
愛犬を抱っこしようとすると逃げる。
胸の下へ手を入れた瞬間に体を固くする。
持ち上げようとすると暴れたり、うなったり、手を噛もうとしたりする。
小型犬では日常的に抱っこする機会が多いため、「どうしてこんなに嫌がるの?」と困る飼い主さんも多いと思います。
しかし、犬が抱っこを嫌がる理由は、わがままやしつけ不足とは限りません。
足が床から離れることへの不安、体を固定されることへの苦手意識、過去に落とされそうになった経験、急に持ち上げられた驚きなどが関係することがあります。
さらに重要なのが、痛みです。
以前は普通に抱っこできた犬が突然逃げる、抱き上げると「キャン」と鳴く、背中を丸める、足を引きずる場合は、トレーニングを始める前に体の異常を確認する必要があります。
抱き上げると鳴く、立てない、歩き方がおかしい、首や背中を痛がる、お腹を触られるのを嫌がる、呼吸が苦しそうな場合は、無理に抱っこの練習をせず動物病院へ相談してください。
健康上の問題がなく、抱っこそのものへの不安が中心であれば、「いきなり持ち上げる」のではなく、手が近づく、胸へ触れる、体を支える、少しだけ体重を浮かせるというように段階を細かく分けて練習します。
この記事では、犬が抱っこを嫌がる理由、痛みとの見分け方、安全な抱き上げ方、逃げる・固まる・暴れる・噛む犬への7段階の慣らし方を解説します。

- 犬が抱っこを嫌がる主な理由
- 急に抱っこを嫌がるようになったら「しつけ」より痛みを確認する
- 抱っこを嫌がっているサイン
- 抱っこの練習を始める前の準備
- 犬を抱っこに慣らす7段階
- 安全な抱き上げ方の基本
- 抱っこすると固まる犬への対処法
- 抱っこしようとすると逃げる場合
- 抱っこ中に暴れる場合
- 抱っこしようとするとうなる・噛む場合
- 小型犬だから毎回抱っこする必要はない
- 動物病院での抱き上げ・保定にも慣らしておく
- 足腰に病気がある犬を抱っこする時の注意
- 子犬の抱っこ練習
- 成犬でも抱っこに慣らせる?
- シニア犬が抱っこを嫌がる場合
- 大型犬は無理に抱き上げる練習をしなくてもよい
- 抱っこ練習でやってはいけないこと
- よくある質問
- まとめ|抱っこは「いきなり持ち上げる」のではなく体を支える練習から
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犬が抱っこを嫌がる主な理由
抱っこを嫌がる犬では、「抱っこ」という一つの動作だけを見るのではなく、どの瞬間から嫌がっているのかを確認することが大切です。
手を伸ばされることが怖い
飼い主さんが上から手を伸ばした時点で逃げる犬がいます。
頭上から大きな人の体や腕が近づく動きは、犬によっては圧迫感を感じやすいものです。
このタイプでは、抱き上げる練習より先に「人の手が近づいても嫌なことは起こらない」という経験から作ります。
体を触られることに慣れていない
抱っこでは、胸、脇、腹部、お尻など複数の場所へ手が触れます。
普段から体への接触が苦手な犬では、手を差し込むだけで緊張することがあります。
足が床から離れるのが不安
犬は4本の足で地面に立つ動物です。
抱き上げられると自分で移動したり、バランスを取り直したりできなくなるため、不安を感じる犬もいます。
特に高い位置まで一気に持ち上げられた経験がある犬では、床から足が離れる瞬間に暴れることがあります。
体を強く締め付けられるのが苦手
犬が落ちないようにしようとして、胸やお腹を強く抱き締めてしまうことがあります。
しかし、強い拘束は犬にとって「逃げられない」感覚につながり、次回からさらに抱っこを避ける原因になることがあります。
過去に怖い経験がある
- 抱っこ中に落ちそうになった
- 高い位置から急に下ろされた
- 嫌がっているのに強く固定された
- 抱っこされたまま苦手なお手入れをされた
- 抱っこの直後に毎回病院へ連れて行かれた
こうした経験が重なると、人が手を伸ばしただけで逃げるようになることがあります。
抱っこの方法が不安定
前足の脇だけを持って持ち上げる、後ろ半身が宙ぶらりんになるなど、体が安定しない持ち方では犬が不安を感じやすくなります。
抱き上げる時は、胸側だけではなくお尻・骨盤側も支え、体全体が安定するようにします。
急に抱っこを嫌がるようになったら「しつけ」より痛みを確認する

以前は毎日普通に抱っこできていた犬が、突然逃げる・鳴く・噛もうとする場合は注意が必要です。
- 抱き上げる瞬間にキャンと鳴く
- 胸や脇へ触れると鳴く
- 背中を丸めている
- 首を動かしたがらない
- 階段やジャンプを嫌がる
- 片足を浮かせる
- 足を引きずる
- 後ろ足がふらつく
- お腹を触られるのを嫌がる
- 抱っこ以外でも触られることを嫌がる
痛みがある犬へ「抱っこに慣れれば大丈夫」と練習を続けると、痛みだけでなく人の手への恐怖まで強くなる可能性があります。
抱っこした時に鳴く場合はこちらを先に確認してください。
・犬が急に「キャン」と鳴く原因とは?抱っこ・触ると痛がる時の受診目安
抱っこを嫌がっているサイン
- 手を伸ばすと離れる
- 後ずさりする
- 体を低くする
- しっぽを下げる
- 耳を後ろへ倒す
- 顔をそむける
- 体を固くする
- 舌なめずりをする
- 持ち上げた瞬間に暴れる
- 腕から飛び降りようとする
- うなる
- 歯を当てる
- 噛もうとする
犬が動かずじっとしていても、必ずしも安心しているとは限りません。
体全体が硬く、しっぽを巻き込み、顔をそむけている場合は、恐怖で固まっている可能性があります。
・犬のしっぽが下がったままの原因とは?上がらない・痛がる時の危険サイン
抱っこの練習を始める前の準備
いきなり犬を持ち上げるのではなく、成功しやすい環境を作ります。
- 滑りにくい床で行う
- 犬が落ち着いている時間を選ぶ
- 小さなごほうびを用意する
- ソファや高い台の上では練習しない
- 最初は数十秒程度で終了する
- 犬が離れられる状態で行う
犬を部屋の隅へ追い込み、逃げられない状態を作って練習する必要はありません。
人のそばにいても安全だと感じられることを優先します。
犬を抱っこに慣らす7段階

抱っこが苦手な犬では、「抱き上げる」という完成形を細かい動作へ分けます。
一日ですべて進める必要はありません。
ステップ1 人の手が近づく練習
犬の横や斜め前から、手をゆっくり近づけます。
まだ触りません。
犬が逃げずにいられたら褒め、ごほうびを与えます。
手を見ただけで逃げる場合は、さらに離れた距離から始めてください。
ステップ2 胸や肩へ1秒触れる
次は胸や肩へ1秒だけ軽く触れます。
触れたらすぐに手を離し、ごほうびを与えます。
撫で続ける必要はありません。
短く触れる動作を受け入れられることが最初の目標です。
ステップ3 胸とお尻へ手を添える
抱き上げる時に使う位置へ手を添えます。
片方の手で胸側を支え、もう片方の手をお尻・骨盤側へ添えます。
まだ犬の足は床から離しません。
体を挟み込むように強く押さえず、手がその位置にあっても犬が落ち着いていられることを練習します。
ステップ4 体重を少し支えてすぐ戻す
胸とお尻へ手を添えた状態から、犬の体重をほんの少し手へ預けてもらいます。
まだ完全には持ち上げません。
犬の4本の足が床へ触れている状態で、わずかに体を支える程度から始めます。
犬が体を固くしたら、ステップ3へ戻ります。
ステップ5 1~2cmだけ浮かせる

体を支えられることに慣れたら、ごく短時間だけ足を床から離します。
最初は1~2cm程度で十分です。
浮かせたらすぐ元の位置へ戻し、褒めます。
この段階で犬が暴れる場合は、高く持ち上げず前の段階へ戻してください。
ステップ6 数秒だけ安定して抱える
低い位置で持ち上げても落ち着いていられるようになったら、胸とお尻の両方を支えた状態で数秒抱えます。
犬の体を自分の体へ近づけると安定しやすくなりますが、強く締め付けないようにします。
最初は「持ち上げる→1秒→下ろす」程度から始めます。
ステップ7 短い移動へつなげる
数秒抱っこできるようになったら、一歩だけ移動して下ろします。
慣れてきたら2~3歩へ伸ばします。
いきなり家の中を長時間歩き回ったり、外へ連れ出したりしないでください。
抱き上げる前に「抱っこ」など毎回同じ短い合図を使うと、犬が次に何が起こるか予測しやすくなります。
安全な抱き上げ方の基本
小型犬でも、前半身だけを持って持ち上げないことが大切です。
- 犬の横から近づく
- 胸側へ片手を入れる
- もう片方の手でお尻・骨盤側を支える
- 胸と後ろ半身を同時に持ち上げる
- 犬の体を水平に近い状態で安定させる
- 自分の体へ近づけて落下を防ぐ
- 下ろす時も4本の足が床へ近づいてから手を離す
前足だけをつかむ、両脇へ手を入れて後ろ足をぶら下げる、首輪を持ちながら持ち上げるといった方法は避けましょう。
抱っこすると固まる犬への対処法
抱き上げても暴れず、じっとしている犬がいます。
一見おとなしく見えますが、体が硬い、耳を後ろへ倒している、目をそらす、しっぽを巻き込む場合は強く緊張している可能性があります。
長時間そのまま抱っこして「慣れるまで待つ」のではなく、すぐに安全な床へ戻し、持ち上げる時間を短くしてください。
抱っこしようとすると逃げる場合
犬を追いかけて捕まえないことが重要です。
追いかける→捕まえる→抱き上げることを繰り返すと、人が立ち上がっただけで逃げるようになることがあります。
まずは人が近づく、しゃがむ、手を伸ばすところまでを別々に練習します。
犬が自分から近づいてきた瞬間にすぐ捕まえないことも大切です。
抱っこ中に暴れる場合

犬が腕の中で激しく暴れると、落下による骨折やケガにつながる危険があります。
高く持ち上げた状態で練習を続けないでください。
床に近い高さへ戻し、ステップ4~5の「少し体重を支える」「1~2cmだけ浮かせる」練習へ戻ります。
抱っこ中に暴れ始めた場合は、犬を投げるように離さず、安全な床へゆっくり下ろします。
抱っこしようとするとうなる・噛む場合
うなりや噛みつきは、「これ以上近づかないでほしい」という強いサインである場合があります。
うなったことを叱ってから抱き上げても、不安や痛みそのものはなくなりません。
- 突然噛むようになった
- 特定の場所へ触ると噛む
- 抱き上げる瞬間に鳴く
- 歩き方にも変化がある
この場合は、まず痛みを除外します。
健康上の問題がない場合でも、すでに噛みつきが起きている犬は、自宅で何度も抱き上げて慣らそうとせず、獣医師や報酬ベースの行動の専門家へ相談しましょう。
小型犬だから毎回抱っこする必要はない
小型犬は簡単に持ち上げられるため、人が移動させたい時にすぐ抱っこされがちです。
しかし、自分で安全に歩ける場所では、すべての移動を抱っこにする必要はありません。
ハーネスとリードで誘導する、クレートへ自分から入ってもらうなど、犬が自分で行動できる方法も使い分けましょう。
・犬がハーネスを嫌がる時の慣らし方|逃げる・固まる・噛む犬への7段階
動物病院での抱き上げ・保定にも慣らしておく
抱っこや身体接触への練習は、動物病院での診察にも役立つことがあります。
ただし、健康な自宅でできる練習と、痛みや体調不良がある時の診察は別です。
病気やケガで痛みがある犬は、普段できる抱っこでも嫌がることがあります。
病院で触られること自体への恐怖が強い場合は、別に協力ケアを進めていきましょう。
・犬が動物病院を嫌がる時の慣らし方|震える・逃げる・噛む犬への7段階
足腰に病気がある犬を抱っこする時の注意

膝蓋骨脱臼や椎間板ヘルニアなどを治療中の犬では、通常の抱っこ練習より獣医師から指示された持ち方を優先してください。
痛みや神経症状がある犬へ、抱っこに慣らす目的で何度も持ち上げるのは避けます。
・犬の膝蓋骨脱臼(パテラ)とは?スキップ歩行・グレード別症状と手術、受診目安を解説
また、片足を浮かせる、足を引きずるなど歩き方そのものに変化がある場合は、抱っこ嫌いだけの問題とは考えないでください。
・犬が足を引きずる原因とは?前足・後ろ足を浮かせる時の危険サインと受診目安
子犬の抱っこ練習
子犬では、抱っこへ良い印象を作ることが大切です。
- 寝ているところを突然持ち上げない
- 追いかけて捕まえない
- 最初は低い位置で1秒だけ
- 胸とお尻を支える
- 落ち着いているうちに床へ戻す
子犬は体が小さく、落下によるケガにも注意が必要です。
高い位置で抱き上げる前に、床に座った状態など安全な高さから練習します。
成犬でも抱っこに慣らせる?
成犬でも段階的に練習できます。
ただし、長年抱っこを避けてきた犬では、最初から持ち上げることを目標にしません。
手を近づけるだけ、胸へ一瞬触れるだけという簡単な練習から始めます。
「今日は必ず抱っこする」と決めず、犬が落ち着いている段階で終了してください。
シニア犬が抱っこを嫌がる場合
シニア犬が急に抱っこを嫌がる場合は、恐怖より先に体の変化を考えます。
- 関節の痛み
- 首や背中の痛み
- 筋力低下
- 腹部の不快感
- 視力や聴力の低下による驚き
特に、以前は平気だった犬が突然鳴く、足腰が弱くなった、立ち上がりにも時間がかかる場合は、抱っこのしつけだけで解決しようとしないでください。
大型犬は無理に抱き上げる練習をしなくてもよい
大型犬では、飼い主さんが日常的に抱き上げること自体が安全でない場合があります。
無理に持ち上げる練習をするより、車へ乗るためのスロープ、低い台、クレートへの誘導など、犬が自分で安全に移動できる方法を準備する方が適していることがあります。
ケガなどで大型犬を移動させる必要がある場合は、自己流で一人で持ち上げず、動物病院へ安全な移動方法を確認してください。
抱っこ練習でやってはいけないこと

- 逃げる犬を追いかけて捕まえる
- 寝ている犬を突然持ち上げる
- 前足や脇だけを持って持ち上げる
- 後ろ半身をぶら下げる
- 暴れているのに高く持ち上げ続ける
- 強く抱き締めて動けなくする
- うなった犬を叱ってから抱き上げる
- 噛む犬を素手で何度も試す
- 痛がっている犬へ抱っこ練習を続ける
- 首や背中が痛そうな犬を何度も曲げ伸ばしする
- 抱っこに慣らすため長時間抱え続ける
- 高い場所から飛び降りさせる
抱っこに慣らす目的は、犬に我慢を覚えさせることではありません。
人の手が近づき、体を支えられても安全だと学べるように、短い成功を積み重ねていきます。
よくある質問
Q. 抱っこしようとすると逃げます。追いかけて捕まえてもいいですか?
練習では追いかけて捕まえない方がよいでしょう。
「人が近づくと捕まえられる」と覚えると、抱っこ以外の日常的な接触まで避ける可能性があります。
まずは人のそばへ自分から近づける状態を作りましょう。
Q. 抱っこすると固まります。慣れるまで抱いていていいですか?
強く固まっている場合は、長時間抱き続けない方がよいでしょう。
一度安全に床へ戻し、持ち上げる時間を1秒程度まで短くしてください。
Q. おやつを使って抱っこしてもいいですか?
ごほうびを使って、人の手や体を支えられることへ良い印象を作る方法があります。
ただし、おやつを食べている隙に突然抱き上げるのではなく、犬が現在の段階を理解できるように使います。
Q. 小型犬は脇の下を持って抱き上げても大丈夫ですか?
前半身だけを持ち、後ろ半身をぶら下げる抱き方は避けましょう。
胸側とお尻・骨盤側を両方支え、体が安定するように抱き上げます。
Q. 抱っこするとキャンと鳴きますが、降ろすと普通です
抱き上げる時だけ痛みが出る病気もあります。
首、背中、腰、肩、足、お腹などの痛みが隠れている可能性があるため、何度も再現せず動物病院へ相談してください。
Q. 抱っこを嫌がる犬を叱った方がいいですか?
逃げる、固まる、うなるといった反応を叱っても、恐怖や痛みの原因は解決しません。
健康上の問題を確認したうえで、犬が受け入れられる簡単な段階から練習します。
Q. 抱っこが好きになるまで毎日練習した方がいいですか?
毎日行うことより、犬が怖がらない短い練習を行うことが重要です。
疲れている、眠い、体調が悪い日は無理に行わなくても構いません。
Q. 抱っこは必ず好きにさせる必要がありますか?
すべての犬が長時間抱っこされることを好きになる必要はありません。
目標は、必要な場面で安全に短時間持ち上げたり移動したりできることです。
犬が抱っこより自分で歩く方を好むなら、安全な場所ではその選択も尊重しましょう。
まとめ|抱っこは「いきなり持ち上げる」のではなく体を支える練習から
犬が抱っこを嫌がる理由には、手への恐怖、身体接触への不慣れ、足が床から離れる不安、過去の怖い経験、不安定な抱き方などがあります。
慣らす時は次のように段階を分けます。
- 人の手が近づく
- 胸や肩へ短く触れる
- 胸とお尻へ手を添える
- 体重を少し支える
- 1~2cmだけ浮かせる
- 数秒抱える
- 短い移動へつなげる
抱き上げる時は胸だけではなく、お尻・骨盤側も支えて体を安定させます。
逃げる犬を追いかける、暴れる犬を高い位置で抱き続ける、うなった犬を叱るといった対応は避けましょう。
そして、最も重要なのは「抱っこ嫌い=しつけ」と決めつけないことです。
以前は平気だった犬が突然抱っこを嫌がる、抱き上げると鳴く、足を引きずる、首や背中を痛がる、立てない、呼吸がおかしい場合は、抱っこの練習を中止して動物病院へ相談してください。


