口を閉じられない、よだれや顔の左右差がある場合は受診してください。
■ 一日中出たまま
歯の欠損や口の形によって、以前から一日中舌が出ている犬もいます。
食事や水分摂取に問題がなくても、舌の乾燥、傷、出血がないか毎日確認してください。
最近になって一日中出るようになった場合は、歯、口、あご、神経の検査が必要です。
■ 夜間にハァハァしながら出す
暑くない夜に舌を出してハァハァし、眠れず歩き回る場合は、痛み、不安、心臓病、呼吸器疾患などが関係することがあります。
横になれない、咳をする、胸やお腹を大きく動かす場合は、呼吸困難を疑って早めに受診してください。
■■ 短時間様子を見られる可能性があるケース
次の条件がすべて当てはまる場合は、涼しく静かな場所で短時間様子を見られることがあります。
- 運動、暑さ、興奮など明確な理由がある
- 休むと呼吸が徐々に落ち着く
- 舌の色が普段通り
- 胸やお腹を大きく動かしていない
- 横になって休める
- ぐったりやふらつきがない
- 大量のよだれがない
- 舌の腫れや出血がない
- 食事と水分摂取が普段通り
- 起きると舌が自然に戻る
休ませてもハァハァが戻らない、舌の色が変わる、以前より頻繁に起こる場合は受診してください。
短頭種、肥満傾向の犬、子犬、シニア犬、心臓や呼吸器に持病がある犬は、早めに相談した方が安心です。
■■ 早めに動物病院を受診したいケース

- 安静にしても舌を出してハァハァする
- 暑くないのに症状が続く
- 以前より軽い運動で息切れする
- 舌を急にしまえなくなった
- 口を閉じられない
- 舌が片側へ大きくずれている
- 舌が乾いてひび割れている
- 舌に傷、腫れ、しこりがある
- 舌や口から出血している
- 大量のよだれが出る
- 口臭が強い
- 食べ物を口から落とす
- 硬い物を食べたがらない
- 水を飲みにくそうにする
- 顔や唇に左右差がある
- 咳や呼吸音がある
- 夜間も眠れず歩き回る
- 元気や食欲が低下している
青紫色や白っぽい舌、呼吸困難、意識の低下、急な舌の腫れがある場合は、早めではなく緊急受診が必要です。
■■ 子犬・成犬・シニア犬で注意点は違う?
■ 子犬の場合
子犬は体温調節が未熟で、暑さ、脱水、感染症などによって体調が急変することがあります。
舌を出した呼吸に加えて、鼻水、咳、目やに、嘔吐、下痢、元気消失がある場合は、長く様子を見ないでください。
おもちゃや布、糸などを口に入れやすいため、口腔内の異物にも注意が必要です。
■ 成犬の場合
成犬では、暑さや興奮だけでなく、口の外傷、異物、歯周病、呼吸器や心臓の病気などが考えられます。
今まで舌をしまえていた犬が急に戻せなくなった場合は、正常な癖とは考えず受診しましょう。
■ シニア犬の場合
シニア犬では、歯周病による歯の欠損、口腔内のできもの、心臓病、呼吸器疾患、神経の異常などに注意が必要です。
舌が出るだけでなく、口臭、食べにくさ、体重減少、咳、疲れやすさ、顔の左右差などがないか確認してください。
「年を取ったから舌が出る」と決めつけず、最近の変化であれば動物病院へ相談しましょう。
■■ 自宅でできる確認と対応

■ 舌と歯ぐきの色を確認する
元気な時の舌や歯ぐきの色と比べます。
青紫色、白色、灰色、普段より極端に濃い赤色の場合は、早急な受診が必要です。
呼吸が苦しい犬や、口を触られるのを嫌がる犬の口を無理に開けないでください。
■ 呼吸の仕方を確認する
次の点を安全な距離から確認します。
- 胸やお腹を大きく動かしていないか
- 首を伸ばしていないか
- 横になって休めるか
- 呼吸音が聞こえないか
- 咳をしていないか
- 安静にすると呼吸が戻るか
呼吸困難が疑われる場合は、観察を続けるより受診を優先してください。
■ 舌がいつ戻るか確認する
運動後だけか、寝ている時だけか、一日中出ているかを確認します。
起きた後や呼吸が落ち着いた後に自然に戻るか、毎日同じ状態かも記録しましょう。
■ 口臭・よだれ・食べ方を確認する
歯周病や口の痛みがある犬では、舌の出方だけでなく、口臭や食べ方にも変化が現れることがあります。
- よだれの量
- よだれに血が混じっていないか
- 口臭が強くないか
- 食べ物を落とさないか
- 片側だけでかんでいないか
- 水をこぼさず飲めるか
口を痛がる場合は、無理に歯磨きや口内チェックをしないでください。
■ 写真と動画を残す
舌の出方、色、呼吸、姿勢が分かる写真や動画を撮影します。
舌の色は照明によって違って見えるため、できれば自然光に近い明るさで記録しましょう。
撮影のために犬を興奮させたり、口を無理に開けたりしないでください。
■ 涼しく静かな場所で休ませる
暑さや運動が原因と思われる場合は、エアコンの効いた静かな場所へ移動させます。
エアコンや扇風機の風を顔へ強く当てるのではなく、室内全体を涼しくしましょう。
■■ 犬が舌を出している時にやってはいけないこと

■ 舌を無理に口へ押し込む
舌が出ているからといって、指で押し込んだり、口を強く閉じたりしないでください。
舌の腫れ、口の異物、あごの異常、呼吸困難がある場合は、状態を悪化させる可能性があります。
■ 口の奥へ手を入れる
口の痛みや呼吸の苦しさがある犬は、普段おとなしくても噛むことがあります。
見えない異物を探して、指やピンセットを口の奥へ入れないでください。
■ 口から出ている糸を引っ張る
口から糸やひもが出ていても、引っ張らないでください。
舌の根元や消化管に絡んでいる場合があり、引くことで口や内臓を傷つける危険があります。
■ 水や食べ物を無理に与える
激しくハァハァしている時や、舌やあごをうまく動かせない時に、水や食べ物を口へ流し込まないでください。
気管へ入って誤嚥する可能性があります。
■ 人間用の薬や保湿剤を使う
人間用の鎮痛薬、口内炎の薬、リップクリーム、軟膏などを自己判断で使用しないでください。
犬には危険な成分や、なめることを想定していない成分が含まれている場合があります。
■ 呼吸が苦しい犬に口輪を付ける
呼吸困難がある犬に口輪を付けると、口を開けた呼吸やパンティングを妨げる危険があります。
痛みや不安で噛む可能性がある場合は、無理に触らず、動物病院へ安全な移動方法を確認してください。
■ 氷水で急激に冷やす
熱中症が心配でも、氷水へ全身を入れたり、保冷剤を直接長時間当てたりしないでください。
涼しい場所へ移し、体を水で濡らして風を当てながら、動物病院へ連絡しましょう。
■■ 動物病院で行われる検査と治療

犬が舌を出しっぱなしにしている場合、動物病院では状態に応じて次のような確認を行います。
- 舌と歯ぐきの色の確認
- 呼吸状態と体温の確認
- 心臓と肺の聴診
- 口の中、舌、歯、歯ぐきの確認
- 舌の傷、腫れ、異物の確認
- あごの動きの確認
- 顔や手足の神経学的な確認
- 血液検査
- 胸部レントゲン検査
- 口腔内やあごのレントゲン検査
- 心臓超音波検査
- 必要に応じたCTやMRI検査
- 口腔内のできものを調べる検査
呼吸状態が悪い場合は、詳しい検査より先に酸素吸入や体温管理などを行い、状態を安定させることがあります。
治療方法は原因によって異なります。
- 熱中症に対する冷却と点滴
- 呼吸器や心臓病に対する治療
- 口腔内異物の除去
- 舌の傷や炎症に対する治療
- 歯周病や歯の痛みに対する歯科治療
- あごの骨折や脱臼に対する治療
- アレルギー反応に対する治療
- 神経の異常に対する検査と治療
- 口腔内のできものに対する治療
- 乾燥した舌を保護するケア
舌を出しているという見た目だけを治すのではなく、呼吸、口、歯、あご、神経などの原因を確認することが大切です。
■■ 受診時に伝えるとよいこと
- いつから舌を出しているか
- 急に始まったか、以前からか
- 舌先だけか、横から大きく出ているか
- 呼吸が落ち着くと舌が戻るか
- 運動、暑さ、興奮との関係
- 舌と歯ぐきの色
- 舌の腫れ、傷、出血があるか
- 呼吸が速い、苦しそうではないか
- 咳や呼吸音があるか
- 口を閉じられるか
- よだれや口臭が増えていないか
- 食べ物や水をこぼさないか
- 歯周病や抜歯の治療歴
- 事故や転落がなかったか
- 糸やおもちゃを口にした可能性
- 顔や歩き方に左右差がないか
- 元気、食欲、水分摂取の変化
- 嘔吐や下痢がないか
- 使用している薬
- 最近受けた麻酔や処置
症状が出ている時の写真や動画も、診察時の参考になります。
■■ よくある質問
■ Q. 犬が寝ている時に舌を出しています
眠って筋肉の力が抜けると、舌先が少しだけ出ることがあります。
起きると自然に戻り、呼吸、元気、食欲に変化がなければ、緊急性が低い可能性があります。
起きても戻らない、よだれや顔の左右差がある場合は受診してください。
■ Q. 舌先だけが横から出るのは病気ですか?
歯の欠損や口の形によって、舌先が横から出やすい犬もいます。
以前から変わらず、食事や飲水に問題がなく、舌に傷もなければ、見た目の変化が中心の場合があります。
急に始まった場合や、乾燥、出血、食べにくさがある場合は相談しましょう。
■ Q. 暑くないのに舌を出してハァハァしています
興奮や不安だけでなく、痛み、発熱、呼吸器疾患、心臓病などが関係する可能性があります。
静かな場所で休ませても続く、胸やお腹を大きく動かす、夜間も眠れない場合は受診してください。
■ Q. 舌が紫色に見えます
生まれつきの色素ではなく、舌全体が急に青色や紫色になった場合は、酸素不足が疑われます。
呼吸状態にかかわらず、すぐに動物病院へ連絡してください。
■ Q. 歯を抜いてから舌が出るようになりました
歯が少なくなったことで舌を支えにくくなり、口の横から出やすくなることがあります。
傷口の痛み、腫れ、出血、食べにくさがある場合や、舌が乾燥して傷つく場合は、手術を受けた動物病院へ相談してください。
■ Q. 出ている舌を口へ戻してもいいですか?
無理に押し込まないでください。
舌の腫れ、口の異物、あごや神経の異常がある場合は、傷つけたり呼吸を妨げたりする可能性があります。
■ Q. 舌が乾いています。保湿剤を塗ってもいいですか?
人間用のリップクリームや軟膏は、自己判断で塗らないでください。
犬がなめても問題のない製品やケア方法を、動物病院へ確認しましょう。
■ Q. 元気があれば様子を見ても大丈夫ですか?
以前から舌先が少し出ており、状態が変わらず、食事や呼吸にも問題がなければ様子を見られることがあります。
元気があっても、急に舌をしまえなくなった、口臭やよだれが増えた、食べにくそうな場合は受診してください。
■■ まとめ|犬が舌を出している時は呼吸と色を優先して確認する
犬は、暑い時、運動後、興奮した時などに、舌を出してパンティングをします。
涼しく静かな場所で休ませると呼吸が落ち着き、舌が自然に戻る場合は、正常な体温調節の可能性があります。
眠っている時に舌先が少し出ても、起きると戻り、ほかの症状がなければ、リラックスによることもあります。
一方で、犬が舌を出しっぱなしにする原因には、次のようなものがあります。
- 暑さや運動による体温調節
- 熱中症
- 興奮、不安、ストレス
- 歯の欠損や抜歯後の変化
- 歯周病、口内炎、歯の痛み
- 口や舌の異物、外傷、腫れ
- 口腔内のできもの
- 呼吸器や心臓の病気
- 水分不足や発熱
- あごや神経の異常
特に、安静にしてもハァハァが止まらない、舌が青紫色や白っぽい、口を閉じられない、舌が急に腫れた場合は緊急です。
出ている舌を無理に押し込んだり、口の奥へ指を入れたり、水や食べ物を流し込んだりしないでください。
呼吸しやすい姿勢を保ち、すぐに動物病院へ連絡しましょう。
呼吸が落ち着いていても、急に舌をしまえなくなった、よだれや口臭が増えた、食べにくそうな場合は、口、歯、あご、神経の状態を確認してもらってください。
■■ 関連リンク(重要)
舌を出したままハァハァし、安静にしても呼吸が戻らない場合は、呼吸困難のサインを確認してください。
・犬の呼吸が荒い記事
舌を出した呼吸に加えて、カハッ、ケッケッと咳をしている場合は、気管・肺・心臓の原因にも注意が必要です。
・犬の咳の記事
夜間の呼吸の荒さ、咳、疲れやすさ、散歩を嫌がる変化がある場合は、心臓の状態も確認しましょう。
・犬の心臓病の記事
口臭、歯石、よだれ、食べにくさと一緒に舌が出る場合は、歯周病による痛みや歯の欠損が関係することがあります。
・犬の歯周病の記事
暑くない場所でハァハァし、震えや落ち着かない行動もある場合は、ストレスや痛みとの関係も確認してください。
・犬のストレスの記事
舌や口の中が乾き、水をほとんど飲まず、尿量も減っている場合は、水分摂取が低下している原因を確認しましょう。
・犬が水を飲まない記事
舌を出すだけでなく、ぐったりしている、動きたがらない、食欲が落ちている場合は、全身状態を優先してください。
・犬が元気がない記事
暑くない夜に舌を出してハァハァし、眠れず歩き回る場合は、痛みや呼吸器・心臓の異常にも注意しましょう。
・犬が夜に落ち着かない記事


