
愛犬のおしっこが、いつもより白っぽく濁って見える。透明感がなく、ペットシーツの上でモヤモヤした沈殿物のようなものが見える。においも強くなった気がする。
犬の尿は通常、淡い黄色から黄褐色で、透明からわずかに濁って見える程度です。尿がはっきり濁る時は、赤血球、白血球、細菌、結晶、粘液、細胞、その他の沈渣が増えている可能性があります。
ただし、「濁っている=膀胱炎」「白い=結石」と見た目だけで病名を決めることはできません。採尿後の時間経過や保存状態によって結晶ができたり、自然排尿の尿へ外陰部・包皮周囲の分泌物やごみが混ざったりすることもあります。
特に注意したいのは、濁った尿に加えて、何度も排尿姿勢を取る、数滴しか出ない、血尿、排尿時の痛み、嘔吐、元気消失などがある場合です。何度も構えるのに尿が出ない状態は、尿道閉塞などの緊急疾患が関係する可能性があるため、濁りの原因を自宅で調べるより受診を優先してください。
- 1. 犬の尿が濁るとはどんな状態?
- 2. まず確認したい緊急サイン
- 3. 尿が濁る主な原因
- 4. 白っぽく濁る時に考えられること
- 5. 尿路感染・膀胱炎で濁ることがある
- 6. 結晶が多いと尿が濁ることがある
- 7. 血液が混じると赤・ピンク・茶色く濁ることがある
- 8. 尿が濁る+においが強い時
- 9. 尿が濁る+回数が多い時
- 10. 元気がない・吐く・発熱がある時は腎臓側の感染にも注意
- 11. オス犬では前立腺・包皮由来の成分が混じることもある
- 12. 自宅で確認しておきたいポイント
- 13. 動物病院ではどんな尿検査をする?
- 14. 尿培養が必要になるのはどんな時?
- 15. 自宅で尿を採る時の注意点
- 16. 尿が濁る時にやってはいけないこと
- 17. 犬の尿が濁る時によくある質問
- まとめ|尿の濁りは見た目だけで判断せず、尿検査で「何が混じっているか」を確認しよう
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1. 犬の尿が濁るとはどんな状態?
正常な犬の尿は、淡い黄色から黄褐色で、一般には透明からわずかに濁る程度です。「濁っている」と感じる時は、尿全体が白っぽい、透明感がなく煙ったように見える、底へ細かな沈殿がたまる、糸のようなものが混じるなど、見え方はさまざまです。
尿の濁りは、尿中に細胞や固形成分が増えることで起こります。代表的には、赤血球、白血球、細菌、結晶、粘液、上皮細胞などです。ただし、それぞれの成分は肉眼だけでは区別できません。
- いつもより透明感がない
- 白っぽい・乳白色っぽく見える
- 細かな砂のような沈殿がある
- 血が混じってピンク~赤く濁る
- においが急に強くなった
- 排尿後のシーツに濁った跡が残る
- 時間がたつと底へ沈殿物が見える
大切なのは、濁りの色だけで原因を当てようとしないことです。白っぽいから膿、砂っぽいから結石、赤いから単純な膀胱炎と決めつけず、尿検査で確認します。
2. まず確認したい緊急サイン
尿が濁っているだけで元気・食欲があり、普通にまとまった量を排尿できている場合は、必ずしもすべてが救急ではありません。一方、濁りと排尿困難が同時にある場合は注意が必要です。
- 何度も排尿姿勢をとるのに尿が出ない
- 数滴しか出ない状態を繰り返す
- 排尿中に鳴く・震える・強く痛がる
- お腹が張って苦しそう
- 血尿が多い、血の塊が見える
- 何度も吐く
- ぐったりしている
- 食欲がなく、水も飲めない
- 呼びかけへの反応が弱い
- 短時間で急に悪化している
尿が出ない、または数滴しか出ない状態が続く場合は、自宅で様子を見ず動物病院へ連絡してください。尿が少し漏れているだけでも、尿道が部分的に詰まっている可能性があります。
何度も構えるのに尿が出ない場合は、犬の尿が出ない原因とは?何度も構える・少量しか出ない時の危険サインと受診目安も確認してください。

3. 尿が濁る主な原因
尿の濁りは「病名」ではなく、尿の中へ何らかの成分が増えているサインです。主な原因として、次のようなものがあります。
- 白血球・炎症細胞が増えている
- 細菌性尿路感染
- 血液が混じっている
- 尿中の結晶が増えている
- 膀胱炎や尿道炎
- 尿路結石
- 粘液や上皮細胞が増えている
- 前立腺や生殖器由来の分泌物が混ざっている
- 自然排尿の尿へ皮膚・被毛・外陰部の汚れが混ざった
- 採尿から時間がたち、保存中に結晶が析出した
見た目だけでは、炎症細胞・細菌・結晶・血液などを区別できません。そのため動物病院では、尿の色と濁りを見るだけでなく、尿比重、pH、蛋白、潜血、糖などを測り、遠心した尿沈渣を顕微鏡で観察します。
また、尿が濁っているように見えても、排尿直後の新鮮な尿ではなく、時間がたったシーツや容器を見て判断している場合があります。採尿後に温度が下がったり時間がたったりすると結晶が析出することがあるため、採尿時刻は診察時に伝えてください。
4. 白っぽく濁る時に考えられること
尿が白く、乳白色やモヤがかかったように見える場合は、白血球、細菌、結晶、粘液、細胞などが増えている可能性があります。ただし「白い尿=膿尿」と肉眼だけで判断することはできません。
尿路に炎症があると、白血球が尿中へ増えることがあります。尿沈渣で白血球が増えている状態は「膿尿」と呼ばれますが、感染だけでなく炎症、外傷、腫瘍などでも白血球が増えることがあります。
細菌と白血球が同時に多く確認され、頻尿・血尿・排尿痛などの症状がある場合は、細菌性尿路感染を疑う材料になります。ただし、自然排尿で採った尿では外部から細菌や細胞が混入することがあるため、採尿方法も重要です。
特に「白く濁る+強い悪臭+頻尿」が続く場合は、尿路感染や膀胱炎の評価を受けましょう。見た目が白いという理由だけで抗菌薬を使うのではなく、尿検査や必要に応じた尿培養で確認します。
5. 尿路感染・膀胱炎で濁ることがある
細菌性尿路感染では、白血球、細菌、赤血球などが尿中へ増え、尿が濁って見えることがあります。頻尿、少量ずつの排尿、排尿時のいきみ、血尿、陰部をなめる、尿の悪臭などが一緒に見られることがあります。
- 何度もトイレへ行く
- 一回の尿量が少ない
- 排尿姿勢が長い
- 排尿時に痛がる
- 血が混じる
- 尿のにおいが強い
- 陰部を繰り返しなめる
- トイレ以外で急に排尿する
このような症状がある場合は、犬の膀胱炎とは?頻尿・血尿・トイレが近い時に注意したい病気を解説も参考にしてください。
細菌性膀胱炎の診断では、症状だけでなく尿検査が重要です。細菌感染が疑われる場合には、尿培養と薬剤感受性検査を行い、原因菌と効きやすい抗菌薬を確認することがあります。
以前の膀胱炎で余った抗菌薬を「尿が濁ったから」と自己判断で飲ませないでください。原因が感染とは限らず、細菌の種類や薬剤感受性も以前と同じとは限りません。
感染を繰り返す犬では、糖尿病、クッシング症候群、慢性腎臓病、尿失禁、尿路の構造異常など、細菌が増えやすくなる背景がないか調べることもあります。単発の膀胱炎と、何度も再発する感染では検査の考え方が異なります。
避妊していないメス犬で、尿が濁るように見えるうえに外陰部から悪臭のある分泌物が出る、多飲、元気消失、食欲低下、嘔吐、お腹の張りなどがある場合は、尿だけの問題とは限りません。生殖器の病気も含めて早めに診察を受けてください。
6. 結晶が多いと尿が濁ることがある

尿中に結晶が多く含まれると、細かな砂や粉が混じったように濁って見えることがあります。犬の尿ではストルバイト、シュウ酸カルシウム、尿酸アンモニウム、シスチンなど複数の結晶が確認されることがあります。
ただし、尿に結晶があることと、尿路結石があることは同じではありません。健康な犬でも条件によって結晶が見つかることがあり、逆に結石があっても採った尿に結晶が確認できないことがあります。
さらに、採尿した尿を長時間置いたり冷蔵したりすると、体内では存在していなかった結晶があとから析出することがあります。結晶の種類と意味を判断するには、できるだけ新鮮な尿を検査し、尿pH、尿比重、症状、画像検査などを合わせて評価します。
尿の濁りに血尿、頻尿、痛みが加わる場合は、膀胱結石なども確認します。詳しくは犬の尿路結石とは?血尿・頻尿・おしっこが出にくい時に注意したい病気を解説も確認してください。
犬のストルバイト結晶では、尿路感染と関連するケースがありますが、すべてのストルバイト結晶が同じ意味を持つわけではありません。結晶が見つかった時は、尿pHや細菌の有無、症状、結石の有無を合わせて判断します。
家庭用の尿試験紙だけで結晶の種類を判断することはできません。市販のpH試験だけを根拠に食事を変え続けると、別の結晶や結石へ不利な尿環境を作る可能性もあるため、繰り返す濁りは動物病院の尿検査で確認しましょう。
7. 血液が混じると赤・ピンク・茶色く濁ることがある
尿路から出血すると、尿全体がピンクや赤に見えたり、透明感がなく濁って見えたりすることがあります。血尿の原因には、膀胱炎、尿路結石、腎臓・尿道・前立腺の病気、外傷、腫瘍、血液凝固の異常などがあります。
また、赤・茶色い尿がすべて赤血球による血尿とは限りません。ヘモグロビンやミオグロビン、ビリルビンなどの色素で尿色が変わることもあるため、見た目だけでは判別できません。
血が見える場合は犬の血尿の原因とは?赤いおしっこ・血が混じる時の危険サインと受診目安も参考にしてください。血尿に加えて尿が出にくい場合は、尿路閉塞の有無を早めに確認します。
「少量の血なら様子を見てよい」と一律には言えません。血尿が繰り返す、頻尿や痛みがある、元気・食欲が落ちている場合は受診してください。
8. 尿が濁る+においが強い時
尿の濁りと同時に悪臭が強くなっている場合は、尿路感染を考える重要な手がかりになります。ただし、濃縮尿や時間がたったペットシーツもにおいが強くなるため、においだけで感染を診断することはできません。
排尿直後から明らかに悪臭があり、濁り、頻尿、血尿、陰部をなめる行動などが重なる場合は、尿検査を受けましょう。新鮮な尿の状態が分かるよう、ペットシーツの写真や採尿時刻の記録が役立つことがあります。
前回までに作成した「犬の尿が臭い」記事では、尿路感染、膀胱炎、結石、濃縮尿などを詳しく扱っています。尿の色・におい・回数をセットで記録しておくと、診察時に変化を伝えやすくなります。
においを消すためにサプリメントや尿pHを変える製品を自己判断で使う必要はありません。尿の濁りの原因によって対応は異なるため、まず検査で中身を確認します。

9. 尿が濁る+回数が多い時
尿が濁り、トイレへ行く回数も増えている場合は、「一回の尿量」が重要です。少量ずつ何度もする頻尿と、一回量も多い多尿では原因の考え方が変わります。
少量ずつ何度も排尿し、濁り・血尿・痛みがある場合は、膀胱炎、尿路感染、尿路結石など膀胱や尿道の問題を確認します。一方、尿量そのものが多く水を飲む量も増えている場合は、腎臓病、糖尿病、ホルモン疾患など全身の病気も調べます。
犬の尿の回数が多い原因とは?頻尿・多尿の違いと受診目安を解説では、この違いを詳しく解説しています。
尿の回数を減らそうとして水を制限しないでください。多尿がある犬では、体から失う水分を補うために飲水量が増えている可能性があります。新鮮な水は自由に飲めるようにします。
10. 元気がない・吐く・発熱がある時は腎臓側の感染にも注意
尿が濁っているだけでなく、元気がない、食べない、吐く、発熱する、お腹や腰周りを痛がる場合は、膀胱より上の尿路まで問題が及んでいないか確認します。
細菌が膀胱から尿管を通って腎臓へ上がると、腎盂腎炎を起こすことがあります。腎盂腎炎では多飲多尿、頻尿、血尿が見られることもありますが、発熱や痛みが必ず出るとは限りません。
膀胱炎を繰り返している犬で、今回はいつもより元気がない、吐く、食欲がない、腎臓の数値が悪くなったといった変化がある場合は「いつもの膀胱炎」と決めつけないでください。
詳しくは犬の腎盂腎炎とは?発熱・嘔吐・元気がない時に注意したい腎臓の細菌感染を解説も参考にしてください。
ぐったりして反応が弱い、何度も吐く、水を飲んでも吐く、尿がほとんど出ない場合は、家庭で採尿することを優先せず受診してください。
腎盂腎炎など上部尿路の感染が疑われる時は、尿培養に加えて血液検査や腹部超音波検査などを組み合わせることがあります。尿が濁るという一つの見た目だけでは、炎症が膀胱に限られているのか腎臓まで及んでいるのかを判断できません。
慢性腎臓病の犬で尿の濁りが新たに出た場合も、「腎臓病だから尿が変わった」と決めつけないことが大切です。尿路感染が加わっている場合など、治療可能な問題が重なっていないか確認します。
11. オス犬では前立腺・包皮由来の成分が混じることもある
未去勢のオス犬では、前立腺の病気や生殖器由来の分泌物が尿へ混ざることがあります。また、自然排尿で採った尿には包皮周囲の分泌物や細胞が混入し、尿が濁って見えることがあります。
このため、自然排尿のサンプルで白血球や細菌が少量見つかったからといって、必ず膀胱内に感染があるとは限りません。採尿方法を記録し、必要に応じて膀胱穿刺など外部からの混入を減らした方法で再検査します。
オス犬で尿の濁りに加えて、排尿しにくい、便が出にくい、血尿、包皮からの分泌物、発熱などがある場合は、膀胱・尿道だけでなく前立腺も含めて診察することがあります。
特に排尿姿勢を取るのに尿が少ない状態では、性別にかかわらず閉塞を除外することが重要です。オス犬は尿道が細長いため、結石などが詰まるリスクには特に注意します。
12. 自宅で確認しておきたいポイント
受診までに、尿の濁りだけでなく排尿全体の変化を記録しておくと診察に役立ちます。毎回じっくり観察する必要はありませんが、「いつから」「どの程度」「ほかに何が変わったか」をまとめます。
- いつから濁って見えるか
- 毎回か、朝だけか
- 排尿直後から濁っているか
- 白・赤・茶色などどんな色に見えるか
- においが急に強くなったか
- 排尿回数は増えたか
- 一回量は多いか少ないか
- 排尿時にいきむ・鳴くか
- 血が混じっていないか
- 水を飲む量が増えていないか
- 陰部を頻繁になめていないか
- 元気・食欲・体重に変化がないか
- 嘔吐・発熱・腹痛がないか
ペットシーツでは吸収材や消臭成分によって尿の見え方が変わることがあります。可能なら、白いシーツで排尿直後の色を確認し、写真を残します。無理に採尿するため排尿を我慢させる必要はありません。
尿の色が濃い・茶色い場合は、単なる濁りではなく色素の異常が関係している可能性があります。犬の尿の色が濃い原因とは?茶色・赤い尿の危険サインと受診目安を解説も参考にしてください。

13. 動物病院ではどんな尿検査をする?
尿が濁る時に最も基本となるのが尿検査です。見た目だけでは分からない成分を、化学検査と顕微鏡検査で確認します。
- 尿の色・透明度
- 尿比重
- 尿pH
- 蛋白
- 潜血
- 糖・ケトン
- ビリルビン
- 赤血球
- 白血球
- 細菌
- 結晶
- 上皮細胞
- 円柱など
尿を遠心すると細胞や結晶などが底へ集まり、この「尿沈渣」を顕微鏡で観察します。白血球や細菌が多い、赤血球が増えている、特定の結晶が見えるといった所見から、次に必要な検査を考えます。
尿比重では尿がどのくらい濃縮されているかを見ます。尿が濁っているかどうかとは別の情報で、腎臓が尿を濃縮できているか、多飲多尿があるかなどを考える材料になります。
結晶が見つかった場合でも、その場で「結石症」と確定するわけではありません。症状や結晶の種類に応じて、レントゲンや超音波検査で膀胱・腎臓・尿道などを確認することがあります。
尿検査の結果は、採尿方法と一緒に解釈します。膀胱穿刺では針を刺すことで少量の赤血球が混じることがありますし、カテーテル採尿では尿道由来の細胞が増えることがあります。結果だけを見て「血があるから病気」「細胞があるから腫瘍」と単純に判断することはできません。
また、尿検査で蛋白が出た場合には、炎症や血液の混入によるものか、腎臓由来の蛋白尿かを分けるため、尿蛋白クレアチニン比など追加検査が検討されることがあります。濁りをきっかけに、尿路以外の病気の手がかりが見つかることもあります。
14. 尿培養が必要になるのはどんな時?
尿路感染が疑われる場合には、尿培養を行うことがあります。培養では、尿中に細菌が増えるかを確認し、細菌が見つかった場合はどの抗菌薬が効きやすいかを調べる薬剤感受性検査を組み合わせます。
培養に使う尿は、外部からの細菌混入をできるだけ減らすことが重要です。そのため、腹部から細い針で膀胱内の尿を採る「膀胱穿刺」が選ばれることがあります。
自然排尿で採った尿は、自宅で採取しやすい一方、皮膚、被毛、外陰部、包皮などから細菌が混入する可能性があります。どの方法で採ったかによって結果の解釈が変わるため、自宅採尿を持参する時は採尿方法も伝えます。
尿沈渣で細菌が見えなかったから感染を完全に否定できるとは限りません。感染が疑われる症状や背景疾患がある場合は、培養が必要か獣医師が判断します。

15. 自宅で尿を採る時の注意点
動物病院から自宅採尿を依頼された場合は、できるだけ清潔な容器で新鮮な尿を採ります。床や使用済みペットシーツから絞った尿は、細胞や細菌、洗剤などが混ざりやすく、検査に向かないことがあります。
- 清潔な容器を使う
- 排尿中の尿を可能な範囲で直接受ける
- 採った時刻を記録する
- できるだけ早く動物病院へ持参する
- すぐ持参できない場合の保存方法を病院へ確認する
- 薬や消毒液が付いた容器を使わない
すぐ検査できない尿は冷蔵保存が案内されることがありますが、冷却や時間経過で結晶が析出する可能性があります。何時に採ったか、どのくらい冷蔵したかを必ず伝えてください。
犬を追い回したり、排尿を長時間我慢させたりして採る必要はありません。尿が出にくい、痛がる、元気がない場合は、サンプルを採れなくても受診を優先します。
培養検査が必要な場合は、自宅で自然排尿を採るより病院で膀胱穿刺を行った方が適していることがあります。自宅採尿を持参すれば必ずすべての検査ができるわけではない点も知っておきましょう。
採尿容器は、動物病院でもらった容器があればそれを使うのが確実です。家庭の保存容器を使う場合は、洗剤や食品の成分が残っていない清潔なものを選びます。培養検査では容器の清潔さだけでなく、採尿経路からの汚染も結果へ影響します。
散歩中に採尿する場合は、犬が驚いて排尿を止めないよう、浅い清潔な容器や専用の採尿器具を静かに差し入れます。採ることにこだわって犬を追いかけ回すと、その後排尿を我慢するようになることがあるため無理はしません。
16. 尿が濁る時にやってはいけないこと
- 濁りだけで膀胱炎と決めつける
- 以前余った抗菌薬を与える
- 人間用の抗菌薬・痛み止めを使う
- 尿の回数を減らすため水を制限する
- 酢や重曹などで尿pHを変えようとする
- 自己判断で尿路用療法食へ切り替える
- 結晶があると思ってカルシウムなどを極端に制限する
- 尿が出にくい状態を何日も様子見る
- お腹を強く押して膀胱を空にしようとする
- 長時間たった尿の見た目だけで病気を判断する
尿路結石は種類によって食事管理が異なります。ストルバイトとシュウ酸カルシウムでは対応が同じではなく、結石の種類が分からない状態で尿pHを変える食事やサプリメントを使うのは避けてください。
また、尿が濁っていても原因が感染ではないことがあります。抗菌薬は「念のため」で自己使用せず、必要性を検査結果と症状から判断します。
尿の濁りが一時的に消えても、頻尿、血尿、排尿痛が続いているなら症状が解決したとは限りません。見た目だけで受診予定を取りやめず、ほかの症状も合わせて判断してください。

子犬で尿が濁る場合は、成犬と同じく膀胱炎や結晶尿などを考えますが、先天的な尿路の構造異常が背景にあることもあります。子犬の頃から尿漏れを繰り返す、外陰部周囲がいつも湿っている、尿路感染を何度も起こす場合は、しつけの問題だけと考えず尿路の形も確認します。
シニア犬では、糖尿病、慢性腎臓病、クッシング症候群、尿失禁、腫瘍など、尿路感染や尿の性状変化につながる背景疾患が増えることがあります。「年齢のせいで尿が濁る」と決めつけず、飲水量、体重、食欲、排尿回数の変化も一緒に確認してください。
尿の見た目は照明や床・シーツの色にも左右されます。黄色い照明では濃く見えたり、柄付きのペットシーツでは血や沈殿が分かりにくかったりします。変化を記録する時は、できるだけ同じ明るさ・同じ種類の白いシーツで確認すると比較しやすくなります。
尿の濁りが治療後にいったん消えても、再び同じ症状が出る場合は再発の背景を確認します。結石、尿が膀胱に残る状態、糖尿病などがあると感染を繰り返すことがあるため、「前回と同じ薬で治ったから今回も同じ」と考えないことが大切です。
逆に、尿検査で軽い結晶や細胞が見つかっても、症状がなく治療を必要としないことがあります。検査結果は数字や顕微鏡所見だけでなく、犬の症状、採尿方法、画像検査、基礎疾患を合わせて解釈します。飼い主さんが家庭でできる最も有用なことは、自己診断ではなく、普段との変化を正確に記録することです。
17. 犬の尿が濁る時によくある質問
Q. 犬の尿は少し濁っていても正常ですか?
正常尿は一般に透明からわずかに濁る程度です。軽い濁りだけで必ず病気とは言えませんが、明らかな濁りが続く、頻尿・血尿・悪臭・排尿痛がある場合は尿検査をおすすめします。
Q. 白く濁っていれば膀胱炎ですか?
膀胱炎や尿路感染で白血球・細菌などが増えて濁ることはありますが、結晶、粘液、細胞、外部からの混入でも濁ります。見た目だけでは確定できません。
Q. 尿に結晶があれば結石がありますか?
必ずしもそうではありません。結晶尿と尿路結石は同じではなく、結晶があっても結石がない犬、結石があっても尿中に結晶が見えない犬がいます。必要に応じて画像検査で確認します。
Q. 朝の尿だけ濁って見えます
朝一番の尿は濃くなりやすく、成分が目立って見えることがあります。ただし毎朝強く濁る、悪臭・血尿・頻尿がある場合は、濃縮尿だけと決めつけず尿検査を相談してください。
Q. 自宅で採った尿を翌日に持って行ってもいいですか?
検査内容によって適切な保存時間が異なります。時間がたつと細菌数や結晶、細胞の状態などが変化するため、できるだけ新鮮な尿が望まれます。翌日になる場合は自己判断せず、採尿前に受診先へ保存方法を確認してください。
Q. 尿が濁る時は水をたくさん飲ませれば治りますか?
新鮮な水を自由に飲めるようにすることは大切ですが、水だけで尿路感染や結石が治るわけではありません。無理に大量の水を飲ませたり、反対に排尿回数を減らすため水を制限したりしないでください。
Q. 尿が濁っていても元気なら様子を見てもいいですか?
一度だけ軽く濁って見え、その後すぐ透明に戻り、排尿回数・量・におい・色・元気・食欲が普段どおりなら短く観察できることもあります。ただし濁りが繰り返す、数日続く、ほかの尿症状がある場合は尿検査を受けてください。
まとめ|尿の濁りは見た目だけで判断せず、尿検査で「何が混じっているか」を確認しよう

犬の尿が濁る時は、白血球、赤血球、細菌、結晶、粘液、細胞など、さまざまな成分が増えている可能性があります。一方、自然排尿への外部からの混入や、採尿後の時間経過で結晶が析出することもあるため、見た目だけで病名を決めることはできません。
濁りに頻尿、血尿、排尿時の痛み、悪臭が加わる場合は、膀胱炎、尿路感染、尿路結石などを確認します。元気消失、食欲低下、嘔吐など全身症状がある場合は、腎盂腎炎など上部尿路の問題も含めて早めに診察を受けましょう。
何度も排尿姿勢をとるのに尿が出ない、数滴しか出ない、お腹が張る、吐く、ぐったりする場合は緊急です。抗菌薬や療法食を自己判断で使わず、尿検査・尿沈渣・必要に応じた尿培養や画像検査で原因を確認してください。


