犬の角膜潰瘍とは?目をしょぼしょぼする・充血・白く濁る症状と治療を解説

愛犬が急に片目をしょぼしょぼさせている。

目を閉じたまま開けたがらない。

涙が増え、黒目が白っぽく濁って見える。

このような症状で注意したい病気のひとつが角膜潰瘍(かくまくかいよう)です。

角膜は、眼球の一番前にある透明な膜です。

角膜潰瘍は、この角膜表面の細胞が傷つき、欠損した状態です。

浅い傷で適切な治療により比較的早く改善するものもありますが、角膜の深い部分まで進行すると眼球が破れる角膜穿孔につながることがあります。

角膜には多くの神経があるため、角膜潰瘍は強い痛みを伴います。

目を開けられない、急激に黒目が白・青く濁る、角膜に深いへこみや黒っぽい部分が見える、眼球へ外傷を受けた場合は、様子を見ず早めに動物病院へ相談してください。

この記事では、犬の角膜潰瘍の症状、原因、検査、治療、深い潰瘍や角膜穿孔の危険性、自宅でやってはいけないことを解説します。

犬の角膜潰瘍とは?

角膜は透明で、外から入ってくる光を眼球内部へ通す重要な組織です。

正常な角膜の表面は上皮という細胞層で覆われています。

この表面が擦り傷のように欠損した状態が角膜潰瘍です。

表面だけの浅い角膜潰瘍から、角膜の厚みの多くが失われる深い角膜潰瘍まで重症度はさまざまです。

犬の角膜潰瘍で見られる症状

  • 目をしょぼしょぼする
  • 目を閉じたままにする
  • 涙が増える
  • 目やにが増える
  • 白目が赤くなる
  • 黒目が白・青っぽく濁る
  • 前足で目をこする
  • 床や家具へ顔をこすりつける
  • 光をまぶしがる

角膜潰瘍は痛みが強いため、犬が目を開けたがらないことが大きな特徴です。

・犬が目をしょぼしょぼする原因とは?片目を開けない時の危険サインと受診目安

角膜潰瘍の主な原因

目をぶつけた・引っかいた

散歩中の草や枝、他の犬や猫の爪、遊んでいる時の物理的な接触などで角膜表面が傷つくことがあります。

犬が自分の前足で目を強くこすり、傷を作る場合もあります。

異物

小さな植物片や砂などが目やまぶたの裏に入り、角膜を繰り返し刺激することがあります。

まつ毛・まぶたの異常

まつ毛が角膜へ当たる異常や、まぶたが内側へ入り込む眼瞼内反などがあると、角膜への刺激が続きます。

傷だけを治療しても原因が残っていると再発するため、構造上の問題も確認します。

涙の量が少ない

涙には角膜を潤し保護する役割があります。

涙の分泌が少ないドライアイでは角膜表面が傷つきやすくなります。

感染

角膜が傷ついた場所で細菌などが増殖すると、潰瘍が急速に深くなることがあります。

感染性の深い角膜潰瘍は視力や眼球そのものを守るため早急な治療が必要です。

目が赤いだけでも角膜潰瘍?

角膜潰瘍では白目が赤くなることがありますが、赤目だけで角膜潰瘍と判断することはできません。

結膜炎、緑内障、ぶどう膜炎などでも充血が起こります。

特に赤目+目を開けない+痛がる場合は早めの診察が必要です。

・犬の目が赤い原因とは?充血する時の危険サインと受診目安を解説

黒目が白く濁る場合

角膜に炎症やむくみが起こると、透明な角膜が白や青っぽく濁ることがあります。

白内障でも目が白く見えますが、白内障は眼球内部の水晶体が濁る病気です。

見た目だけで区別するのは難しいため、急に白くなった場合は受診してください。

・犬の目が白く濁る原因とは?白内障・角膜の病気と受診目安を解説
・犬の白内障とは?目が白くなる症状と治療を解説

深い角膜潰瘍は緊急性が高い

浅い角膜潰瘍は角膜表面だけの傷ですが、進行すると角膜の内部まで組織が失われます。

非常に深くなると、角膜の一番薄い膜だけが残る状態や、実際に穴が開く角膜穿孔へ進む可能性があります。

ここまで進行すると眼球内部の構造を守るため緊急の外科治療が必要になる場合があります。

すぐ受診したいサイン

  • 目をまったく開けられない
  • 強く痛がる
  • 黒目が急に白・青く濁った
  • 黒目に深いへこみが見える
  • 角膜に黒っぽい・透明な点がある
  • 目から血が出ている
  • 枝・爪などで眼球を傷つけた
  • 化学物質が目へ入った
  • 眼球の形がおかしい

目の病気は短時間で変化することがあります。

翌日まで待たず、受診先へ電話してください。

フルオレセイン染色検査とは?

角膜潰瘍の診断で代表的なのがフルオレセイン染色検査です。

角膜へ特殊な色素を使用すると、正常な角膜上皮で覆われていない傷の部分へ色素が付着します。

これによって角膜表面に傷があるか、どの程度広がっているかを確認します。

その他に行われる検査

  • まぶた・まつ毛・異物の確認
  • 涙の量を測る検査
  • 眼圧測定
  • 細胞や感染を調べる検査

角膜潰瘍だけでなく、緑内障など痛みを起こす別の眼疾患がないか確認することも重要です。

・犬の緑内障とは?目の充血・痛み・失明につながる症状と治療を解説

角膜潰瘍の治療

治療内容は傷の深さ、原因、感染の有無によって変わります。

点眼治療

浅い角膜潰瘍では、感染予防のための点眼薬や痛みへの治療などが行われます。

処方された点眼回数を守り、自己判断で中断しないことが大切です。

エリザベスカラー

痛みや違和感から犬が目を前足や床でこすると、角膜の傷がさらに深くなる可能性があります。

そのためエリザベスカラーなどで自傷を防ぐことがあります。

外科治療

深い角膜潰瘍や穿孔する危険が高い場合は、角膜を保護・補強するため外科処置が必要になることがあります。

眼科専門医への紹介が提案される場合もあります。

一度良くなっても再診が大切

犬が目を開けるようになったからといって、完全に角膜が治ったとは限りません。

再度フルオレセイン染色を行い、角膜表面が修復されていることを確認して治療を終了することがあります。

再診日が指定された場合は、見た目が良くても受診してください。

治りにくい角膜潰瘍もある

一般的な浅い傷とは異なり、角膜上皮が正常に接着せず長期間治りにくい角膜潰瘍があります。

SCCED、難治性角膜潰瘍などと呼ばれ、通常の点眼だけでは改善しにくく、特殊な処置が必要になる場合があります。

目薬を自己判断で使ってはいけない

以前別の目の病気で処方された目薬を残している場合でも、自己判断で使わないでください。

特にステロイドを含む点眼薬は、角膜潰瘍がある状態では悪化につながることがあります。

人間用の目薬も使用せず、現在の目の状態を診察してもらってください。

角膜潰瘍でやってはいけないこと

  • 人間用目薬を使う
  • 残っている処方目薬を自己判断で使う
  • 目を何度も触る
  • 異物をピンセットで取ろうとする
  • 犬に目をこすらせる
  • 良く見えるから薬を勝手に中止する
  • 強い痛みがあるのに翌日まで待つ

子犬でも角膜潰瘍になる?

年齢に関係なく起こります。

活発な子犬では遊び中の接触や草木などによる外傷にも注意が必要です。

シニア犬で注意したいこと

シニア犬では涙の量の低下やまぶたの異常、治癒力の変化などが関係して治りにくい場合があります。

目を閉じている状態を「眠いだけ」「年だから」と考えず確認してください。

受診時に伝えること

  • いつから目をしょぼしょぼしているか
  • 片目か両目か
  • 草・枝・爪などが当たった可能性
  • 目やにの量と色
  • 黒目の濁りがあるか
  • 現在使っている目薬や薬

よくある質問

Q. 角膜潰瘍は自然に治りますか?

浅い潰瘍が短期間で修復されることはありますが、感染や深い潰瘍へ進む可能性があります。

目を痛がっている場合は自然治癒を待たず受診してください。

Q. 犬の角膜潰瘍は何日で治りますか?

単純な浅い潰瘍では数日程度で修復することがありますが、原因や深さで大きく異なります。

治りにくいタイプでは追加治療が必要です。

Q. 目が赤いだけなら様子を見てもいいですか?

目を開けない、痛がる、濁るなどがある場合は早めに受診してください。

Q. エリザベスカラーは必要ですか?

犬が目をこすることで傷が悪化する可能性があるため、獣医師から指示された場合は使用してください。

まとめ|目を開けない・急な濁りは早めに受診する

犬の角膜潰瘍は、眼球の一番前にある角膜表面が傷ついた状態です。

代表的な症状は、目をしょぼしょぼする、涙が増える、充血する、黒目が濁るなどです。

診断にはフルオレセイン染色検査が重要で、傷の深さや原因によって点眼治療から外科治療まで対応が変わります。

家庭に残っている目薬や人間用目薬を自己判断で使わないでください。

目を開けられない、急に白・青く濁る、強く痛がる、角膜に深い変化がある、眼球を傷つけた場合は早めに動物病院へ相談してください。


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